相次相続控除の3次相続とは?仕組み・計算方法・注意点を徹底解説

短期間に相続が続いた場合、相続税の負担を軽減できる「相次相続控除」という制度があります。では、相続が三度目となる3次相続でも控除は適用できるのか、要件や計算方法に迷う方は多いのではないでしょうか。本記事では、相次相続控除が3次相続でどのように適用されるのか、計算式や注意点、申告手続きのポイントまで分かりやすく解説します。複数回の相続が発生する可能性がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
相次相続控除とは
短い期間に相続が続く場合、同じ財産に対して相続税が二重・三重に課税され、税負担が過度に重くなるケースがあります。
この不公平を調整するため、前回の相続で支払った相続税の一部を、次の相続時に控除できる制度が「相次相続控除」です。相次相続控除が利用できるのは、前回の相続から10年以内に次の相続が発生したケースに限られます。
例えば、祖父から父へ、続いて子へ相続が発生するなど、短期間に相続が連続する場合に、相続税の負担を軽減する重要な制度となっています。
3次相続における相次相続控除の適用
相次相続控除は、短期間に相続が続いた場合の税負担を調整するための制度ですが、3次相続でも要件を満たせば適用が可能です。3次相続で相次相続控除を利用するための仕組みと判断のポイントについて解説します。
3次相続とは
ここでは便宜上、1次相続→2次相続→3次相続と相続が続くケースを「3次相続」と呼びます。例えば、祖父(1次相続)→父(2次相続)→子(3次相続)のように、短期間で相続が続く場合には、条件を満たせば3次相続でも相次相続控除の適用が可能です。
3次相続で控除の対象となる相続税
3次相続で相次相続控除の計算に使用するのは、直前の2次相続で実際に支払われた相続税額です。1次相続の税額を利用するのではなく、直前の相続の納税額を基礎として控除額を算定する点がポイントです。
3次相続で相次相続控除を適用するための要件
3次相続で相次相続控除を利用するには、以下2つの条件を満たす必要があります。
- 2次相続から10年以内に3次相続が発生している
- 3次相続の被相続人が2次相続で実際に財産を取得し、その際に相続税の課税を受けている
相続放棄をした方や遺贈により財産を取得した方は、控除の対象になりません。財産取得と納税が前提とならない相続では、控除算定の条件を満たさず適用できない点に注意しましょう。
相次相続控除の計算方法(3次相続の場合)

相次相続控除を3次相続で適用する際は、控除額の計算方法を正しく理解しておくのが重要です。相次相続控除の計算方法について解説します。
相次相続控除の計算式
相次相続控除の控除額は、次の計算式で算定します。
前回の相続で支払った相続税額 ×(10年 − 経過年数)/10 ×(今回の被相続人が取得した財産割合)
ここで使用する経過年数は「1年未満切り捨て」で扱われます。そのため、相続間の期間が短いほど控除割合が高くなり、短期間で相続が続いたケースほど控除額が大きくなる仕組みです。
相次相続控除(3次相続)の計算例
3次相続で相次相続控除を計算する際は、直前の2次相続で実際に納付した相続税額を基礎にします。以下の例で計算の流れを確認してみましょう。
例)2次相続で相続税600万円を納付し、2次相続から3次相続まで3年、取得割合50%の場合
項目 | 数値 |
2次相続で支払った相続税額 | 600万円 |
経過年数 | 3年 |
取得割合 | 50%(0.5) |
前回の相続で支払った相続税額 ×(10年 − 経過年数)/10 ×(今回の被相続人が取得した財産割合)
= 600万円 ×(10年 − 3年)/10 × 0.5
= 600万円 × 7/10 × 0.5
= 210万円
このケースでは、3次相続で利用できる相次相続控除額は210万円となり、その分だけ3次相続の相続税を減額できます。
相次相続控除(3次相続)の申告手続きと必要書類
相次相続控除を3次相続で適用するには、申告期限や必要書類を正しく押さえておく必要があります。申告手続きの流れと準備すべき書類について解説します。
申告手続き
相次相続控除(3次相続)を利用する場合は、相続税の申告期限(死亡の翌日から10ヵ月以内)までに、相続税申告書と併せて税務署へ提出します。申告の基本事項は以下の通りです。
項目 | 内容 |
提出期限 | 死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内 |
提出先 | 被相続人の住所地を管轄する 税務署 |
提出方法 | 相続税申告書と併せて相次相続控除を申告 |
記載漏れの対応 | 更正の請求・修正申告で5年以内なら適用可 |
申告内容に相次相続控除の記載漏れがあった場合や、添付資料の不足で反映されなかった場合でも、「更正の請求」または「修正申告」により原則5年以内であれば控除を適用できます。
ただし、期限を過ぎると手続きできなくなるため、提出後も内容を確認し、気づいた時点で速やかに対応するのが重要です。
必要書類
相次相続控除(3次相続)を申告する際には、控除額の計算根拠を示すため、以下の資料を揃える必要があります。
書類 | 内容 |
第7表(相次相続控除額の計算書) | 控除額を算定するための計算書 |
前回の相続税申告書控え(写し) | 前回の相続税額と取得割合の確認に必要 |
相続税申告書一式 | 通常の相続税申告書と併せて提出 |
これらの書類は、控除額の算定根拠と適用要件を明確に示すために求められます。特に前回の相続分や納税額の証明ができない場合、控除が受けられない可能性があるため、申告前に必ず確認しましょう。
3次相続において注意すべきポイント

