実家の相続で失敗しない!生前贈与による名義変更のメリット・手順
「実家の名義を早めに変更した方が良い?」「生前贈与をすると税金が高くなる?」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。生前贈与による名義変更は、相続トラブルを防ぐ有効な手段であり、場合によっては節税にもつながります。この記事では、生前贈与の基本から実家の名義変更の手順、注意点までを税務の観点から解説します。失敗しない生前対策のポイントを押さえ、スムーズに手続きを進めたい方は参考にしてください。
目次
そもそも生前贈与とは?

生前贈与とは、将来の相続を待たずに、被相続人が生きているうちに自分の財産を他の人へ譲り渡すことです。財産は本来、所有者の意思によって自由に処分できるのが原則です。そのため、生前贈与も正当な方法のひとつとして認められています。
生前贈与の主なメリットを以下の表にまとめました。
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メリット |
詳細 |
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贈与を受けた資金・資産をすぐに活用できる |
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贈与税と相続税の合計負担が軽くなる場合がある |
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特例制度を利用できる場合がある |
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ただし、税制の選択や申告の方法を誤ると、かえって税負担が増えてしまう場合もあります。生前贈与を検討する際は、贈与税と相続税の両面から慎重に判断することが大切です。
「やさしい相続相談センター」では生前贈与のシミュレーションから最適な税制の選択まで、経験豊富な税理士が丁寧にサポートします。まずは無料相談にて今のお悩みをお聞かせください。
実家の名義変更は生前贈与でも可能

生前贈与によって、親から子へ実家の所有権を移し、名義変更を行うことが可能です。特に以下のような場合は、相続を待たずに生前のうちに名義変更を済ませておくのも1つの方法です。
- 親が高齢になり実家の管理が難しくなった
- 老人ホームへの入居などで実家を空き家にする予定がある
ただし、実家を生前贈与する場合には贈与税が課されます。贈与税は相続税よりも税率が高く、基礎控除額も少ないため、同じ金額の財産を移転する場合には相続よりも税負担が大きくなる傾向があります。
生前贈与を検討する際は、事前に贈与税の試算やシミュレーションを行い、税負担を把握したうえで最適な方法を選びましょう。
生前贈与で実家の名義変更をしておくメリット

