生前贈与の相談先は?専門家別に相談できる内容を紹介!
生前贈与について相談できる専門家として複数の選択肢が存在し、それぞれ対応できる内容が異なります。生前贈与に関する疑問や悩みを確実に解消するためには、相談したい内容に合わせて依頼先を選ぶことが大切です。
今回は生前贈与について相談できる専門家ごとに、それぞれの特徴を詳しく解説します。
目次
生前贈与の相談先その1:税理士

税理士は名前の通り税金の専門家で、税務相談や税務代理ができる唯一の国家資格です。節税を目的とした生前贈与についての相談先として最も適しています。
関連記事:[相続税と贈与税の基礎知識]それぞれの違いと税率・金額を知っておきましょう
税理士に相談できる内容
生前贈与関連のうち、税理士に相談できる内容として以下の例が挙げられます。
- 現時点における相続財産の状況の把握
(相続財産の洗い出し、相続税額の試算、適用を受けられる特例制度の紹介などが可能です) - 相続税の節税を見据えた生前贈与関連
- 生前贈与に伴う贈与税の申告・納付関連
- 将来発生する相続税関連
生前贈与に関する内容のうち、相続税や贈与税について幅広く相談可能です。各人のケースに合わせた適切な節税対策の提案や、将来発生する税金の試算などのサポートを受けられます。
関連記事:【税理士監修】相続税対策に生前贈与を行うべき?生前贈与のメリットや注意点を解説
税理士に相談するメリット
生前贈与について税理士に相談する主なメリットは以下の3つです。
- 個々のケースに合わせた適切な節税対策が可能
- 税務関連の手続きの代行も依頼できる
- 税金関連のミスや漏れのリスクがなくなる
税理士に相談するメリットを一言でまとめると「生前贈与における税金関連の負担やリスクを抑えられるようになる」です。
適切な節税対策ができるため金銭面での負担が減り、代行依頼をすれば自身の手間も抑えられます。また、正確な情報に基づくアドバイスやサポートを受けられるため、ミスや漏れが発生するリスクが大幅に軽減されます。
関連記事:【税理士監修】生前贈与はいくらまで非課税?効果的な節税の方法や注意点を解説
税理士への相談がおすすめな人
結論として税金関連の内容であれば税理士に相談するのが最適です。
節税対策を決めている人だけでなく、節税対策をするか悩んでいる段階の場合でも、早めに税理士に相談することをおすすめします。生前贈与による節税効果は、生前贈与をどれぐらい早くから開始できたかによって大きく左右される可能性があるためです。
生前贈与や相続で発生する税金について少しでも疑問や不安があれば、一度税理士に相談してみましょう。
関連記事:【税理士監修】生前贈与は実施するべきか?生前贈与のメリットや方法、注意点などを解説
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生前贈与の相談先その2:弁護士

弁護士は法律の専門家で、法律に関する幅広い相談が可能です。弁護士の独占業務として、紛争相手との交渉や代理人としての裁判所への出廷などが挙げられます。
遺産分割で親族間でのトラブルの懸念がある場合や、既にトラブルが発生している場合、相談したい内容が幅広い場合などは弁護士への相談が最適です。
弁護士に相談できる内容
弁護士にはルール上、生前贈与関連のあらゆる相談が可能です。
弁護士はあらゆる法律に対応可能であり、かつ、法律事務に付随する他の士業の独占業務を行うことも認められています。前章で挙げた税理士業務についても、弁護士法第3条2項で「弁護士は、当然、弁理士及び税理士の事務を行うことができる。」と規定されています。弁護士資格の保有者は税理士試験を受けなくても、所定の手続きを行うことで税理士業務が可能になる仕組みです。
したがって、生前贈与に関する手続きについて弁護士に依頼できない内容は少ないといえるでしょう。
ただし実際のところ、税務に精通している弁護士は少ないのが事実です。また、一口に弁護士といっても人によって得意分野は異なり、生前贈与に関する依頼は受けていないケースもみられます。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談する最大のメリットは、生前贈与に関して幅広く依頼できる点です。いわゆる法律トラブルだけでなく、税務相談や登記手続きも依頼できるため、依頼内容によって相談先を分ける必要がありません。
また、弁護士のサポートを受けることで、法律トラブルを起こさず適切な生前贈与を進められる可能性が高いです。
弁護士への相談がおすすめな人
生前贈与について弁護士へ相談するのがおすすめな人として、以下の例が挙げられます。
- 相続人との関係が悪く、生前贈与によるトラブルの懸念がある
- すでにトラブルが発生しており、今の状態では生前贈与を進めるのが難しい
- 相談したい内容が多岐にわたるが依頼先は1つにまとめたい
法律トラブルの対応を当事者のみで行うのは不可能ではないとはいえ、スムーズに解決できる可能性は低いでしょう。トラブルの懸念がある、もしくは既にトラブルが発生している場合は弁護士に相談するべきといえます。
また、相談先を1ヵ所に絞りたい場合も弁護士への依頼がおすすめです。ただし弁護士報酬は高額になりやすいため、費用対効果を十分に検討する必要があります。
生前贈与の相談先その3:司法書士

