不動産を活用した株特外しとは?仕組み・進め方・注意点を解説

不動産を活用した株特外しとは?仕組み・進め方・注意点を解説

不動産を取得すれば、本当に株特外しができるのでしょうか。株式保有特定会社に該当すると、自社株の評価が高くなり、相続税の負担が大きくなる可能性があります。本記事では、不動産を活用した株特外しの仕組みや実際の進め方、注意すべきポイントを専門的観点からわかりやすく解説します。不動産を使って株特外しを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

「株特外し」とは?

「株特外し」とは、会社が「株式保有特定会社」に該当しないように、資産構成を見直す行為を言います。

そもそも「株式保有特定会社」とは、会社の総資産のうち50%以上を株式などの金融資産が占めている会社を指します。

自社株の相続税評価には以下2つの方法がありますが、この株式保有特定会社に該当すると「純資産価額方式」でしか評価できません。

評価方法

概要

類似業種比準価額方式

上場企業の株価や利益、配当などを基準に算定する。一般的に評価額が低くなりやすく、相続税を抑えやすい。

純資産価額方式

会社の保有資産をすべて時価で評価し、負債を差し引いて株価を算定する。資産が多い企業ほど株価が高くなり、相続税が増える傾向がある。

「類似業種比準価額方式」は、実際の株価よりも低い評価額になりやすい一方、「純資産価額方式」は、会社が保有する資産の価値がそのまま株価に反映されるため、資産規模が大きい企業ほど株価が高くなり、相続税の負担も重くなる傾向があります。

つまり、株特外しとは、自社株の評価方法を「純資産価額方式」から、より低い評価額になりやすい「類似業種比準価額方式」にする取り組みということです。

参考:(特定の評価会社の株式)|国税庁

参考:No.4638 取引相場のない株式の評価|国税庁

二次相続を見据えた節税を

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株特外しにおける不動産活用とは?

家の修繕 不動産管理

では、そんな株特外しに不動産が活用できるのでしょうか。株特外しにおける不動産活用の仕組みについて解説します。

不動産を取得して株式等の割合を下げる

株特外しの基本は、総資産に占める株式や有価証券など「株式等」の割合を減らすことです。

借入等で不動産を購入すれば、株式等の比率が下がり、結果として株式保有特定会社の判定基準を満たしにくくなります。

不動産を事業用資産として活用する

取得した不動産を自社の事業で実際に利用すれば、その不動産は「事業用資産」として扱われます。

例えば、営業所・倉庫・工場など、業務に直接関係する用途で使うことで、節税目的ではなく経営上の合理的な判断として説明しやすくなります。

実際の利用実態があれば、形式的な節税対策とみなされにくく、株特外しの効果が税務上も認められやすいでしょう

不動産の評価を活用して純資産価額を抑える

不動産は市場価格ではなく「相続税評価額(路線価)」で評価されます。路線価は一般的に時価の7〜8割程度であるため、不動産を保有すれば会社の純資産価額を抑えられます

結果として、自社株の評価額が下がり、相続税や贈与税の負担軽減に繋がる可能性があります。

参考:路線価  |  国税庁

減価償却で長期的に資産価値を圧縮する

建物を取得した場合は、会計上の減価償却によって、毎期少しずつ資産価値を減額できます

この仕組みにより、将来的にも純資産を圧縮し続けられるので、株価の上昇を抑える効果が長期間にわたって続きます。短期的な節税だけでなく、長期的に安定した株価維持にも有効でしょう。

不動産を使った株特外しの具体的な進め方

不動産売却の手続き

不動産を活用して株特外しを行うには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。株特外しを進める際の具体的な流れについて解説します。

