内縁の妻の連れ子に相続権はある?相続のルールと対策を解説

内縁の妻の連れ子に相続権はある?相続のルールと対策を解説

内縁の妻の連れ子は、相続で財産を受け取れるのでしょうか。法律婚ではない場合の相続権の有無や、連れ子の扱いは分かりにくく、不安を感じる方も多いはずです。本記事では、内縁の妻の連れ子が相続人になれるのかという基本から、相続人にした場合の影響、遺言や生命保険を活用した対策までを具体的に解説します。内縁関係や連れ子が関わる相続でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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内縁の妻には相続権はあるのか

産分割後の債務発覚

内縁関係にある妻は、見た目や生活実態こそ夫婦と変わらない場合が多いものの、相続の場面では法律婚の配偶者と同じ扱いを受けるのでしょうか。内縁関係の法的な位置づけを整理したうえで、内縁の妻に相続権が認められるのかについて解説します。

そもそも内縁関係とは何か

内縁関係とは、婚姻届を提出していないものの、夫婦として共同生活を送っている関係を指します。

周囲からは夫婦同様に見られることも多く、社会生活上は一定の配慮や保護を受ける場面もありますが、法律上は婚姻が成立していないため、相続などの法律関係では、法律婚の配偶者とは異なる扱いになる点に注意が必要です。

内縁の妻に法定相続権は認められない

法律婚の配偶者は必ず法定相続人となり、相続順位や相続分が民法で保障されていますが、内縁の妻は婚姻届を提出していないため、配偶者とは認められず、法定相続人には該当しません。

生活実態が夫婦同様であっても、婚姻が成立していない以上、相続においては第三者として扱われ、内縁の妻に法定相続権は生じない点に注意しましょう。

参考:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

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内縁の妻の連れ子は相続人になれるのか

父親のいない家族

内縁の妻に相続権が認められない場合、その子である連れ子の扱いも気になるところでしょう。結論から言うと、内縁の妻の連れ子は、被相続人と血縁関係がない限り、原則として法定相続人にはなりません。

内縁関係にあることや、長年同居して扶養していた事実があっても、それだけで相続権が生じるわけではなく、法律上の親子関係が成立していない場合は相続の対象外となります。

内縁の妻との間に子がいる場合の扱い

これに対して、内縁の妻との間に生まれた子については、被相続人が認知していれば法律上の子として扱われます。

認知がされている場合、その子どもは法定相続人となり、法律婚の子と同じ相続権を持ちますが、認知がされていない場合は相続人にならないため、認知の有無が相続関係を大きく左右する点に注意しましょう。

内縁の妻の連れ子を相続人にするための手続き

内縁の妻の連れ子を相続人にしたい場合、代表的な方法として養子縁組があります。養子縁組が成立すると、連れ子は法律上の子として扱われ、法定相続人として相続権を持つことになります

ただし、養子縁組には戸籍上の手続きが必要となるほか、相続税の基礎控除など税務面にも影響が及ぶため、事前に全体を踏まえて検討するのが重要です。

参考:養子縁組について知ろう   |  法務省

内縁の妻の連れ子を相続人にした場合の相続への影響

生前贈与や相続問題のある家族のイメージ

内縁の妻の連れ子が相続人になると、相続の進め方や考え方にも変化が生じます。単に「相続人になれるかどうか」だけでなく、その後の相続全体をどのように整理するかがポイントになります。

連れ子を相続人にした場合に、相続の場面でどのような影響が出てくるのかについて解説します。

相続人の人数と相続分への影響

連れ子が養子縁組などによって相続人になると、相続人の人数が増えます。相続では、相続財産を法定相続人の数によって按分計算するため、相続人が増えることで一人あたりの相続分は変わります。

実子がいる場合でも、養子となった連れ子は同じ「子」として扱われ、原則として相続分は均等になります。

遺留分や遺産分割への影響

連れ子が相続人になると、遺留分を有する相続人として扱われるため、遺言によって特定の相続人に多くの財産を残そうとした場合でも、遺留分侵害が問題となる可能性があります

また、遺産分割では相続人全員の合意が必要となるため、相続人が増えることで協議が複雑になりやすい点にも注意が必要です。

参考:遺留分侵害額の請求調停 | 裁判所

相続税の基礎控除計算への影響

連れ子を養子縁組によって相続人にした場合、相続税の基礎控除額を算定する際の「相続人の数」に影響します

基礎控除は相続人の人数に応じて増えますが、相続税法上、算入できる養子の人数には制限があります。養子縁組を行う際は、相続税への影響も含めて事前に確認しておくのが重要です。

参考:No.4152 相続税の計算|国税庁

内縁の妻や連れ子に財産を残すための相続対策

内縁の妻や連れ子に財産を残すには、あらかじめ対策を考えておく必要があります。相続が始まってから慌てるのではなく、生前の備えによって選択肢を広げておくのが大切です。

