【最新】相続時精算課税制度の申告を税理士に依頼する費用相場まとめ

【最新】相続時精算課税制度の申告を税理士に依頼する費用相場まとめ

相続時精算課税制度は、生前贈与を活用して2,500万円まで贈与税がかからず、相続発生時にまとめて精算できる制度です。しかし申告には専門的な知識が必要で、誤りがあると追加の税負担や相続トラブルにつながる可能性もあります。本記事では相続時精算課税制度の概要や申告方法を整理しつつ、税理士に依頼する際の費用相場をご紹介します。さらに信頼できる専門家を選ぶためのポイントも解説するのでぜひ参考にしてください。

相続時精算課税制度の概要と申告方法

相続時精算課税・相続時精算課税制度

まずは相続時精算課税制度の概要と申告方法についておさらいしましょう。

概要

「相続時精算課税制度」とは、生前に贈与を受けた財産をいったん贈与税の対象としない制度です。最終的に相続が発生したときに、その財産を相続財産と合算して相続税として精算します。この制度によって受贈者(子や孫)は2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることが可能となります。

さらに2024年1月からは、年間110万円の基礎控除が創設されました。この控除額は2,500万円の特別控除とは別枠で利用でき、相続時に加算されない点が特徴です。

基礎控除創設後の贈与税の計算式は「(1年間の贈与額-110万円の基礎控除の累計-2,500万円の特別控除)×20%」です。

なお、相続時に計算した結果、相続税の納付が不要となった場合は、追加の贈与税が課されることはありません。「2,500万円+110万円×贈与年数」を超える部分については、贈与時に20%の贈与税がかかります。しかし最終的に相続税を計算するときには、その支払った分が差し引かれる仕組みです。

参考:No.4103 相続時精算課税の選択|国税庁

申告方法

初回の贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに、贈与税の申告書と相続時精算課税選択届出書を税務署に提出します。申告方法は税務署に直接持参する窓口申請、書類を郵送する郵送申請、オンラインで行う電子申告(e-Tax)の3通りがあります。

届出書提出にあたっては以下の添付書類も必要となります。

  • 贈与税申告書(第一表:受贈者情報と贈与額、第二表:贈与財産の明細)
  • 受贈者の戸籍謄本または抄本

このように、受贈者が18歳以上であることや贈与者との関係を証明する必要があります。

参考:No.4304 相続時精算課税選択届出書に添付する書類|国税庁

相続時精算課税制度の申告を税理士に依頼する際の費用

お金と老夫婦

税理士へ贈与税申告を依頼する際の費用は、事務所によって幅があります。一般的な目安としては以下の通りです。

  • 基本的な贈与税申告:50,000~15万円程度
  • 相続時精算課税選択届出書の作成:30,000~10万円程度
  • 書類収集や追加の手続き代行:別途費用が発生

贈与税の申告を税理士に依頼する場合、1,000万円以下の贈与財産で50,000円前後の報酬が相場です。

また相談料は事務所ごとに異なり「初回無料・2回目以降1時間10,000円」や「30分5,000円」などが多いです。相談内容は大まかな評価額や申告要否にとどまることが多いでしょう。「何度でも無料」とされている場合は、申告依頼が前提と考えた方が安心です。

初回無料相談で依頼料の見積もりを詳しく知りたい方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

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相続時精算課税制度の申告に強い税理士の探し方

事業承継

以下では相続時精算課税制度の申告に強い税理士の探し方をご紹介します。

相続専門の税理士法人であるか

相続税は専門性が高いため、相続専門の税理士法人に依頼するのが安心です。ただし「相続専門」を謳う法人は多くても、実際に専門業務に注力しているのは少数です。

確認方法として、面談や電話で「売上のうち相続業務の割合はどのくらいか」を聞くとよいでしょう。もし8割以上であれば、専門法人と言えます。

さらに税理士向けの専門書籍を発行しているかもチェックポイントです。一般向け書籍は広告目的でも出版可能ですが、専門家向け書籍の執筆経験がある税理士は、知識・経験が裏付けられています。

実績・経験豊富であるか

相続税申告を依頼する際、最も重要なのは担当者の実績です。目安としては、実務経験5年以上かつ年間50件以上の申告実績がある税理士が望ましいです。

大手法人では、法人全体の実績が多くても担当者個人の実績は少ない場合があります。初回面談では、実際に自分の申告を担当する税理士が誰か、そしてその担当者の経験・実績を必ず確認してください。

二次相続の提案があるか

一次相続(配偶者や親の相続)だけでなく、二次相続(残された相続人が亡くなったときの相続)まで踏まえた提案ができる税理士かどうかを確認しましょう。一次相続での節税が、二次相続では逆に税負担を増やす場合もあります。そこで、二次相続を考慮した遺産分割や相続対策の提案をしてくれるかどうかがポイントです。

