遺産相続の手続きは誰に頼むべき?専門家別の費用相場や依頼できる業務
遺産相続の手続きは、書類の種類や財産内容によって必要な専門家が異なります。例えば相続登記は司法書士、相続税申告は税理士、トラブル解決は弁護士が担当するなど、役割分担が明確です。どの専門家に何を依頼すべきかを誤ると、手続きが滞ったり余計な費用が発生することもあります。本記事では、専門家ごとの業務内容と費用相場を整理し、状況に応じた最適な依頼先を分かりやすく解説します。
目次
遺産相続の手続きは誰に頼むべき?専門家ごとに依頼できる業務一覧

以下では、遺産相続の手続き関連で専門家ごとに依頼できる業務をまとめました。
|
業務 |
具体的な業務内容 |
弁護士 |
司法書士 |
税理士 |
行政書士 |
|
遺言書の有無の確認 |
遺言書の有無の確認(自筆証書遺言の場合には、家庭裁判所での検認手続き) |
○ |
△ ※1 |
× |
○ |
|
相続人の調査 |
法定相続人調査・戸籍謄本等の収集 |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
相続財産の調査 |
相続財産の調査 |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
遺産分割協議書の作成 |
遺産分割協議書の作成(遺言書のない場合) |
○ |
○ |
△ |
△ |
|
相続放棄と限定承認の選択 |
相続放棄・限定承認・単純承認の選択 |
○ |
△ ※1 |
× |
× |
|
相続登記・名義変更(不動産) |
不動産の名義変更(相続登記) |
△ ※2 |
○ |
× |
× |
|
相続登記・名義変更(預貯金・有価証券) |
預貯金・有価証券等の解約払戻しや名義変更 |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
相続登記・名義変更(有価証券の名義変更) |
有価証券の名義変更 |
○ |
○ |
○ |
○ |
|
相続税の申告・納付 |
相続税の申告 |
△ ※3 |
× |
○ |
× |
|
相続人間の紛争解決 |
相続人間の紛争解決 |
○ |
△ ※4 |
× |
× |
※1:家庭裁判所での手続きが必要
※2:不動産登記は司法書士が専門
※3:税理士以外が行う場合は制限あり
※4:裁判所での代理は弁護士のみ可能
相続の手続きは、内容によって依頼すべき専門家が異なります。例えば相続登記は司法書士、紛争対応は弁護士が担当しますが、相続税の申告や節税対策を行えるのは税理士だけです。
相続税の計算は、財産評価や特例の適用可否など専門的な判断を要するため、自己判断で進めると納税額が過大になるリスクもあります。相続の中でも税金に関する部分は、早い段階から税理士に相談することで、申告期限内のスムーズな手続きと最適な節税を実現できます。
複数の専門家が関わる必要がある場合も、税理士を窓口にすることで全体の流れを整理しやすくなります。遺産相続をお考えの方は、まずはぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。経験と実績豊富な税理士があなたの悩みに寄り添いサポートいたします。
【専門家別】遺産相続手続きの代行費用相場

遺産相続手続きの代行費用を専門家別にご紹介します。
弁護士の費用相場
弁護士費用は、依頼内容や争いの有無によって大きく変動します。内訳は「着手金(依頼時に支払う基本料金)」と「報酬金(成功報酬)」で、得られた経済的利益を基準に算出するのが一般的です。
現在は弁護士が自由に報酬を設定できますが、多くの事務所が以下の旧報酬基準を参考にしています。
|
利益額 |
着手金 |
報酬金 |
|
300万円以下 |
8% |
16% |
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3,000万円以下 |
5%+90,000円 |
10%+18万円 |
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3億円以下 |
3%+69万円 |
6%+138万円 |
