相続税申告に税理士は必要か?依頼すべきケースや税理士を選ぶ6つのポイント

相続税申告に税理士は必要か?依頼すべきケースや税理士を選ぶ6つのポイント

相続税申告は必ずしも税理士に依頼しなければならないわけではなく、財産の内容や状況によっては自分で行うことも可能です。ただし、土地が複数ある、財産が複雑などのケースでは、専門的な判断が必要となるため税理士のサポートが必要となります。そこで本記事では、相続税申告を自分で行えるケースと税理士に依頼すべきケースを解説します。さらに失敗しない税理士選びのポイントもご紹介するのでぜひ参考にしてください。

相続税申告は税理士が必要か?

夫婦で行う贈与

結論から言うと、相続税申告は必ずしも税理士に依頼しなくても、自分で行うことが可能です。特に遺産が少額でシンプルなケースでは、自力での申告も十分に対応できます。また、相続財産が基礎控除額以下であれば、そもそも申告そのものが不要です。

ただし、財産の種類が多いケースや、相続人が複数いて関係性が複雑などのケースでは申告が難しくなりやすく、税理士に依頼する人が多いのも事実です。まずは自分でできそうか確認し、難しいと感じたら税理士への依頼を検討すると良いでしょう。

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相続税申告を税理士に頼まなくても自分でできるケース

おしどり贈与

相続税申告は必ずしも税理士に依頼しなければならないわけではなく、条件がそろえば自分で行うことも可能です。費用を抑えたい方は、以下のケースに当てはまるか確認してみましょう。

相続税が0円になる場合

相続税が発生しない場合は、自分で申告することも十分に可能です。相続税が発生しないケースの一例として以下のような場合が挙げられます。

  • 遺産総額が基礎控除内で申告義務がない
  • 配偶者がすべて相続して税額が0円になる
  • 小規模宅地等の特例で税額が0円になる

このようなケースでは自分自身で申告したとしても、税務調査や追徴課税のリスクも少ないでしょう。

評価の難しい財産がない場合

非上場株式や海外資産など、評価が複雑で税務調査リスクが高い財産がなければ、自分で申告できます。証券会社を通じて保有している株式や債券、FXなどの外貨は比較的簡単に評価可能です。

土地も、整形地や倍率地域の土地であれば、路線価や固定資産税評価額を基にシンプルに算出できます。そのため税理士報酬より節税効果が小さい場合は自分での申告が向いているでしょう。

申告に必要な時間を確保できる場合

相続税申告を自分で行うには、情報収集から申告書作成まで相応の時間が必要です。完全独学なら200時間ほどかかるとされますが、専用ソフトを活用すれば1〜2ヵ月で作成することも可能です。仕事や家庭の都合である程度の時間が取れる方は、自分での申告が現実的でしょう。

相続人同士で揉める心配がない場合

遺産分割をめぐって相続人間で争いがあると申告が進まなかったり、別々の申告書を提出して内容が食い違ったりすることがあります。その結果、税務調査リスクが高まってしまうケースも考えられます。もし円滑に分割が決まる見込みがあるなら、自分で申告を進めやすいでしょう。

相続税申告を税理士に頼むべきケース

賃貸不動産の評価

相続税申告は自分で行うことも可能ですが、次のような条件に当てはまる場合は難易度が高く、税理士に依頼するのが安心です。

財産が複雑で評価が難しい場合

もし財産が複雑でご自身での評価が難しい場合は税理士の知識を活用するのが安全です。

複数の土地や非上場株式、ゴルフ会員権など、評価方法が専門的で複雑な財産があると、自力での正確な評価は困難です。

誤った評価による申告漏れは、加算税や延滞税のリスクにつながる恐れもあります。専門性が必要な財産がある場合は、税理士の知識を活用することが最も安心です。

申告に時間や心の余裕がない場合

時間や精神的な余裕がない場合は、税理士に任せるのが得策です。相続税申告は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に行う必要があり、膨大な作業量を短期間で進める必要があります。

財産の洗い出しや書類作成には多大な労力がかかり、仕事や喪失感の中で進めるのは大きな負担になります。余裕がないときほど、専門家に任せて、ご自身の負担を軽減させましょう。

相続財産の総額が多い場合(目安1億円以上)

財産総額が多い場合は、税理士のサポートを受けるべきです。相続税は累進課税のため、誤りがあれば納税額の差が大きくなり、追徴課税のリスクも高まるためです。

例えば1億円を超える規模の相続では、誤った評価で申告した場合に数百万円単位の差が生じることもあります。財産が多い相続こそ、正確性を担保できる税理士への依頼が安心です。

相続人が多い・揉めている場合

相続人が多い、または揉めている場合は税理士に依頼するのが有効です。遺産分割協議は全員の合意が必要であり、調整が難航すると期限内に申告できない恐れがあります。

兄弟間の不仲や不動産の分け方、介護負担や生前贈与を巡る対立で協議が進まないケースも考えられます。税理士によるサポートを受ければ、円滑に協議を進めやすくなるでしょう。

土地が多数ある・評価が複雑な場合

土地が多数ある場合や評価が複雑な場合は、税理士に依頼しましょう。土地は形状や権利関係によって評価方法が変わり、減額特例の適用も複雑です。

複数の土地を所有していると、評価計算だけでなく適切な特例の判断まで必要となり、個人で対応するのは非常に大変です。このように土地が絡む相続では、専門家に評価を任せるのが賢明でしょう。

