【生前・死後別】親の財産の調べ方を徹底解説!調査の際の注意点とは?

親の財産を事前に把握しておくことは、円滑な相続手続きを進める上で非常に重要です。遺産分割協議のもとになる正確な財産情報がないと、後から新たな財産や負債が見つかり、相続による親族間のトラブルにつながる可能性があります。また、相続税申告や負債の扱いにも影響するため、生前からの整理や、死亡後の適切な調査が必要です。この記事では、生前・死後それぞれの財産調査の方法と注意点を分かりやすく解説します。
親の財産を調べる理由

親の財産を調べるのが重要とされる主な理由は以下の4点です。
遺産分割協議を円滑に進めるため
正確な財産を把握していないと、誰がどの遺産を相続するかの話し合い(遺産分割協議)ができません。後から新たな財産が見つかったり、隠された負債が判明したりすると、相続人同士の疑心暗鬼や対立を招きます。その結果、協議のやり直しになってしまう可能性があります。
適切な相続方法を選択するため
プラスの財産より負債が多い場合は、相続放棄や限定承認を検討する必要があります。しかし財産を正確に把握していないと、意図せず単純承認してしまうリスクがあります。単純承認してしまうと、思わぬ借金まで相続することになるので要注意です。
相続税申告を正確に行うため
相続税の基礎控除額を超える財産がある場合、相続開始から10ヵ月以内に相続税の申告が必要です。財産調査が不十分な場合、申告漏れや評価額の誤りが発生し、加算税などのペナルティが課される可能性があります。
将来的なトラブルを防ぐため
財産調査を徹底することで、相続人による財産の使い込みなどの不正にも気づけるため、不要なトラブルも防げます。遺産分割の対象や範囲を明確にしておけば家族間の関係悪化を防ぎ、紛争を回避しやすいでしょう。
相続は早めの準備が何より重要です。不安がある方は、専門家が丁寧にサポートする「やさしい相続相談センター」へお気軽にご相談ください。
【生前にできる】親の財産の調べ方

親が元気なうちに財産を整理しておくことは、相続トラブルを防ぎ、のちの手続きをスムーズに進める大切な準備です。ここでは、生前の段階で親の財産を把握するために必要な流れを分かりやすく解説します。
「親との対話」から始める
生前に親の財産を確認する際、最も重要なのは丁寧な話し合いです。財産の話題は非常にデリケートです。いきなり具体的な金額を聞くのは避けて「家族が困らないように準備しておきたい」という気持ちを伝えるのが望ましいです。
テレビの終活特集や新聞記事など外部の話題をきっかけに切り出すと自然に話ができます。また、兄弟姉妹がいる場合は、1人で進めず、全員が納得できるよう情報共有を徹底しましょう。
財産を「種類ごと」に整理して全体像をつかむ
次に行うべきことは、親が保有している資産を体系的に洗い出すことです。相続漏れを防ぐため、プラスの財産・マイナスの財産の両方を確認します。
プラスの財産(相続財産) |
|
マイナスの財産(負債) |
|
単純な「総額」ではなくどんな性質の財産なのかを分類して把握することが、後の手続きや遺産分割をスムーズにします。
書類を収集し、財産の裏付けを取る
口頭の情報だけでは誤りが生じることがあるため、実際の資料を確認して裏付けを取ることが大切です。主な必要書類の例は以下の通りです。
- 預貯金:通帳、キャッシュカード、ネットバンキング情報
- 不動産:登記事項証明書、固定資産税通知書、権利証
- 株式・証券:取引報告書、証券口座情報
- 保険:保険証券、保険料払込記録
- 負債:ローン契約書、クレジット明細、保証契約書
書類が揃うほど財産状況の正確性が高まり、今後の相続手続きも円滑に進めやすいです。
エンディングノートや財産目録にまとめておく
財産を把握したら、書面化しておくことが最終ステップです。口頭だけでは忘れたり誤解が生じやすいため、エンディングノートや財産目録の形で残しておくと安心です。
エンディングノートに書く内容の例と財産目録の例を以下にまとめました。
エンディングノートに書くべき内容 |
|
財産目録の記載例 |
|
完成した書類は、信頼できる家族と共有するか、保管場所を明確にしておきましょう。
【死後にできる】親の財産の調べ方

