【保存版】遺言書の不服申し立てができるケースと手続きの流れまとめ

【保存版】遺言書の不服申し立てができるケースと手続きの流れまとめ

遺言書は故人の最終意思として尊重されるべきものです。しかしその内容に疑問がある場合や、特定の相続人に不利益が大きい場合には不服申し立てが可能です。とはいえ、どのような具体的にどのようなケースで不服申し立てができるか分からず手続きに困っている方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、遺言書の不服申し立てが認められる代表的なケースと、話し合いから裁判までの手続きの流れを分かりやすく解説します。

遺言書の不服申し立てが可能な場合もある

遺言書を書くイメージ

遺言書の内容に疑義がある場合や相続人の権利が大きく損なわれる場合は、不服申し立て(遺言無効の主張・遺留分侵害額請求)が可能です。 遺言は故人の最終意思として尊重されるべきものですが、その内容が必ずしもすべての相続人にとって公平とは限りません。

遺言は本人が亡くなって初めて効力が生じるため「本当に本人の意思だったのか」を後から確認できません。例えば長く認知症を患っていた親が亡くなる直前に作った遺言の場合、内容が本人の判断能力に基づいていたのか疑われるケースがあります。

また、故人の感情によって極端な財産の偏りが生じることもあります。過去に親子関係が悪かったことを理由に「長男には一切渡さない」といったケースでは、残された家族の生活に大きな支障が出る恐れもあります。

そのため、遺言が本当に本人の最終意思といえるか疑わしい場合などは、相続人が遺言の無効を主張することが可能です。また遺留分(一定割合の取り分)を請求する形で不服申し立てもできます。

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遺言書が無効扱いになるケース

遺産分割後に見つかった遺言書

遺言書は原則として故人の最終意思として最大限尊重されますが、作成方法や内容に問題がある場合は無効が認められることがあります。ここでは、遺言書が無効扱いになる可能性のある9つの代表例を解説します。

自筆証書遺言の記載に不備がある場合

自筆証書遺言は手軽に作成できる一方、法的に有効と認められるためには次の要件を満たさなければなりません。

  • 全文を本人が自筆している(財産目録のみ印刷可)
  • 本人の署名と押印がある
  • 作成日が明記されている
  • 訂正がある場合、民法の定める訂正方法が守られている

上記のいずれかが欠けるとそもそも遺言としての効力が発揮できず、無効を主張できるケースとなります。

公正証書遺言で不適格な人物が証人になっている場合

公正証書遺言は公証人が作成に関与し信頼性が高い方式ですが、証人には一定の資格要件があります。以下に該当する人は証人になれません。

  • 未成年者
  • 相続人予定者
  • 相続人予定者の配偶者・直系血族
  • 公証人の配偶者・親族

これらの不適格者が証人に含まれていた場合、公正証書遺言そのものが無効となる可能性があります。

内容が不明確・曖昧で解釈できない場合

遺言の文言があいまいで、遺言者の意思が読み取れない場合は無効と判断されることがあります。ただし「可能な限り有効と解釈する」のが原則であり、判例でも状況を総合的に考慮して有効と認めるケースは少なくありません。

遺言者に遺言能力がなかったと判断される場合

遺言書作成時に認知症が進んでいたなど「判断能力が欠けていた」と認められた場合は遺言が無効とされることがあります。ただし、認知症だからといって自動的に無効になるわけではなく、作成時点の状態が焦点となります。

遺言が第三者に強要・偽造されたものだった場合

第三者の強要により作成された遺言や、筆跡を偽造した遺言は無効扱いとなります。また、遺言を偽造した人物は相続権を失うという重いペナルティも規定されています。ただし、強要・偽造の事実を証明するのは難しく、争いが長期化するケースもあります。

複数人が共同で作成した遺言だった場合

民法では「共同遺言」を禁止しています(民法975条)。夫婦が一通の遺言にまとめて記載するケースが典型ですが、誰の意思がどこまで反映されているか不明確となるため、無効となります。

重大な事実誤認(錯誤)がある場合

遺言者が重大な誤解にもとづいて遺言を書いたと判断される場合は、遺言の取消しが認められることがあります。例として「付言事項に法的効力がある」と勘違いして遺産配分を決定したケースなどが挙げられます。

遺言の内容が公序良俗に違反する場合

社会通念に反する内容の遺言は無効になります。例として不倫相手への遺贈が争点となるケースがありますが、単に不倫相手だから無効というわけではありません。遺贈の目的が「不倫の継続を促すものか」など諸事情を踏まえて総合的に判断されます。

