相続人がいない相続(相続人不存在)で財産はどうなる?手続きまとめ

相続人がいない相続(相続人不存在)で財産はどうなる?手続きまとめ

相続人がいない相続を「相続人不存在」といい、特別縁故者もいない場合には財産が国のものになります。遺贈や贈与などの方法を選択すると、財産の使い道を自分で決められます。法定相続人がいない場合の手続きは、通常の相続手続きとは異なる点があるため、正しく知っておくのが重要です。今回は、相続人不存在の相続における手続きの流れや対策などを解説します。

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相続人がいない相続(相続人不存在)で財産はどうなる?

遺産整理・遺品整理をする相続人・配偶者

相続人や特別縁故者がいない相続(相続人不存在)においては、相続財産はすべて国庫に渡ります。

警視庁の発表により、令和6年に自宅で亡くなった一人暮らしの方は、全国で76,020人と判明しました。うち、死後8日以上経過して見つかった方は21,856人であり、生前に社会的に孤立していたと推認されます。

すべての財産を国に納めたいという思いがない場合には、何かしらの対策をする必要があります。

生活や仕事をサポートしてもらった方など、特定の方へ財産を譲りたい場合には、遺言書による財産の無償譲渡である「遺贈」を選ぶのが1つの方法です。遺贈する金額などは自由に決められます。

他には、遺贈により特定の団体に寄付する「遺贈寄付」も選択できます。遺贈寄付とは、財産の全額もしくは一部を、以下の公益団体に対して寄付することです。

  • 日本財団
  • ユニセフ
  • 日本赤十字社
  • 日本盲導犬協会

遺贈寄付により特定の団体の活動をサポートできるため、社会貢献の手段の1つとしても近年注目を集めています。

参考:令和6年中における警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者について

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相続人がいない相続の4つのケース

相続税の申告に間に合わない

相続人がいない相続は大きく4つに分けられます。以下で詳細に見ていきましょう。

法定相続人の不在によるもの

配偶者や子どもなどの法定相続人がいない場合、相続人不存在の相続となります。以下の通り、法定相続人とは、民法によって被相続人の財産取得を認められている方のことです。

  • 第1順位:子ども
  • 第2順位:父母や祖父母など
  • 第3順位:兄弟姉妹

配偶者は常に相続人として認められます。配偶者以外の方の場合、優先順位に応じて配偶者と一緒に相続人となるのが特徴です。

相続放棄によるもの

相続人がいる一方で、全員が相続放棄するケースでは相続人不存在となります。相続放棄とは、相続発生時に資産や負債などの権利・義務などの財産を一切取得せずに放棄することです。

一般的な相続である単純承認の場合、マイナスの財産が多いときでも、財産を取得する義務があります。相続放棄するために相続人全員の同意は不要で、相続人自らの意志で手続きを進められるのが特徴です。

最終的には、家庭裁判所選任の相続財産管理人により、財産の処分・清算が行われ、国に帰属します。

相続欠格によるもの

被相続人の配偶者や子どもには相続権があるものの、一定の条件を満たすと「相続欠格」に該当し、ただちに相続権を失います。相続欠格に該当するケースは、具体的に以下の通りです。

  • 被相続人を殺害もしくは、殺害未遂によって刑に処された
  • 遺言書を偽造したり廃棄したりしたなど

相続欠格に該当する方は、最低限の遺産相続権である遺留分や遺贈も受けられません。

相続廃除によるもの

問題のある相続人を相続から除外することを「相続廃除」といい、相続人がいない相続につながるケースがあります。配偶者や子どもなどの相続人から虐待や侮辱などの行為を受けたケースが該当し、兄弟姉妹は対象外です。

相続廃除により、相続人は最低限保証されている遺留分の取得権利も失います。相続人への影響が大きいため、相続廃除は認められにくいのが特徴です。

相続人がいない相続(相続人不存在)の手続きの流れ

100万円の相続税

相続人がいない相続では、相続財産管理人が債務処理や相続人捜索などを行い、残余財産がある場合には国に帰属する流れです。相続人不存在の手続きに関して、以下で詳しく解説します。

相続財産管理人の選任

相続人不存在の場合、債権者や受贈者などの利害関係者や検察官などの申し立てにより、家庭裁判所で相続財産管理人の選任が行われます。相続財産管理人によって実施されることは、具体的に以下の通りです。

  • 財産管理・保存
  • 遺産分割
  • 不動産の売却など

民法にもとづき、相続人がいるのかを確認するための公告が家庭裁判所によって行われます。

原則として、公告は官報に掲載のうえ、全国に向けて発信されます。公告期間は最低6ヵ月以上とされており、期間内に相続人と名乗り出る方が出てきた場合、手続きは終了です。

