親からの住宅ローン支援は贈与税の対象?住宅取得資金の扱いを解説

親からの住宅ローン支援は贈与税の対象?住宅取得資金の扱いを解説

親から住宅ローンや住宅取得資金の援助を受けると、どこからが贈与税の対象になるのか気になる人は多いのではないでしょうか。特に、名義の付け方や返済方法によって課税関係が変わるため、判断に迷う場面も少なくありません。本記事では、住宅資金の非課税制度の仕組み、持分割合で贈与と判断されるケース、親の返済補助が贈与税に当たる理由について解説します。親からの支援を安全に受けたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

親から住宅取得資金を受けると贈与税はどうなる?

親から住宅購入資金の援助を受けた場合、そのお金は原則として贈与税の対象になります。贈与税は「個人から財産を受け取ったとき」にかかる税金であり、親子間の援助だからといって非課税になるわけではありません。

住宅購入は高額になりやすいため、もらった金額がそのまま課税対象となるケースもあります。

親からの住宅取得資金が非課税になる制度とは

土地・建物の贈与税

親から住宅取得資金の援助を受けても、一定の条件を満たせば「住宅取得等資金の贈与の非課税制度」を利用して贈与税をかけずに受け取ることができます。この非課税制度は、若い世代の住宅取得を支援する目的で設けられたもので、多くの家庭で活用されています。

非課税枠を利用できるかどうかで手元に残る資金は大きく変わるため、仕組みや条件を正しく理解しておきましょう。

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

非課税枠の上限

住宅取得等資金の贈与は、住宅の種類によって上限額(非課税枠)が決まっています。省エネ性能の高い住宅なら1,000万円、一般的な住宅なら500万円までが非課税です。この範囲内で援助を受ければ、その金額について贈与税を払う必要はありません。

住宅の種類

非課税枠

説明

省エネ住宅

1,000万円

断熱性能・省エネ基準などを満たす高性能住宅

一般住宅

500万円

一般的な基準の住宅

利用できる人の条件

非課税制度を利用できるのは、以下の条件すべてを満たす人に限られます

  • 前年の所得が2,000万円以下である
  • 贈与を受けた翌年3月15日までに住宅へ入居する
  • 贈与者が親・祖父母などの直系尊属である

対象となる住宅の基準

この制度を利用するには、購入(または増改築)する住宅自体が一定の基準を満たしている必要があります

基準項目

要件

説明

床面積

40〜240㎡

40㎡未満および240㎡超は対象外

耐震性

現行耐震基準に適合

  • 地震に対して安全と認められる構造が必要
  • 旧基準のままでは対象外になる場合がある

中古住宅

耐震基準を証明できる書類

「耐震基準適合証明書」など、耐震性が確認できる書面が求められる

増改築

工事費100万円以上

壁紙交換などの軽微な修繕ではなく、構造に関わる規模の工事が対象

対象となる費用の範囲

非課税の対象になるのは、住宅そのものの取得・建築に必要な費用に限られます。家具などの生活用品や引越し費用、ローン返済には使えません。

区分

説明

費用の例

対象となる費用

住宅そのものに必要な費用

  • 建物代
  • 土地代
  • 増改築の工事費

対象外の費用

住宅以外に使う金額

  • 家具
  • 家電
  • 引越し費用
  • 住宅ローン返済

住宅購入時の名義(持分割合)と贈与税の関係

生前贈与の特別受益の持ち戻しによる財産分与

住宅の名義(持分割合)は、誰がどれだけ費用を負担したかによって決まるため、名義の付け方ひとつで贈与税の扱いが変わる場合があります。名義と負担の関係がどのように判断されるのか、基本を押さえておきましょう。

持分割合は実際の負担額に応じて決まる

住宅の持分は、建物や土地の購入費用を「誰がいくら負担したか」に基づいて決まります。親が大部分を支払っているのに子の持分を大きく設定してしまうと、その増えた分が「贈与」と評価される可能性が高くなります。

後から贈与税が課されるリスクを避けるためにも、負担額と持分は必ず一致させるのが基本です。

共有名義にするなら負担と持分の整合性を保つ

親子で共有名義にする場合は、各自の負担額に比例した持分を設定する必要があります。税務署は名義よりも「実際に支払った金額」を重視して判断するため、負担より多い持分を子に持たせると贈与とみなされる可能性があります。

特に親の援助額が大きいケースでは、無理に共有名義にせず、親の持分を適正に設定した方が安全な場合もあります。

名義と負担の整合性を意識して、後の税務トラブルを避けるようにしましょう。

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親の住宅ローン支援が贈与税の対象となるケース

親が住宅ローン返済を手伝った場合、どの範囲までが贈与税の対象になるのか疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。税務上どのような支援が贈与とみなされるのか、代表的なケースを紹介します。

親が住宅ローンを肩代わりした

住宅購入直後は家計が不安定になりやすく、親が「数回分は払っておく」と返済を肩代わりするケースがあります。

しかし税務上は、子が負担すべき返済を親が支払ったとみなされるため、その金額はすべて贈与として扱われます。

親が返済資金を振り込んだり補填する

返済日に口座残高が不足しているとき、親がその都度振り込んで補填するケースもよく見られます。こうした支援は、継続的であるほど「実質的な返済負担者は親」と判断されやすく、生活費の援助として扱うこともできません

