結婚資金の贈与は非課税にできる?「結婚・子育て資金の一括贈与特例」を解説

結婚資金の贈与は非課税にできる?「結婚・子育て資金の一括贈与特例」を解説

親や祖父母が子や孫に結婚資金を援助する場合、「贈与税はかかるのでは?」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。実は、結婚に関する支援でも一定の条件を満たせば非課税にできる制度があります。本記事では、「結婚・子育て資金の一括贈与特例」を中心に、非課税の対象となる費用や手続きの流れ、利用時の注意点まで詳しく解説します。結婚資金の贈与を安心して行いたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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結婚資金を援助するとき贈与税がかかる場合がある

結婚

結婚式や新婚旅行、新居の準備など、結婚にはさまざまな費用がかかります。そのため、親や祖父母が子や孫のために資金を援助するケースも少なくありません。

ただし、援助の金額が大きいと「贈与」とみなされ、贈与税の課税対象となる点に注意しましょう。

通常の贈与では、1年間に110万円を超える金額に贈与税がかかります。「お祝いだから非課税」と思い込むのは危険で、名目が「お祝い」であっても課税される場合があります。

そこで活用したいのが、税金をかけずに結婚資金を援助できる特例制度です。次の章で、その仕組みについて解説します。

参考:No.4402 贈与税がかかる場合|国税庁

結婚資金の援助が非課税になる「結婚・子育て資金の一括贈与特例」

結婚

結婚資金の援助を非課税で行いたいときに活用できるのが、「結婚・子育て資金の一括贈与特例」です。

この制度を利用すれば、親や祖父母が子や孫に結婚資金をまとめて贈与しても、一定の条件を満たせば贈与税がかからない仕組みになっています。

贈与税の負担を避けながら安心して支援できる制度として注目されており、結婚を控えた子や孫をサポートする際に知っておきたい制度のひとつです。

参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

適用条件

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」の適用条件は以下の通りです。

項目

内容

受贈者の年齢

18歳以上50歳未満

受贈者の所得

前年の合計所得金額が1,000万円以下

贈与者

親や祖父母などの直系尊属

非課税限度額

合計1,000万円(うち結婚関係の支出は300万円まで)

これらの条件を満たせば、結婚や子育てのための資金を贈与税なしで援助できます。結婚資金として非課税となるのは上限300万円までであり、それを超える部分は課税対象となる点に注意しましょう。

適用期間

この特例は、令和9年(2027年)3月31日までに行われた贈与が対象です

期限までに資金の預け入れや申告手続きが完了していない場合、非課税の適用は受けられないので注意しましょう。

もともとは期限付きで設けられた制度でしたが、これまでの税制改正で複数回の延長や見直しが行われてきました。

現時点の期限は令和9年3月末までですが、今後の改正によって変更される可能性もあるため、利用を検討している方は、国税庁などの最新情報を必ず確認しましょう。

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「結婚・子育て資金の一括贈与特例」で非課税になる費用・ならない費用

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」は、結婚や子育てのための費用を非課税で援助できる便利な制度ですが、すべての支出が対象になるわけではありません。

制度の適用を受けられる支出と受けられない支出の違いについて解説します。

非課税になる費用

以下のような「結婚そのもの」に必要な支出は非課税の対象になります。

  • 結婚式・披露宴の費用
  • 新居の敷金や仲介手数料
  • 引越し費用

これらは「結婚」というイベントに直接必要とされる支出であり、制度の目的に合致しています

非課税にならない費用

一方、以下のような支出は対象外です。

  • 家具・家電の購入費
  • 車の購入費
  • 結婚後の生活費
  • 通信費や光熱費など日常費用
  • 預金や投資など将来のための支出

これらは「結婚生活の準備や維持に関する費用」とみなされ、特例の趣旨である「結婚に直接必要な費用」には含まれません

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」の手続きの流れ

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」を利用するには、金融機関を通じた手続きが必要です。贈与を受けるだけでは非課税にならず、所定の手続きを行う必要があります。

