マンションの相続税はいくら?計算方法と節税のポイントを解説

マンションの相続税はいくら?計算方法と節税のポイントを解説

マンションを相続したとき、どのくらいの相続税がかかるのか疑問に思う方は多いでしょう。相続税はマンションの評価額や相続人の人数などによって大きく変わり、思わぬ税負担が発生する場合もあります。本記事では、相続税の基本的な仕組みや計算の流れ、ケース別シミュレーションを交えてわかりやすく解説します。マンション相続の税額を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

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マンションは「いくらまで」なら相続税がかからない?

マンションを相続した際に相続税がかかるかどうかは、遺産総額が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超えるかで判断されます。このマンションを含めた遺産総額が基礎控除額以内に収まれば、相続税は発生しません。

相続税の対象は現金や預貯金、有価証券、不動産などすべての資産であり、マンションの評価額もその一部として課税の有無を大きく左右します。

参考:No.4152 相続税の計算|国税庁

マンションの相続税評価額の計算方法

配偶者控除

マンションの相続税評価額はどのように計算するのでしょうか。相続税額を左右する評価の仕組みや算出方法について解説します。

建物部分の評価額の求め方

建物部分は、毎年市区町村から送付される固定資産税評価額をもとに算出します。相続税評価では以下の式が用いられます。

建物の相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 区分所有補正率

固定資産税評価額は、一般的に時価の7〜8割程度で設定されており、築年数が経過するほど低くなる傾向があるため、同じマンションでも築年数によって評価額が異なる点に注意しましょう。

参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁

土地部分の評価額の求め方

マンションの敷地部分(敷地権)は、「路線価方式」または「倍率方式」によって評価します。国税庁が公表する路線価や倍率をもとに、以下の式で算出します。

土地の相続税評価額 =(路線価 × 敷地面積)× 敷地権の持分割合 × 区分所有補正率

都市部では路線価方式、地方では倍率方式(固定資産税評価額 × 倍率)が使われるのが一般的です。この敷地権の持分割合が小さいほど、土地評価額も低くなります。

参考:No.4602 土地家屋の評価|国税庁

参考:路線価|国税庁

参考:No.4606 倍率方式による土地の評価|国税庁

令和6年以降の評価方法の改正点

令和6年から、マンションの階層ごとの価格差を反映させる「区分所有補正率」が導入されました。これにより、同じ建物内でも階数によって評価額が異なる仕組みに見直されています

従来は階層に関係なく同一評価でしたが、改正後は上層階ほど補正率が高く、低層階は低く設定される傾向があります。これにより、より実勢価格に近い形で相続税評価が行われるようになりました。

参考:「居住用の区分所有財産」の評価が変わりました|国税庁

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マンションの相続税はいくらになる?

税金の計算

マンションを相続したときの税額は、評価額と相続人の人数・構成によって変わります。一般的なケースをもとに、おおよその税負担の目安を確認しておきましょう。

マンション

評価額

相続人

基礎控除額

課税遺産総額

想定される

税負担の目安

3,000万円

配偶者+子1人

4,200万円

0円

0円

4,000万円

配偶者+子1人

4,200万円

0円

0円

6,000万円

配偶者

3,600万円

2,400万円

0円

配偶者+子1人

4,200万円

1,800万円

配偶者:0円

(配偶者控除適用)

子:90万円

配偶者+子2人

4,800万円

1,200万円

配偶者:0円

(配偶者控除適用)

子:各30万円

配偶者+父母

4,800万円

1,200万円

配偶者:0円

(配偶者控除適用)

父母:40万円

8,000万円

子1人

3,600万円

4,400万円

680万円

兄弟姉妹1人

3,600万円

4,400万円

816万円

(2割加算対象)

1億円

配偶者+子1人

4,200万円

5,800万円

配偶者:0円

(配偶者控除適用)

子:385万円

子1人

3,600万円

6,400万円

1,220万円

遺贈者なし

なし

1億円

2,760万円

(2割加算対象)

評価額が低い場合は、基礎控除の範囲内に収まり、相続税がかからないケースがあります。

また配偶者がいる場合も、配偶者控除により税負担が発生しないケースがありますが、配偶者がいない場合や兄弟姉妹・甥姪などが相続するケースでは、算出税額に20%の加算(2割加算)があるため、負担が大きくなります。

参考:No.4157 相続税額の2割加算|国税庁

マンションの相続税の計算方法

マンションの相続税はどのように計算するのでしょうか。マンションを相続した際の相続税の計算方法について解説します。

マンションの評価額と遺産総額を算出する

前述の方法で求めたマンションの評価額に、現金・預貯金・株式などの資産を合計し、そこから借入金や葬儀費用などを差し引いて遺産総額を算出します。この遺産総額が相続税の課税対象となるかどうかを判断する基準となります。

参考:No.4126 相続財産から控除できる債務|国税庁

基礎控除額を差し引く

以下の計算式で求められる基礎控除額を遺産総額から差し引きます。課税遺産総額が0円以下であれば、相続税は発生しません。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続分に応じて分ける

