定期贈与はどう回避する?否認されないための実務ポイントを解説

定期贈与はどう回避する?否認されないための実務ポイントを解説

定期贈与と判断されないようにするには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。税務署が重視する継続性の有無や、贈与のパターン・証拠の残し方によっては、思わぬ課税リスクが生じる場合もあります。本記事では、定期贈与とみなされやすいケース、回避のための具体的ポイント、注意すべき実務上の落とし穴について分かりやすく解説します。定期贈与の回避方法を知りたい方は最後までご覧ください。

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目次

定期贈与とは

定期贈与とは、毎年渡す金額や期間をあらかじめ決めて継続的に行う贈与です。

税務上「定期金に関する権利」と評価され、将来分をまとめて贈与とみなされることがあります。

これに対し、一般的に広く利用されている暦年贈与は、その年ごとに独立して成立する贈与で、継続する約束を前提としていません。

両者の違いを理解していないと、意図せず定期贈与と判断され、高額な贈与税が課される場合があるので、正しく区別する必要があります。

定期贈与と判断されると何が問題なのか

定期贈与と判断されると、暦年贈与とは異なる取り扱いとなり、思わぬ負担が生じる可能性があります。定期贈与とみなされた場合に具体的にどのような不利益が発生するのかについて解説します。

まとめて贈与したと扱われるため贈与税が増える

定期贈与と判断されると、毎年の贈与が分割ではなく総額を一括で贈与したものとして扱われます。この場合、毎年110万円の基礎控除を繰り返し使うことはできず、権利の評価額に対して基礎控除が一度適用される形になります。

贈与税は金額が大きいほど税率が上がる累進課税であるため、負担は想像以上に大きくなりやすく、相続対策として大きな誤算に繋がる点が問題です。

参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

税務調査で否認されやすく相続にも影響する

定期贈与の可能性があると、税務調査では通帳の動きや資金管理の実態が詳しく確認されます。受贈者が自由に使えていないなど不自然な点があれば、贈与が成立していないとして否認される可能性があるでしょう。

贈与が成立していない(名義預金等)と判断されると、実質的に贈与者の財産として扱われ、相続時に課税対象となる可能性があります。数百万円規模でも税率区分が変わり、負担が大きく増える可能性があります。

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税務署が定期贈与と判断する基準とは

現金・預金

税務署はどのような点を根拠に、贈与を定期的な給付と判断するのでしょうか。判断基準となるチェックポイントについて解説します。

将来の給付を約束していたと判断できるか

税務署は、贈与者と受贈者の間に今後も贈与を続ける合意や意図があったかを重視します。書面がなくても、実際のやり取りが継続を前提としていれば、将来の給付を約束していたと判断される可能性があるでしょう。

贈与額や贈与時期が毎年同じであるか

毎年同じ金額を、同じ時期に繰り返し贈与している場合、税務署は予定された給付と評価しやすくなります。

形式上はその都度贈与していても、パターンが固定していれば継続性が強いと判断され、定期贈与とみなされる可能性があります

受贈者が継続給付を前提に行動しているか

受贈者が、今後も同じ額の贈与を受け取れる前提で学費や生活費を計画している場合、贈与が継続することを当事者が当然視していたと判断される場合があります。

税務署は受贈者の行動も確認するため、こうした状況があると定期贈与と評価される可能性が高くなります。

贈与の使途が長期間固定されているか

教育費や生活費の補填など、同じ目的のために毎年贈与が続いている場合、長期間の給付を予定していたと判断されやすくなります。

用途が固定されている贈与は、継続性が強いと評価される傾向があり、定期贈与とみなされるリスクが高まります

贈与者に継続できるだけの財産状況があったか

贈与者に十分な資産や収入があり、将来的にも無理なく贈与を続けられる状況にある場合、税務署は当初から継続する意図があったと判断する場合があります。

経済的に継続が可能な状態ほど、計画的な給付と評価されやすく、定期贈与とみなされるおそれが高まります。

定期贈与とみなされないための回避方法

定期贈与と判断されるリスクを回避するためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。定期贈与を回避するための具体的な方法について解説します。

