相続税・贈与税にかかる加算税とは?仕組みと税率をわかりやすく解説

相続税・贈与税にかかる加算税とは?仕組みと税率をわかりやすく解説

相続税や贈与税を期限内に正しく申告・納付しなかった場合、どのようなペナルティが課されるのでしょうか。負担は申告を忘れた場合や申告内容が不足していた場合など、状況によって異なり、さらに税務調査で発覚すると重い処分に繋がる場合もあります。本記事では、相続税・贈与税にかかる加算税の仕組みや種類、調査との関係まで整理して解説します。申告や納税を怠った際のリスクを知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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相続税・贈与税と加算税の仕組み

相続や贈与で財産を取得したとき、どのような加算税が課されるのでしょうか。相続税・贈与税の基本と加算税が発生する仕組みについて解説します。

相続税と贈与税は財産の取得に課される税金である

相続税は、人が亡くなったときに財産を取得した相続人に課される税金であり、贈与税は生前に財産をもらった人に課される税金です。

いずれも「財産を取得した事実」に対して課税されるもので、財産の評価額や適用できる控除制度の有無によって実際の税額が決まります。

参考:財産を相続したとき|国税庁

期限内に申告・納付しないと加算税が課される

相続税や贈与税は、申告と納付の期限が法律で定められています。以下の期限を過ぎると本来の税金に加えて加算税が課されます

  • 相続税:相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内
  • 贈与税:贈与を受けた年の翌年3月15日まで

参考:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

参考:No.4429 贈与税の申告と納税|国税庁

関連記事:【税理士監修】遺産相続に期限はあるの?期限切れのリスクと手続きのポイントを解説

相続税・贈与税にかかる加算税の種類

相続税や贈与税では、申告や納付に不備があると「加算税」が課されますが、その種類は状況によって異なり、対象となるケースも変わってきます。加算税の種類について解説します。

申告をしなかった場合に「無申告加算税」が課される

相続税は相続開始を知った翌日から10ヵ月以内、贈与税は翌年3月15日までに申告が必要であり、この期限までに一切申告をしていない場合、無申告加算税が課されます。

期限を守らずに放置してしまうと、税額に上乗せして追徴されるため注意しましょう。

申告額が少なかった場合に「過少申告加算税」が課される

期限内に申告していても、財産評価の誤りや記載漏れなどにより、本来納めるべき金額より少なく申告していた場合には過少申告加算税が課されます。

意図的でなくても「不足額」がある以上、対象となる可能性がある点に留意しましょう。

故意に財産を隠した場合に「重加算税」が課される

財産を隠したり、虚偽の内容で申告したりするなど、明らかに不正とみなされる行為を行った場合には、最も重い重加算税が課されます。

これは単なる申告漏れや誤りではなく、納税を逃れるための意図的な行為に対して科されるペナルティです。

税務調査と加算税の関係

加算税は法律で仕組みが定められていますが、実際に納税者が大きな負担を感じるのは税務調査の場面です。調査では相続税や贈与税の申告内容が詳細に確認され、申告漏れや隠ぺいが明らかになると加算税が課されます。

税務調査と加算税の関係性について解説します。

税務調査で申告漏れが発覚すると加算税が課される

税務調査で申告漏れや誤りが見つかると、無申告加算税や過少申告加算税が課されます。

自主的に修正した場合より税率が高く設定されるため、調査後の指摘は大きな負担となります。

特に相続税や贈与税は財産評価が複雑で見落としやすく、放置すれば必ず調査で明らかになるため、早めに修正を行いましょう。

税務調査では生前贈与も確認される

相続税の調査では、生前贈与の有無が重点的に確認されます。

もし未申告の贈与が見つかれば、相続税だけでなく贈与税の対象にもなり、加算税が追徴される場合があるでしょう。

生前贈与は記録や契約書など証拠が残るため調査で発覚しやすいため、事前に整理して正しい申告を行うのが重要です。

税務調査で隠ぺいと判断されると重加算税が課される

税務調査で財産や贈与を意図的に隠したと認定されると、重加算税が課されます。これは無申告や過少申告より重いペナルティで、通常より高い税率が上乗せされます。

預金通帳や取引記録などの証拠は調査で必ず確認されるため、隠し通すのは不可能に近く、また不正が発覚すれば追徴課税に加え社会的信用を失うリスクもある点に注意しましょう。

税務調査で申告漏れが見つかると負担は一気に増えます。

調査が入る前に正しく対応するためにも、経験豊富な税理士へご相談ください。

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相続税・贈与税にかかる加算税の税率

遺留分割合 計算

相続税・贈与税には、どのような税率で加算税が課されるのでしょうか。無申告加算税・過少申告加算税・重加算税の税率について解説します。

無申告加算税

無申告加算税の税率は、自主的に期限後申告をすれば一律5%で済みますが、前述したように、税務署から調査通知を受けてしまうと負担は一気に重くなります

調査開始前に申告した場合は10〜25%、調査後に指摘を受けた場合は15〜30%にまで上がるため、申告のタイミングが税額を大きく左右します。

さらに、過去5年以内に同じ税目で処分歴がある場合には「再犯」とされ、最大40%に引き上げられる点に注意しましょう。

贈与税額

自主的に申告した場合

調査通知後〜調査前に申告した場合

調査後に申告した場合

50万円以下の部分

5%

10%

15%

(再犯時25%)

50万円超〜300万円以下の部分

5%

15%

20%

(再犯時30%)

300万円超の部分

5%

25%

30%

(再犯時40%)

関連記事:タンス預金の無申告は税務署にばれる!最適な相続・贈与税対策は?