親が亡くなったあとに財産を把握するには、次の手順で一つずつ確認していく必要があります。
手がかりになる書類や物を探す
まずは自宅や遺品を整理し、財産を示す書類や物がないか確認しましょう。特に以下のものは重要な手がかりになります。
- 預金通帳・キャッシュカード:銀行口座や残高、取引内容が分かる
- 保険証券・保険会社からの郵便物:生命保険・損害保険の契約状況が把握できる
- 年金証書・年金手帳:加入していた公的年金の情報が分かる
- 不動産関連書類:権利証、固定資産税の通知書、ローン明細など
- 証券会社からの郵便物:株式・投資信託の保有を示す証拠になる
- クレジットカード明細書:借入やローンの存在を確認できる
- パソコン・スマートフォン:ネットバンキングや電子証券の情報が残っている可能性がある
これらは金庫、書斎の引き出し、机、押し入れなどに保管されていることが多いため、丁寧に確認しましょう。
預貯金を調べる
通帳やキャッシュカードが見つかったら、口座の残高や取引内容を調査します。調査方法の一例は以下の通りです。
- 全店照会:同じ金融機関の別支店の口座の有無を一括で調べられる
- 残高証明書の取得:口座の残高を証明する書類となる
- 取引履歴の取得:過去の入出金内容から他の財産の手がかりが得られることもある
手続きには戸籍謄本、法定相続情報一覧図、本人確認書類などが必要になるため、事前に揃えておくと良いでしょう。
不動産について調べる
不動産関連の書類が見つかった場合は、まず所在地と地番を特定します。その上で法務局で登記簿を取得し、所有者や抵当権の有無を確認してください。
また同時に市区町村で固定資産評価証明書を取得して評価額を把握しておくのもおすすめです。ローン明細がある場合は金融機関に問い合わせ、残債や担保の状況を確認しましょう。
有価証券・投資信託を調べる
利用していた証券会社が分かる場合は直接連絡して相続手続きを進めます。証券会社が不明な場合は証券保管振替機構(ほふり)へ情報開示請求しましょう。なお請求の際には、相続人の本人確認書類や戸籍謄本などが必要です。
生命保険について調べる
保険証券や保険会社からの郵便物があれば、まず加入していた会社へ連絡し、保険金の請求手続きを行います。契約していた保険会社が不明な場合は、生命保険契約照会制度を利用すると、故人が加入していた生命保険の有無を一括で確認できます。
年金について調べる
故人が受給していた年金には、請求されていない「未支給年金」がある場合があります。手元に年金証書や年金手帳があれば、年金の種類や加入状況を確認し、必要書類を準備して年金事務所または市区町村で請求しましょう。
借金やローンについて調べる
通帳の引き落としやクレジット明細から借金の存在が疑われる場合は、以下の信用情報機関に情報開示請求を行います。
- JICC:消費者金融・カード会社
- CIC:クレジット・信販会社
- KSC:銀行・信用金庫
開示請求には戸籍謄本・死亡の証明・本人確認書類などの書類を準備する必要があります。借金があると相続人が引き継ぐことになるため、不要な借金の相続を避けたい場合は相続放棄の検討が必要です。相続放棄は相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所で手続きしなければならないので、早めの調査をお願いします。
財産目録を作成する
遺産分割や相続税申告を円滑に進めるには、故人の財産を一覧にまとめた「財産目録」を作成することが大切です。目録には、次の情報を記載します。
- 預貯金:銀行名、支店、口座番号、残高
- 不動産:所在地、地番、面積、固定資産評価額
- 有価証券:種類、数量、評価額
- その他の財産:車、宝石、保険金など
- 借入金:借入先、残高
- 未払いの税金・公共料金・医療費など
目録の作成は紙でもPCでも構いませんが、作成日・作成者の記名を忘れずに記載しましょう。不明点が多い場合や相続人同士で共有が必要な場合は、弁護士・司法書士など専門家へ相談してください。
相続手続きは専門用語も多く、ひとりで進めようとすると不安や負担が大きくなりがちです。少しでも迷いや心配がある方は「やさしい相続相談センター」へお気軽にご相談ください。専門スタッフが状況に合わせて、分かりやすく丁寧にサポートいたします。
死後に親の財産を調べる際の注意点
死後に親の財産を調べる際の注意点を以下にまとめました。
勝手に財産を処分しない
遺言がない場合、相続財産は法定相続人全員の共有財産と扱われます。そのため一部の相続人が勝手に引き出したり売却したりすることは認められていません。
また財産を処分すると「単純承認」と判断され、借金などの負債も含めてすべてを相続したとみなされる可能性があります。遺産分割協議の前に財産を動かすとトラブルの原因となるため、まずは現状を正確に把握し、相続人全員で協議するのが鉄則です。
相続人全員で情報を共有しておく
財産の調査は、一人が抱え込まず、相続人全員で情報を共有しながら進めることが大切です。預貯金・不動産・保険・借金などの情報は幅広く、特定の相続人だけが管理していると、不信感や見落としが生まれやすくなります。
こうした不透明さは、後々の遺産分割協議を難航させる原因にもなります。円満な相続のためにも、早い段階から透明性を意識し、オープンな話し合いを行いましょう。
期限が決まっている相続手続きもある
相続の方法(単純承認・限定承認・相続放棄)を選択する「熟慮期間」は、被相続人の死亡を知ってから3ヵ月以内と法律で定められています。
この期間内に財産全体を把握し、相続するか放棄するか判断する必要があります。手続きを放置すると自動的に単純承認とみなされ、負債まで引き継ぐことになるため注意が必要です。「知らなかった」と後悔しないためにも、早めに調査を進め、必要に応じて専門家へ相談しましょう。
評価額が不明な財産は専門家に依頼する
相続税申告や遺産分割には、全ての財産を正確な評価額で把握することが必要です。しかし、不動産や美術品、未上場株式などは市場価格の把握が難しく、個人の判断では誤りが生じやすい資産です。
評価を誤ると、相続税の過不足や相続人間の不公平につながり、後々のトラブルの原因となります。こうした財産は、不動産鑑定士・税理士・弁護士などの専門家へ依頼し、適切な評価を行ってもらいましょう。専門家のサポートを受けることで、相続税申告や相続人同士の協議も円滑に進めやすくなります。
まとめ
親の財産を調べることは、相続トラブルを防ぎ、手続きをスムーズに進めるための大切な準備です。生前の場合は、まず親との丁寧な対話から始め、預貯金・不動産・証券・保険・負債など財産を種類ごとに整理します。そして書類で裏付けを取ったうえでエンディングノートや財産目録にまとめることが重要です。
死亡後の場合は、自宅や遺品を整理して手がかりとなる書類を確認しましょう。そして預貯金や不動産、株式・保険・年金・借入金などを順に調査して財産目録を作成します。
調査の際は、財産を勝手に処分せず、相続人全員で情報を共有し、評価が難しい財産は専門家に依頼することが安心です。財産の調査でお困りの方は「やさしい相続相談センター」へ相談して手続きを進めましょう。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。
また、金融機関や不動産関係者、葬儀関連企業、税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。
監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


