相続税の延滞税はいくら?計算方法と今からできる対策

相続税の延滞税はいくら?計算方法と今からできる対策

相続税の申告と納税の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月以内です。期限を過ぎてしまうと、利息として延滞税が課されます。延滞税が増え続けるのを食い止めるには、早期の対応が重要です。

本記事では、延滞税の計算方法や、期限に間に合わない場合の対処法を分かりやすく解説します。

相続税の延滞税の税率と計算方法

お金の計算をするイメージ

まずは延滞税の基本的な仕組みを確認しましょう。ここでは、延滞税の日数の数え方や税率、具体的な計算式を解説します。

延滞税は納期限の翌日から発生する

延滞税は、納期限の次の日から納付した日までの期間に対して課されます。

「まだ申告書を出していないから延滞税も発生しない」というのは誤解です。申告書の提出が遅れている場合でも、本来申告すべきだった税額を基準として延滞税がかかります。

納期限を1日でもすぎてしまうと、たとえ税務署からのおたずねや督促状が届いていなくても滞納です10ヵ月あるからまだ大丈夫と油断していると、気づいた時には期限に間に合わなくなってしまいます。

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

延滞税の税率は2段階

延滞税の税率は、納期限の次の日から2ヵ月以内と、2ヵ月を過ぎた日以降で異なります。低金利時代の実態に合わせて、近年は原則とは異なる低い税率が設定されています。

原則

2026年

2022~2025年

2021年

納期限まで

年7.3%

年2.8%

年2.4%

年2.5%

納期限の翌日から2ヵ月を経過する日まで

納期限の翌日から2ヵ月を経過した日以後

年14.6%

年9.1%

年8.7%

年8.8%

「納期限の翌日から2ヵ月」は、期限内に申告を済ませた場合、法廷納期限が起算日です。つまり、亡くなったことを知った日の翌日から10ヵ月が経った次の日を1日目とします。期限後に申告した場合は、申告書を提出した次の日から数えます。

延滞税の計算方法

延滞税は、以下の計算式によって1日単位で算出されます。

延滞税 = (納付するべき税額 × 延滞税率 × 延滞日数)÷ 365

計算に用いる1年の日数は、うるう年でも365日です。また、計算の結果、100円未満の端数があるときは切り捨てます。延滞税の総額が1,000円未満の場合は納める必要がありません。

参考:延滞税の計算方法|国税庁

延滞税を納める方法

延滞税の納付タイミングは、大きく分けて2つのパターンがあります。

税務署から届く「納付通知書」で支払う方法が一般的です。本来の相続税(本税)を納付した後、税務署側で申告書と納付日を照らし合わせて延滞税額を計算します。後日、納付書が自宅へ郵送されてくるため、銀行などで支払います。

国税庁のサイトで自主計算するか、税務署に問い合わせて延滞税額を確認し、本税と同時に支払うことも可能です。

本税さえ完納すれば、延滞税の加算は止まります。税務署からの納付通知を待っている間に延滞税がさらに増え続けることはありません。

ただし、延滞税의 納付通知書には納付期限が設定されています。放置すると督促状の送付や差し押さえのリスクが生じるため、通知書が届いたら速やかに納付しましょう。

延滞税の他に加算税もかかる

延滞税が利息であるのに対し、「加算税」という行政罰が別途課される場合があります。相続税に関連する加算税は以下の通りです。

加算税の種類

発生するケース

税率(原則)

過少申告加算税

期限内に申告したが、税額が少なすぎた

5% 〜 15%

無申告加算税

期限までに申告しなかった

5% 〜 30%

重加算税

財産を隠すなど、意図的な悪質行為がある

35% 〜 40%

過少申告加算税は、計算ミスで税額を少なく納めてしまった場合などに課されるペナルティです。税務署から指摘される前に、自分から修正申告をすると免除されます。

無申告加算税は、そもそも申告をしていない場合に課されます。高額な未納税額(300万円超の部分)に対しては30%の税率が適用され、逃げ得を許さない厳しい仕組みになっています。

重加算税は、意図的に財産を隠した場合など悪質と判断される場合に課されます。税率は最高40%と最も重い罰です。

申告・納税が遅れるほど、延滞税だけではない重い負担がのしかかります。自分で解決するのが難しい場合は、早めに税理士に相談することをおすすめします。

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【シミュレーション】延滞税は放置するといくらになる?

