相続財産調査とは?自分でやる場合の注意点や依頼する際の費用まとめ

相続手続きを始める上で最初に行うべきなのが「相続財産調査」です。誰が相続人で、財産や負債がどれくらいあるかを正確に把握しておかないと、遺産分割がスムーズに進まない可能性があります。さらに、後から隠れた財産や借金が見つかり、トラブルに発展するおそれもあるので要注意です。本記事では相続財産調査の基本から、自分で調査する際のポイント、専門家に依頼する場合の費用相場まで解説します。
目次
相続財産調査とは

相続財産調査とは、相続手続きを進める前に「誰が相続人か」と「遺産がどれくらいあるか」を正確に洗い出す作業です。遺産分割や相続放棄の判断をするための最も重要なステップで、プラスの財産だけでなく借金などマイナスの財産も含めて調べます。
相続人は戸籍により特定できますが、財産は種類が多く見落としやすいため、丁寧な調査が必要です。預貯金、不動産、株式、保険、自動車、貸付金・借金など、漏れなく把握しなければ遺産分割は進められません。
特に最近は、通帳のないネット銀行口座や家族が知らない隠れ資産が見つかるケースも増加しています。同一銀行でも複数支店で口座を持っている可能性があるため、慎重に確認をしましょう。
相続財産調査で必要な書類

相続財産の調査をスムーズに進めるためには、まず自宅・勤務先・貸金庫などに財産状況がわかる資料がないか確認しましょう。その上で、金融機関や各機関へ問い合わせる際に必要となる書類を揃える必要があります。
主に必要となる書類は以下の5点です。
- 被相続人の戸籍謄本・除籍謄本(出生~死亡まで通しで取得)
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 相続人の本人確認書類(運転免許証、健康保険証、マイナンバーカード、年金手帳、パスポート、住民票など)
特に戸籍関係書類は複数の役所で取得が必要になるなど手間がかかりがちです。そのため法務局で「法定相続情報一覧図」を取得しておくと、提出書類を1枚にまとめられ、手続きが大幅に簡略化できます。
【財産別】相続財産調査方法

