生前贈与は10年以上前なら相続税はかからない?例外と注意点を解説

生前贈与は10年以上前なら相続税はかからない?例外と注意点を解説

10年以上前に生前贈与していれば、相続税は関係ないのではと疑問に思う方も多いでしょう。相続税では、生前贈与は原則として一定期間内のものが対象とされるため、その考え方を押さえておく必要があります。本記事では、生前贈与と相続税の基本的な考え方から、7年ルールの仕組みや注意が必要なケース、時効や税務調査との関係について解説します。10年以上前の生前贈与に不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

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生前贈与とは

現金手渡しの贈与

生前贈与とは、財産を持つ人が生きている間に、現金や不動産、有価証券などの財産を無償で他人に譲り渡す行為を指します。

相続のように死亡をきっかけとして行われるものではなく、財産を受け取った時点で法律上の効力が生じる点が特徴です。

生前贈与によって財産を取得した場合、原則として贈与税が課されます。贈与税には年間110万円の基礎控除が設けられており、この範囲内であれば税金はかかりませんが、控除額を超える場合には贈与税の申告と納税が必要になります。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

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生前贈与は相続税の対象になるのか

生前贈与は、原則として贈与税を納めれば課税関係は完結しますが、被相続人が亡くなる前の一定期間内に、相続人に対して行われた贈与については、相続税の計算上、その贈与財産を相続財産に加算して課税される場合があります。

相続税の対象になるのは生前贈与加算が適用されるため

生前贈与が相続税の対象になる理由は、相続税法により「生前贈与加算」という制度が設けられているためです。

この制度では、相続開始前の一定期間内に行われた贈与について、形式上は生前贈与であっても、実質的には相続と同じ財産移転とみなして相続税で課税します。

相続税を不当に軽減する行為を防ぐのが、この制度の目的です。

参考:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁

相続税の対象になるのは相続人への贈与に限られる

生前贈与加算の対象となるのは、被相続人から相続人に対して行われた贈与です。例えば、親が子に現金や不動産を贈与し、その子が相続人である場合には、その贈与は相続税の計算に加算されます。

一方で、相続人ではない第三者、たとえば友人や知人、相続権のない親族への贈与については、原則として生前贈与加算の対象には含まれません。

10年以上前の生前贈与は相続税の対象になるのか

相続・贈与について考える夫婦

生前贈与は相続税対策として行われることが多いものの、何年前の贈与まで相続税の対象になるのか疑問に感じる方も多いでしょう。

結論として、10年以上前に行われた生前贈与は、原則として相続税の対象にはなりません。ただし、その判断にあたっては、制度の考え方や確認すべきポイントを正しく理解しておく必要があります。

相続税で加算されるのは相続開始前7年以内の贈与

相続税の計算上、相続財産に加算されるのは、相続開始前7年以内に行われた生前贈与に限られます。以前はこの期間が3年以内とされていましたが、令和5年度税制改正により7年へと延長されました。

この見直しにより、相続直前だけでなく、数年前に行った贈与であっても、相続の時期によっては相続税の計算に影響する可能性が高まっています。

生前贈与を行う際には、贈与の時期と相続開始との関係を意識しましょう。

判断基準は贈与日ではなく相続開始日

生前贈与が相続税の対象になるかどうかは、贈与をした日から何年経過したかで判断されるわけではありません。基準となるのは、被相続人が亡くなった相続開始日からさかのぼって7年以内に行われた贈与かどうかです。

そのため、贈与をした時点では問題がないと考えていても、相続開始時点で7年以内に該当すると、相続税の計算に加算される場合があります。生前贈与は、相続発生時を基準に判断される点に注意しましょう。

10年以上前の生前贈与でも相続税がかかるケース

10年以上前の生前贈与は原則として相続税の対象になりませんが、例外的に相続税がかかる場合もあります。贈与の時期にかかわらず注意が必要な代表的なケースをご紹介します。

「相続時精算課税制度」を利用した生前贈与の場合

生前贈与であっても、「相続時精算課税制度」を選択して行われた贈与については、贈与の時期に関係なく相続税の計算に加算されます。

この制度では、贈与時には一定額まで贈与税がかからない一方、相続が発生した際に、それまでに行った贈与財産をすべて相続財産として合算して課税するため、10年以上前に行われた贈与であっても、相続税の対象となる点に注意しましょう。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

