会計・税務の知識

2024年06月27日 発行雇用保険の適用範囲が拡大されます!

はじめに

 

2024年5月10日に参議院本会議で「雇用保険法等の一部を改正する法律案」が可決・成立しました。

今回の改正では、雇用保険の適用範囲の拡大や教育訓練支援の充実、育児休業給付の安定的な財政運営が盛り込まれています。

 

 

1.改正の概要

 

(1)雇用保険の適用拡大(令和10年10月1日より)

雇用保険の被保険者の要件が大きく緩和されます。

週所定労働時間が20時間以上から10時間以上に変更されることで、短時間労働者も雇用保険の恩恵を受けやすくなり、不安定な雇用環境で働く人々にとって大きな支えとなります。

 

 

 

(2)教育訓練やリ・スキリング支援の充実

1.  自己都合で退職した者については、失業給付の受給に当たり、原則2か月の給付制限期間が設けられていましたが、1か月に短縮されます。

また、雇用の安定・就職の促進に必要な職業に関する教育訓練等を自ら受けた場合には、給付制限をせず、雇用保険の基本手当を受給できるようになります。

 

 

 

 

2.  教育訓練給付金について、訓練効果を高めるためのインセンティブ強化のため、雇用保険から支給される給付率を受講費用の最大70%から80%に引き上げられ、教育訓練受講による賃金増加や資格取得等を要件とした追加給付(10%)も新たに創設されます。

 

3. 自発的な能力開発のため、被保険者が在職中に教育訓練のための休暇を取得した場合に、その期間中の生活を支えるため、基本手当に相当する新たな給付金を創設されます。

 

 

(3)育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保

1. 育児休業給付の国庫負担を本来は給付費の1/8に戻し、暫定措置であった1/80を廃止します。

2.  育児休業給付の保険料率を0.4%から0.5%へ引き上げつつ、保険財政の状況に応じて0.5%から0.4%へ引き下げられるようにします。

 

 

(4)その他雇用保険制度の見直し

教育訓練支援給付金の給付率は80%から60%に引き下げられ、その暫定措置が令和8年度末まで継続されます。

また、介護休業給付に係る国庫負担引下げ措置や就業促進手当の見直しも行われます。これらの見直しは、全体的な雇用保険制度の持続可能性を高めるための措置です。

 

 

 

おわりに

 

今回の雇用保険法等の改正は、多様な働き方を支えるための重要な一歩であり、労働者にとって安心と安定を提供するものかと思われます。  

(担当:白土)

 

 

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