過少申告加算税

過少申告加算税の計算では、「基準額」という考え方が用いられ、期限内に申告した税額と50万円のうち大きい方が基準額となります

基準額までの部分と、それを超えた部分で税率が異なり、こちらも前述した税務調査後に修正した場合には最大15%まで課される可能性があります。

なお、自主的に修正申告を行えば加算税は免除されるため、誤りに気づいた時点で速やかに対応するのが賢明でしょう。

区分

自主的に修正申告(調査前)

調査通知後〜調査前に修正申告

調査後に修正申告

基準額※までの部分

なし(免除)

5%

10%

基準額※を超える部分

なし(免除)

10%

15%

※期限内申告額と「50万円」のうち大きい額

重加算税

重加算税の税率は、過少申告の場合は35%、無申告の場合は40%が本税に上乗せされます

さらに、過去5年以内に同じ税目で加算税を受けていると「再犯」となり、それぞれ45%・50%にまで引き上げられるため、リスクは非常に大きくなります。

区分

通常の場合

過去5年以内に加算税を受けた場合(再犯時)

過少申告の場合

35%

45%

無申告の場合

40%

50%

「自分の場合はいくらになるのか」と不安に感じた方は、専門の税理士にご相談ください。実際の状況に応じたシミュレーションや対策をご案内します。

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相続税・贈与税にかかる延滞税について

相続税や贈与税では、申告に不備があると加算税が課されますが、それとは別に「延滞税」という税金もあります。

延滞税は、申告の正誤に関係なく「納付が期限に間に合わなかった日数」に応じて課されるもので、利息のように納期限の翌日から加算されていきます

税率は毎年の基準金利をもとに変動し、さらに遅れた期間によって段階的に重くなります。納期限を過ぎて2ヵ月以内なら比較的低い利率ですが、2ヵ月を超えると一気に高くなります。

【令和7年度の場合】

納付の遅れ

適用税率

納期限から2ヵ月以内

年2.4%

納期限から2ヵ月を超える場合

年8.7%

参考:延滞税の割合|国税庁

相続税・贈与税における時効

時効

相続税や贈与税には時効があり、一定期間を過ぎると課税権が消滅します。ここでは、その基本的な仕組みについて解説します。

相続税・贈与税の時効は異なる

相続税と贈与税には、それぞれ課税処分が可能な時効が定められており、相続税は申告期限の翌日から原則5年、贈与税は同じく翌日から原則6年が時効期間です

相続税の申告期限は「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月後」で、その翌日から5年間が時効の期間として数えられます。

贈与税は「贈与を受けた年の翌年3月15日」が申告期限であり、その翌日から6年間が時効の期間となります。

いずれも申告期限の翌日が時効の起算点となる点は共通していますが、相続税は5年、贈与税は6年と期間に違いがあることを理解しておきましょう。

参考:国税通則法 | e-Gov 法令検索

参考:B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続|国税庁

関連記事:【税理士監修】相続税の時効は5年?時効が成立することはあるのか?

関連記事:【税理士監修】贈与税の時効はいつから?時効が成立しないケースやペナルティを解説

不正があると時効は延長される

相続税や贈与税の申告で、財産を意図的に隠したり虚偽の内容を記載したと認められると「不正」と判断されます。この場合、時効は相続税では5年から7年へ、贈与税では6年から7年へと延長されます

悪質な行為とみなされれば、課税リスクが長期化するだけでなく、高率の加算税も課されるため、金銭的にも社会的にも大きな不利益を被ります。

時効前に税務調査が入る可能性がある

理論上は5年または6年(不正があれば7年)で時効が成立しますが、実務ではその前に税務署が調査を行うケースがほとんどです。

調査によって申告漏れや不正が明らかになれば、本税だけでなく加算税や延滞税が追徴されるため「時効まで逃げ切れる」と考えるのは現実的ではありません

相続税・贈与税にかかる加算税を避けるための対策

事業承継

加算税を防ぐためには、どのような対応が有効なのでしょうか。申告における注意点や基本的な対策について解説します。

期限内に相続税と贈与税を正しく申告する

相続税や贈与税は、必ず期限内に正しく申告しましょう。申告期限を過ぎると本税だけでなく無申告加算税が課され、負担が大きくなります。

必要書類を早めに揃えて準備を進めれば、記載漏れや遅延を防ぎやすくなり、余計なリスクを避けられます。

贈与がある場合は相続税の申告に含めて申告する

相続税の申告では、生前贈与も含めて申告しましょう。これを漏らすと税務調査で指摘され、加算税が課されるリスクがあります。

特に生前贈与は契約書や振込記録など証拠が残りやすく、発覚しやすい項目です。必ず確認し、申告書に反映させましょう。

修正申告をすれば加算税が軽減される場合がある

申告後に誤りを見つけたら、自主的に修正申告しましょう。税務署の調査で指摘されてから修正するのと、自ら修正するのとでは扱いが異なります。

自主的な対応の方がペナルティが少なく、結果的に負担を抑えられるため、誤りに気づいたら速やかに行動しましょう。

相続税・贈与税にかかる加算税に不安がある方は専門家に相談

相続税や贈与税の申告で誤りや漏れがあると、無申告加算税や過少申告加算税、さらには重加算税まで課される可能性があります。延滞税を含めると負担はさらに大きくなり、資産に深刻な影響を及ぼしかねません。

こうしたリスクを避けるためには、早い段階で専門家に相談するのが有効です。税務調査の対応や修正申告の判断など、経験豊富な専門家でなければ難しい場面も多くあります。

小谷野税理士法人では、相続税・贈与税の申告や調査対応に関する豊富な実績があります。複雑なケースでも適切なアドバイスとサポートを受けられるため、安心して任せられるでしょう。

相続税や贈与税の加算税でお悩みの方は、ぜひ小谷野税理士法人にご相談ください。

相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。

相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

また、金融機関不動産関係者葬儀関連企業税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。

監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。