自社株評価の相続税評価額を下げる4つの方法を解説

自社株評価の相続税評価額を下げる4つの方法を解説

自社株評価は、非上場会社にとって相続対策や事業承継の成否を左右する重要なポイントです。自社株の評価額が高いままだと相続税や贈与税が想定以上に発生し、後継者が納税資金を準備できず、スムーズな事業承継が進まないケースも少なくありません。本記事では、自社株評価が高くなる原因や正しい評価方法、そして相続税額を抑えるための具体的な方法を分かりやすく解説します。

自社株評価とは

自社株評価とは、市場に出回っていない会社の株式(非上場株式)に対して、その価値を客観的に計算することです。上場企業の株式は株式市場で日々売買が行われ、株価は「いくらで買いたい・売りたい」という取引によってリアルタイムに決まります。しかし、非上場会社の株式は市場で取引されていないため「今その株がいくらなのか」という価格が自然には生まれません。

そのため非上場株式の場合は、会社の売上や利益、保有している資産や借入金など国税庁が定める評価方法に沿って数値化する必要があります。特に、相続や事業承継では、株式も財産の一つとして扱われるため、株価がいくらかによって相続税の金額が大きく変わります。そのため、自社株評価は相続対策の中でも非常に重要なポイントになるのです。

「うちの場合はいくらになるのか?」と不安な方は、専門家へ早めに相談することをおすすめします。「やさしい相続相談センター」では、状況に応じた最適な評価方法や相続対策をご提案しているため、まずはお気軽にご相談ください。

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自社株評価を求める目的

相続税の計算をする女性

まずは自社株評価を求める目的をおさらいしましょう。

相続税を正しく把握するため

経営者が保有する自社株は、相続財産の大きな部分を占めることがあります。自社株の評価額が分からないと相続税の試算や遺産分割ができず、納税資金が不足するリスクがあります。特に業績の良い会社ほど評価額が高くなるため、生前に評価して対策しておくことが大切です。

公平な株の買い取りを行うため

会社が自社株を買い戻す際、公平な価格を提示するために評価が必要です。正確な評価額があれば、相続人や少数株主に納得してもらいやすく、会社と株主との関係も良好に保てます。

円滑な事業承継を進めるため

事業承継をスムーズに進めるためにも、自社株評価が必要となります。評価額が明確であれば、相続税の試算や遺産分割の計画が立てやすくなります。高額な自社株評価は後継者の負担になることもあるため、資産や負債の整理も含め、早めかつ定期的な評価が推奨されます。

自社株評価の相続税評価額を下げた方が良い理由

事業用資産の計算をする相続人

自社株は、評価額が高ければ良いというわけではありません。相続や生前贈与の際、評価額が高いとその分だけ相続税や贈与税も高くなり、後継者が納税資金を用意できないと思わぬ負担になることがあります。

そのため後継者の税負担を軽くし、円滑な事業承継を目指すには自社株の評価額を適切に下げることが大切です。自社株は創業以来の利益の積み重ねや保有資産、土地価格の上昇などで評価額が高くなりやすいです。そのため、対策を講じないと高額な税負担につながるケースもあります。

自社株評価が高くなる原因

自社株評価が高くなる原因のは会社にお金や資産が多く、利益が出ている等会社の価値が高い場合です自社株評価は市場価格で決まるわけではなく、国税庁が定める基準に沿って「会社の中身(実態)」を数値化する仕組みです。そのため、次のような会社は評価額が高くなりやすい傾向があります。

理由

具体的な内容例

なぜ株価が上がるのか

利益が出ている(業績好調)

売上や利益が安定している

事業価値が高いと判断されるため

内部留保(会社に残しているお金)が多い

流動資金をため込んでいる

「資産価値が高い会社」と評価されやすいため

資産を多く保有している

不動産・有価証券・設備など

保有資産の評価額がそのまま株価に反映されるため

借金が少ない

財務体質が強い

純資産が大きくなるため、株価が高く算出されるため

非上場会社は上場企業と違い、市場での「実際の売買価格」がありません。そのため財務状況をもとに評価すると、会社にお金や資産が多いほど株価が高く算定される仕組みになっています。特に安定経営のために会社に資金を多く残している中小企業ほど「しっかりしている会社」と見なされ、株価が高く出ることが多いです。