相続財産調査は、財産の種類によって確認方法が異なります。ここでは、代表的な遺産である預貯金・有価証券・不動産・借金の4つに分けて、調査の手順とポイントを分かりやすくまとめました。
預貯金
被相続人が利用していた銀行へ照会すると、過去の取引履歴や相続発生時の残高証明書を取得できます。
どの金融機関と取引していたか不明な場合は、以下を手がかりに探しましょう。
- 通帳・キャッシュカード
- 銀行からの郵便物やメール
- 銀行ロゴ入りのカレンダー・粗品
- スマホの銀行アプリ
照会時には、相続人であることを証明する書類(戸籍謄本、本人確認書類など)が必要です。事前に銀行へ必要書類を確認しておくとスムーズに書類が集められます。
有価証券(株式・投資信託)
被相続人が取引していた証券会社に問い合わせることで、保有銘柄や評価額が分かります。
証券会社が不明な場合は、証券保管振替機構(ほふり)に照会することで、口座を開設している証券会社を特定できます。
不動産
すでに不動産が分かっている場合は、法務局で登記事項証明書を取得すれば、所有者・権利関係・地番などを確認できます。所在が分からない場合は、市区町村役場で名寄帳(固定資産課税台帳)を取得しましょう。
名寄帳には、その市区町村内で所有している不動産が一覧で記載されています。なお、複数の市区町村に不動産がある可能性がある場合は、地域ごとに取得が必要です。
借金(負債)
被相続人の借入先が分かる場合は、直接照会すれば残高や返済状況を確認できます。借入先が分からない場合は以下の信用情報機関に情報開示請求を行うことで、金融機関からの借入状況の確認が可能です。
信用情報機関 | 主に登録される借入 |
JICC | 消費者金融・カードローン |
CIC | クレジットカード・信販会社 |
KSC | 銀行ローン |
それぞれ登録先が異なるため、3社すべてへ請求するのが最も確実です。なお個人間の借金は信用情報に登録されないため、通帳の振込履歴やメモ・メールなども確認しましょう。
相続財産調査を自分でやるデメリット
以下では自力で相続財産調査を行う場合に考えられるデメリットについて解説します。
手間と時間がかかる
自分で相続財産を調査すると、金融機関・役所・法務局など多くの手続きを自分で行う必要があり、相当な手間と時間がかかります。特に、相続財産の種類が多い場合には、調査負担は軽くありません。また平日しか対応できない窓口が多く、仕事や家事と並行して進めるのが難しい点もデメリットのひとつです。
財産の漏れが生じやすい
被相続人と生前の交流が少ない場合、保険や預貯金、株式、ネット銀行、デジタル資産などを漏れなく把握することは困難です。財産に漏れがあると、後から新たな遺産が見つかった際に、再度遺産分割協議や名義変更が必要になることもあります。
また相続税申告で財産漏れがあると税務調査で追徴課税となる可能性もあるので要注意です。さらに後から借金が発覚した場合、相続放棄ができず借金を引き継がざるを得ない事態になるケースもあります。
他の相続人とのトラブルリスクがある
相続人同士の関係が悪い場合、自分だけで調査を行うと「財産を隠したのではないか」「調査に漏れがある」などと疑われる可能性があります。最悪の場合、相続人同士でトラブルに発展することもあるので要注意です。公平性を保つためにも、相続人間で不信感が生まれやすい状況下では、専門家へ依頼するのが望ましいでしょう。
相続財産調査は誰に頼む?
相続財産調査を正確に行うには、専門家へ依頼することが有効です。ここでは、依頼できる主な専門家と、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく整理します。
税理士
税理士は相続税に関する専門家で、以下のサポートを受けられるのが大きなメリットです。
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 相続税申告
- 節税対策
特に、相続税申告や節税が必要なケースでは心強い存在です。一方で、相続税申告が不要な場合は対応不可なことが多いほか、争いがあるケースにも対応できない点がデメリットです。
弁護士
弁護士は、相続財産調査を含め、ほぼすべての相続手続きに対応できる唯一の専門家です。相続財産調査の後には、次のような手続きが発生する場合があります。
- 相続放棄・限定承認の申述
- 遺産分割協議
- 遺産分割調停・審判
これらの手続きを代理人として進められるのは弁護士のみです。そのため、調査から手続きまでワンストップで任せたい方に適しています。デメリットは費用面ですが、事前に見積もりを取り、複数事務所を比較することで不安を軽減できます。
司法書士
司法書士は、不動産登記を中心とした法律事務の専門家です。相続財産に不動産が含まれるケースでは以下をまとめて依頼できる点がメリットです。
- 相続財産調査
- 遺産分割協議書の作成
- 相続登記手続き
弁護士より費用を抑えられる傾向があります。一方、対応範囲は登記や金融関連の手続きに限定され、紛争性がある場合は最終的に弁護士の関与が必要になる可能性があります。
行政書士
行政書士は、権利義務に関する書類作成の専門家で、相続財産調査や遺産分割協議書の作成に対応できます。比較的手軽かつ低コストで依頼できる点がメリットです。ただし、相続人間の争いがあるケースは対応不可のため、トラブルが見込まれる場合は弁護士へ依頼した方が安心です。
相続財産調査費用の相場
相続財産調査費用の相場を依頼先別にまとめました。
専門家 | 費用の目安 | 調査にかかる期間の目安 |
税理士 | 遺産総額の0.5~1% | 約2ヵ月 |
弁護士 | 20万~60万円程度 | 約1~2ヵ月 |
司法書士 | 10万~30万円程度 | 約1~2ヵ月 |
行政書士 | 30,000円~ | 約1ヵ月 |
信託銀行(遺産整理業務) | 100万円~(高額) | 全体で約10ヵ月 |
まとめ
相続財産調査は、遺産分割や相続放棄の判断にも関わる重要なステップです。財産や負債に漏れがあると、後から追加の手続きが発生したり、相続人同士のトラブルにつながる可能性があります。
特に銀行口座や不動産、株式、保険、借金などは調査先が多いのが難点です。もし自分で行う場合は手間と時間がかかるため、見落としのリスクに注意しなくてはいけません。
不安なく正確に進めたい場合は、なるべく早いうちから専門家へ依頼する方法も検討しましょう。相続税申告が必要なケースは税理士、トラブルが想定される場合は弁護士、費用を抑えたい場合は行政書士などがおすすめです。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
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