子供に仕送りをすると贈与税はかかる?非課税の条件や注意点を解説

子供に仕送りをしている場合、贈与税はかかるのでしょうか。仕送りは身近な支援である一方、税務上の考え方が分かりにくく、判断に迷う場面も少なくありません。本記事では、仕送りが税務上どのように整理されるのかという基本的な考え方をはじめ、判断のポイントや手続き上の注意点について解説します。子供への仕送りと贈与税の扱いに不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
子供への仕送りは贈与税の対象になるのか
子供に仕送りをしている場合、そのお金は贈与税の対象になるのでしょうか。仕送りは日常的な生活支援である一方、税務上はどのように扱われるのかが分かりにくく、判断に迷う方も少なくありません。
子供への仕送りが贈与税の対象になるかを判断するための考え方について解説します。
生活費や教育費としての仕送りは贈与税の課税対象にならない
親が子供に送る仕送りのうち、生活費や教育費として通常必要と認められるものは、原則として贈与税の課税対象になりません。
家賃や食費、光熱費、学費など日常生活や教育のために使われる仕送りは、生活を維持するための支援として財産の贈与とは性質が異なるため、相続税法上「非課税財産」と扱われ、贈与税の申告も不要とされています。
扶養義務の履行として行う仕送りは贈与と区別される
民法の考え方から見ると、親が子供に生活費や教育費を送る行為は、民法877条で定められた「扶養義務」を果たすための支援にあたります。扶養義務とは、生活に困っている家族を支える法的な責任を指します。
そのため、こうした仕送りは財産を無償で与える「贈与」ではなく、義務を履行する行為として位置づけられ、性質上、贈与とは区別されます。
仕送りが非課税とされるのは金額ではなく必要性で判断される
仕送りが非課税となる場合、法律上の金額上限は定められていません。
ただし、無制限に認められるわけではなく、子供の年齢や居住地、生活状況などを踏まえ、「通常必要と認められる範囲」であるのが前提です。
判断基準となるのは、金額の多さではなく、生活費や教育費としての必要性があるかどうかです。
贈与税がかかる子供への仕送りとはどのようなケースか
子供への仕送りは原則として贈与税の対象にならない場合がありますが、すべての仕送りが非課税として扱われるわけではありません。金額や使い道、渡し方によっては、贈与税が課されるケースもあります。
どのような仕送りが贈与税の対象になり得るのかについて、具体的なケースをご紹介します。
生活費や教育費以外の用途に使われている場合
仕送りされたお金が、家賃や食費、学費などではなく、貯蓄や投資、趣味・娯楽費に使われている場合、その金額は生活費とは認められず、贈与と判断される可能性があります。
重要なのは仕送りの名目ではなく、実際の使途が生活費や教育費に該当しているかどうかであり、使い道が判断の基準となります。
生活実態に照らして金額が過大と判断される場合
仕送りの金額が、子供の収入や生活水準に比べて明らかに多い場合、生活費名目であっても贈与とみなされる可能性があります。
生活に通常必要とされる範囲を大きく超える金額は、社会通念上の妥当性が否定されやすく、生活費としての扱いが認められにくくなります。
生活費を必要な都度ではなくまとめて渡している場合
生活費は、本来その都度必要に応じて支払われるものと考えられているため、1年分や数年分の生活費をまとめて渡した場合、全額が生活費として認められず、贈与と判断される可能性が高まります。
仕送りは定期的かつ継続的に行うのが重要です。
子供が自由に管理・処分できる状態で渡されている場合
仕送りされたお金を子供が自由に管理・処分できる状態にある場合、その性質は生活費ではなく贈与に近いと判断されやすくなります。
特に、使い道が限定されておらず、親の関与がないまま貯蓄されている場合には、生活費としての非課税扱いが否定される可能性があります。
生活費としての必要性や使途を説明できない場合
仕送りについて、生活費や教育費としての必要性や具体的な使い道を説明できない場合、税務上は贈与と判断されるリスクがあります。
通帳の入出金状況や支出内容から生活費との関連性が確認できないと、非課税と認められず、贈与税の課税対象となる可能性があります。
子供への仕送りと贈与税の基礎控除の関係

子供への仕送りが贈与と判断された場合、そのまま税金がかかるとは限りません。贈与税には基礎控除が設けられており、課税の有無や申告の要否は、この控除の扱いによって左右されます。
子供への仕送りと贈与税の基礎控除がどのように関係するのかについて解説します。
贈与税の基礎控除は年間110万円まで適用される
贈与税には、1年間に受け取った贈与の合計額から110万円を差し引ける基礎控除があります。暦年(1月1日〜12月31日)に受け取った贈与額が110万円以下であれば、原則として贈与税はかかりません。
仕送りが贈与と判断された場合は基礎控除後に課税される
仕送りが生活費として認められず、贈与と判断された場合でも、年間110万円までは基礎控除の範囲内であれば贈与税はかかりません。
ただし、控除額を超えた部分については贈与税の課税対象となり、翌年に申告と納税が必要となる点に注意しましょう。
複数人から受け取っても基礎控除は合算して判断される
贈与税の基礎控除は、贈与する側ではなく、受け取る側を基準に適用されます。
そのため、父母や祖父母など複数の親族から仕送りや贈与を受けた場合でも、1年間の受取総額を合算し、110万円を超えるかどうかで課税の有無が判断されます。
子供に仕送りをした場合の贈与税と確定申告・税務手続き