税務調査率が低いか

税理士に依頼するからには、税務調査のリスクも抑えたいものです。税務調査率を確認し、書面添付制度を活用している税理士は調査率が低く抑えられる傾向にあります。

実務に自信のある税理士は積極的に書面添付を行うため、相続税に強い税理士を見極める方法の1つとなるでしょう。

アフターサービスが充実しているか

申告後も、相続不動産の売却・金融資産運用・二次相続対策・確定申告・税務調査対応など、多くの手続きや相談が発生します。申告のみで終わらず、申告後も長く付き合える税理士かどうかを確認しましょう。特に、将来的な相続や資産運用まで見据えて継続的にサポートしてくれるかどうかが大きな安心につながります。

相続時精算課税制度の申告に強い税理士を探したい方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。経験豊富な税理士が、書類準備から申告手続きまで丁寧にサポートし、あなたの不安や疑問をしっかり解決します。初回相談は無料ですので、安心してご利用いただけます。

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相続時精算課税制度の申告を税理士に依頼する費用を少しでも抑えるコツ

税理士に申告を依頼する際、事前に準備できる書類や情報をそろえておけば作業量が大幅に減り、その分報酬を抑えることが可能です。具体的には、以下のような書類や情報を用意しておくと良いでしょう。

  • 受贈者の戸籍謄本または抄本
  • 贈与財産の明細
  • 申告書に必要な情報

このように必要な書類や情報を事前に整理しておけば税理士側の作業時間を減らせるため、報酬を抑えつつ正確な申告ができます。特に贈与財産が多岐にわたる場合や評価が複雑な場合は、準備の有無で報酬や申告スムーズさに大きな差が出ることがあります。

相続時精算課税制度を活用するメリット

以下では相続時精算課税制度を活用する主な2つのメリットについて解説します。

計画的な贈与で相続争いを防げる

事業の跡継ぎや同居する子どもに財産を多めに引き継ぐ場合など、贈与による資産配分を事前に決められる点がこの制度の強みです。贈与は双方の合意のもとで行われるため、親と子の間で円満に財産を引き継ぎやすくなります。

ただし、過去10年以内の贈与が特別受益とみなされる場合は注意が必要です。相続財産に加算され、遺留分の請求対象になることがあり、相続争いにつながる可能性があります。単に贈与するだけではなく、配分のバランスを考慮しましょう。

贈与時の価額で精算される

相続時精算課税制度では、相続発生時に相続税から既に納付した贈与税を差し引いて精算します。この場合に計算の基準となるのは贈与時の価額です。不動産や株式など、相続時に価値が上がる可能性のある財産は、生前贈与によって節税効果を得やすくなります。

またアパートやマンションなどの収益物件に対して贈与を行うと、受贈者が収益を受け取れるため所得分散にもつながります。令和5年度の税制改正で2024年1月1日以降に被災した土地や建物は、被害分を差し引いて相続税を計算できるようになりました。この改正により、災害による損失を考慮した相続税の負担軽減が可能となったのです。

参考:No.8007 災害により被害を受けたときの贈与税の取扱い|国税庁

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度の注意点を以下にまとめたので、こちらも合わせて確認しておきましょう。

一度適用すると暦年課税に戻せない

暦年課税は、1年間に受け取った贈与額から基礎控除110万円を差し引いて課税する制度です。ただし相続時精算課税制度を選択する届出書を提出すると、その贈与者からの贈与はすべて相続時精算課税の対象になります。そのためいったん選択すると暦年課税に戻すことはできません。

小規模宅地等の特例が使えない

小規模宅地等の特例は亡くなった方の居宅や事業用地などを相続する場合に、相続税評価額を最大80%減額できる節税制度です。しかし、この特例は贈与によって取得した土地には適用されません。そのため、土地の引き継ぎを考える場合、相続時精算課税制度を使うよりも、相続で受け取るほうが節税になるケースもあります。

まとめ

相続時精算課税制度は、生前贈与を通じて相続対策を行える便利な制度ですが、申告の手続きは複雑で専門知識が必要です。事前に必要書類や情報を揃えておけば、報酬を抑えつつ正確な申告が可能になります。

さらに節税メリットがある一方で暦年課税に戻せない・小規模宅地等の特例が使えないといったデメリットもあります。そのため、制度の特徴をよく理解した上で活用しましょう。

相続税申告は「誰に依頼するか」で結果が大きく変わる可能性があります。不安を残さないためにも、実績豊富で信頼できる税理士に早めに相談することをおすすめします。相続税の申告についてお悩みの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

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他の事務所との違いは相続専門チームによる一括対応。税務調査にも強く、これまでに数多くの実績があります。あなたの大切な財産を経験豊富な専門家が守ります。

相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。

相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

また、金融機関不動産関係者葬儀関連企業税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。

監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。