名義預金や過去の贈与がある場合

名義預金や過去の贈与がある場合は、税理士に相談すべきです。これらは申告漏れが起きやすく、税務調査の対象になりやすい財産です。

家族名義で管理していた口座や過去の贈与を計上し忘れると、後に調査を受け、追徴課税を求められる可能性があります。迷うケースこそ専門家に相談し、リスクを未然に防ぎましょう。

やさしい相続相談センターでは申告実績が豊富な税理士が複数在籍しています。相続税申告を安心して任せられる税理士をお探しの場合は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。

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税理士に相続税申告を依頼する場合の費用目安

相続税申告を税理士に依頼する際の報酬は、一般的に遺産総額の0.5〜1.0%程度が目安です。多くの税理士事務所の料金表を見ると、この範囲に収まるケースが大半です。しかし実際の申告作業が複雑になった場合には1.0%を超えることもあります。

報酬の決め方は事務所によって異なります。代表的には「遺産総額に対する割合方式」「総額ごとに区分された定額方式」「基本報酬+加算報酬方式」があります。中には、一律料金や成功報酬型を採用する事務所もありますが、依頼者にとって必ずしも有利とは限らないため注意が必要です。

また申告の過程で財産の評価額が変わったり、想定外の財産が見つかったりすれば最終的な金額は変動します。後々トラブルにならないよう、作業の進行に合わせて報酬額を確認しながら依頼を進めましょう。

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相続税の税務調査率はどのくらい?

平成30事務年度における相続税の税務調査件数は12,463件で、平成28年分の相続税の申告件数は136,891件でした。これを基に算出すると、調査に入る確率は約9%。つまり、相続税を申告した家庭のおよそ11件に1件が税務調査の対象となります。

また、税務調査には「実地調査」のほか、電話や書面、税務署への来署依頼といった「簡易な接触」も含まれます。これらを合わせると調査確率は約17%に上り、6件に1件の割合で税務署から何らかの問い合わせがある計算です。なお、令和2事務年度以降は新型コロナウイルスの影響により実地調査が大幅に減少する一方、簡易な接触は増加しています。

参考:平成30事務年度における相続税の調査等の状況

参考:平成29年分の相続税の申告状況について|国税庁

相続税申告に強い税理士を選ぶ6つのポイント

以下では相続税申告に強い税理士を選ぶ6つのポイントを解説します。

年間の相続税申告実績が豊富か

相続税に強い税理士かを判断するには、相談件数ではなく「申告件数」に注目しましょう。相談実績だけでは実際にどれだけ申告を行っているのか分かりません。申告件数が多い事務所ほど、経験に基づいた適切な対応が期待できます。

事務所に所属する税理士数が十分か

年間数百~数千件の申告実績を掲げているにもかかわらず、所属税理士が数名しかいない事務所もあります。その場合、一人ひとりの案件に十分な時間をかけられない可能性が高いです。

結果として納税額が高くなったり、税務調査リスクが増えることもあります。事務所の規模と体制を確認し、丁寧な対応ができるかどうかを見極めましょう。

税理士報酬が適正かどうか

相続税申告の報酬目安は「遺産総額×0.5~1%」、遺産が1億円なら50万~100万円程度が相場です。ただし、相続人の数が多い場合や土地評価が複雑な場合、期限直前の依頼などでは追加費用が発生することもあります。

安さだけに注目せず、追加報酬や「成功報酬」の有無まで確認し、適正な料金で誠実に対応してくれる事務所を選びましょう

相続に関する書籍を出版しているか

相続税を専門に扱う事務所であれば、相続関連の書籍を出版しているケースが多いです。ホームページで「相続専門」とアピールしていても、実際には専門外の事務所もあります。そのため出版実績があるかどうかは信頼性を測る基準のひとつになります。

税務調査率が低いか

相続税申告ができるだけではなく、税務調査を見据えた申告をしてくれるかどうかも大切です。良心的な事務所であれば、リスクを減らすために「書面添付制度」に基本報酬内で対応してくれることが多いです。依頼前に、その事務所の税務調査率を確認しておきましょう。

相続人の不安に寄り添えるか

相続人は「正しく申告できるのか」「どのくらい税金がかかるのか」と不安を抱えています。そんな時に機械的で冷たい対応をされると、余計に不安が募ってしまうでしょう。相続に強いだけでなく、相談しやすく、些細な疑問にも丁寧に答えてくれる税理士を選ぶことで、安心して申告に臨めます。

まとめ

相続税申告は、自分で対応できる場合と税理士に依頼した方が安心な場合に分かれます。遺産総額が基礎控除以下で申告不要となるケースや、評価が簡単な財産しかない場合などは自力で申告することも可能です。

一方で複数の土地や非上場株式、評価や扱いが難しい財産があるケースなどは誤った判断による追徴課税や税務調査のリスクが高まります。そのため、相続財産が多い・複雑といった条件に当てはまる場合には、経験豊富な税理士に依頼するのが安心です。

税理士選びにあたっては、申告実績や体制、報酬体系の透明性、相談しやすさなどを確認することが大切です。適切な専門家に依頼することで、申告をスムーズに進め、余計なトラブルや負担を避けることにつながるでしょう。

相続税申告でお悩みのことがあれば、どんな小さなことでもぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。

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相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。

相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

また、金融機関不動産関係者葬儀関連企業税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。

監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。