制度を適用するための手続きの流れについて解説します。

金融機関で専用口座を開設する

まず、金融機関で「結婚・子育て資金贈与専用口座」を開設します。親や祖父母(贈与者)はこの口座に資金を振り込み、受贈者(子・孫)が管理します。

この口座で管理される資金のみが非課税の対象となるため、他の資金と混在させないようにしましょう。

参考:B1-13 結婚・子育て資金非課税申告の手続|国税庁

贈与契約書を作成する

口座開設時に、贈与者と受贈者の間で「贈与契約書」を作成しましょう。

誰が・いくら・どの目的で贈与するのかを明記し、書面として残しておけば、後の税務確認がスムーズになります。

非課税申告書を金融機関経由で提出する

贈与を受けた年の翌年3月15日までに、「結婚・子育て資金非課税申告書」を金融機関に提出します

この申告書は税務署へ直接提出するのではなく、金融機関経由で行う点がポイントです。期限を過ぎると非課税の適用が受けられないため、提出時期には十分注意しましょう。

参考:結 婚 ・ 子 育 て 資 金 非 課 税 申 告 書  |  国税庁

支出のたびに領収書を提出する

結婚式費用や新居の仲介手数料など、実際に支出した際はその都度領収書を金融機関に提出します。金融機関が内容を確認し、制度の対象かどうかを判断します。

領収書を出し忘れると非課税が認められない場合もあるため、支出記録と領収書の保管を徹底しましょう。

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」を利用する際の3つの注意点

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」は、うまく活用すれば贈与税をかけずにまとまった結婚資金を援助できる便利な制度ですが、仕組みや条件を正しく理解しておかないと、思わぬ不利益を招く可能性があります。

制度を安心して活用するために押さえておきたい以下3つの注意点について解説します。

  1. 50歳までに残額を使い切らないと課税される
  2. 贈与者が亡くなった時点で残額があると相続税の対象になる
  3. 結婚以外の用途に使うと非課税が取り消される

50歳までに残額を使い切らないと課税される

贈与を受けた資金は、50歳までに使い切るようにしましょう。

この特例では、受贈者が50歳に達した時点で専用口座に残っている資金については、「結婚のために使われなかった資金」とみなされ、その残額に贈与税が課される仕組みになっているためです。

例えば、親から300万円の贈与を受けて200万円しか使わなかった場合、残りの100万円には贈与税がかかります。

結婚の予定や支出計画を立て、50歳までに使い切れるように計画的に利用しましょう。

贈与者が亡くなった時点で残額があると相続税の対象になる

贈与者が健在なうちに支出を終えるようにしましょう。

贈与者(親や祖父母)が亡くなった時点で専用口座に資金が残っていると、その残額は相続財産として相続税の課税対象になります

制度を利用していても、支出が終わっていなければ「贈与が完了していない」と判断されるため、非課税扱いが失われる可能性があるので注意しましょう。

非課税のまま援助を終えるためには、贈与者の生存中に支出と手続きを完了させるのが重要です。

結婚以外の用途に使うと非課税が取り消される

結婚に直接関係する支出だけに使うようにしましょう。

前述したように、特例の対象は、結婚式・披露宴・新居の敷金など、結婚そのものに関わる費用に限られています。

家具・家電、車の購入費、生活費などの用途で引き出すと、課税される可能性があるため注意しましょう

どこまでが対象になるか判断が難しい場合は、金融機関や専門家に事前相談することをおすすめします。

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」に関してよくある質問

Q&A

「結婚・子育て資金の一括贈与特例」は多くの人に利用されている制度ですが、仕組みや適用範囲について疑問を持つ方も少なくありません。

以下に、よく寄せられる質問を取り上げますので、制度を正しく理解するための参考にしてください。

誰でもこの制度を利用できますか?

利用できる人は一定の条件を満たす必要があります

対象となるのは、18歳以上50歳未満で、前年の所得が1,000万円以下の人に限られます。また、贈与を行う側は親や祖父母などの直系尊属に限定されており、兄弟・おじ・おばなどからの贈与は対象外です。

条件を満たしていない場合、非課税の扱いが受けられないため注意しましょう。

結婚式の前に費用を支払っても対象になりますか?

結婚に直接関係する支出であれば、前払いでも対象になります。例えば、結婚式場への予約金や前金なども、結婚のために必要な支出として認められる場合があります。

ただし、領収書の日付が制度の適用期間内であるのが条件です。期間外の日付の支出は対象外になるため、支払うタイミングにも注意しましょう。

結婚資金の贈与でお悩みの方は専門家に相談を

親や祖父母が子や孫に結婚資金を援助する場合、方法を誤ると贈与税や相続税の課税対象になる可能性があります。

そのため、多くの方が非課税で支援できる「結婚・子育て資金の一括贈与特例」を利用しますが、この制度は適用条件や期限が細かく定められており、自己判断では見落としやすい点が多いのが実情です。

非課税の範囲や手続きを正確に理解し、将来の税務リスクを防ぐには、専門家のサポートが欠かせません

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。