実家の名義変更は、親から子へ不動産を引き継ぐ際に行われます。親が高齢になり、今後の生活や相続を見据えて名義を早めに変更しておけば将来の相続トラブルを防ぎ、スムーズに不動産を受け継げます。
例えば親が急に亡くなった場合、名義がそのままだと相続人間で不動産の取り扱いを巡る争いが起きることがあります。生前贈与により実家の名義を変更しておくことで、こうしたトラブルを未然に防ぐことが可能です。
また、名義変更は単に相続手続き上の整理に留まらず、贈与税や相続税の節税対策として活用できるケースもあります。適切なタイミングで手続きを行うことで、負担を最小限に抑えられるでしょう。
生前贈与で実家の名義変更をする方法
生前贈与で実家の名義変更をする方法を解説します。
実家の相続税評価額を確認する
まず、贈与対象となる実家の相続税評価額を計算します。これは贈与税や相続税の算定に使われる金額です。土地と建物の相続税評価額の計算方法および調査方法は以下を参考にしてください。
- 土地:路線価方式または倍率方式で評価
- 建物:固定資産税評価額(課税明細書で確認可能)
計算が難しい場合は、相続に詳しい税理士に依頼しましょう。
贈与税を計算する
土地と建物の評価額が分かったら、贈与税を算出します。年間110万円の基礎控除を超える贈与には課税されます。
必要書類を揃える
生前贈与と名義変更には、以下の書類が必要です。
- 登記識別情報通知
- 印鑑証明書
- 住民票
- 固定資産評価証明書
- 贈与契約書
贈与契約書作成前に他の書類を揃えておくと手続きがスムーズになります。
贈与契約書を作成する
贈与は親と子の合意で成立しますが、後日のトラブル防止のため契約書を作成しておくのが望ましいです。贈与契約書は自分で作成することも可能ですが、法的に有効な書面にしたい場合は司法書士に相談しましょう。
所有権移転登記を行う
実家の所有権を子どもに移すには、法務局で所有権移転登記を行います。登録免許税は土地・建物の固定資産税評価額 × 2%がかかります。
贈与税の申告と納税を行う
生前贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日までに、贈与税の申告と納税を行います。贈与税は受贈者が申告・納税するのが一般的です。申告書、必要書類、本人確認書類を税務署に提出します。期限を過ぎると延滞税などのペナルティが発生するので注意しましょう。
実家の贈与では、贈与税以外にも登録免許税や不動産取得税が発生する場合があります。総合的に税負担を確認して、必要に応じて専門家に相談しましょう。
「やさしい相続相談センター」では贈与税の申告手続きから贈与に伴う税務相談まで、相続に強い税理士が丁寧にサポートいたします。生前贈与をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
実家の生前贈与をする際の注意点
実家の生前贈与は、相続トラブル回避や税負担軽減に有効な手段ですが、生活への影響や家族間トラブル、税金負担などのリスクも伴います。ここでは、失敗しないために押さえておきたい注意点を整理します。
贈与後の生活への影響を確認する
実家を生前贈与すると、親は法律上の所有者ではなくなるため、自由に使用や処分ができなくなります。そのため贈与後も親が住み続ける場合は、使用貸借契約を結ぶなど居住権を確保しておくと安心です。また、老後資金や医療・介護費用を考慮し、実家を売却する選択肢も含めて家族で話し合いましょう。
家族間のトラブルを防ぐための話し合いをする
生前贈与が原因で「長男だけが実家をもらった」「自分には何もない」といった不満が生じることがあります。子どもや親族が納得できる説明や配慮を行い、贈与後の生活や同居・非同居の将来像も含めて家族全体で検討してください。
贈与税の負担に備える
不動産の贈与では高額な贈与税がかかる可能性があります。納税義務は受贈者にあるため、子どもに十分な納税資金がなければ家計を圧迫する恐れがあります。
必要に応じて贈与者が援助することも可能ですが、別の贈与として課税される場合があるため、事前に税理士と相談して対策を立てましょう。
名義変更後の管理責任を理解する
名義を変更すると、譲り受けた子どもが固定資産税の納付や修繕・維持管理、災害対応などの責任を負います。空き家になる場合は倒壊リスクや害獣被害も考慮する必要があります。遠方に住む場合は、第三者への管理委託も検討して、贈与後の負担を軽減しましょう。
実家の生前贈与に関するよくある質問
実家の生前贈与に関するよくある質問を以下にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
生前贈与と相続どちらが有利?
生前贈与と相続のどちらが有利かは、一律には決められません。財産の種類や評価額、家族構成、将来の資産計画によって最適な方法は変わります。
贈与税は相続税より税率が高く、基礎控除(年間110万円)を超える贈与には短期的に大きな税負担がかかります。一方で相続は基礎控除が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっており、まとまった財産を残す場合には有利です。
さらに、不動産価値の変動リスクや相続までの期間を考えると、生前贈与によってリスク分散する戦略もあります。相続時精算課税制度を活用すれば、生前贈与をしても相続時に評価を加味する形となり、全体の納税額を抑えられる可能性があります。
どちらが得かは単純比較では判断できないため、個別の事情を踏まえて税理士など専門家に相談しながら決めるのがおすすめです。
生前贈与以外にどんな選択肢がある?
実家を特定の人に継がせたい場合は遺言書の作成がおすすめです。遺言書がある場合、法律で定められた相続分よりも遺言の内容が優先されます。亡くなった方の意思を尊重しつつ、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる分け方も可能です。
形式不備や紛失のリスクを避けるため、行政書士などの専門家に相談しながら作成すると安心です。また所有権を残したまま、実家の管理や運用は任せたい場合は家族信託を活用すると良いでしょう。特に高齢者や認知症リスクのある方に特に有効で、相続までの期間を安全に過ごせます。
まとめ
実家を生前贈与で名義変更しておくことは、相続時のトラブルを防ぐだけでなく、資産を計画的に承継する際におすすめの手段です。ただし、贈与税や登録免許税、不動産取得税など、思わぬ税負担が発生する可能性があります。また、贈与後の管理責任や家族間の合意形成など、税金以外のリスクにも注意が必要です。
生前贈与と相続、どちらが最適かは家庭ごとに異なります。制度を正しく理解し、税負担を最小限に抑えるためには、早い段階で専門家に相談するのが望ましいです。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