短期間に相続が重なる場合、要件や手続き上の注意点を誤ると相次相続控除を適用できない可能性があります。3次相続で注意すべきポイントについて解説します。
2次相続で相続税が発生しているか確認する
相次相続控除は「前回の相続で支払った相続税額」を基礎に算定する仕組みのため、2次相続で相続税が課税されているか必ず確認しましょう。
相続税が発生していない相続が含まれる場合、控除の前提となる税額そのものが存在せず、3次相続でも相次相続控除は適用できません。
相続間の期間が10年以内か確認する
相次相続控除は「前回の相続から10年以内に次の相続が起きていること」が条件となるため、経過期間を正確に確認しましょう。
経過年数が10年を超えると控除率がゼロとなり、控除は利用できなくなります。3次相続の場合の判定は1次相続ではなく直前の2次相続との期間で判断される点にも注意してください。
相続人として財産を取得しているか確認する
控除を利用するには、前回の相続で実際に財産を取得し相続税を負担していることが前提となるため、取得の有無を必ず確認しましょう。
相続放棄や遺贈によって財産を受け取っていない場合は、取得割合が0となり、計算式が成立しないため控除を使えません。
同時死亡では適用できない
相次相続控除は「相続が時間的に連続して発生していること」が前提となるため、死亡時刻が判別できない同時死亡と扱われるケースでは適用できない点に注意しましょう。
事故や災害などで死亡時刻が明確でない場合、法律上は同時死亡と扱われ、相続の連続性が認められません。特殊なケースでは、死亡確認の事実関係を丁寧に整理する必要があります。
遺産分割が未完了でも申告を先延ばしにしない
遺産分割がまとまっていない場合でも、法定相続分を使用して申告できるため、必ず期限内に申告を進めましょう。
遺産分割の確定を待って申告を遅らせると期限に間に合わず、控除を受ける権利を失う可能性があります。後から修正申告で調整できる仕組みを活用し、まずは期限内申告を徹底するのが重要です。
相次相続控除の3次相続に関してよくある質問

相次相続控除を3次相続で適用する際には、判断に迷いやすい点がいくつかあります。特に多い質問を以下に取り上げるので、相次相続控除を検討する際の参考にしてください。
3次相続の場合「10年以内」の判定はどこから数えますか?
判定は1次相続からではなく、直前の相続(=2次相続)からの期間で行います。
3次相続で相次相続控除を利用できるかどうかは、2次相続の発生日から3次相続までの経過年数が10年以内であるかで判断します。1次相続からの年数は基準ではない点に注意しましょう。
1次相続で相続税が課税されていない場合でも控除できますか?
相次相続控除は、前回の相続で実際に支払った相続税額を基礎として計算します。1次相続で相続税額が0円の場合であっても、直前の2次相続で税金が発生している場合、控除できる可能性があります。
控除額が相続税額を超えた場合、差額は還付されますか?
還付されません。
相次相続控除は、算出された控除額が相続税額を上回ったとしても、控除できるのは相続税額がゼロになるまでです。相続税額を超過した部分については返金される仕組みはなく、控除は相続税額までが上限となります。
相次相続控除の3次相続は専門家に相談して解決を
相次相続控除の3次相続では、10年以内の判定や取得割合など複数の要素が絡み、1次・2次相続の申告内容を前提とした複雑な判断が求められます。
条件の誤解や資料不足があると控除が受けられず、申告期限内に対応できないなどのリスクから、結果的に相続税負担が大きくなる可能性があります。
こうした問題を避けるためには、相続税専門の税理士のサポートが不可欠でしょう。
小谷野税理士法人は、相次相続控除を含む相続税申告に精通し、状況に応じた最適な申告をサポートします。相次相続控除の3次相続で不安や疑問がある方は、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。

