はじめに
新たに設備を導入しようとする中小企業者が、市町村へ先端設備等導入計画を申請して認定を受けた場合には、償却資産税の軽減や資金調達に際し債務保証に関する支援を受けることができます。今回は償却資産税の軽減について説明します。
1.概要
中小企業者が適用期間内に、雇用者給与等支給額につき1.5%以上の賃上げ方針を従業員に表明し、この賃上げ方針を位置づけて市町村から認定を受けた「先端設備等導入計画」に基づいて一定の設備を新規取得した場合には、その設備に係る固定資産税の課税標準が3年間1/2に軽減されます。また賃上げの方針が3%以上である場合には5年間にわたり1/4に軽減されます。なお、この制度に係る提出書類等は中小企業庁のHPから入手することができます。
2.適用期間
この制度の適用期間は令和7年4月1日から令和9年3月31日までの期間となります。
3.対象設備
(1)から(4)の設備のうち、年平均の投資利益率が5%以上となることが見込まれることについて、認定経営革新等支援機関の確認をうけた投資計画を達成するために必要不可欠な資産。
(1)機械装置 160万円以上
(2)工具 30万円以上
(3)器具備品 30万円以上
(4)建物附属設備 60万円以上
・認定経営革新等支援機関とは商工会議所、商工会、税理士、中小企業診断士等となります。
・年平均の投資利益率は次の算式によります。
(営業利益+減価償却費(注1))の増加額(注2)
設備投資額(注3)
注1.減価償却費は会計上の減価償却費
注2.設備の取得等をする翌年度以降3年度の平均額
注3.設備の取得等をする年度のその設備の取得価額の合計額
4.手続きの流れ
(1)従業員へ賃上げ方針の表明
従業員に対する給与等の総額を、計画申請日を含む事業年度又はその翌事業年度において、申請事業年度の直前事業年度と比較して1.5%以上若しくは3%以上増加させる方針を従業員に表明し、この表明に関する書類を作成します。なお、この表明は従業員の代表者のみ行うことも可能です。
(2)先端設備等導入計画及び投資計画の策定
3年間、4年間又は5年間内に労働生産性を一定程度向上させるため先端設備等を導入する計画及び投資計画を策定し、認定経営革新等支援機関に確認を依頼します。
・労働生産性とは次の算式によります。
(営業利益+人件費+減価償却費)
労働投入量(労働者数又は労働者
×1人当たり年間就業時間)
・一定程度向上とは次によります。
直近事業年度比で労働生産性が年平均3%以上向上すること。
→計画期間内における労働生産性の向上率≧計画年数×3%
(3)認定経営革新等支援機関の確認書を取得
認定経営革新等支援機関へ(2)の導入計画書、投資計画等を提出して内容の確認を受け、確認書を取得します。
(4)市町村へ申請
事業者は市町村へ(3)の確認書と(1)の従業員へ賃上げ方針を表明したことを証する書類、その他の書類を提出して、市町村から認定を受けます。
(5)設備の取得
市町村の認定を受けた後に設備を取得します。
認定を受ける前に設備を取得した場合はこの制度の適用はありません。
おわりに
この制度は設備の取得前に市町村の認定を受ける必要があります。認定には一定時間を要しますので余裕を持った申請が必要です。
(担当:佐藤)