より新しい遺言書が後から見つかった場合

遺言は「最後の意思」がすべてです。そのため、手続き中に新しい遺言が見つかった場合、古い遺言は自動的に無効となり、新しい遺言のみが効力を持ちます。

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遺言書の不服申し立て手続きの流れ

相続に関する書類手続き

遺言書を「無効にしたい」と考えた場合、いきなり裁判に進むのではなく、段階を踏みながら解決を試みるのが一般的です。ここでは、話し合いから訴訟・控訴までの全体の流れを分かりやすくまとめます。

まずは相続人同士で話し合い(遺産分割協議)を行う

遺言の無効を主張して訴訟に進むと、時間・費用・精神的負担が非常に大きくなります。そのため、まずは相続人同士で遺産分割協議を行い、合意形成を図ることが第一のステップです。協議の結果、相続人全員が合意すれば遺言書の内容に従わずに遺産を分けることも可能です。

協議でまとまらない場合は家庭裁判所の調停へ

話し合いで合意が得られない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てます。調停では、調停委員を介して相続人間の話し合いが行われ、合意による解決を目指します。ただし、遺言の無効について相続人間で一致しなければ調停は成立しません。

調停でも決着しなければ遺言無効確認請求訴訟へ進む

調停が不成立となった場合、地方裁判所に「遺言無効確認請求訴訟」を提起します。この訴訟では遺言が無効だと主張する側が原告、有効だと主張する側が被告となり、双方が証拠に基づいて主張を交わします。

裁判での審理が開始される

訴訟に進むと一般の民事裁判と同じように、主張・反論・証拠調べを経て事実関係が審理されます。証拠として用いられるのは、次のような資料です。

  • 証人尋問の内容
  • 遺言者の医療情報(認知症・判断能力が争点となる場合)
  • 筆跡鑑定結果(自筆証書遺言の真性が争われる場合)

これらの資料をもとに、裁判官が遺言が有効かどうかを判断します。

判決で遺言の有効・無効が確定する

主張と証拠のやりとりを経て、裁判官が最終判断を下します。遺言書に無効理由があると認められれば、遺言の無効が正式に確認されます。なお、訴訟の途中で当事者間の和解が成立し、裁判を終えるケースもあります。

判決に不服がある場合は控訴・上告を検討する

判決に納得できない場合、当事者は上級裁判所に控訴できます。控訴審でも結論に納得できなければ、さらに上告して最高裁に判断を求めることも可能です。

遺言書の不服申し立てに関するよくある質問

最後に遺言書の不服申し立てに関するよくある質問についてまとめたので、こちらもあわせてご覧ください。

遺言書の不服申し立てに期限はある?

遺言書の無効を求める訴訟に時効はありません。しかし証拠が失われる可能性や、遺留分侵害額請求の期限(1年)があるため、早期の訴訟提起が望まれます。また、遺言無効の訴訟だけでは遺留分請求の時効は止まらないため、同時に予備的な遺留分侵害額請求をしておく必要があります。

遺言書の不服申し立てにかかる費用は?

遺言書の不服申し立てにかかる費用は以下の通りです。

  • 収入印紙:1,200円程度
  • 郵便切手代:裁判所ごとに異なる

また、調停を弁護士に依頼する際は別途着手金や依頼料がかかります。一般的に着手金が20万〜50万円程度、加えて報酬金(得られた経済的利益の一定割合)がかかることが多いです。

まとめ

遺言書は原則として故人の意思として尊重されます。しかし作成方法の不備や判断能力の欠如、第三者による強要・偽造などが疑われる場合は、相続人が不服申し立てが可能です。

また、内容が極端に偏っていて遺留分を侵害している場合は、遺留分侵害額請求によって取り分を確保することも可能です。不服申し立ては、いきなり裁判に進むのではなく、まず話し合いや調停を経て解決を目指すのが一般的です。

それでも解決しない場合に訴訟へ進む流れとなります。遺言無効の訴訟には時効はありませんが、証拠が失われるリスクや遺留分請求の期限(1年)があるため、早めの行動が非常に重要です。

遺言内容に不安がある方や、不服申し立てを検討している方は、相続の専門家に相談することで最適な対応が見えてきます。「やさしい相続相談センター」では、初回から丁寧に状況を伺い、適切な方針をご提案していますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。