|
3億円超 |
2%+369万円 |
4%+738万円 |
この他にも遺産分割協議書の作成や相続放棄・限定承認などの手続きには、別途手数料が発生する場合もあります。
税理士の費用相場
相続税申告を税理士に依頼する場合の費用相場は、遺産総額の0.5~1.0%程度が一般的です。ただし、相続財産の構成や相続人の人数、依頼内容によって費用は前後します。
また事務所によっては財産目録や遺産分割協議書など、申告以外の書類作成に別途手数料がかかる場合もあります。相続税申告は複雑な判断が多いため、料金だけでなく「相続税に強い税理士かどうか」を重視して選ぶことが大切です。
司法書士の費用相場
司法書士に相続登記を依頼する場合、10万~15万円程度が一般的な相場です(登録免許税などの実費は別途)。ただし不動産の筆数や相続人の人数、固定資産税評価額によって費用が変動します。
複数の不動産を所有している場合や、共有名義が多いケースでは、あらかじめ見積もりをとって費用を確認しておきましょう。
行政書士の費用相場
行政書士へ書類作成を依頼する場合、内容によって費用が異なります。例えば遺産分割協議書の作成なら約30,000円前後、相続人への通知文書作成なら約20,000円前後が目安です。
一方で、戸籍収集や相続関係説明図の作成などを含むフルパッケージプランでは20万~30万円程度になることもあります。依頼前にどの範囲を代行してもらいたいか整理し、行政書士にプラン内容を確認しておくと安心です。
【目的別】遺産相続の手続きを誰に頼むか迷ったときの選び方

遺産相続の手続きを誰に頼むか迷ったときの選び方をまとめたので、こちらもあわせて参考にしてください。
相続税の申告をしたい
相続税が発生する場合は、税金の専門家である税理士に相談しましょう。税理士は相続税の申告・節税対策・税務調査への対応まで一貫してサポートできます。
相続税は控除制度が多く、「申告が不要」なケースもあります。ただし、財産の種類が多い場合や計算が複雑な場合は、税理士の判断を仰ぐことで申告ミスを防げます。
相続トラブルを解決したい
相続で揉めている、または揉めそうな場合は、まず弁護士に相談しましょう。弁護士は相続に関するトラブル解決の専門家であり、交渉や裁判を通じて法的に問題を解決できます。相続人同士の対立や遺産分割の争いが予想される場合は、早期に弁護士へ相談するのが最善です。
不動産を相続したい
不動産が相続財産に含まれている場合は、司法書士への相談が最適です。司法書士は登記の専門家であり、不動産の名義変更や登記手続きを代理で行ってもらえます。書類作成や登記のみの依頼も可能ですが、トラブル解決や法的代理が必要な場合は弁護士に依頼しましょう。
不動産以外の遺産を手続きしたい
トラブルがなく、不動産を含まない相続であれば、行政書士への依頼が適しています。行政書士は官公庁提出書類の作成を行う専門家で、相続関連の書類もスムーズに作成できます。
遺言書があり、相続内容が明確なケースでは行政書士に依頼するのが効率的です。ただし、相続トラブルや法的交渉を伴う場合は、弁護士に依頼するのが望ましいでしょう。
遺産相続の手続きを専門家に依頼するメリット
以下では、遺産相続の手続きを専門家に依頼するメリットをご紹介します。
手続きの手間を減らせる
相続手続きで最も負担になるのが、役所・金融機関・法務局などでの書類収集作業です。平日しか開いていない窓口を複数まわる必要があり、記載内容に不備があると再発行・再提出を求められることもあります。
専門家に依頼すれば、こうした煩雑な書類収集をすべて代行してもらえます。そのため「何度も役所に通う手間」や「書類の不備でやり直すストレス」を大幅に削減できます。
不備のない書類を作成できる
相続手続きでは、遺言書がない場合に次のような重要書類を作成する必要があります。
- 遺産分割協議書
- 財産目録
- 法定相続情報一覧図
特に遺産分割協議書は、相続税の申告や財産名義の変更時にも提出を求められるため、内容の正確性が重要です。しかし、形式が決まっていないため、自作すると記載ミスや不備が発生しやすく、手続きが滞るリスクもあります。専門家に依頼すれば、法的に有効な書類を不備なく作成してもらえるため、スムーズに相続を進められます。
