会計・税務の知識

2024年09月12日 発行相続人の範囲と法定相続分

はじめに

 

相続が発生した場合、「誰が相続人なのか」を速やかに確定させる必要があります。

今回は法定相続人の範囲と法定相続分について解説します。

 

 

1.相続人の範囲

 

相続人の範囲と法定相続分は、民法で次のとおり定められています。

なお相続を放棄した人は始めから相続人でなかったものとなります。

被相続人に配偶者がいる場合、その配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の親族は次の順に応じて配偶者と共に相続人となります。

なお、内縁関係の人は相続人には含まれないので注意が必要です。

 

(1)配偶者の他に子供がいる場合

配偶者1/2、子供(全員で)1/2

※子が既に死亡している場合はその直系卑属が代襲します

 

(2)配偶者の他に(1)がおらず、直系尊属がいる場合

配偶者2/3、直系尊属(全員で)1/3

※被相続人の父母のいずれかがいる場合はその父母、父母がいない場合は祖父母

 

(3)配偶者の他に(1)、(2)がおらず、兄弟姉妹がいる場合

配偶者3/4、兄弟姉妹(全員で)1/4

※兄弟姉妹が死亡している場合は、被相続人の甥姪。甥姪の直系卑属は範囲外

また、兄弟姉妹が半血兄弟である場合は、全血兄弟の1/2となります

 

 

 

2.相続人の中に養子がいる場合

 

相続税を計算する時は、法定相続人の数に応じて基礎控除額、生命保険金の非課税限度額等を決定します。

これらの金額は相続人の数が多いほうが相続税の計算上有利になります。このような理由から、法定相続人の数に算入できる養子の数は下記のように制限されます。

 

(1)被相続人に実子がいる場合

  1人まで相続人に含めます

 

(2)被相続人に実子がいない場合

  2人まで相続人に含めます

 

 

 

.実子とみなされる養子

 

養子でも次のいずれかに当てはまる人は、実子とみなされます。

 

(1)被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人

(2)被相続人の配偶者の実子で、被相続人の養子となっている人

(3)被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人で、被相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人

(4)被相続人の実の子供、養子または直系卑属が既に死亡しているか、相続権を失ったため、その者に代わって相続人となったその者の直系卑属

 

 

 

.法定相続人の数を基として計算するもの

 

(1)相続税の基礎控除額

3,000万円+法定相続人の数×600万円

 

(2)生命保険金の非課税限度額

500万円×法定相続人の数

 

(3)死亡退職金の非課税限度額

500万円×法定相続人の数

 

(4)相続税の総額

相続税の総額は、同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者に係る相続税の課税価格の合計額から、(1)の基礎控除額を控除した残額を、法定相続人が法定相続分により取得したものとした各金額に、それぞれ相続税の超過累進税率を乗じて計算した金額の合計額

 

 

 

おわりに

 

相続発生後に、自分以外に思わぬ相続人がいることが判明し、想定していた財産額を相続できなくなってしまうケースが稀にあります。

そのようなことがないように、家族間で定期的に相続会議を実施するのは如何でしょうか。

(担当:菅原)

 

 

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