遺留分を渡したくない!渡さなくてもいい方法や遺留分を減らすコツ

遺留分を渡したくない!渡さなくてもいい方法や遺留分を減らすコツ

「遺留分を渡したくない」という悩みは、家族関係や事情が複雑なケースほど多く見られます。しかし、遺留分は法律で守られた最低限の取り分であり、単に「渡したくないから払わない」という判断は大きなトラブルにつながります。本記事では、遺留分を渡さないとどうなるのか、渡さなくて済むケース、生前からできる対策を解説します。「どうしても渡したくない」と考える前に、正しい知識と対策を確認しておきましょう。

遺留分を渡さないとどうなる?

遺留分

遺留分は原則として必ず相続人に渡さなければなりません。以下では、遺留分を渡さないとどうなるのか、そのリスクを解説します。

調停や訴訟に発展する可能性がある

遺留分の支払いに応じなかった場合、相続人が家庭裁判所へ「遺留分侵害額請求の調停」を申し立てることがあります。これは裁判所を介して話し合いを行い、支払い方法や金額について合意形成を図るための手続きです。

調停で話がまとまらなかったり、連絡を無視したりすると、相手は訴訟へ進むことも可能です。裁判になれば、遺留分を支払う義務があるかどうかが法的に判断されます。そして時間的・金銭的な負担が増えるだけでなく、家族間の関係がさらに悪化してしまいかねません。

財産を差し押さえられるリスクがある

遺留分を支払う義務が確定したにもかかわらず、それでも支払いを拒み続けると、相手は「強制執行」を申立てできます。強制執行とは、裁判所の命令に基づき、預貯金やその他の財産を差し押さえて強制的に支払いを実現する手続きです。

預金が対象の場合、裁判所から銀行へ差押命令が出ると、あなたの口座から相手方へ直接支払われます。このように拒否し続けても財産が強制的に取り立てられてしまうため、遺留分の未払いには大きなリスクが伴います。

遺留分をめぐるトラブルは、対応を誤ると財産を失うだけでなく、親族関係の悪化にもつながります。「やさしい相続相談センター」では、税理士が遺留分や相続税の問題を丁寧にサポートし、円満な解決を目指します。

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遺留分を渡したくない場合にやっておきたい4つの生前対策

遺留分侵害請求による相続人割合

遺留分を可能な限り少なくしたい場合には、生前のうちにいくつか取れる対策があります。ここでは代表的な4つの方法を分かりやすく説明します。

養子縁組で相続人を増やし、遺留分の割合を下げる

相続人の人数を増やせば、1人あたりの遺留分割合の引き下げが可能です。例えば配偶者と子ども2人が相続人の場合、子どもの遺留分は1人あたり8分の1です。そこに孫を養子に迎えて子どもが3人扱いになると、それぞれ12分の1まで割合を抑えられます。

ただし「遺留分を減らす目的だけの養子縁組」は無効と判断される可能性があります。親子としての実態や関係を築く意思が前提となるため、慎重に検討しましょう。

預貯金を生命保険に変えて遺産総額を減らす

現金や預貯金の一部を生命保険に変えておくと、その死亡保険金は「受取人の固有財産」と扱われるため、遺産に含まれません。例えば1,000万円の預金を保険にし、別の人を受取人に指定すれば、その1,000万円は遺留分の計算対象から除外できます。

ただし保険金が極端に偏ると「特別受益」と判断され、結果的に遺留分に加算されることもあるため、専門家への相談が必要です。

早めの生前贈与で遺留分の対象から外す

早い時期に生前贈与を行っておけば、その財産が遺留分の基礎財産として計算されにくくなります。相続人への贈与は「過去10年分」が遺留分に反映されますが、10年以上前に渡した財産は計算に含まれません。ただし遺留分を減らすことを目的とした不自然な贈与と判断されると、何年前の贈与でも遺留分対象に戻されるため注意が必要です。

生前贈与と相続放棄をセットで行う

特定の人に生前贈与を行い、その後に相続放棄してもらう方法もあります。相続放棄をすると、その人は「初めから相続人ではなかった」扱いになります。そのため、生前贈与は「相続人以外への贈与」となり、1年以上前の贈与は遺留分に影響しません。

ただしこちらも遺留分の侵害を狙った不当な贈与と判断されると無効となるリスクがあるので要注意です。

相続や贈与の手続きは複雑で、誤った判断が後のトラブルにつながることもあります。これらの手続きでお悩みの場合は、ぜひ「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。経験豊富な税理士が生前対策の立案から手続きまで丁寧にサポートし、円満な相続を実現するお手伝いをしています。