毎年の贈与内容を変えて「継続契約」と見なされないようにする

毎年同じ条件の贈与が続くと定期贈与と判断されやすいため、贈与内容に変化をつけましょう。

税務署は金額や時期が一定だと、あらかじめ計画された贈与だと評価しやすくなります。時期をずらす、金額を変える、回数を固定しないなど、毎年少しずつ条件を変えれば、その年ごとの独立した贈与と認められやすくなります。

毎年個別の贈与契約書を作成して「単年度贈与」を証明する

贈与が毎年独立して成立している事実を明確に示すために、個別の贈与契約書を作成しましょう。契約書には日付、金額、振込方法、双方の署名を記載し、振込記録と併せて保管すると効果的です。

これらの書面を揃えておけば、継続契約による贈与ではなく、その都度成立した単年度贈与として認められやすくなります。

必要に応じて贈与税を申告して「贈与の実態」を明確にする

贈与が実際に行われている事実を明確に示すために、必要に応じて贈与税を申告しましょう。

基礎控除を超える贈与をあえて申告すると、贈与の事実を税務署へ正式に届け出ることができます。申告実績があると、名義預金や継続的な贈与と誤解されにくくなり、毎年の贈与が独立して成立している根拠として有効です

定期贈与の否認を避けるうえで押さえておくべきポイント

定期贈与と疑われると、税務署から否認されるリスクが高まります。どのような点に気を付ければ安全に贈与を進められるのか、注意すべきポイントについて解説します。

贈与の記録・証拠を残さなければ否認されるおそれがある

贈与の事実を客観的に示せないと、名義預金や形式的な贈与と判断され否認されるおそれがあります

税務署は通帳・振込履歴・贈与契約書などの証拠を重視するため、口頭だけの贈与は危険です。加えて、受贈者の口座を贈与者が管理している場合は否認されやすいため、受贈者自身が口座を管理し、記録を整えておきましょう。

相続税との関係や税制改正により想定外のリスクが生じる場合がある

生前贈与は相続税の仕組みや税制改正の影響を大きく受けるため、想定外のリスクが生じる場合があります。生前贈与加算の対象拡大や名義預金の扱いによって、将来の相続で税負担が増える可能性も無視できません。

現在の贈与が問題なくても、制度変更で不利になる可能性があるため、最新の税制を踏まえて専門家に確認しながら進めましょう

受贈者が贈与を認識し自分で財産管理していないと否認される場合がある

受贈者が贈与を受けた事実を把握しておらず、通帳や資金の管理を贈与者が続けている場合、実質的に贈与が成立していないと判断される可能性があります。

税務署は受贈者の管理実態を特に重視し、名義だけの口座や贈与者の指示で運用しているケースは否認される典型例です。確実に贈与を成立させるためには、受贈者自身が資金を管理し、認識している必要があります。

定期贈与を回避したいときによくある質問

定期贈与を避けるための判断では、細かな点で迷いやすいケースも多く見られます。特に問い合わせの多い質問を以下に取り上げますので、理解の補足としてください。

扶養義務に基づく生活費の援助も定期贈与になりますか?

生活費・教育費として、必要の都度、通常必要な範囲で支払うものは贈与税の対象外とされます。一方、まとまった金額を渡して受贈者が貯蓄する形になると、贈与とみなされる可能性があります。

毎年110万円以下の贈与なら定期贈与は心配しなくて良いですか?

110万円以内でも、将来の贈与をあらかじめ約束していれば定期贈与と判断される可能性があります。基礎控除内だから安全というわけではなく、毎年独立して贈与が成立しているかが重要です

同じ額・同じ時期の繰り返しや継続前提の合意があると定期贈与とみなされる可能性があるため、贈与ごとの実態を明確にしておく必要があります。

定期贈与を確実に回避したい方は専門家に相談を

定期贈与は基準が曖昧で、本人にそのつもりがなくても「将来の給付を約束した」と判断されれば高額な贈与税が課されるリスクがあります。

さらに名義預金の扱い、通帳管理の実態、毎年の贈与パターンなど、税務署がどの点を重視するかはケースごとに異なり、自己判断だけで安全に進めるのは困難です。

こうした否認リスクを避けるには、贈与の証拠整理や設計方法を専門家とともに検討するのが有効でしょう

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。