会計・税務の知識

2024年05月16日 発行(スタートアップ支援特集)エンジェル税制(起業特例)について

はじめに

 

 

エンジェル税制とは、スタートアップへ投資を行った個人投資家に対して税制上の優遇措置を行う制度です。

当該制度には、投資家としてスタートアップ企業へ投資を行う側面(エンジェル投資)と、自身がスタートアップ企業を立ち上げる側面(起業特例)の2つの側面があります。

今回は後者(起業特例)の優遇措置に焦点を当てて解説していきます。

 

 

 

1.起業特例の概要

 

 

起業特例は、会社設立の際の出資額について、設立の年の株式譲渡益から控除し、20億円を上限として非課税とする措置です。

また、設立した会社の株式を譲渡した際に譲渡損が生じた場合には、その年の他の株式譲渡益と通算できるほか、その年に通算しきれなかった損失については、翌年以降3年間にわたり繰り越すことが可能です。

起業特例の適用を受けるにあたっては、個人要件と企業要件の2つを満たす必要があります。

また、投資から確定申告までの流れは下表の通りです。

(出典:経済産業省「起業特例申請ガイドライン」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.個人要件

 

起業特例の適用を受けることができるのは、スタートアップの発起人のみとなります。

発起人が起業特例の適用を受けるにあたっては、会社成立の日に以下の要件を満たす必要があります。

1. 発起人として、株式会社を設立していること。

2. 設立した会社に自らが営んでいた事業の全部を承継させた個人及びその親族等でないこと。

3. 会社設立時に、金銭の払込により設立時発行株式を取得していること。

 

 

 

3.企業要件

 

 

起業特例の適用を受けるにあたっては、会社を設立した年の12月31日時点で、以下の要件を満たす必要があります。

1. 設立1年未満の中小企業者であること。

2. 設立経過年数(事業年度)毎に下表の要件を満たすこと。

(出典:経済産業省「起業特例申請ガイドライン」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3. 外部(特定の株主グループ以外)からの投資を1/100以上受けている会社であること。

4. 大規模法人グループの所有に属さないこと。

5. 未登録・未上場の株式会社であること。

6. 風俗営業等に該当する事業を行う会社でないこと。

7. 新設新設合併又は新設分割により設立された会社でないこと、及び他の事業者から譲り受けた事業を主たる事業としていないこと。

 

 

 

おわりに

 

弊所実績では、お問い合わせを頂いてから、会社設立~申請を経て、都道府県から確認書が交付されるまでに5ヶ月程度要するなど、起業特例の適用までには時間を要する制度となっております。

一方で、20億円という非課税枠は個人投資家にとって非常に魅力的な制度であるため、適用をお考えの方や、当該制度にご興味のある方は、お気軽にご相談ください。

(担当:中路)

 

 

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