遺産分割後の新たな遺産を発見したときの対処法まとめ!トラブルを防ぐ方法も解説

遺産分割後の新たな遺産を発見したときの対処法まとめ!トラブルを防ぐ方法も解説

遺産分割が一度完了しても、その後に新たな遺産が見つかることは珍しくありません。場合によっては申告漏れや相続人間のトラブルにつながることもあります。遺産の規模や性質によっては全体の分割をやり直しせざるを得ないケースもあるので要注意です。本記事では、新たな遺産が発見された際の対応方法や相続税への影響、トラブルを避けるためのポイントをまとめて解説します。

新たな遺産として見つかりやすい財産とは

新たな遺産として見つかりやすい財産として特に注意が必要な財産の一例をご紹介します。

  • インターネット取引の資産
  • 海外の銀行預金・不動産
  • 名義預金
  • 生前贈与
  • タンス預金
  • 共同名義の資産
  • 美術品や宝石など

また借金などのマイナス財産も見落とされがちです。相続人全員が協力して丁寧に財産を確認し、漏れのない相続財産リストを作成することで、申告後のトラブルを防ぎやすいでしょう。

不安がある場合は税理士に相談し、財産の洗い出しから申告まで専門的なサポートを受けると安心です。遺産分割に関してお悩みの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

遺産分割後に新たな遺産が見つかったらどうする?

結論から言えば、遺産分割をやり直す必要はありません。新たに判明した遺産と、既に分割済みの遺産が別個のものであれば、過去の遺産分割協議は有効のためです。

つまり新たな遺産については相続人同士であらためて協議を行い、その分け方のみを決めればこと足ります。ただし、新たな遺産の分割方法で意見がまとまらなければ、再びトラブルに発展する恐れもあるので要注意です。

せっかく成立した遺産分割協議が争いの火種となるのは避けたいものです。話し合いが難航する場合には、税理士へ相談することが解決への近道となるでしょう。

新たな遺産が見つかったらまずやるべきこと

新たな財産が見つかった場合、まず行うべきことは速やかに遺産分割協議を行い、必要に応じて相続税の申告を修正することです。放置すると申告漏れとみなされ、税務調査で指摘を受けるリスクがあります。

手続きの大まかな流れは以下の通りです。

手続きの流れ

ポイント

①全相続人で協議

発見された財産を全員に共有し、分割方法について話し合う

②財産評価の確認

新たに見つかった財産の正確な価値を確認し、分割の基準とする

③分割方法の決定

相続人全員の合意を得て、新しい財産の分け方を決定する

④協議書の作成

決定内容を遺産分割協議書に反映し、相続人全員が署名・捺印する

必要に応じて、この協議書をもとに相続登記や相続税申告の手続きも進めましょう。

新たな遺産が見つかった後に遺産分割をやり直すべきケース

以下では、新たな遺産が見つかった後に遺産分割をやり直した方がいいケースについて解説します。

ケース

内容

対応方法

新たな遺産が分割内容に大きな影響を与える場合

発見された遺産が高額で、最初から分かっていれば相続人は同じ分割を選ばなかった場合

  • 錯誤無効を主張し、以前の遺産分割は無効となる
  • すべての遺産を含めて分割をやり直す

相続人が遺産を隠していた場合

特定の相続人が遺産を隠し、当初の協議に含まれなかった場合

  • 詐欺取消や錯誤無効を主張できる
  • 他の相続人の納得が得られない場合、全遺産の再分割が必要となる

新たに遺産が発見された場合には、その内容や経緯によって遺産分割をやり直す必要が生じることがあります。万一のトラブルに備えて、税理士などの専門家に相談しながら適切に対応するのが望ましいでしょう。

遺産分割後に新たな遺産が見つかった場合の相続税の対応方法

相続税の申告

遺産分割後に新たな遺産が見つかった場合の相続税の対応方法を3つのケース別に解説します。

ケース

内容

対応方法

新たな財産を加えても非課税枠内に収まる場合

相続税は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」の基礎控除額を超える遺産に課税される

例:相続人が3人なら基礎控除額は4,800万円。遺産総額が4,800万円以下なら申告・納付不要

非課税枠内に収まる場合、追加の申告や納付は不要

新たな財産を加えたことで非課税枠を超える場合

例:当初の遺産総額が4,500万円(申告不要)で、その後500万円の財産が見つかり総額5,000万円になると、非課税枠4,800万円を超えるため課税対象となる

相続税の申告・納付が必要

すでに相続税を申告・納付済で、新たな遺産が見つかった場合

既に相続税を計算・納付しているが、新しい財産の発覚により遺産総額が増える

相続税の修正申告が必要

新たな遺産が見つかった際には放置せず、速やかに税理士へ相談して正しく対応することが大切です。遺産分割の相続税対応に関してお悩みの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

遺産分割後のトラブルを防ぐためのポイント

以下では遺産分割後のトラブルを防ぐためのポイントを解説します。

相続財産調査を徹底する

遺産分割後のトラブルを防ぐには、徹底した財産調査が必要です。調査が不十分だと、後から発見された財産の扱いで相続人同士が揉める原因となります。

例えば、不動産は固定資産税評価証明書や名寄帳で確認し、金融資産はネットバンキングや証券口座も調べなくてはいけません。つまり最初の段階で漏れなく調査しておくことが、後日の余計な手続きを防ぐ最大のポイントとなります。

記載のない財産の取り扱いを決めておく

協議書には「記載されていない財産が出た場合の取り扱い」を必ず盛り込みましょう。新しい財産が発覚した際、その都度協議をやり直すのは時間も労力もかかります。

協議書に「記載漏れの財産は原則として法定相続分で分割する」といった条項を加えておけば、スムーズに処理できます。事前に取り決めをしておくことで、相続人間の余計な争いを未然に防げるでしょう。

新たな遺産が見つかったら遺産分割協議書は自分で作成できる?

