相続税の税理士報酬の目安は?費用相場や依頼すべき税理士の特徴

相続税の税理士報酬の目安は?費用相場や依頼すべき税理士の特徴

相続税の申告は期限内に正確な手続きを行わなければ、加算税や延滞税といった余計な負担が生じる可能性があります。しかし相続財産の評価や必要書類の準備は複雑で、専門知識が求められるため、多くの方が税理士に依頼しています。気になるのは「税理士報酬の目安はいくらなのか?」という点です。本記事では、相続税申告にかかる税理士報酬の一般的な相場、高額になるケース、信頼できる税理士を選ぶためのポイントを解説します。

相続税申告とは?

相続税の計算をする女性

相続税の申告とは、相続や遺贈で取得した財産、または相続時精算課税を使って贈与で取得した財産などを対象とするものです。これらの財産の価額をもとに税額を計算し、税務署へ申告する手続きを指します。

申告期限は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内です(通常は死亡日の翌日から起算します)。例えば1月6日に死亡した場合は、その年の11月6日が申告期限となります。もし期限日が土曜日・日曜日・祝日にあたる場合には、その翌日が期限とされます。

申告書の提出先は、被相続人の死亡時点の住所が国内にある場合、被相続人の住所地を管轄する税務署です。相続人の住所地の税務署ではないので注意しましょう。提出方法は、e-Tax(電子申告)、郵便・信書便による送付、または税務署の時間外収受箱への投函があります。

参考:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

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相続税の税務調査率

相続税の税務調査率とは、相続税の申告件数のうち、実際に税務署が調査を行った割合のことを言います。税務調査がどの程度の頻度で行われているかを示す重要な指標です。

国税庁が令和6年12月に公表した最新データによると、令和5年事務年度の相続税の実地調査件数は8,556件でした。このときの税務調査率は6.4%(8,556件÷134,275件〔令和3年事務年度相続税申告件数〕)という結果になりました。

また調査で申告漏れなどが見つかった割合(非違割合)は84.2%(7,200件/8,556件)と高かったことも特徴的です。実に9割近くの申告において財産の申告漏れが指摘されていました。

参考:令和5事務年度における相続税の調査等の状況|国税庁

参考:令和3年分 相続税の申告事績の概要|国税庁

相続税申告を税理士に依頼する際の報酬目安

二次相続 10年以内

相続税申告を税理士に依頼する場合、報酬相場は遺産総額の0.5~1.0%程度が一般的です。以前は税理士報酬規定が法律で定められていましたが、平成14年3月に廃止され、現在は各税理士事務所が自由に報酬を設定しています。そのため、同じ規模の遺産でも依頼する事務所によって費用が変わる点には注意が必要です。

遺産総額ごとの税理士報酬の目安は以下の通りです。

遺産総額

税理士報酬の相場

5,000万円

25~75万円

6,000万円

30~90万円

7,000万円

35~105万円

8,000万円

40~120万円

9,000万円

45~135万円

1億円

50~150万円

このように、報酬額は遺産総額に比例して増加する仕組みとなっています。依頼先を検討する際は、相場感を踏まえて比較しましょう。

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税理士への報酬額が高くなるケース

結論から言うと、相続税申告を税理士に依頼した際、報酬額が相場(遺産総額の0.5〜1.0%)よりも高くなる場合があります。以下では、その主なケースを具体的に見ていきましょう。

土地の評価が難しい

土地の評価は相続税申告で最も難しい作業のひとつです。形状や立地条件によって評価額が変わり、複雑な土地ほど税理士の手間も増えるため、報酬が加算される可能性があります。

申告期限が迫っている

申告期限は死亡したことを知った日の翌日から10ヵ月以内ですが、実際には手続きに時間がかかり、期限直前に依頼する人も多いです。こうした特急対応では、追加報酬が発生することがあります。

非上場株式が含まれる

非上場株式は市場で取引がないため、評価が非常に難しい財産です。株式1社ごとに追加報酬を設定している税理士事務所もあり、遺産に含まれていると報酬が高くなるケースがあります。

物納が必要である

相続税を現金で納められない場合、不動産などを納める「物納」を行うことがあります。この場合は作成すべき書類が多く、通常より作業が増えるため、加算報酬がかかることがあります。