住宅ローンの名義と返済者が異なっている

ローンの名義が子であるにもかかわらず、実際の返済を親が行っている場合、名義と負担が一致していない部分が贈与と判断されます。

住宅ローンと持分割合は密接に関連しており、返済負担に見合わない名義を設定していると、名義と負担の差額まで贈与として扱われる可能性があるため注意しましょう。

子名義だが実質的に親が返済している

住宅は子名義で購入しているものの、毎月の返済は親が負担しているというケースも少なくありません。

表面上は子が所有しているように見えても、返済の実質的負担者が親であれば、その金額はすべて贈与に該当します

税務署は名義よりも実際の負担関係を重視するため、支払い方法や資金計画を整理し、名義と負担が一致している状態を維持するのが重要です。

贈与税がかからない住宅資金援助のケース

一方で、どのような援助なら贈与税がかからないのか気になる方も多いでしょう。税務上「贈与」に該当しない代表的なケースを紹介します。

生活費や教育費として認められる範囲の援助である

親が仕送りや学費など、日常的な生活費や教育費を負担する場合は「生活に通常必要な費用」として扱われ、贈与税の対象にはなりません

ただし、生活費名目で受け取ったお金を実際には住宅購入に充てた場合は、用途が異なるため贈与と判断されるので注意しましょう。

共同生活に必要な費用を合理的に分担している

親子で同居している場合、住宅の維持費や修繕費などを分担しても、その負担が合理的であれば贈与税の対象にはなりません。

例えば、親が自身の生活で生じる光熱費を負担したり、親が使用する部屋の修繕費を支払うといったケースでは、子が一方的な利益を受けているとは評価されません。

親から住宅資金援助を受けるときの注意点

親から住宅資金の援助を受けるとき、思わぬ課税や制度面での不利益が生じるケースがあります。支援を受ける前に押さえておきたい注意点について解説します。

非課税制度の条件を満たさないと適用されない

非課税制度には複数の要件があるため、まずは「すべてを満たしているか」を事前に確認しましょう。住宅の性能・床面積・耐震性、入居期限、受贈者の所得制限などはどれか一つ欠けただけで制度が使えず、受け取った資金がそのまま贈与税の対象になります。

特に、贈与日・取得日・入居日がずれると要件から外れる場合があるため、住宅の購入スケジュールと贈与時期をあらかじめ整理して、期限内に確実に要件を満たせるよう準備するのが重要です。

返済の補助はその都度「贈与」と判断される

親の返済補助は「一度だけの立替でも贈与と判断される」ため、返済に関与させないようにしましょう。子が支払うべき住宅ローンを親が負担した時点で、返済のたびに贈与と扱われます。

特に、毎月の一部を親が肩代わりする、返済日に合わせて子の口座へ資金を振り込むといった継続的な支援は、生活費の補助とは認められにくく、税務上は実質的な贈与と判断されやすい行為です。

親の支援が多いと住宅ローン控除が使えなくなる場合がある

住宅ローン控除は「自分の負担で返済している」ことが条件なので、返済の大部分を親が負担している状況は避けましょう

実際の返済の多くを親が担っていると、子本人が自分のローンを返済していると認められず、控除が適用されない場合があります。

例えば、毎月の返済資金を親から継続的にもらっているケースは典型例で、非課税制度とは別の観点でも不利益が生じます。

参考:住宅ローン減税  |  国土交通省

親からの住宅資金援助に関してよくある質問

親からの住宅資金援助には、制度の仕組みや税務上の扱いで迷いやすいポイントが多くあります。特に多い質問を以下にまとめていますので、疑問の解消に役立ててください。

親から住宅資金をもらった場合、申告は必ず必要ですか?

贈与税が0円であっても、住宅取得資金の贈与を受けた場合は申告が必要です。非課税枠を適用するためには税務署での申告が前提となり、手続きがなければ「特例を使っていない」と判断され、通常の贈与税が課される可能性があります。

住宅取得資金の非課税と相続時精算課税は併用できますか?

条件を満たす場合は、住宅取得資金の非課税制度と相続時精算課税を併用できるケースがあります。非課税枠で収まらない部分を相続時精算課税で申告すれば、負担を抑えられる可能性があります。ただし、併用すると申告内容が複雑になりやすいため、制度ごとの適用条件や必要書類を事前に確認して進めましょう。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

住宅ローンの返済を親が手伝うと贈与税がかかりますか?

住宅ローンの返済を親が肩代わりしたり、返済日に合わせて資金を補填したりすると、その金額はすべて子への贈与と扱われます

返済負担を親が担っていると判断されるため、非課税制度の対象にもならず、贈与税が課される可能性が高まります。返済支援は見落としやすいポイントなので、特に注意しましょう。

親からの住宅ローン支援や贈与で迷ったら専門家に相談を

親からの住宅資金援助は便利な一方、名義や持分割合、返済方法、非課税制度の要件など、判断を誤ると贈与税や追徴課税のリスクがあります。特に、「どこからが贈与に当たるのか」、「非課税枠をどう使うか」といった判断は複雑で、自己判断では見落としが生じがちです。

不安がある場合は、住宅資金の贈与に詳しい専門家へ相談すれば、制度を安全かつ確実に活用できるでしょう

小谷野税理士法人では、住宅取得資金の贈与や非課税制度の適用、申告書類の作成まで丁寧にサポートしています。親からの支援を安心して受けたい方は、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。