加算税や延滞税などの追徴課税

相続税を納付せずに長期間放置するほど、うっかり忘れているのではなく意図的に隠していると判断されやすくなります。以下では、本来の相続税額を1,000万円とし、2026(令和8)年の税率を用いて延滞税の金額を試算します。

【ケース1】期限の30日後に申告・納税した場合

申告・納税の期限を過ぎてから申告書の出し忘れに気づき、大急ぎで対応したケースです。たとえ数日の遅れでも利息としての延滞税は発生しますが、納期限から2ヵ月以内のため低い税率が適用されます。

<延滞税>

(1,000万円 × 2.8% × 30日) ÷ 365日 = 23,013.69…円

23,000円(100円未満切り捨て)

<無申告加算税>

0円

また、納期限から1ヵ月以内の場合、無申告加算税が免除となる救済措置が適用される可能性があります。要件は以下のすべてに該当することです。

  1. 期限から1ヵ月以内に自主的に申告すること
  2. 期限後申告した税額の全額を、申告書の提出日までに納付すること
  3. 過去5年間、無申告加算税や重加算税を課されたことがないこと

期限から1ヵ月以内とは、実質的には亡くなったことを知った日の翌日から11ヵ月です。申告書を提出した日に納付まで完了する必要がある点に注意しましょう。

【ケース2】期限の90日後に申告・納税した場合

遺産分割がまとまらないからと放置してしまい、期限から3ヵ月ほど経ってようやく申告・納税したパターンです。法定期限から3ヵ月ということは、故人が亡くなってから1年1ヵ月ほどが経過しています。

税務署は申告していない状況を把握していますが、まだお尋ねの文書や税務調査の通知は来ていないため、自主申告の扱いです。

<延滞税>

(1,000万円 × 2.8% × 90日)÷ 365日 = 69,041.58…円

69,000円(100円未満切り捨て)

<無申告加算税>

1,000万円 × 自主申告 5% = 50万円

期限後申告の場合、申告書を提出した日までは低い税率(2.8%)が適用されます。税率が低いとはいえ延滞税の負担も決して小さくはありません。さらに50万円の無申告加算税の負担が大きくのしかかってきます。

【ケース3】期限内申告、期限から90日後に納税の場合

申告書は期限内に出したが、納税資金が足りずに支払いが遅れたケースです。無申告ではないため、無申告加算税はかかりません。一方、利息は日を追うごとにふくらんでいきます。

<延滞税>

最初の60日:(1,000万円 × 2.8% × 60日)÷ 365日 = 46,027.39…円

残りの30日:(1,000万円 × 9.1% × 30日)÷ 365日 = 74,794.52…円

46,027.39…円 + 74,794.52円 = 12万821.91円

12万800円(100円未満切り捨て)

<無申告加算税>

0円

期限内に申告を済ませているため、法定納期限から2ヵ月を過ぎた期間は高い税率が適用されます。期限後申告(ケース2)に比べると、延滞税の単価は高くなりますが、50万円の無申告加算税がかからないため、総支払額は抑えられています。

【ケース4】無申告で税務調査が入り、期限から1年後に申告・納税した場合

期限から1年、故人が亡くなってから2年弱が経過してもなお申告・納税を怠り、税務調査が入った場合です。税務署からのお尋ねも無視している状況のため、税務署に確信犯としてマークされます。

延滞税は税務調査後に申告書を提出し、納税するまでの期間で計算されます。

<延滞税>

最初の60日:(1,000万円 × 2.8% × 60日)÷ 365日 = 46,027.39…円

残りの305日:(1,000万円 × 9.1% × 305日)÷ 365日 = 760,410.95…円

46,027.39…円 + 760,410.95…円 = 806,438.34…円

80万6,400円(100円未満切り捨て)

<無申告加算税>

無申告加算税は、納税額の大きさに応じて税率が3段階的に上がる仕組みになっています。今回のように納税額が1,000万円になるケースでは、以下のように計算をします。

50万円 × 15% = 75,000円

250万円 × 20% = 50万円

700万円 × 30% = 210万円

75,000 + 500,000 + 2,100,000 = 2,675,000円

267万5,000円

<重加算税>

さらに税務調査が入って「財産をわざと隠していた」と判断されてしまった場合は、無申告加算税の代わりに重加算税が課されます。

1,000万円 × 40% = 400万円

このように、当初1,000万円で済むはずだった相続税が、延滞税や加算税を含めて1,500万円近い負担になる可能性があります。実際には相続から数年後に税務調査が入ることも多く、最悪一文無しになってしまうケースもあるのです。