現状の資産構成を確認する

まずは、会社の資産構成を正確に把握することから始めましょう。

決算書や固定資産台帳をもとに、株式・不動産・現預金などの割合を算出し、どの資産が株特該当の要因となっているのかを特定します。

株式保有特定会社の判定基準(資産の50%以上が株式等)に照らして現状を確認すれば、対応の方向性が明確になります。

不動産の取得を検討する

現状の資産構成を把握したら、次にどの資産を不動産へ振り替えるかを検討します。

候補となるのは、運用目的で保有している株式などの資産です。その際は、単に取得するだけでなく、事業の将来計画や利用目的と整合しているか確認するのが大切です。

不動産の取得は長期的な投資になるため、資金繰りや維持コストも含め、会社全体の経営計画の中で慎重に判断しましょう。

取得後の資産構成を見直す

不動産を取得した後は、決算時点での資産構成を再確認します。

株特外しの効果が十分でない場合は、追加の資産入れ替えや資金運用の見直しも検討しましょう

資産構成は毎期の事業状況や投資計画によって変化するため、定期的に確認し、再び株式保有特定会社に該当しないよう継続的に管理するのが大切です。

二次相続を見据えた節税を

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不動産を活用して株特外しを行う際の注意点

不動産を使って株特外しを行う際、どのような点に注意すべきなのでしょうか。株特外しを実施するうえで特に注意すべきポイントについて解説します。

節税目的とみなされないようにする

株特外しは、事業実態に合わせて資産構成を整えるための対策です。

決算直前の不動産取得など、形式的な動きは「節税目的」と判断される可能性があり、税務上、そのような取引を「なかったもの」とされるケースもあるため、実際の事業運営に即した資産構成の見直しを心がけましょう。

資金繰りリスクを管理する

不動産を取得する際は、資金繰りへの影響を十分に考慮しましょう。

購入費用に加えて、借入金の返済・固定資産税・修繕費など、継続的な支出が発生します。株特外しだけを目的に取得すると、財務バランスを崩すおそれがあるため、長期的な資金計画を立ててから実行しましょう。

利用実態を説明できるよう記録を整備する

取得した不動産がどのように事業で使われているかを示す書面を残しましょう。

稟議書や取締役会の議事録に、取得目的・活用方針・経緯を明確に記録しておけば、形式的な節税対策とみなされるリスクを防げます。税務調査の際にも、実態に基づく合理的な説明がしやすくなり、対応がスムーズになります。

株特外しに関してよくある質問

FAQ・Q&A

株特外しに関しては、手続きや判断基準などについて多くの疑問が寄せられます。特に相談の多い質問を以下に取り上げるので、判断や実務の参考にしてください。

株特外しを行えばすぐに対象から外れますか?

すぐに対象から外れるわけではありません。

株式保有特定会社の判定は相続税や贈与税の課税時期の資産構成によって行われるためです。

形式的な対策とみなされないよう、計画的に資産構成を見直し、実態としての変化を伴う対応を行うのが重要です。

不動産を取得すれば確実に株特から外れますか?

不動産を取得しただけでは、必ずしも株特から外れるとは限りません。

取得した不動産が実際の事業に活用されていない場合、その効果は限定的です。特に事業実態がない場合は、株特外しの対象外と判断される可能性があります。

税務上は、事業との関連性や活用実態が明確であるかどうかが重要な判断基準となります。

一度株特外しを行えば、再び該当することはないですか?

一度株特外しを行っても、状況によっては再び株式保有特定会社に該当する可能性があります。不動産を売却したり、現預金や株式が再び増加したりすると、資産構成のバランスが変化するためです。

株特外しは一度実施すれば終わりではなく、毎期の資産構成を継続的に確認し、必要に応じて見直しましょう。

不動産を活用した株特外しでお悩みの方は専門家に相談

不動産を活用した株特外しは、自社株の評価を下げて相続税を抑える有効な手段ですが、節税目的とみなされると否認される可能性があり、不動産取得に伴う資金負担や維持コストも無視できません。

取得の目的や事業との関連性を誤ると、かえって税務リスクや経営上の負担を招く可能性もあるでしょう。

こうした複雑な判断には、税務・相続・不動産の知識を兼ね備えた専門家のサポートが必要です

小谷野税理士法人では、不動産を活用した株特外しや自社株対策に豊富な実績があり、企業ごとの状況に合わせた最適な方法を提案しています。不動産を使った株特外しを検討している方は、まずは小谷野税理士法人へご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
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