はじめに
中期経営計画の作り方シリーズでは、中期経営計画の概要、全体の手順や考え方を掴んでいただき、シリーズ(5)以降から、経営理念の作り方、という内容でお送りしております。
前回から経営戦略の内容に入っておりますが、「戦略」は幅広いので、まずは有名な「競争戦略」から見ていきましょう。
1.マイケル・ポーターの競争戦略
経営戦略を考える上では、まずはマイケル・ポーターが提唱した競争戦略について、触れておきましょう。
マイケル・ポーター氏は、アメリカの経済学者であり、以下の表で有名な競争戦略は、1980年に著されたもので、既に45年もの歳月が経過しています。
未だに注目され続けている点も素晴らしいと見ることもできますが、当時の環境とは明らかに違う点は、頭の片隅に置いておくべきでしょう。
2.競争戦略の類型
紙面の都合上、簡単に当該説明をするために、競争戦略の類型図を掲載します。
基本的には、低価格戦略(同価格でも他社よりも利益が出せる)と製品・サービス面等で他社よりも優れているといった、競争の上での優位性と、ターゲットを広く持つか、限定的に絞り込むかで表せるシンプルな考え方に整理されています。
中小企業白書2020年版 Ⅱ-5より
3.データで見る競争戦略
では、日本の中小企業は、どのような戦略の方向性を取っているのでしょうか?
以下の図表から見てわかるように、④差別化集中戦略と②差別化戦略が圧倒的に多く、低価格戦略をとる企業は少ないことがわかります。
中小企業白書2020年版 Ⅱ-6より
また、各類型での利益率を比較しても、④差別化集中戦略を採用する企業群が、僅かながらも利益率が高いことが示されています。
中小企業白書2020年版 Ⅱ-7より
おわりに
どのような戦略を取っているのか、全体を俯瞰して考える上でも非常に有効な概念です。
また次回以降も違った戦略の視点をご案内します。
(担当:横瀬)