自社株評価は、相続税や事業承継の税負担に大きく影響します。「相続税が高くなるのでは…」と不安な方は「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。自社株評価のシミュレーションから相続税対策、事業承継のご相談までトータルでサポートいたします。

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自社株式の相続税評価の方法

自社株式を相続する際には、株の価値を適切に評価して相続税を計算する必要があります。評価には主に以下の3つの方法があります。

類似業種比準価額方式

類似業種の上場株価を基に、自社株を評価する方法です。評価では以下の3つの要素を比べて算出します。

  • 配当額
  • 年間利益(法人税で調整した額)
  • 純資産(直前期末の資本金等に利益積立金や繰越欠損金を加味)

計算式に斟酌率(会社規模に応じて0.5~0.7)を掛けることで、株価を決定します。配当や利益、純資産が類似業種より高ければ、株価も高く評価されます。

純資産価額方式

会社の純資産をもとに株価を評価する方法です。計算式は「(総資産 − 負債 − 評価差益に対する法人税相当額37%) ÷ 自己株式を除く発行済み株式数」です。

税務上の帳簿価額で評価するため、現金よりも不動産を保有している方が株価は抑えられる傾向があります。ただし、相続開始前3年以内に取得した土地や建物は実際の取引価格で評価されるので注意が必要です。

配当還元方式

例外的に使用される評価方法で、株主が同族以外の場合などに適用されます。株価は年間配当額を基に算出し、直前期末以前の2年間平均を使用します。計算結果が2円50銭未満の場合は、最低株価として2円50銭を適用します。

自社株評価の相続税評価額を下げる方法

自社株の評価を下げるには、会社の利益や資産状況を調整する方法があります。代表的な4つの手法を紹介します。

役員報酬の引き上げ

役員に適正な範囲で報酬を増やすと会社の利益が減るため、純資産が下がります。結果として自社株評価も下がります。ただし事業年度途中の増額や高額報酬は認められず、所得税や社会保険料も増えるため注意が必要です。

役員退職金の支給

先代経営者や役員の退職時に退職金を支給すると、大きな損金計上が可能です。利益が圧縮され、株価が下がるため、事業承継時の自社株評価を下げる効果があります。ただし、額が不適正だと税務上問題になるため、専門家に相談しましょう。

株式配当金を低く設定

配当還元方式で株式を評価する場合、配当金を低く設定すると評価額も下がります。記念配当や特別配当は評価対象外なので、普段の配当金を抑えつつ特別配当を活用すると総支出を変えずに株価を下げられます。

組織再編の活用

合併、会社分割、株式交換・移転などを使い、資産や持株比率を調整すると、自社株の評価を低く算定できます。ただし過度な節税目的の再編は「租税回避行為」とみなされるリスクがあるため、必ず税理士など専門家の助言を受けて進めましょう。

まとめ

自社株評価は、非上場会社における相続税・贈与税の金額を大きく左右する重要な要素です。評価額が高いほど税負担も増えるため、後継者が資金繰りに困り、事業承継が滞るリスクがあります。

自社株は利益や内部留保、保有資産などによって評価額が上がりやすく、対策を講じなければ本来より高い相続税を支払う可能性もあります。役員報酬の適正化や退職金、配当政策、組織再編などを活用することで、自社株評価を抑えることが可能です。

ただし、自社株評価は専門性が高く、誤った対策は税務リスクにつながります。安全かつ効果的に評価額を下げたい場合は、相続に精通した税理士のサポートを求めましょう。

「やさしい相続相談センター」では、自社株対策や事業承継のご相談にも丁寧に対応しています。まずは無料相談にてお気軽にご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。