銀行口座の凍結を解除する3ステップとやってはいけない注意点まとめ

銀行口座が凍結されると、預金が引き出せず、葬儀費用や生活費の支払いに困るケースが少なくありません。しかも、凍結後の解除手続きは必要書類が多く、時間も手間もかかります。本記事では、銀行口座が凍結される主な理由と確認方法、解除までの3つのステップまで分かりやすく解説します。さらに家族がスムーズに手続きできる生前対策も紹介するので、トラブルを防ぎ円満な相続につなげたい方はぜひ参考にしてください。
銀行口座が凍結される理由

銀行口座が凍結されるのは主に以下の4つの理由が挙げられます。
口座名義人が死亡したとき
名義人が亡くなると、その預金は「相続財産」となります。遺族の誰か1人が勝手にお金を引き出してしまうと相続トラブルの原因になるため、銀行は口座を凍結します。凍結は次のタイミングで行われます。
- 遺族が銀行に死亡を連絡したとき
- 新聞のお悔やみ欄などで銀行が死亡を把握したとき
- 相続人の誰かが残高証明書の発行を依頼したとき
なお凍結後は相続手続きが完了するまで出金できません。ただし、亡くなられた方の口座から一定の金額まで引き出せる仮払い制度を利用することができます。
認知症などで本人確認が難しいとき
認知症などで本人の判断能力が低下した場合、詐欺被害や親族による使い込み防止のため、銀行が取引を制限することがあります。凍結のきっかけとなるケースを見てみましょう。
- 窓口で説明が理解できず、会話が成立しない
- 暗証番号を繰り返し間違える
- 家族が「代わりにおろしたい」と相談してくる
本人の資産保護が目的であり、金融機関が必要と判断した場合に行われます。
自己破産・個人再生などを始めたとき
銀行に借金(カードローン等)がある状態で債務整理を行うと、銀行は預金と借金を相殺するために口座を凍結します。凍結のタイミングは弁護士や司法書士から「受任通知」が銀行に届いた瞬間などです。
受任通知が届いた時点で即凍結となるため、給料振込口座の場合は注意が必要です。
詐欺やマネーロンダリングに利用されたとき
振り込め詐欺やマネーロンダリングに関与した疑いがある口座は、被害拡大を防ぐため即時凍結されます。本人に身に覚えがなくても突然利用停止になることがあります。凍結されるケースの一例はこちらです。
- 警察から銀行へ情報提供があった
- 銀行が不審な入出金を検知した
これは「振り込め詐欺救済法」に基づく措置で、本人の意思は関係ありません。
銀行口座が凍結されたか確認する方法

口座が凍結されても、銀行から凍結した通知が届くわけではないので要注意です。以下では銀行口座が凍結されているかを確認する方法を4つご紹介します。
ATMで残高照会する
キャッシュカードがあれば、ATMで「残高照会」を試すと凍結されたか確認できます。確認のために出金する場合は、トラブル防止のため1,000円程度の少額にとどめましょう。
凍結のサインは以下の通りです。
- 「お取扱いできません」「ご利用になれません」等のエラー表示がある
- 暗証番号が正しいのに取引が拒否される
名義人が死亡している場合の引き出しは「相続承認」とみなされ、相続放棄できなくなる恐れがあります。
通帳記帳 or ネットバンキングで確認する
通帳がある場合は記帳、ネットバンキングがある場合はログインして操作できるか確認します。凍結のサインとしては以下のような例が挙げられます。
- 通帳記帳ができずエラー表示/履歴が印字されない
- ネットバンクでログイン不可、または主要機能がグレーアウト
万が一凍結の可能性があった場合は、まずは専門家へ状況を相談するのがおすすめです。
少額の振込・口座振替で確認する
100円程度の少額を振り込むなど、取引が成立するかで判断する方法です。凍結のサインとしては振込が失敗(組戻し)となり手数料のみ差し引かれたり、公共料金などの口座振替が停止した通知が届いたりします。
銀行窓口で相談する
確実に確認したい場合は窓口で相談します。相続人であることを示す書類と本人確認書類が必要です。「相続手続きが必要です」と案内され、通常の手続きができないのが一般的です。なお金融機関は個人情報保護のため、電話で凍結状況を答えることはありません。
銀行口座の凍結解除手続き
以下では銀行口座の凍結解除手続きについて解説します。
銀行に「凍結解除したい」旨を連絡する
まずは銀行に連絡し、手続きを開始します(電話 or 窓口どちらでも可)。銀行が、必要書類と手続きの流れを案内してくれます。銀行ごとに必要書類が異なるためメモをとって確認しましょう。
手続きできる人は以下に限られます。
- 相続人
- 遺言執行者
- 相続財産管理人
- 相続人から依頼を受けた弁護士・司法書士
手続き後、口座は名義変更して引き継ぐか、解約かを選択できます。代理人に依頼した場合は、この先の作業をすべて任せられます。
必要書類を集める
必要書類は状況によって変わりますが、基本は以下の3パターンです。
遺言書がある場合 |
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遺産分割協議書がある場合 |
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遺言書も協議書もない場合 |
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複数の銀行がある場合は戸籍謄本や印鑑証明などの書類は、手続き後に返却されるため使い回し可能です。なお書類集めを楽にするには法務局で取得できる「法定相続情報一覧図」がおすすめです。戸籍一式の代わりとして利用できて何部でも無料で発行できるため、複数銀行の手続きが一気に進みます。
書類を銀行に提出する
書類が揃ったら銀行へ提出します。窓口へ直接持参する方が、不備をその場で確認してもらえるためスムーズです。また提出者は実印または銀行届出印を持参しましょう。
口座が凍結される前にできる生前対策