相続人の数が多い

相続人が増えるほど必要な書類も複雑になり、申告作業の負担が増えます。そのため「相続人が3人以上の場合は追加報酬」といった形で設定されることがあります。

相続税申告に強い税理士を選ぶポイント

以下では、相続税申告に強い税理士を選ぶポイントを解説します。

相続に関するコンテンツを発信している

相続に関する書籍を執筆していたり、YouTubeなどで情報を発信したりしていることは、実績の豊富さを示す目安になります。また、動画を通じて税理士の人柄を確認できるため、相談しやすい相手かどうかを判断する材料にもなるでしょう。

視聴前には「相続税に関する具体的な解説が含まれているか」といった確認ポイントを整理しておくのが望ましいです。

相談件数が多く料金表が明確である

相続税専門の税理士事務所では、多くの場合、自社のWebサイトに相続税申告の件数を掲載しています。依頼の目安は、最低でも年間100件以上、可能であれば1,000件以上の実績がある事務所です。

さらに、ホームページに料金表が明示されているかどうかも重要です。報酬は事務所ごとに異なりますが、料金体系が明確に示されているかどうかは信頼性を判断するポイントになります。

税務署OBが在籍している

税務署OBが在籍しているかどうかも、相続税に強い税理士を選ぶ大切な基準となります。元国税調査官などのOBがいる場合、税務調査の視点から厳格に申告書をチェックしてもらえる可能性が高いです。中には、経験を活かして模擬税務調査を実施している事務所もあり、チェック体制の充実度を測る目安となります。

書面添付を積極的に行っている

書面添付とは、税理士が申告内容に責任を持つことを示す制度です。すべての税理士が行うわけではなく、虚偽記載があれば最長2年間の業務停止処分を受けるリスクがあるためです。

一方で、実務に自信のある税理士は積極的に書面添付を行う傾向があります。そのため、対応しているかどうかを確認することは、相続税に強い税理士を見極める有効な方法です。

他の専門家と連携している

相続手続きでは、税理士の業務範囲を超える法律手続きが必要になることがあります。例えば、不動産登記は司法書士、相続放棄や遺産分割の調停は弁護士に依頼する必要があります。

自分で対応することも可能ですが、手間がかかる上に専門知識がないと不利になるリスクもあります。弁護士や司法書士と連携している税理士事務所であれば、こうした手続きもスムーズに進められます。

相続税や税理士報酬に関するよくある質問

FAQ・Q&A

最後に相続税や税理士報酬に関するよくある質問をまとめたので、こちらも参考にしてください。

相続税の税務調査が入りやすいのはどんなケース?

相続税の税務調査は、意図的な虚偽記載だけでなく、財産評価や計算ミスといった単純な誤りがあっても行われることがあります。実際に調査を受ける人には、いくつかの共通点が見られます。代表的なケースを5つにまとめました。

  • 財産の申告漏れがあった場合
  • 本来必要な申告をしていなかった場合
  • 相続財産の総額が大きい場合
  • 国外に財産を保有している場合
  • 税理士に依頼せず、自分で申告した場合

これらに該当する方は、調査対象となる可能性が比較的高いといえるでしょう。

相続税申告を税理士に依頼する人の割合は?

財務省の「令和2事務年度 国税庁実績評価書」によると、令和2事務年度に提出された相続税申告書のうち、86.1%が税理士の関与によるものと公表されています。

つまり、相続税申告を行った人の8割以上が税理士に依頼しているということです。さらに、同資料の過去5年間のデータを見ても、税理士の関与割合は年々増加しています。以上のデータから、相続税申告は専門家に依頼するのが一般的な流れになっていることが分かります。

参考:令和2事務年度 国税庁実績評価書

まとめ

相続税の申告は、相続人同士の調整や財産評価の難しさもあり、専門家の関与が欠かせません。特に土地や非上場株式の評価、期限直前の依頼などは申告が複雑化し、税理士報酬が高額になるケースもあります。

その一方で、報酬相場の目安を把握しておけば、費用感を持って事前に相談でき、納得したうえで依頼できるでしょう。また、税理士の経験や実績、料金体系の透明性は、安心して任せられるかを判断する重要な基準です。

相続税申告は「誰に依頼するか」で結果が大きく変わる可能性があります。不安を残さないためにも、実績豊富で信頼できる税理士に早めに相談することをおすすめします。相続税や税理士報酬に関してお悩みの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

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相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

また、金融機関不動産関係者葬儀関連企業税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。