遺産分割協議書

遺産分割協議書自体は自分でも作成可能です。専門知識がなくても記載できる内容のため、作成費用はかかりません。ただし、不備があると手間が増えるため、注意して作成することが重要です。

自分で作成するメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 作成費用を抑えられる
  • 相続内容を他人に知られない

デメリット

  • 不備が起こりやすい
  • 訂正に手間がかかる

自分で遺産分割協議書を作成することも可能ですが、誤記や不備があると余計な手間や申告期限に間に合わないリスクがあります。安心して手続きを進めるためにも、専門知識を持つ税理士へ相談することをおすすめします。

関連記事:遺産分割調停とは?手続きの流れや費用、有利に進めるためのポイントを解説

遺産分割協議書の作成方法

遺産分割協議書

遺産分割協議書の書式は定められていないため、手書きでもパソコンでも作成可能です。相続人の人数分を作成し、各自が原本を保有します。また内容が同一であることを示すため、相続人全員で割印を行わなくてはいけません。

2枚以上にわたる場合は、全員の契印も必要です。遺産分割協議書に記載すべき内容は以下の通りです。

  • 被相続人の氏名、生年月日、死亡日、本籍地、最後の住所
  • 相続人全員が遺産分割の内容に合意している旨
  • 各相続人が取得する相続財産の内容
  • 後日判明した財産の取り扱い方
  • 遺産分割協議が成立した旨
  • 相続人の人数分作成した旨
  • 作成年月日
  • 相続人全員の住所、氏名(署名)、押印(実印)

誰がどの財産を相続するかを明確にするため、預貯金であれば通帳の情報、不動産であれば登記事項証明書の内容を記載しましょう。パソコンで作成する場合でも、相続人全員で署名・押印するのが望ましいです。

関連記事:相続時の遺産分割協議書は何通必要?どこに提出するの?

遺産分割に関する相談を税理士に依頼するメリット

以下では、遺産分割に関する相談を税理士に依頼するメリットをご紹介します。

書類作成や手続きのミスを防げる

税理士に依頼することで、遺産分割協議書の作成ミスや不備が防げます。相続人が多い、高額財産がある、複雑な財産を相続する場合でも安心して作成できます。士業が作成した書類は信頼度が高く、名義変更などの手続きもスムーズに進められるでしょう。

相続人間の争いがあっても協議が円滑に進む

相続人同士の対立が予想されるときは、専門家を介すことで協議がスムーズに進みます。感情的なやり取りになりやすい相続問題も、税理士などの専門家が入ることで、公平かつ冷静に話し合いを進められるでしょう

実際、もめやすい家庭でも専門家が間に入ることで、合意形成まで短期間で進むケースもあります。争いを防ぎたい場合は早めに相談しておくと良いでしょう。

難しい分割方法(代償分割・換価分割)も安心して任せられる

複雑な財産の分割は、専門家に任せることでトラブルを回避できます。不動産などは現物で分けにくく、代償分割や換価分割が必要になるからです。

例えば、不動産を無理に分割すると資産価値が下がってしまいますが、税理士に依頼すれば適切な方法で分割できます。不動産を守りつつ公平に分割したい場合には、専門家の力を借りるのがおすすめです。

相続人や財産調査も依頼できる

相続人や財産の全容が不明な場合でも、専門家に調査を依頼できます。相続では、行方不明の相続人や見落とされた財産が後から発覚することも少なくないです。

例えば不動産や預貯金だけでなくネット証券や保険契約も調査対象にできるため、個人では把握しにくい資産も漏れなく確認できます。その結果、相続トラブルの原因となる「財産の見落とし」を防げるでしょう。

財産分割や不動産登記も一括で任せられる

手続きを効率よく進めたいなら、税理士にまとめて依頼するのがおすすめです。遺産分割協議書の作成と並行して、不動産相続登記や財産の分配も進められます。

実際、専門家に依頼すれば相続人が集まる手間や書類のやり取りが減り、スムーズに名義変更まで完了できます。

相続税申告もまとめて依頼できる

相続税申告は複雑で、誤りがあると追徴課税のリスクがあるため、専門的な知識が必要です。例えば、土地の評価や小規模宅地等の特例の適用は専門家でないと判断が難しく、申告内容に差が出ることもあります。そのため、協議書作成から相続税申告までまとめて依頼することで、安心して手続きを完了できます。

関連記事:代償分割とは?遺産分割・相続税でもめない方法

まとめ

新たな遺産が発見されても、慌てる必要はありません。多くの場合はその財産に限って協議を行えば解決できますが、高額資産や隠匿があった場合には分割をやり直す必要が生じることもあります。

また、相続税の基礎控除を超える場合や修正申告が必要なケースもあるため、早めの対応が重要です。遺産調査を徹底し、協議書に記載漏れ財産の取り扱いを盛り込むなど、事前の備えがトラブル防止につながります。

不安がある場合は税理士に相談し、分割協議から相続税申告まで一括して任せることで、安心して手続きを進められるでしょう。遺産分割に関してお悩みの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。

相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

また、金融機関不動産関係者葬儀関連企業税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。

監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。