死亡後の手続きの優先順位は?銀行・年金・相続などの優先度を解説
家族が亡くなった直後は、葬儀の準備や役所への届出、銀行や年金などの手続きが必要です。特に、銀行口座は死亡の連絡をした時点で引き落としや入金ができなくなるため、対応の順番を誤ると生活に支障をきたす場合もあります。この記事では、死亡後に行う主な手続きの優先順位を整理して解説します。夫や親を亡くしたときにも慌てず行動できるよう、時系列と注意点をまとめました。
目次
死亡後すぐ行いたい手続き(最優先)

まず行いたいのは、葬儀の手配と死亡届の提出です。銀行への連絡は、この段階では不要です。
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手続き内容 |
手続き先 |
期限 |
備考 |
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葬儀社への連絡・火葬場予約 |
葬儀社など |
最優先 |
搬送や安置・火葬場予約などを一括で依頼 |
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勤務先への連絡 |
故人または扶養している家族の勤務先 |
5日以内 |
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死亡届の提出 |
市区町村役場 |
7日以内 |
同時に発行される「火葬許可証」は火葬や納骨の際に必要となるため紛失に注意 |
参考:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き|日本年金機構
参考:死亡届 | 戸籍の届出 | 渋谷区ポータル
なお、手続き方法や必要書類は自治体によって異なります。提出先の市区町村のホームページで詳細を確認しましょう。
「やさしい相続相談センター」では、必要な手続きや優先順位を一緒に整理するサポートを行っています。専門家があなたの状況に合わせて丁寧にご案内しますので、お気軽にご相談ください。
葬儀後に行いたい手続き(早めに着手)

葬儀が終わったら、生活やお金に関する手続きに移ります。
銀行に連絡して口座を凍結させる手続き
銀行は、死亡を知った時点で故人の口座を凍結します。凍結されると入出金や引き落としができなくなるため、公共料金やカードなどの支払いが止まる恐れがあります。
一方で、家族間で口座が使用されるリスクがある場合は、早めに凍結しておくほうが安全なケースもあります。
銀行への対応を時系列でまとめると、以下の通りです。
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死亡後の時期 |
銀行への対応 |
解説 |
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死亡直後〜葬儀前 |
まだ連絡しない |
凍結すると公共料金の引き落としなどが止まる恐れがあるため |
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葬儀後(公共料金などの整理後) |
死亡の報告を行う |
口座が凍結され相続財産の保全に繋がるため |
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遺産分割協議がまとまった後 |
必要書類を提出して払い戻す |
遺産分割協議書や戸籍などを揃え、相続人ごとに払い戻しを受ける |
銀行への連絡は、引き落とされる料金や相続人との関係を踏まえて、葬儀後に生活費の流れが落ち着いてから行うのがおすすめです。
また、葬儀費用は喪主や家族の立て替えで支払うのが一般的です。後日支給される「死亡退職金」「生命保険金」「葬祭費・埋葬料」などで立て替え分を補填します。
健康保険・年金・生命保険など給付に関する手続き
以下に紹介する手続きでは、立て替えた葬儀費用や今後の生活費を補うための給付金が受け取れます。併せて、国民健康保険や世帯主変更、クレジットカードの手続きなど日常の契約整理もこのタイミングで行いましょう。
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手続き内容 |
手続き先 |
期限 |
備考 |
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国民健康保険の資格喪失届 |
市区町村役場 |
14日以内 |
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葬祭費の支給申請 |
市区町村役場 |
2年以内 |
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死亡退職金・弔慰金などの確認 |
勤務先など |
制度による(目安:3ヵ月以内) |
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世帯主変更 |
市区町村役場 |
14日以内 |
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公共料金・サブスク・クレジットカードなどの整理 |
各機関 |
ー |
放置すると課金され続ける恐れがあるため |
参考:手続き・届出 | 国民健康保険 | 渋谷区ポータル
参考:葬祭費(74歳以下) | 国民健康保険給付 | 渋谷区ポータル
参考:葬祭費(75歳以上で後期高齢者医療制度の被保険者) | 給付・保健事業 | 渋谷区ポータル
参考:No.4117 相続税の課税対象になる死亡退職金|国税庁
ここまでで、生活に関する主な手続きが完了しました。次に、相続関係の準備を進めていきましょう。
葬儀後は銀行や保険など、多くの手続きが重なります。どれを先に進めるべきか迷ったときは「やさしい相続相談センター」にご相談ください。ご家庭の状況に合わせた手続きの優先順位をご案内いたします。
落ち着いてから期限を意識して行う手続き

葬儀や生活関連の手続きが一段落したら、次は相続や税金など期限のある手続きをしていきます。期限を過ぎるとペナルティを科される恐れがあるため注意しましょう。
また、この時期は遺産の把握や相続方法の選択など、専門的な内容も多くあります。必要に応じて税理士や司法書士などの専門家に相談しながら進めましょう。
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手続き内容 |
手続き先 |
期限 |
備考 |
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相続手続きの準備 |
各機関 |
目安:3ヵ月以内 |
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相続放棄や限定承認の手続き |
家庭裁判所 |
3ヵ月以内 |
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所得税の準確定申告 |
税務署 |
4ヵ月以内 |
故人に一定の所得があった場合に必要 |
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相続税の申告・納付 |
税務署 |
10ヵ月以内 |
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相続登記(不動産の名義変更) |
法務局 |
相続する人が決まってから3年以内 |
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年金・保険金の請求 |
年金事務所/各保険会社 |
2〜5年以内 |
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参考:遺言書の検認 | 裁判所
参考:相続人の範囲について|裁判所
参考:相続の放棄の申述 | 裁判所
参考:遺産分割手続案内|裁判所
参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁
参考:B1-2 相続税の申告手続|国税庁
参考:【相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず相続登記!法務省
参考:死亡一時金を受けるとき|日本年金機構
参考:遺族年金|日本年金機構
ここで紹介した手続きは、いずれも期限を過ぎると不利益が生じるものです。そのうえ内容が専門的であるため、どれを優先的に進めればいいのか迷う方も多くいらっしゃいます。判断や書類作成に迷った場合は、早めに専門家に相談しながら進めると安心です。
なお、それぞれの手続きについて詳しくは下記の記事も併せてご確認ください。
まずは葬儀や死亡届を優先に!銀行手続きなどはその後で
この記事では、大切な人が亡くなった後の主な手続きの優先順位について解説しました。
亡くなった後は、葬儀や銀行、年金など多くの手続きが一度に発生します。しかし、すべてを一度に進める必要はありません。まずは葬儀や死亡届など「すぐに必要なこと」を優先し、その後に生活費や相続関連の手続きを進めていきましょう。
中でも、相続や税金の手続きは内容が複雑かつ専門的です。期限もあるため、判断に迷う場合は専門家に相談して進めましょう。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。