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遺留分を渡さなくてもすむ方法

ここでは、法律上「遺留分を支払わなくても問題にならない」代表的なケースをわかりやすく解説します。

遺留分を放棄してもらう

まず現実的な方法として法定相続人に遺留分を放棄するように促す方法が挙げられます。相続人が家庭裁判所に申立て、正式に放棄が認められれば、その分の遺産を他の相続人へ自由に配分できるようになります。

ただし、遺留分の放棄は本人の自発的な意思が必要です。権利を「受け取りたい」と考えている相続人の場合、説得して放棄してもらうのは簡単ではありません。

遺言書の付言事項に記載しておく

遺留分を渡したくない理由や背景を、遺言書の「付言事項」に記しておく方法もあります。法的拘束力はないものの、遺族が内容を理解しやすくなり、無用なトラブルを避ける効果が期待できます。ただし付言事項に記載しても、相続人が遺留分を請求すれば支払う義務は残る点には注意が必要です。

相続人廃除の条件に当てはまるか確認する

相続人廃除とは、著しい非行を理由に相続権を失わせる制度です。例えば生前に被相続人へ暴力や重大な侮辱を行った場合などが該当します。

相続人廃除が認められれば、その人には相続権も遺留分も発生しません。ただし、家庭裁判所への申立てが必要であり、被相続人の一存では決められません。また、廃除された人の子どもなどには代襲相続が発生するため、その分の遺留分を分与する必要があります。

相続欠格の条件に当てはまるか確認する

被相続人に対して暴力を振るうなど「著しい非行」がある場合は、家庭裁判所に申し立てて相続人を廃除できる可能性があります。廃除が認められると、その人は相続権だけでなく遺留分も失います。

ただし、廃除は被相続人の判断だけで成立するものではなく、裁判所の審査が必要です。また、廃除された人の子どもが代襲相続する場合は、その子どもに遺留分を払う必要があります。

遺留分を減らす方法

以下では遺留分を減らせる可能性のある方法についてまとめたので、ぜひ参考にしてください。

不動産の評価額を争って遺留分額を減らす

遺留分侵害額請求の金額が「本当に正しいか」を確認し、評価額に疑問があれば反論できます。特に不動産が含まれる場合は、評価額の違いで遺留分が大きく変わります。以下は評価額に関する反論例です。

  • 相手の主張:不動産は5,000万円。私の遺留分は4分の1だから、1,250万円を払ってください。
  • 反論例:この不動産の正しい評価額は3,500万円なので、支払うべき額は875万円です。

このように、評価方法を見直すことで遺留分を大きく減らせる可能性があります。

時効や除斥期間を主張する

遺留分侵害額請求には法定の期間があり、これを過ぎている場合は支払う義務がありません。

  • 消滅時効(1年):相続開始と侵害の事実を「両方知ってから1年」
  • 除斥期間(10年):被相続人が亡くなってから10年

例えば被相続人が亡くなってから1年以上経って請求されたなら、時効の可能性が高いです。期限を過ぎていれば、正当に「支払いを拒否」できます。

権利の濫用を主張する

請求してきた相続人の行動が明らかに不当と判断される場合、遺留分の減額が認められる可能性があります。例えば長期間行方不明だった配偶者が、被相続人の死亡後に急に現れて遺留分を請求してきたとします。本来なら離婚していれば相続権がなかったと考えられる事情がある場合は「権利の濫用」として減額が認められることがあります。

遺留分を渡したくない場合のよくある質問

Q&A

以下では遺留分を渡したくない場合のよくある質問を解説します。

遺留分を支払う現金がないときはどうすればいい?

遺留分の請求を放置すると、調停・訴訟、さらには強制執行へと発展するおそれがあります。現金が不足している場合は、相手との合意による分割払いや、裁判所に支払い期限の延長を申し立てる方法が利用できます。ただし、いずれも相手方の同意や法的手続きが必要となるため、早めに弁護士など専門家へ相談して進めると安心です。

遺産が不動産しかない場合は?

遺留分は原則として現金で支払う必要があるため、遺産が不動産のみの場合は自身の資金で支払うか、不動産を現金化する手続きが必要になります。現金化の手段としては、不動産の売却や不動産担保ローンの利用が一般的です。現金化まで時間を要する場合は、裁判所へ支払い期限の延長を申し立てる方法と併せて検討すると良いでしょう。

まとめ

遺留分は法的に強く保護されており、正当な理由なく支払いを拒むと、調停・訴訟・強制執行といった深刻な事態に発展する可能性があります。ただしいくつかの状況によっては遺留分を支払わなくても良い場合があります。

また生前から対策しておくことで遺留分の負担を軽減できることもあり、養子縁組や生命保険の活用などがその代表的な方法です。ただし、これらは誤った判断をすると無効になったり、逆にトラブルを招くリスクもあります。遺留分に関する悩みは感情面の問題も絡みやすいため、早めに専門家へ相談しましょう。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。