3ステップで分かる贈与税の計算と見落としがちな節税方法を解説!

3ステップで分かる贈与税の計算と見落としがちな節税方法を解説!

贈与税を計算するには、課税価格を求めたあと、速算表にもとづき税率をかけて控除額を差し引くのがポイントです。対象となる財産や特例の適用の有無などをチェックしたうえで、税額を算出する流れです。正しい金額の申告・納税により、追徴課税のリスク対策にもなるため、円満に相続を進めるうえでも知っておくとよいでしょう。今回は、贈与税の計算方法やシミュレーションについて解説します。

将来の相続まで考えたい方へ

今回だけじゃない、そんな方に向けて相続専門税理士が複数世代にわたる相続税対策をサポートします。

贈与税の課税方式2つ

家の相続税、贈与税

相続税を補完する目的で設けられたのが贈与税で、財産を無償で移転させるときにかかる税金です。贈与は生前に行うもので、相続税と密接な関係があります。相続税対策をするうえでも、以下で紹介する選択制の2つの課税方式を押さえておくのは有用です。

暦年課税

暦年課税制度とは従来の課税方式で、年間110万円を超える贈与を受けたときに、贈与税が算出されます。基礎控除の範囲内の贈与は非課税であるため、申告は不要です。暦年課税制度の概要は以下の表にまとめました。

贈与者

決まりなし

受贈者

決まりなし

控除額

年間110万円

税率

10%から55%

手続き

なし

期限

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日

相続時の課税対象

相続開始前3年以内の贈与財産

後述する相続時精算課税制度とは異なり、孫や子どもの配偶者、内縁の妻や知人などといった直系卑属以外への贈与も認められています。

税制改正によって、2024年1月1日より相続財産への加算期間の段階的な延長が決定しました。2031年1月1日以降の贈与の場合、加算期間は7年間となります。

相続時精算課税

相続時精算課税制度とは、贈与時に最大2,500万円まで非課税である一方、贈与者が亡くなったとき、贈与された財産を加算して相続税が算出される方法です。相続時精算課税の概要は以下の表にまとめました。

贈与者

60歳以上の父母・祖父母

受贈者

18歳以上の子ども

控除額

特別控除:通算2,500万円

※超える部分に年間110万円の控除

税率

一律20%

手続き

相続時精算課税選択届出書を提出

期限

贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日

相続時の課税

相続時精算課税を適用したすべての贈与財産

以下のいずれかに該当する場合、暦年課税制度よりも節税効果が見込めます。

  • 将来的に相続税が発生しない方で、110万円を超える贈与をする
  • 将来的に発生する相続税が少ない方で、110万円を超える贈与をする

注意点として知っておきたいのは、贈与者・受贈者間のペアにおいて1度選択すると、2度と暦年課税制度を適用できない点です。

税制改正により、2024年1月1日以降、年間110万円までの贈与の非課税と、非課税枠内の贈与の場合は加算されないことが決定しました。どちらの制度がより節税につながるのかは、個々の状況によって異なるため、早めに税理士へ相談すると安心できます。

将来の相続まで考えたい方へ

今回だけじゃない、そんな方に向けて相続専門税理士が複数世代にわたる相続税対策をサポートします。

贈与税の計算方法

贈与税の基礎控除

贈与者と受贈者の関係性に応じて、贈与税の計算方法は異なります。正確な納税額を把握するうえでも、具体的な計算方法について理解しておくのは重要です。以下で詳しく解説します。

年間の贈与財産のチェック

まずは、1年間で贈与によって得た財産の合計額をチェックします。以下の表の通り、課税されるものと課税されないものがあるため、あらかじめ押さえておくとよいでしょう。

贈与税がかかる財産

  • 土地
  • 家屋
  • 立木
  • 事業用財産
  • 有価証券
  • 貴金属
  • 骨董
  • 預貯金
  • みなし贈与

贈与税がかからない財産

  • 社会生活を送るうえで礼儀として必要な香典やお歳暮、お中元、お見舞いなど
  • 選挙運動での寄付金で法律にもとづき報告されたもの
  • 法人からの贈与で取得したもの
  • 扶養義務者相互間の生活費など

参考:贈与税がかかる財産

控除・特例の適用

続いて、適用できる控除や特例の有無についてチェックする流れです。後述する通り、控除や特例の適用によって、贈与税を節税できる可能性があります。

一方で、税法や関連法規の知識も求められるため、正しく節税するには税理士へ相談するのが賢明です。

速算表にもとづく税率の適用

最後に、2種類ある速算表の税率・控除額をもとに、贈与税額を算出します。一般税率とは、祖父母や父母など直系尊属以外から贈与を受けるときや、直系尊属でも受贈者が18歳未満のケースにおいて適用されるのが特徴です。

一方、特例税率とは、祖父母や父母など直系尊属から贈与を受けるときで、受贈者が贈与を受ける年の1月1日に18歳以上のケースで適用できます。以下の通り、課税価格に税率をかけ、控除額を差し引くと贈与税額を算出できます。

(1年間の贈与財産の合計額−基礎控除額110万円)✕速算表の税率−速算表の控除額

速算表は以下の表の通りです。

出典:参考:贈与税の計算(暦年課税)

なるべく早い段階で次世代に財産を移転し、相続発生時の税負担を平準化するため、特例税率の方が税率は低く設定されています。

贈与税の計算シミュレーション

贈与税

2015年の税制改正によって、贈与財産は一般贈与財産と特例贈与財産の2つに分けられました。異なる税率が適用されるため、正確な金額を算出するには両者の違いを理解しておくのは有用です。以下では、贈与財産の違いによる金額のシミュレーションを紹介します。