相続税の延滞税を最小限に抑える対策

期限の直前になり焦っている方も、期限を過ぎてしまった方も、すぐに行動すれば延滞税を最小限にとどめられます。

ここでは、延滞税を抑えるための具体的な対策を紹介します。

【期限前】未分割申告書と分割見込書を提出する

「遺産分割で揉めていて、誰が何を継ぐか決まらないから申告できない」というのは実際によくあるパターンです。期限までに遺産分割協議が整わない場合は、まずは「未分割申告」をしましょう。

一旦、法律で定められた「法定相続分」で分けたと仮定して、仮の申告・納税を済ませます。これにより延滞税は発生しません。

同時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を一緒に提出しておきましょう。後日、正式に分割が決まった際、配偶者の税額軽減などの特例を遡って適用できます。

一時的に仮で納税しなければならない負担はあるものの、後から納めすぎた税金の還付を受けられます。

遺産分割で揉めそうなときは、一刻も早く税理士に相談し、適切な対応をしましょう。

参考:No.4208 相続財産が分割されていないときの申告|国税庁

【期限後】1日でも早く申告し、本税を完納する

税務署からの連絡を受ける前に、1日でも早く自分から動くことが重要です。納税額が1,000万円の場合、1日遅れるごとに少なくとも約2,500円(年利9.1%の場合)の延滞税が加算され続けます。

税務署は、1日でも遅れたら即座に厳しい処分をするわけではありません。しかし、無申告のまま放置することに対しては非常に厳しい対応が待っています。

相続が発生したことは、自治体に死亡届を提出したことで税務署に把握されています。申告期限を過ぎても音沙汰がない場合、税務署としては意図的に隠しているのか、単に不慣れで困っているのか判断できません。

まずは税務署へ連絡し、「遺産分割で難航しているが、いつまでに申告する予定です」と誠実に意思表示をするだけで印象は大きく変わります。加算税や延滞税のルール自体は曲げられませんが、期限を過ぎたからと放置するのではなく、まずは納税の意思を伝えましょう。

相続税の計算やその手前の遺産分割協議でつまずいている場合は、税理士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。納税資金の工面が難しい場合も、申告を済ませるのが先決です。

納税資金が足りないときは延納・物納

納税資金が足りず、納付ができない場合も税務署に相談しましょう。相続税は原則として厳禁一括払いですが、事情によっては延納や物納が認められる場合があります。

延納は、最長20年にわたって分割払いする方法です。延滞税よりも税率が大幅に低い利子税が適用されるため、利息負担を大きく抑えられます。ただし、不動産などの担保を提供する必要があり、審査には時間がかかります。

どうしても現金が用意できない場合、不動産や株式などを現物で国に納める「物納」という手段もあります。ただし、境界が未確定な不動産など、国の管理処分に適さない財産は受け取ってもらえません。

どちらも本来の申告期限までに申請書を出すのが原則ですが、期限後でも認められるケースがあります。早めに行動し、税務署に払う意思を伝えましょう。

災害や特別な事情がある場合は猶予の可能性も

災害や相続人自身の重病など、個人の努力で解決できない事情で納税が遅れている場合、納税の猶予が認められる可能性があります。例えば、震災で通帳や財産を失った場合や、病気で意識不明だった場合などです。

単に仕事が忙しかった、書類をなくした、海外にいて連絡がつかなかったという個人的な理由では認められません。

納税の猶予が認められると延滞税の全部または一部が免除されるため、正当な理由がある場合は診断書や罹災証明書を準備しましょう。

まとめ

相続税の延滞税は、納税が遅れるほど日に日に大きくなります。特に期限から2ヵ月を過ぎると税率が大幅に跳ね上がる(年9.1%想定)ため、1,000万円の納税が1年遅れるだけで、延滞税は80万円を超えてしまいます。

さらに納税だけでなく申告も遅れている(無申告)場合は、より重い加算税の対象となります。最高30%の税率となるため、延滞税以上のペナルティを支払うことになりかねません。

せっかく受け継いだ財産を守るためには、早期の対応が重要になります。もし、「遺産分割がまとまらない」「納税資金が足りない」という状況でお困りの場合は、一刻も早く税理士等の専門家に相談をしましょう。

相続問題に強い税理士事務所です

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。