子供への仕送りが贈与税の対象になるかどうかを確認したあとは、税務上どのような手続きが必要になるのかを把握しておくのが重要です。
子供に仕送りをした場合に、どのような税務手続きが必要になるのかを解説します。
非課税となる仕送りでは確定申告を行う必要がない
生活費や教育費として非課税と認められる仕送りについては、贈与税の申告は不要です。贈与税の課税対象外であるため、確定申告や届出などの特別な税務手続きも求められません。
通常の生活支援として行われている限り、受け取る側・送る側のいずれも税務上の対応は必要ありません。
贈与税がかかる場合は期限内に申告を行う必要がある
子供への仕送りが生活費として認められず贈与と判断され、年間110万円の基礎控除を超えた場合には、贈与税の申告が必要です。
申告期限は、仕送りを受けた年の翌年2月1日から3月15日までとされており、期限内に申告と納税を行わなければなりません。
税務調査では子供への仕送りの内容が総合的に確認される
税務調査が行われた場合には、子供への仕送りについて、金額の妥当性だけでなく、使途や送金方法、支給頻度などが総合的に確認されます。
すべての仕送りが調査対象になるわけではありませんが、確認を受けた際に備え、通帳の入出金履歴や支出内容から生活費との関連性を説明できるよう、日頃から記録を整理しておくのが重要です。
子供に仕送りをした場合の贈与税と扶養控除の関係
子供への仕送りは贈与税だけでなく、扶養控除の扱いにも影響する場合があります。仕送りをしているからといって、必ずしも扶養控除が適用されるとは限らず、判断にはいくつかのポイントがあります。
子供に仕送りをした場合の贈与税と扶養控除の関係について解説します。
仕送りをしていても扶養控除を受けられる場合がある
子供と別居していても、生活費の送金などにより「生計を一にしている」と認められれば、親は扶養控除を受けられる場合があります。
仕送りは生計同一性を判断する要素の一つですが、同居しているかどうかだけで扶養控除の可否が決まるわけではありません。
子供の所得が一定額を超えると扶養控除が受けられなくなる
子供にアルバイト収入などがあり、年間の所得が一定額を超えると、扶養控除の対象から外れます。
扶養控除の可否は、仕送りをしているかどうかではなく、子供自身の所得額を基準に判断される点に注意しましょう。
仕送りと扶養控除を含めて税負担を総合的に考える
子供への仕送りは、贈与税だけでなく、扶養控除の適用可否によっても親の税負担に影響します。
仕送りの金額や子供の収入状況によって、所得税や住民税の負担が変わるため、家庭の状況に応じて税制全体を整理して考えるのが重要です。
子供に仕送りをする際の贈与税に関してよくある質問

子供への仕送りと贈与税については、ケースによって判断に迷う場面も多いでしょう。特に多く寄せられる質問を取り上げるので、具体的な判断を行う際の参考としてください。
子供が社会人になった後の仕送りも非課税になりますか?
子供が社会人であっても、収入だけでは生活が成り立たず、親からの仕送りが生活費として必要と認められる場合には、贈与税がかからないケースがあります。
重要なのは年齢や社会人かどうかではなく、その仕送りが生活を維持するために通常必要な支援かどうかという点であり、個々の生活状況に応じて判断されます。
仕送りとして支払った家賃や学費を親が直接負担した場合はどうなりますか?
子供の家賃や学費を、親が子供に現金を渡さず直接支払った場合でも、その支出が生活費や教育費として通常必要と認められるものであれば、贈与税の課税対象にはなりません。
支払方法にかかわらず、生活費・教育費であるという実質が重視されます。
一時的に仕送り額が増えた場合でも贈与税はかかりませんか?
引っ越しや入学などの事情により、一時的に仕送り額が増えた場合でも、その増額分が生活費や教育費として必要な範囲であれば、贈与税がかからないとされています。
ただし、必要性を超える金額と判断されると、贈与に該当する可能性があるため注意しましょう。
子供への仕送りと贈与税でお悩みの方は専門家に相談
子供への仕送りは原則として非課税となる場合が多い一方、金額や使途、支給方法を誤ると、思わぬ形で贈与税が課されるリスクがあります。自己判断のまま進めてしまうと、後から税務署に指摘される可能性も否定できません。
こうした不安を避けるためには、早い段階で専門家に相談するのが重要です。
小谷野税理士法人では、仕送りと贈与税に関する実務経験をもとに、状況に応じた適切なアドバイスを行っています。子供への仕送りや贈与税の扱いで迷ったら、まずは小谷野税理士法人へご相談ください。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