ミスやトラブルを防げる
相続手続きを自己判断で進めると、財産の見落としや評価ミスが発生するリスクがあります。相続財産の中に未把握の預貯金や不動産がある場合、それを申告し忘れると税務上のトラブルにつながる可能性もあります。
一方で専門家に依頼すれば、すべての相続財産を正確に洗い出し、適切な評価・分割・申告までをサポートしてもらえます。特に相続税の申告では、控除や特例の適用有無によって納税額が大きく変わります。誤った評価で申告すると加算税や延滞税のリスクもあるため、相続税に詳しい税理士へ依頼するのが安心です。
「やさしい相続」では、相続に強い税理士が多数在籍しています。相続財産の調査から申告書の作成、節税のご提案まで一貫してサポートしており、初めての相続でも安心して手続きを進められます。相続の手続きに不安がある方は、まずは「やさしい相続」へお気軽にご相談ください。
遺産相続の手続きの専門家を選ぶポイント
以下では遺産相続の手続きの専門家を選ぶポイントをご紹介します。
相続に特化した実績が豊富な専門家を選ぶ
相続手続きは、相続に強い専門家に依頼することが最も安全です。相続税申告なら、法人税や所得税に強い税理士ではなく、相続税に特化した税理士を選びましょう。
弁護士や司法書士も同様に、相続に関する豊富な経験があるかを確認してください。専門性が不足すると、過大納付や過少申告による加算税のリスクがあるので注意しましょう。
ワンストップで相続手続きを依頼できる事務所を選ぶ
相続手続きは、複数の手続きを一括で依頼できる専門家に頼むと効率的です。一般的には税理士が相続税申告、司法書士が相続登記を担当します。
個別に依頼すると、相談や手続きに時間と手間がかかることもあります。しかしワンストップで代行できる事務所なら、手続き全体をスムーズに進められるでしょう。
明瞭会計の専門家に依頼する
費用の透明性が高い専門家を選ぶことで、追加費用やトラブルを防げます。見かけの料金が安くても、分かりにくい料金体系や追加料金で費用が膨らむことがあります。ホームページや資料でサービス内容を確認し、実際に相談して納得できる見積もりをもらうと安心です。
遺産相続の手続き費用は誰が払うべき?
相続税の税理士費用は、誰が負担しても問題ありません。法律で「特定の人が支払うべき」と定められているわけではなく、相続人全員の話し合いによって自由に決められます。一般的には、相続人全員で費用を分担するケースが多いものの、特定の相続人が全額を負担することも可能です。
例えば相続人が配偶者と子どもなど親子関係にある場合は、配偶者が税理士費用を負担するのがおすすめです。配偶者には「配偶者控除」があり、1億6,000万円または法定相続分までは相続税がかかりません。そのため、相続税の負担が軽く、費用を出しやすい立場にあります。
なお遺産分割で揉める可能性がある場合は、早めに税理士や弁護士などの専門家へ相談し、トラブルを防ぎましょう。
まとめ
遺産相続の手続きは、一見同じように見えても内容によって担当する専門家が異なります。相続税の申告・節税対策なら税理士、登記や名義変更は司法書士、争いの解決は弁護士が担当します。
書類作成のみを依頼したい場合は行政書士への相談も有効です。特に相続税の申告は複雑で、控除や特例の適用ミスによって余分な税金を支払うリスクもあります。そのため、早めに税理士へ相談するのがおすすめです。
複数の専門家が関わる場合でも、相続に強い税理士を窓口にすることで全体をスムーズに進められます。
遺産相続をお考えの方は、まずはぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。経験と実績豊富な税理士があなたの悩みに寄り添いサポートいたします。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
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また、金融機関や不動産関係者、葬儀関連企業、税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


