富裕層におすすめな相続税対策5選と生前贈与で活用したい非課税制度まとめ!

富裕層ほど相続税対策が重要なのは、相続税が「財産が多いほど税率が上がる仕組み」のためです。特に純金融資産1億円以上の富裕層は、何も対策しなければ相続税だけで数千万円が失われるケースも考えられます。しかし、不動産活用や生前贈与、特例の適用など、適切な対策を行えば相続税を大幅に減らせます。そこで本記事では、富裕層におすすめの相続税対策と、生前贈与で使いたい非課税制度を分かりやすく解説します。
目次
いくらから「富裕層」?

富裕層とは「純金融資産が1億円以上5億円未満の世帯」を指します(野村総合研究所の定義)。純金融資産とは、預貯金や株式などの金融資産から、住宅ローンなどの負債を差し引いた金額のことです。例えば金融資産が1億円あっても、100万円の負債があれば純金融資産は9,900万円となり、富裕層には該当しません。
野村総合研究所の調査では、純金融資産1億円以上の「富裕層」と5億円以上の「超富裕層」を合わせて約148.5万世帯とされています。これは、全国の世帯数(約5,191万世帯)と比べると、およそ2.6%が富裕層にあたるという目安になります。
参考:野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計
参考:「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況|厚生労働省
富裕層ほど相続税対策が重要な理由

富裕層ほど相続税対策が重要なのは、相続税が「財産が多いほど税率が上がる仕組み」のためです。相続財産が増えるほど最大55%まで税率が上がり、数千万円単位で税金が発生します。
例えば課税対象額が1億円の場合、税率は40%となり、控除後でも2,300万円の相続税が必要になります。財産の約23%が税金で消える計算です。このように負担が重いため、日本では「相続は3代で財産がなくなる」と言われるほどです。
しかし、相続税は以下の理由によって大きく圧縮できます。
- 各種控除・特例を使えば税額を下げられる
- 相続財産の評価額によって税額が変わる(不動産は評価が低くなりやすい)
- 不動産活用や贈与など、多くの節税スキームが確立されている
特に富裕層の相続では現金よりも不動産のほうが評価額を下げやすいため、タワーマンションや賃貸住宅を活用する対策が一般的です。相続税対策は早く始めるほど効果が大きくなります。
富裕層におすすめの相続税対策5選

以下では富裕層におすすめの相続税対策5選をご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
不動産を活用して評価額を下げる
富裕層に最も効果的な相続対策の1つが、不動産で相続することです。不動産は、現金や株式と比べて相続税の計算に使われる「評価額」を低くしやすいのが大きなメリットです。評価が下がる分、現金で持つより相続税の負担を大幅に抑えられる可能性があります。
不動産を賃貸化してさらに評価減する
不動産をただ所有するだけでなく賃貸物件として運用することで、評価額はさらに下げられます。賃貸に出すと、借家人の権利が発生するため、所有者が自由に使えなくなり、その分評価額が下がります。
評価減は以下の割合を使って計算され「1より小さくなる係数」を掛けて評価額を算出します。
- 借地権割合(地域により30〜90%)
- 借家権割合(30%)
- 賃貸割合(賃貸に出している割合)
そのため、賃貸物件は相続税対策として非常に効果が高い資産です。
小規模宅地等の特例で最大80%の評価減を適用する
被相続人が住んでいた自宅や事業に使っていた土地は、小規模宅地等の特例を活用すれば最大80%の評価減が受けられます。対象となるのは330㎡までの部分です。広い土地でも、この330㎡の部分については同特例が使えるため、適用できる場合は非常に大きな節税効果が期待できます。
参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
生命保険の非課税枠を使って現金を残す
生命保険には「500万円 × 法定相続人」の非課税枠があり、相続税対策として非常に使いやすい方法です。節税以外にも以下のようなメリットがあります。
- 受取人を指定できる
- 保険金がすぐ支払われ、相続税の支払いや葬儀費用に使いやすい
- 相続放棄しても保険金は受取可能
- 不動産を相続した人の負担を調整する「代償分割」の資金にしやすい
手軽に取り入れて効果も大きいため、初めて相続対策を行う方にもおすすめです。
生前贈与を計画的に使って相続財産を減らす
生前のうちに財産を贈与しておく方法も有効ですが、贈与税は相続税より税率が高く、無計画な贈与は逆効果です。単純に資産を移すだけでは税負担が重くなります。
そのため実際には年間110万円の基礎控除を活用する、特例を利用するなど計画的な生前贈与がおすすめです。
生前贈与で活用したいおすすめの非課税制度
先ほど、生前贈与を計画的に使って相続税対策をするのがおすすめと解説しました。生前贈与には次のようなメリットがあります。
- 子どもや孫が必要とするタイミング(住宅取得・教育費など)で支援できる
- 相続税の節税になる
- 贈与方法次第では非課税で資産移転できる
特に大切なのは、贈与税がかからない制度を活用しながら、計画的に贈与することです。ここでは代表的な4つの非課税制度を紹介します。
年110万円まで非課税でできる「暦年贈与」
年間110万円までは贈与税がかかりません。毎年コツコツ贈与すれば、長期的に大きな節税効果を得られる方法です。
ただし、以下の点には注意が必要です。
- 毎年同額を渡し続けると「定期金給付」とみなされる可能性がある
- 親のお金を子ども名義に移すだけだと「名義預金」と判定されるリスクがある
そのため正しく行うためには、税理士などの専門家に相談しながら進めると安全でしょう。
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
住宅取得資金の贈与(最大1,000万円まで非課税)
父母・祖父母から子や孫へ、住宅の新築・購入・増改築のための資金を贈与する場合、最大1,000万円まで非課税になる特例です。なお一般住宅は500万円までが非課税対象です。
適用期間は令和8年12月31日まで延長される予定です。住宅の種類や贈与を受ける側にも細かい要件があるため、利用時は専門家への相談がおすすめです。
参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
結婚・子育て資金の一括贈与(最大1,000万円まで非課税)
18歳以上50歳未満の子や孫に対し結婚・出産・育児のための費用を一括で贈与する場合、最大1,000万円非課税となる制度です。結婚費用は300万円までとなります。
通常のご祝儀や生活費は贈与税の対象になりにくいものの「まとまった額を一気に渡す」場合には課税リスクがあります。この非課税制度を活用すれば、大きな金額を支援しても贈与税がかからず、将来のライフイベントに向けた資金準備を効率よく進められます。
参考:結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置|こども家庭庁
まとめ
富裕層の相続では相続税が重くのしかかるため、早めの対策が必要です。不動産を利用した評価額の引き下げ、賃貸化による追加の評価減、小規模宅地等の特例などを組み合わせれば、税負担は大幅に圧縮できます。
さらに、生前贈与を計画的に行うことで、相続時の財産を上手にコントロールでき、子ども・孫への資金提供もタイミングよく行えます。特に住宅取得・教育資金・結婚子育て資金の特例を使えば、贈与税をかけずにまとまった資金を移転でき、節税効果は非常に大きくなるでしょう。
ただし相続対策は専門知識が必要で、誤ると逆に税負担が増えることもあります。安心して進めたい方は「やさしい相続相談センター」へぜひご相談ください。相続の専門家があなたの悩みに真摯に寄り添い、最適な相続税対策をご提案します。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