課税遺産総額を法律で定められた割合(法定相続分)に従って各相続人に分けます。例えば、配偶者と子が相続人の場合はそれぞれが2分の1ずつ、配偶者と両親の場合は配偶者が3分の2、両親が3分の1を分け合う形です。

相続人の構成によって取り分が変わるため、正確な割合を確認しておきましょう。

参考:No.4132 相続人の範囲と法定相続分|国税庁

速算表の税率を適用する

各相続人の取得金額に応じて、国税庁の速算表に基づく税率を適用します。控除額を引いたうえで、相続人ごとの税額を計算します。

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

1,000万円超から3,000万円以下

15%

50万円

3,000万円超から5,000万円以下

20%

200万円

5,000万円超から1億円以下

30%

700万円

1億円超から2億円以下

40%

1,700万円

2億円超から3億円以下

45%

2,700万円

3億円超から6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

参考:No.4155 相続税の税率|国税

控除や特例を反映して最終的な税額を計算する

計算した税額に、配偶者の税額軽減などを適用して、最終的な納付額を算出します。これらの控除を正しく反映すれば、相続税を大きく抑えられる可能性があります。

死亡日の翌日から10ヵ月以内に相続税の申告・納付が必要なため、早めに準備を進めましょう。

マンションにかかる相続税を軽減できる特例・控除

前述したように、控除や特例を正しく活用すれば相続税を大きく抑えられる場合があります。マンションの相続税を軽減するために知っておきたい主な特例や控除について解説します。

配偶者の税額軽減

配偶者が相続人となる場合、取得した遺産が「法定相続分」または「1億6,000万円」のいずれか多い金額までは非課税となります。

この制度を活用すれば、配偶者の相続税負担を実質的にゼロに抑えられるケースも少なくありません。適用するためには、相続税申告書に配偶者の税額軽減を受ける旨を記載し、申告期限内に提出する必要があります。

参考:No.4158 配偶者の税額の軽減|国税庁

小規模宅地等の特例

小規模宅地等の特例では、被相続人の自宅として使われていたマンション敷地(共有持分を含む)について、一定の要件を満たせば評価額を最大80%減額できます。

また賃貸用マンションでも、貸付事業用宅地として最大50%の評価減が認められる場合があります。要件を満たすかどうか事前に確認し、適切に申告できるように準備しましょう。

参考:No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

賃貸マンションなどの評価減

賃貸マンションには入居者の「借家権」があるため、所有者は自由に売ったり使ったりできません。そのため、建物は「借家権割合(約30%)」を差し引いて評価し、土地も「貸家建付地」として減額して計算します

このように、入居者がいることで資産価値が下がる分、相続税を少なくできる可能性があります。

参考:No.4614 貸家建付地の評価|国税庁

マンションにかかる相続税で損をしないためのポイント

マンションの相続では、評価や手続きの進め方を誤ると、想定以上の税負担に繋がる場合があります。相続税で損をしないために注意すべきポイントについて解説します。

売却した場合の扱いと所有継続との違い

譲渡のタイミングや方法を慎重に検討しましょう。

マンションを売却した場合、課税対象は相続時点の評価額ではなく、売却益(譲渡所得)になります。所有を続ける場合とは税の仕組みが異なるため、売却時期や価格によって税額が大きく変わる点に注意が必要です。

相続直前の購入や贈与には注意

節税目的の取引と誤解されないようにしましょう。相続直前に不動産を購入したり、資産を贈与で移動したりすると、節税目的とみなされるリスクがあります

税務署はこうした不自然な資産移動を厳しくチェックしており、否認されると追徴課税の対象になる場合もあるので十分に注意しましょう。

タワーマンション節税への規制強化

これまでタワーマンションの相続では、実際の市場価格よりも相続税評価額が低くなる傾向があり、「タワマン節税」として利用されてきましたが、令和6年の改正で階層ごとの補正率が導入され、高層階ほど評価額が上がる仕組みに見直されています。

従来の節税効果を前提とした対策を続けると、想定以上の税負担が生じる可能性があるため注意しましょう。

共有や分割でのトラブルを避ける

早い段階で分割方法を明確に決めておきましょう。マンションを複数人で共有すると、売却や管理方針をめぐって意見が分かれやすく、将来的なトラブルの原因になります

相続時には評価や分割方法を整理し、遺産分割協議書などで合意内容を文書化しておくのが重要です。共有ではなく、単独名義化する選択肢も検討しましょう。

マンション相続税に不安がある方は専門家へ相談を

マンションの相続税は、評価方法や特例の適用可否によって税額が大きく変わるため、自己判断で手続きを進めると、申告漏れや過大な税負担に繋がるリスクがあります。

相続税の計算や手続きには専門的な知識が求められるため、早い段階から専門家へ相談すると安心でしょう

小谷野税理士法人では、マンション相続に関する税務相談から申告までを総合的にサポートしています。複雑な手続きを正確かつ有利に進めたい方は、ぜひ小谷野税理士法人へご相談ください。

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相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。