以下では口座が凍結される前にできる生前対策を解説します。
預金口座一覧を作成しておく
まず取り組むべきは、どこにいくつ口座があるのかを一覧化しておくことです。口座の存在自体が分からないと、相続手続き前に「口座探し」から始まり、家族に大きな負担がかかります。銀行名・支店名・口座種類(普通/定期)・名義を一覧にまとめ、変更があれば随時更新しましょう。
口座をできるだけまとめておく
相続手続きは銀行ごとに必要なため、口座が多いほど家族の負担が増します。可能な範囲で口座を整理・統一しておくことで、手続き回数を大幅に減らせます。使用していない口座や休眠状態の口座は解約し、メイン銀行を1~2行にまとめ、一覧表も併せて更新しておくのが望ましいです。
遺言書を準備しておく
遺言書がないと預金の引き出しには遺産分割協議書が必要となり、相続人同士の協議に時間がかかったり、争いが発生する可能性があります。遺言書があれば、分配方針が明確になり、手続きも家族関係もスムーズに進みます。特に預金の分け方まで明記しておくと、手続きが大幅に短縮できます。
口座の整理方法や遺言書の作成は、状況により最適な対策が異なります。自己流で進めると、思いがけず相続トラブルにつながってしまうこともあります。ご家族に迷惑や負担をかけず、安心して資産を引き継いでほしいとお考えなら「やさしい相続相談センター」へご相談ください。
銀行口座の凍結解除に関する注意点
銀行口座の凍結解除に関する注意点をまとめたので、こちらも参考にしてください。
預金を引き出すと「相続を全て承認した」扱いになる
最も危険なのは、故人の口座から預金を引き出すことです。借金の有無が不明な状態で預金を動かすと、相続放棄ができなくなる可能性があります。預金を使う行為は「財産を受け継ぎます」という意思表示=単純承認とみなされ、後から借金が発覚しても「やっぱり相続放棄」は原則できません。
預金には一切手をつけず、まず遺産調査を専門家へ依頼するのが賢明です。財産(資産・負債)の全体像を把握してから、相続方法を判断しましょう。
他の相続人に無断で動くとトラブルに発展することがある
借金がなくても、相談なしの引き出しは親族トラブルの原因になります。よく起こる揉め事例をご紹介します。
- 「本当にその金額? 使い込みでは?」と疑われる
- 領収書がなく使途説明ができず、不信感を生む
- 長男など一部が勝手に管理し、話し合いが進まなくなる
預金に手をつける前に相続人全員に事前相談し同意を得る、領収書など使途の証拠を保管するなど対策をしておきましょう。
ネット銀行・証券口座も確認する
通帳がある銀行は気づきやすい一方、ネット銀行・証券口座は発見が遅れがちです。存在に気づかないと、以下の問題が発生します。
- 相続財産に含め忘れ、遺産分割をやり直す
- 株価や為替変動で資産価値が下落する
- 配当金・分配金を受け取れず放置される
ネット銀行を見落とさないようにまずはPC・スマホのアプリやブックマークを確認しましょう。また自宅の郵便物をチェックしたり、メールを「銀行」「証券」「口座開設」等で検索したりするのもおすすめです。
まとめ
銀行口座の凍結は、相続手続きの中でも特に時間と労力がかかるポイントです。凍結の理由を正しく理解し、ATMやネットバンキングでの確認方法、そして解除手続きの流れを知っておくことで、家族の負担を大幅に減らせます。また、生前に口座を整理し一覧化しておくことや、遺言書を準備しておくことは、凍結後の手続きをスムーズに進める上で非常に効果的です。
ただし、相続には預金以外にも多くの財産が関係し、家族構成や状況に応じて最適な手続きが異なります。「どこから手をつければいいかわからない」という方は、専門家に相談することで安心して対応できます。
相続の不安や疑問がある方はまず「やさしい相続相談センター」へ気軽にご相談ください。専門家があなたの状況に寄り添い、トラブルなく進めるための最適なサポートをご提供します。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