司法書士は法律事務の専門家です。司法書士が行う主な業務として、登記、供託、訴訟関連が挙げられます。
すでに発生した法律トラブルの解消を専門とする弁護士と違い、司法書士は将来の紛争を防ぐための業務が中心です。
司法書士に相談できる内容
生前贈与関連で司法書士に相談できる内容として主に以下の2つが挙げられます。
- 不動産登記
- 贈与契約書の作成
特に、登記手続きのアドバイスやサポートは司法書士の独占業務です。不動産の生前贈与についての相談先は司法書士が最適といえます。
司法書士に相談するメリット
司法書士に相談するメリットは不動産の生前贈与について贈与契約書の作成から登記手続きまで相談できる点です。司法書士への相談によって、不動産の生前贈与にかかる負担を最小限に抑えつつ、スピーディーかつ正確な手続きを実施できます。
司法書士への相談がおすすめな人
司法書士への相談がおすすめなのは、不動産の生前贈与を検討している人です。
不動産の登記申請は自身で行うことも可能ですが、必要書類が多く手続きが複雑なため、専門知識がないとミスや漏れの恐れがあります。また、書類の手配はもちろん、情報収集や理解のために膨大な時間を要する可能性も高いです。
不動産の生前贈与を行う際は、登記の専門家である司法書士のサポートを受けることをおすすめします。
関連記事:生前贈与で受け取った土地・不動産を売却する場合の税金・費用とは?
生前贈与の相談先その4:行政書士

行政書士は官公署へ提出する書類や権利義務に関する書類の作成・相談などを専門とする国家資格です。主な業務として、許認可申請の代行、契約書の作成、外国人の在留資格に関する手続きなどが挙げられます。行政書士が作成する書類の種類は1万を超えるといわれています。
行政書士に相談できる内容
生前贈与関連で行政書士に依頼できる内容として、贈与契約書の作成が挙げられます。また、生前贈与ではなく相続に関する業務ですが、遺産分割協議書や公正証書遺言の原案作成など、権利義務に関する書類全般について相談可能です。
前提として、生前贈与において贈与契約書の作成は必須ではありません。しかし、贈与の事実および内容を客観的に証明する手段として、贈与契約書を作成するのが一般的です。
贈与契約書の内容に不備や漏れがあると契約書の効力を認められず、生前贈与が否認される恐れがあります。生前贈与を確実に成立させるため、専門家である行政書士に贈与契約書の作成を依頼するケースが多くみられます。
行政書士に相談するメリット
行政書士に相談するメリットは費用を抑えられる点です。
生前贈与について行政書士に相談できる内容は贈与契約書の作成のみといえます。言い換えると、行政書士には贈与契約書の作成のみの依頼が可能です。
依頼する業務の範囲が狭いため、他の専門家に依頼する場合に比べて報酬が安く済みます。
行政書士への相談がおすすめな人
行政書士への依頼がおすすめなのは、生前贈与関連で相談したい内容が贈与契約書の作成のみの人です。具体的には、節税対策としての生前贈与ではない場合や、不動産以外の財産を贈与する場合などが挙げられます。
生前贈与の内容がシンプルな場合は贈与契約書の作成依頼のみで問題ないため、行政書士への依頼が最適といえるでしょう。
生前贈与について相談したい内容に合わせて専門家を選ぼう
一口に「生前贈与に関する相談」といっても、内容は多岐にわたります。専門家によって専門分野や対応できる業務が異なるため、相談したい内容に合わせて依頼先を選ぶ必要があります。
節税対策や贈与税申告など税金関連の内容は税理士に相談するのが最適です。法律トラブルが絡むのであれば、法律の専門家である弁護士に相談しましょう。贈与するのが不動産の場合は不動産登記が必要になるため、司法書士への依頼がおすすめです。依頼したい内容が贈与契約書の作成のみの人は、行政書士への相談が最適といえます。
まずは相談したい内容を明確にし、その上で相談先とする専門家を選びましょう。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
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