内縁の妻や連れ子に財産を残すための代表的な相続対策をご紹介します。

遺言による遺贈を活用する

内縁の妻や養子縁組をしていない連れ子に財産を残す手段として、遺言による遺贈が用いられます。

遺言書では、誰にどの財産を渡すのかを具体的に示しておけば、相続時の混乱を抑えられます。あわせて、法定相続人がいる場合には遺留分を侵害しない内容とするなど、将来のトラブルを見据えた設計も重要です。

生前贈与や家族信託を活用する

遺言以外にも、生前贈与や家族信託を通じて財産承継を進める選択肢があります。生前贈与は、預貯金や不動産を生前に内縁の妻や連れ子へ移す方法で、相続時の分配を整理しやすくなりますが、贈与税が課される点に注意が必要です。

家族信託は、不動産などを信託し、管理者や承継先を契約で定める仕組みで、相続後の管理や承継方法をあらかじめ決めておきたい場合に選ばれます。

特別縁故者として財産を受け取れる可能性がある

相続人が存在しない場合には、内縁の妻や連れ子が「特別縁故者」として財産を取得できる余地があります。特別縁故者分与は、被相続人と生計を共にしていたなど特別な関係を有する人に対し、家庭裁判所の判断で財産を分与する制度です。

ただし、相続人がいる場合には利用できず、必ず取得できる仕組みでもないため、例外的な制度として理解しておきましょう。

参考:特別縁故者に対する相続財産分与 | 裁判所

内縁の妻や連れ子は生命保険金を受け取れるのか

相続対策を考える中で、生命保険の扱いが気になる方も多いでしょう。生命保険金が相続とどのように関わるのかについて解説します。

生命保険金は相続財産とは別に扱われる

内縁の妻や連れ子であっても、生命保険金は受け取れます。生命保険金は原則として相続財産に含まれず、受取人固有の財産と扱われるため、遺産分割の対象にはなりません。

生命保険では受取人に法定相続人である条件はなく、内縁の妻や養子縁組をしていない連れ子でも、受取人として指定されていれば、遺言書がなくても契約内容に基づいて保険金を受け取れます。

生命保険金が相続税の課税対象となる場合

生命保険金は相続財産ではありませんが、相続税の課税対象になる場合があります。保険金は「みなし相続財産」として扱われ、契約形態や受取人によっては相続税が課されます。特に、内縁の妻や連れ子が受取人の場合、相続税の非課税枠が適用されないケースもあるため注意しましょう。

生命保険を活用する際は、税負担も含めて事前に確認しておくのが重要です。

参考:No.4105 相続税がかかる財産|国税庁

内縁の妻と連れ子の相続でよくある質問

内縁の妻や連れ子が関わる相続では、制度を理解していても判断に迷う場面が少なくありません。特によく寄せられる質問を取り上げますので、ご自身の状況を整理する際の参考にしてください。

内縁の妻は相続放棄や限定承認ができますか?

内縁の妻は法定相続人ではないため、相続放棄や限定承認はできません

これらの制度は相続人に限って認められており、内縁の妻は手続きの対象外となります。被相続人に借金がある場合でも、相続人でない内縁の妻がその債務を引き継ぐことはありません。

参考:相続の放棄の申述 | 裁判所

参考:相続の限定承認の申述 | 裁判所

内縁の妻や連れ子は遺留分を主張できますか?

内縁の妻や養子縁組をしていない連れ子には、遺留分は認められていません。遺留分は配偶者や子など、法律で定められた相続人に保障される権利であるため、遺言で財産が残されていない場合でも、遺留分侵害額請求を行うことはできません。

内縁の妻や連れ子は相続手続きに関与できますか?

内縁の妻や連れ子は原則として相続人ではないため、遺産分割協議に参加できません

遺産分割は相続人のみで行う手続きであるためです。ただし、遺言による遺贈を受ける場合には、受遺者として名義変更など一部の手続きに関与する場面があります。

内縁の妻や連れ子の相続でお悩みの方は専門家に相談

内縁の妻や連れ子が関わる相続では、相続権の有無や遺言の効力、相続税の扱いなど、判断を誤ると大きなトラブルや想定外の税負担に繋がる可能性があります。

制度を正しく理解しないまま進めてしまうと、「渡したかった人に財産が残らない」といった事態も起こりかねません。

相続は発生前の対応で選択肢が大きく変わるため、後回しにせず早い段階で専門家に相談するのが重要です

小谷野税理士法人では、内縁関係や連れ子が関係する相続について、法務・税務の両面から実務的なサポートを行っています。不安や疑問がある方は、ぜひ一度小谷野税理士法人へご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。