会計・税務の知識

2024年06月13日 発行固定資産の取壊し費用の取扱い

はじめに

 

建物などの固定資産の取壊しは一見なんでも経費になるかと思われがちですが、取壊しの目的によって取扱いが変わるので注意が必要です。

今回は1.新たな建物等を取得、2.土地の取得、3.取壊しを行わない場合についてご紹介します。

 

 

1.新たな建物等を取得

 

新たに建物等を建てる目的で建物等を壊した場合(建替え)には、下記費用は経費となります。

・取壊し費用

・取壊した建物の取壊し直前の帳簿価額

 

【法人税基本通達 7-7-1  取り壊した建物等の帳簿価額の損金算入】

法人がその有する建物、構築物等でまだ使用に耐え得るものを取り壊し新たにこれに代わる建物、構築物等を取得した場合(7-3-6《土地とともに取得した建物等の取壊し費等》に該当する場合を除く。)には、その取り壊した資産の取壊し直前の帳簿価額(取り壊した時における廃材等の見積額を除く。)は、その取り壊した日の属する事業年度の損金の額に算入する

 

 

 

2.土地の取得

 

土地付き建物を購入して、すぐにその建物を取り壊した場合には、下記費用を土地の取得原価に含める必要があります。

・取壊し費用

・取り壊した建物の取壊し直前の帳簿価額

 

建物を建てるために建物を取り壊した訳ではなく、土地を得るために建物を取り壊したので、取り壊し費用や建物の帳簿価額は土地を取得するための付随費用とみなされます。

また、「すぐに建物を取壊した場合」のすぐにとは土地付き建物を取得してからおおむね1年以内となります。

 

【法人税基本通達 7-3-6  土地とともに取得した建物等の取壊費等】

法人が建物等の存する土地(借地権を含む。以下7-3-6において同じ。)を建物等とともに取得した場合又は自己の有する土地の上に存する借地人の建物等を取得した場合において、その取得後おおむね1年以内に当該建物等の取壊しに着手する等、当初からその建物等を取り壊して土地を利用する目的であることが明らかであると認められるときは、当該建物等の取壊しの時における帳簿価額及び取壊費用の合計額(廃材等の処分によって得た金額がある場合は、当該金額を控除した金額)は、当該土地の取得価額に算入する。

ただし、当初は建物の取得が目的で取得したが1年以内にやむを得ない理由で取り壊した場合は経費として取り扱うことができます。

また、土地は減価償却ができないため、売却するまでは費用とすることができません。

 

 

 

.取壊しを行わない場合

 

居抜き物件のように内装や設備が残ったままの状態の固定資産については、下記の金額を除却損として費用計上することが認められます。

・残っている設備等を使わないことを前提として、その帳簿価額から処分見込額を控除した金額

 

【法人税基本通達7-7-2 有姿除却】

次に掲げるような固定資産については、たとえ当該資産につき解撤、破砕、廃棄等をしていない場合であっても当該資産の帳簿価額からその処分見込価額を控除した金額を除却損として損金の額に算入することができるものとする。

(1) その使用を廃止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産

(2) 特定の製品の生産のために専用されていた金型等で、当該製品の生産を中止したことにより将来使用される可能性のほとんどないことがその後の状況等からみて明らかなもの

 

 

 

おわりに

 

何を目的とした解体なのかによって、会計処理が異なります。

また、会計処理よって支払う税額も異なります。取り壊しを行う際は長期的に利益の状況を考えることがポイントになります。

(担当:木村)

 

 

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