生前贈与として認められず相続財産と判断される場合

形式上は生前贈与を行っていても、税務上、贈与が成立していないと判断されると、その財産は相続財産として扱われます

例えば、名義は子に移しているものの、実際の管理や処分を被相続人が続けていた場合や、贈与についての合意や受領の事実が確認できない場合などが該当します。

このようなケースでは、贈与の時期が10年以上前であっても、相続税が課される可能性があります。

相続税調査で被相続人の財産と推定される場合

相続税の税務調査では、預金や不動産について、実質的に誰の財産であるかが確認されます。

資金の出所や管理状況について合理的な説明ができない場合、過去に生前贈与したつもりであっても、被相続人の財産と判断される場合があります。

この場合、贈与の時期にかかわらず、相続税の課税対象となるため、財産の管理状況や記録の整理が重要です。

生前贈与は時効があっても相続税調査で確認される

生前贈与には時効がありますが、それだけで相続税との関係が完全に切れるわけではありません。相続税の税務調査でどのように確認されるのかについて解説します。

贈与税には時効があるが相続税とは別に考える必要がある

贈与税には時効があり、原則として申告期限の翌日から6年が経過すると課税処分はできなくなります。意図的な無申告など悪質な場合には、時効が7年に延びるケースもあります。

ただし、これはあくまで贈与税に関する手続上の期限であり、相続税の調査や判断とは別の枠組みで考える必要があります。

相続税調査では財産の動きそのものが確認される

相続税の税務調査では、相続時点の財産額だけでなく、預金の入出金や資金移動の履歴など、財産の動きそのものが確認されます。

そのため、生前贈与の有無や資金の流れについても調査対象となり、状況によっては10年以上前の取引であっても事実関係を確認される場合があります。

贈与税の時効が成立していても調査対象から外れるわけではない

贈与税には時効がありますが、それが成立していても相続税調査の対象から外れるとは限りません。

相続税調査は、贈与税を課すかどうかではなく、相続財産の範囲を正しく把握する目的で行われるため、時効の有無にかかわらず、過去の生前贈与について確認される可能性があります

生前贈与と相続税に関してよくある質問

FAQ・Q&A

生前贈与と相続税については、基本的な仕組みを理解していても、実際の判断に迷う場面が多いでしょう。特に多く寄せられる質問を取り上げるので、考え方を整理するための参考としてください。

10年以上前の生前贈与について証明書類は残しておくべきですか?

10年以上前の生前贈与であっても、贈与の事実を示す資料は可能な限り保管しておくのが望ましいです

例えば、贈与契約書や振込記録、贈与税の申告書控えなどがあれば、後から贈与の経緯を説明しやすくなります。

法律上の保存義務はありませんが、相続時に確認を求められた場合の説明資料として役立つ場合があります。

生前贈与を受けた側が亡くなった場合 相続税への影響はありますか?

生前贈与を受けた人が、被相続人より先に亡くなった場合でも、その贈与がさかのぼって相続税の対象になることはありません

ただし、贈与を受けた財産は、その人自身の相続財産として、次の相続に影響する可能性があります。どの相続で課税関係が生じるのかを整理して考えるのが重要です。

生前贈与をしていた事実を税務署に自主的に説明する必要はありますか?

相続税の申告において、相続税の計算に影響しない生前贈与まで、必ず自主的に説明しなければならないわけではありません

ただし、後から資金移動を指摘されると、説明に時間がかかる可能性があります。判断に迷う場合は、事前に専門家へ相談したうえで対応方針を決めておくと安心でしょう。

生前贈与と相続税でお悩みの方は専門家に相談

10年以上前の生前贈与であっても、制度の選択や贈与の実態によっては、相続時に思わぬ指摘を受けるリスクがあります。自己判断で「問題ないはず」と考えていると、相続税申告や税務調査の場面で対応に苦慮するでしょう。

こうしたリスクを避けるためには、早い段階で専門家に相談し、状況を整理しておくのが重要です

小谷野税理士法人では、生前贈与と相続税の関係を踏まえた実務的なアドバイスを行っています。不安を感じたら、ぜひ一度小谷野税理士法人に相談してみてください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。