はじめに
「100億宣言」をご存知ですか?100億宣言は、中小企業が売上高100億円という野心的な目標を掲げ、その達成に向けて公的にコミットメントする制度です。
本制度は、単なる補助金の提供にとどまらず、税制優遇や非金銭的な支援も組み合わせることで、日本経済全体の活性化と国際競争力の強化を目指しています。
本制度の対象となるのは、原則として直近の決算期における売上高が10億円以上100億円未満の中小企業です。
「100億宣言」を行った企業は、以下の3つの柱からなる多角的な支援を受けることができます。
1.中小企業経営強化税制(E類型)
中小企業経営強化税制について、売上高100億円超を目指す中小企業に係る措置(E類型)が新設されました。
これまでの制度の対象資産(機械装置、工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェア)に加え、建物やその附属設備までを優遇対象となったことが特徴的です。
税制優遇の内容は下記の通りです。
(出典:国税庁 令和7年度 法人税関係法令の改正の概要)
対象企業:
(1)売上高10億円超90億円未満の法人
(2)売上高100億円超を目指すにあたり、事業基盤、財務基盤及び組織基盤が整っていること
投資計画の内容:
(1)売上向上のための取組及び設備投資時期を示したロードマップを策定すること。
(2)売上高100億円超及び年平均10%以上の売上高成長率を目指すこと。
(3)給与等の支給額を増加させるものであること。
2.中小企業成長加速化補助金
補助金は企業の成長に向けた大胆な設備投資を支援するものです。
・補助対象者:売上高100億円を目指す中小企業
・補助上限額:5億円
・補助率:投資額の1/2
・補助対象経費:建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費
・補助事業の要件:
(1)「100億宣言」を行っていること
(2)投資額1億円以上(専門家経費・外注費を除く補助対象経費分)
(3)一定の賃上げ要件を満たす今後5年程度の事業計画の策定など
3.その他の支援
100億宣言を行った成長を目指す経営者が、地域・業種を超えて繋がれるネットワークを利用することができます。
また、宣言企業は公式ロゴマークを名刺やホームページに掲載し、取組をPRすることができます。
4.その他の支援
2025年6月の初回公表時点で、1,500件を超える申請が寄せられており、そのうち311件が公表されています。
申請企業は製造業、卸売業・小売業、建設業、運輸業など多様な業種にわたり、すべての都道府県からの申請があることからも、本制度が全国的な関心を集めていることがわかります。
宣言企業はHP上に公表されています。
https://growth-100-oku.smrj.go.jp/companies/
おわりに
「100億宣言」は、単なる公的支援の枠組みではなく、企業が自身の成長戦略を再構築し、内外にその決意を示す絶好の機会です。
この制度を活用し、大胆な変革に挑む経営者こそが、これからの日本経済を牽引する中堅企業の時代を切り拓く主役となるでしょう。皆様も100億宣言をご検討ください。
(担当:齋藤)