会計・税務の知識

2025年07月03日 発行教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税

はじめに

 

子や孫の教育資金を支援することを目的に、祖父母などの直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税となる制度が設けられています。

本制度は、平成25年4月1日から令和8年3月31日までの期間限定で適用され、金融機関等を通じて資金の管理を行うことを条件に、教育資金の贈与に対して贈与税が免除されます。

 

 

1.制度の目的と概要

 

本制度は、教育資金の一括贈与による家計の負担軽減を図るとともに、教育資金の適正な使途を確保し、贈与資金の流用防止を目的としております。

祖父母などの直系尊属(以下「贈与者」)が、30歳未満の子や孫(以下「受贈者」)に対して教育資金を一括で贈与し、これを受贈者が一定の金融機関(信託銀行、銀行、証券会社など)で管理する場合に、最大1,500万円までの金額に相当する部分について贈与税が非課税となるものです。

資金は「教育資金口座」と呼ばれる専用の口座に信託受益権の取得や預入、有価証券購入などの方法で管理されます。

 

 

2.教育資金の範囲

 

非課税対象となる教育資金は、大きく二つの区分に分かれます。

 

(1)学校等に直接支払われる教育資金

学校等とは、幼稚園、小中学校、高等学校、大学(大学院含む)、専修学校、各種学校、一定の外国教育施設、認定こども園、保育所などを指します。

教育資金の具体例としては、入学金、授業料、保育料、施設設備費、入園試験料、学校給食費、修学旅行費など教育に伴う必要経費が含まれます。

 

(2)学校等以外の者に対して直接支払われる教育資金

学習塾やそろばん教室、水泳教室などの教育サービス提供者への対価、スポーツや文化芸術に関する指導料、またそれらの指導に使う教材購入費、通学定期券代や留学のための渡航費などが含まれます。

ただし、23歳以降の支払は教育訓練給付金対象の教育のみに限定されます。

 

 

 

3.非課税措置の適用条件

 

非課税措置を受けるには、教育資金口座を金融機関で開設し、教育資金非課税申告書を口座開設時に提出する必要があります。

この申告書は金融機関が受理した時点で受贈者の納税地の税務署長に提出されたものとみなされます。

また、平成31年4月1日以降に取得した信託受益権等に関しては、受贈者の前年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用されません。

 

 

 

4.教育資金口座からの払出し・支払手続き

 

教育資金口座からの資金払出しは、教育資金支出の事実を証明する書類(領収書等)を金融機関に提出することで行われます。

領収書提出の期限は払出方法によって異なり、1年以内に都度提出する場合と、翌年3月15日までにまとめて提出する場合があります。

このような管理によって教育資金の正しい使用が確認され、不正利用を防止しています。

 

 

 

5.教育資金口座の契約終了と贈与税の課税

 

教育資金口座の契約は、以下のいずれかの事由で終了します。

 

・受贈者が30歳に達したこと(ただし、学校に在学している場合や教育訓練給付金対象の教育訓練を受けている場合は除く。)

・30歳以上の受贈者が学校在学等の事実を届け出なかった場合

・口座の残高がゼロであり、契約終了の合意があったこと

・受贈者の死亡

 契約終了時に口座残高が残っている場合は、その残額は贈与税の課税対象となります。

 ただし、受贈者の死亡による契約終了の場合は、残額は贈与税の課税対象から除外されます。

 

 

 

おわりに

 

本制度は、祖父母から子や孫への教育資金の贈与を税制面で支援し、教育機会の確保を後押しする制度となります。

制度を適用するには、金融機関での教育資金口座開設や申告手続き、領収書の提出などの適切な管理が必要となるためご留意ください。

(担当:善本)

 

 

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