相次相続控除は1年以内ならどうなる?制度の仕組みと活用ポイントを解説

相次相続控除は1年以内ならどうなる?制度の仕組みと活用ポイントを解説

相次相続控除は、一次相続から1年以内に二次相続が発生した場合にどのような扱いになるのでしょうか。短期間に相続が続くと、同じ財産に相続税が重複して課され、負担が大きくなる場合があります。本記事では、相次相続控除の仕組みや控除額の考え方、注意点について分かりやすく解説します。相次相続控除で迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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相次相続控除とは

夫婦で行う贈与

相次相続控除とは、一次相続のあと短い期間で二次相続が発生した場合に、相続税が重複して課税される負担を調整するための制度です。

一次相続で相続税を支払った財産について、その直後に二次相続が起きると、短期間に二度相続税が発生するため、納税負担が過度に重くなる可能性があります。

この負担を軽減するため、二次相続の申告では、一次相続で納めた相続税の一部を控除できる仕組みが「相次相続控除」です。

制度を利用するには、以下の条件を満たしている必要があります。

要件

内容

一次相続の相続人である

相続放棄している場合は対象外となる

一次相続から10年以内の二次相続である

期間が短いほど控除が大きくなる

一次相続で相続税を納付している

納税額がゼロの場合は控除なし

相次相続控除は、一次相続からの期間が短いほど控除効果が大きくなるのが特徴です。相続が立て続けに起きる場合ほど負担軽減の効果が高くなるため、適用可否の判断が重要になります。

参考:No.4168 相次相続控除|国税庁

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相次相続控除は「1年以内」の相続で効果が最大化する

相続税の配偶者控除

相次相続控除は、一次相続から二次相続までの期間が短いほど控除額が大きくなる制度だと説明しましたが、中でも一次相続から1年以内に二次相続が発生したケースは、控除効果が最も大きく適用されます。

これは、短期間に同じ財産へ相続税が二度課されると負担が過度に重くなるため、その不公平を強く調整する必要があるという考え方に基づいています。

反対に、経過年数が長くなるほど控除額は減少し、10年を超えると控除は適用されないので注意しましょう。

相次相続控除の計算式と「1年以内」の影響

相次相続控除額は、経過年数が短いほど (10 − 経過年数) の値が大きくなり、控除額が増える仕組みになっています。一次相続から1年以内の場合は経過年数を0年として計算するため、控除割合は最大となります。

一方、年数が経過するほど控除額は徐々に縮小し、10年以上経過すると控除額は0となり、制度は適用されません。

参考:No.4168 相次相続控除|国税庁

相次相続控除が必要となる典型的なケース

葬儀・葬式のイメージ

短い期間に相続が続く状況は、身近で起こり得るケースです。相次相続控除の検討が必要となる典型的なパターンをご紹介します。

父の相続の直後に母が亡くなるケース

父の相続税を納めた後、間を置かずに母が亡くなり、再び相続されるケースです。

母は父の財産を相続した時点で相続税をすでに支払い済みですが、その直後に二次相続が発生すると、短期間で二度の課税が行われ、負担が大きくなります。

こうした二重課税を調整するために相次相続控除が利用されます。

配偶者控除適用後に短期間で二次相続が起きるケース

一次相続で配偶者控除の特例を利用すると、配偶者の相続税は大幅に軽減され、場合によっては納税額がゼロになるケースもあります。納税額がゼロの場合は、相次相続控除は適用できません。

しかし、配偶者控除適用後に配偶者に相続税が発生した場合、相次相続控除を適用できる可能性があります。

参考:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁

兄弟間で短期間に二次相続が発生するケース

親の財産を兄弟が順番に相続するケースでも、短期間で相続が続くと負担が重くなりがちです。

兄弟間の相続では、配偶者控除のような大きな控除が利用できず、相続税がそのまま直接負担となるため、税額が大きくなりやすい特徴があります

例えば、兄が相続税を支払った後にすぐ兄が亡くなり、弟が財産を引き継ぐ場合、弟は兄が相続した同じ財産について再び相続税を支払う必要が生じます。

また、兄弟間では財産の分け方が均等とは限らず、取得割合によって負担が大きく変わる点にも注意しましょう。

相次相続控除の申告手続きについて

相次相続控除を検討する際は、必要書類の準備と申告期限の管理が重要です。どのような流れで申告を進めるのか、基本的な手続きについて解説します。

申告手続き

相次相続控除を適用するには、期限内に正しく申告を進める必要があります。以下の内容を押さえて手続きを進めましょう。

項目

内容

相続税申告書の提出期限

死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内

提出先

被相続人の住所地を管轄する 税務署

提出方法

相続税申告書と併せて相次相続控除を申告

記載漏れの対応

更正の請求・修正申告で5年以内なら適用可

提出時に相次相続控除の記載を忘れた場合や、資料不足で控除が反映されていない場合でも、原則5年以内であれば更正の請求や修正申告で適用可能です

ただし、期限を過ぎると対応できなくなるため、提出後も内容を確認し、気づいた時点で速やかに手続きしましょう。

参考:B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続|国税庁

必要書類

相次相続控除を適用するには、控除額の計算根拠となる書類を揃える必要があります。

書類

内容

第7表(相次相続控除額の計算書)