一般贈与財産

夫婦や兄弟姉妹間で行われるのが一般贈与で、今回は兄から500万円の贈与を受けたケースを紹介します。具体的な計算式は以下の通りです。

  1. 課税価格:500万円−110万円=390万円
  2. 贈与税額:390万円✕20%−25万円=53万円

今回のケースでは、贈与を受けた金額に対して約8%の贈与税を課されることが分かりました。

特例贈与財産

父母や祖父母から、18歳以上の子や孫への贈与財産が特例贈与財産で、今回は上記と同じ500万円を父から贈与されたものとして紹介します。具体的な計算式は以下に示します。

  1. 課税価格:500万円−110万円=390万円
  2. 贈与税額:390万円✕15%−10万円=48万5,000円

今回のケースにおいて、一般贈与財産と比較すると、納税額は45,000円低くなることが分かりました。

基本的に特例贈与財産の方が税率は低いものの、課税価格300万円以下の贈与の場合、税額は同じになるのが特徴です。

一般贈与財産と特例贈与財産

1年間に一般贈与と特例贈与を受けた場合、一般税率と特例税率で税額を算出したあと、割合に応じて金額を総計します。例として、父から400万円、配偶者から100万円で、前項と同じ500万円の贈与を受けたケースを紹介します。具体的な計算式は以下の通りです。

  1. すべて一般贈与財産として計算したあと、配偶者の割合を算出:(前項より)53万円✕100万円/500万円=10万6,000円
  2. すべて特例贈与財産として計算したあと、父の割合を算出:(前項より)48万5,000円✕400万円/500万円=38万8,000円

今回の例において、贈与税は(10万6,000円+38万8,000円)で、49万4,000円と算出できました。

一般贈与財産と特例贈与財産がある場合、計算方法が複雑になります。贈与税の計算について不明な点がある場合、税理士へ相談するとよいでしょう。

贈与税の節税対策

控除制度や特例などの活用により、贈与税を抑えられる可能性があります。贈与税に限りませんが、節税対策をするには特例や控除など、諸制度を把握しておくのが重要なポイントの1つです。節税対策の方法は、以下の表にまとめました。

教育資金の贈与税を非課税にする

  • 父母や祖父母などの直系尊属から30歳未満・信託契約前年の所得1,000万円以下の子どもや孫への贈与が対象
  • 教育に必要な教育費を一括で贈与するとき、受贈者1人あたり最大1,500万円まで非課税になる制度
  • 教育資金として認められるのは、入学金、授業料、塾などの月謝などである
  • 贈与を受けた資金は金融機関などに預け入れ、教育資金管理契約の締結が必要

結婚・子育て資金の贈与税を非課税にする

  • 祖父母など直系尊属から18歳以上50歳未満で、信託契約の前年の所得が1,000万円以下の方への贈与が対象
  • 結婚・子育てに使う資金を贈与する場合、受贈者1人あたり1,000万円まで非課税になる制度
  • 挙式や転居にかかる費用のほか、妊娠、出産などに必要な費用が非課税になる
  • 金融機関と契約を結び、専用の結婚・子育て資金口座の開設が求められる

配偶者控除を利用し自宅を贈与する

  • 居住用不動産もしくは居住用不動産取得の資金を贈与したとき、2,000万円まで非課税になる制度
  • 基礎控除を含めると、2,110万円まで非課税となる
  • 婚姻期間20年以上の夫婦が対象である
  • 自宅の家屋もしくは敷地の他、借地権も含まれる

基礎控除を利用する

  • 年間110万円の基礎控除以下の金額を長期間贈与すると、まとまった金額を無税で移転できる
  • 現預金など、金融資産が多い方に適している方法である
  • 了承を得たうえで受贈者に財産管理を任せたり、銀行振込などで証拠を残したりすることで、税務署に認められやすくなる

相続開始後でも、財産評価や遺産分割の方法などにより、相続税額を抑えられる可能性があります。納税額を抑えつつ、円満に相続を終えるには、早めに税理士へ依頼するのが1つの方法です。

よくある質問

贈与税の計算に関してよくある質問をまとめました。以下で詳細に見ていきましょう。

贈与税の計算の対象期間は?

課税方式によって異なります。暦年贈与の場合、原則として贈与を受けた年の1月1日から12月31日までが対象です。

一方、相続時精算課税の場合、通算2,500万円と年間110万円を超える贈与に対して課税されるため、暦年贈与とは期間が異なります。

1,000万円の贈与を受けたときの計算方法は?

一般税率と特例税率のうち、どちらに該当するかで計算方法は異なります。例えば、母親から子どもへ贈与する場合の贈与税は以下に示します。

  • 特例税率(子どもの年齢22歳):890万円✕30%−90万円=177万円
  • 一般税率(子どもの年齢17歳):890万円✕40%−125万円=231万円

受贈者の年齢は、贈与を受ける年の1月1日時点で判定されます。

贈与税を計算するときに端数はどうする?

基礎控除後に1,000円未満の端数があるときは、切り捨てます。計算した税額に百円未満の端数がある場合も同様に切り捨てます。計算した税額が百円未満の場合、全額切り捨てするのがポイントです。

相続の相談は税理士へ

ここまで、贈与税の概要や暦年課税制度の計算の流れ、シミュレーション、節税対策などを解説しました。

年間の贈与額の合計や受贈者との関係性などにもとづき、贈与税額は決定します。

申告を忘れたり過小に申告したりすると、追徴課税が生じる可能性もあるため、贈与税を正しく納めるのは重要です。贈与を受けたとき、申告・納付の必要性について判断したうえで、期限内の手続きが求められます。

税額の算出や手続きの方法などについて不明な点がある場合、実績のある税理士へ相談するのがおすすめです。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。