控除額を算定するための計算書

前回の相続税申告書控え(写し)

前回の相続税額と取得割合の確認に必要

相続税申告書一式

通常の相続税申告書と併せて提出

前回の申告書控えが手元にない場合は、税務署で写しの交付請求が可能です。準備に時間がかかる場合もあるため、早めの確認と手配を行いましょう。

参考:相次相続控除額の計算書  |  国税庁

参考:相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)|国税庁

相次相続控除を利用する際の注意点

相次相続控除を適用するためには、制度の仕組みだけでなく、申告期限や適用条件などの実務上のポイントを正しく理解しておく必要があります。手続きの過程で注意すべきポイントについて解説します。

二次相続の申告期限は「相続開始の翌日から10ヵ月以内」

相続税の申告は、相続開始の翌日から10ヵ月以内に必ず行いましょう。

この期限を過ぎると相次相続控除は適用できず、負担軽減の機会を失ってしまいます。

相続が短期間で続く場合、財産内容の整理や資料収集が追いつかず、申告準備が遅れるケースも少なくないため、10ヵ月という期限を意識して、できるだけ早い段階から手続きを進めるのが重要です。

参考:No.4205 相続税の申告と納税|国税庁

一次相続で相続放棄した人は控除の対象外

相続放棄の扱いを正確に理解しておきましょう。

相次相続控除は、一次相続で相続税を実際に負担した人の税負担を調整する制度なので、相続放棄をした場合はそもそも相続税を負担しておらず、控除を受けられません。

制度を誤解したまま手続きを進めると申告漏れに繋がる可能性があるため、事前に適用条件を確認しておくのが大切です。

参考:相続の放棄の申述 | 裁判所

控除後の税額が0円になっても申告はしておくべき

控除後の税額が0円になった場合でも、申告書を提出しておきましょう。

控除適用により相続税が0円となるケースでも、後日財産を売却するなど税務上の説明が必要になった際に、申告記録が重要な証拠として役立つためです

後になって説明できず不利な扱いを受けるリスクを避けるためにも、0円申告は行うべきです。

控除額は相続人の間で自由に配分できない

控除の計算方法を正しく理解しておきましょう。

相次相続控除は、法定相続分などに基づいて自動的に計算される制度なので、相続人同士の話し合いで自由に配分割合を調整できません。ただし遺言書がある場合は、その内容に沿って遺産分割を行えるため、結果的に負担割合が変わる場合があります。

後から調整できないため、事前に計算方法を把握し、必要に応じて遺言書の準備も検討しましょう

相次相続控除に関してよくある質問

相次相続控除の仕組みや適用範囲には、実務上つまずきやすいポイントが多く、疑問が生じやすいです。以下に相談が多い質問を取り上げますので、制度理解の参考にしてください。

一次相続から1年以内の場合、経過年数はどう扱われますか?

一次相続から1年以内で二次相続が発生した場合、経過年数は「0年」として扱われます

相次相続控除の計算では、「(10 − 経過年数)÷10」 という係数が使われ、経過年数が短いほど控除額が大きくなるため、経過年数が0年となる1年以内の二次相続が最も控除効果が大きくなる仕組みです。

一次相続の申告が終わっていなくても相次相続控除は使えますか?

一次相続の申告がまだ完了していなくても相次相続控除の適用は可能です

二次相続の申告時に、一次相続の税額や取得割合などが確認できる資料が揃っていれば、控除の計算自体は進められます。

ただし、二次相続の申告期限は原則 「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」 と決まっており、書類準備が遅れると控除を適用できなくなるリスクがあります。

必要書類の収集や計算の整理が複雑になるケースが多いため、時間的な余裕を持って進めるか、専門家のサポートを利用しましょう。

一次相続で相続税が発生しなかった場合でも控除は利用できますか?

一次相続で相続税を納付していない場合は相次相続控除は利用できません

相次相続控除は、短期間で同じ財産に二度課税されることによる税負担を調整する制度であり、前提として 一次相続で相続税を実際に負担している必要があります。

そのため、基礎控除以内で税額が0円だった場合や、配偶者控除などの優遇措置により納税が生じなかった場合には、控除の発生自体がありません。

「一次相続で税を払っていない=二次相続で控除がない」という点を理解しておきましょう。

1年以内の相次相続控除で迷っている方は専門家に相談を

短期間に相続が続くと手続きが複雑になり、控除の適用漏れや計算ミスが起こりやすくなります。特に一次相続から1年以内に二次相続が発生する場合は控除額が最大となる可能性があるため正確な申告が重要です。

相次相続控除で不安がある方は、早い段階で税理士へ相談するのが良いでしょう

小谷野税理士法人では、相続税申告の豊富な実績をもとに、控除の適用判断から申告のサポートまで丁寧に対応しています。手続きに迷ったら、お気軽に小谷野税理士法人にご相談ください。

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相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。