参考:不在者財産管理人選任

債権者や受贈者に対する請求申出の勧告

相続財産管理人の選任公告から2ヵ月経過しても相続人が見つからない場合、相続債権者・受贈者に対して請求申出の公告を行う流れです。公告の対象となる方は、具体的に以下の通りです。

  • 被相続人からお金を借りていた方
  • 遺言によって財産を譲り受けることになっていた方など

すべての債権者や受贈者に対し、相続財産管理人は以下の点を公告します。

  • 2ヵ月以内に請求の申出が必要である
  • 2ヵ月を過ぎると清算から除斥される

公告するにあたって、利用されるものは官報です。

相続人に対する最後の権利公告

相続財産管理人の公示より4ヵ月経過しても相続人が見つからない場合、3回目の公告である最後の権利公告をする流れです。本公告によっても相続人が現れない場合には、相続人不存在が確定します。

特別縁故者への財産分与の引渡し

以下の通り、特別縁故者と認められる方には、相続財産の一部もしくはすべてが与えられるケースがあります。

  • 同居により生活を支えてきた内縁の配偶者
  • 看取りや看護などでサポートしてきた友人
  • 親族ではないものの、同居により生計をともにしていた方など

同居や介護などに関わってきた方の他にも、単なる知人という関係ではなく、被相続人と深く継続的に関わってきた方が、特別縁故者として認められる可能性があります。以下の書類をもとに、裁判所は特別縁故者への財産分与の種類や割合などを決定します。

  • 陳述書
  • 介護記録
  • 交流の記録など

通常の相続とは異なり、裁判所によって財産分与が決定されるため、遺留分制度は適用されません。特別縁故者もいない場合、財産は国に帰属する流れです。

相続人がいない(相続人不存在)ときに生前にできる対策方法

相続人がいないときは、希望に応じて生前に対策を進めるのが有用です。以下で詳細に解説します。

遺言書を作成する

法定相続人以外の方に財産を確実に受け渡したい場合には、遺言書の作成が有用です。特別縁故者として財産を受け渡したい方に、財産分与の申立てをしてもらう方法もありますが、確実ではありません。

遺言書の作成においては、以下の通り遺言の内容を実行に移す「遺言執行者」を指定するのも、ポイントとしてあげられます。

  • 相続人の確定
  • 遺産目録の作成・交付
  • 遺産管理
  • 不動産の相続登記
  • 株式や預貯金の名義変更など

遺言書の種類は3つあり、それぞれの特徴は以下の表の通りです。

自筆証書遺言

公正証書遺言

秘密証書遺言

作成方法

本人が手書きで作成

公証人が被相続人から口頭で伝えた内容をもとに作成

本人が作成

費用の有無

証人の有無

2人以上必要

2人以上必要

メリット

  • 自分1人で作成できる
  • 費用がかからない
  • いつでも修正できる
  • 形式不備を防げる
  • 隠蔽や紛失などを予防できる
  • 自分で文字を書かなくてよい
  • 自分1人で作成できる
  • 内容を秘密にできる
  • 公証役場に記録が残る

デメリット

  • 不備があると無効になる
  • 盗難や紛失のリスクがある
  • 発見されない可能性がある
  • 時間や手間がかかる
  • 2人以上の証人が必要である
  • 公証役場での手続きが必要である
  • 発見されないリスクがある
  • 時間や手間がかかる

それぞれメリット・デメリットがありますが、被相続人の意志を忠実に実現できる可能性の高さにより、公正証書遺言を選ぶのが無難です。

財産を早めに移転する

生前に財産を移転させることでも、自分の希望通りの相続を実現させられます。財産を移転する方法として、贈与があげられます。贈与とは、贈与する方・される方双方の合意のもと、無償で行われるものです。

贈与税には以下の2つの課税方式があり、受贈者にとっては、相続税の納税負担を軽減する効果が期待できます。

相続時精算課税

暦年課税

控除額

  • 特別控除:累計2,500万円
  • 基礎控除:毎年110万円

基礎控除:毎年110万円

税率

特別控除と基礎控除を超える部分に対して、一律20%

基礎控除を超える部分に対して、速算表を適用する

後見人を選ぶ

相続人がいない場合、成年後見制度の1つである「任意後見制度」の利用を検討するとよいでしょう。以下の通り、認知症や病気などで判断能力が低下したとき、財産や身上などの面でサポートを受けられるためです。

  • 財産管理:預貯金の管理や金融機関での手続き、光熱費や税金、保険料などの支払い、生活必需品などの購入など
  • 身上監護:介護契約や福祉サービスの契約手続き、介護施設入所の契約手続き、通院や入院などの契約や諸手続きなど

本制度を通して契約を結んだ方を「任意後見人」といい、後見人として選択・契約できるのは以下の方です。

  • 家族
  • 友人
  • 弁護士
  • 司法書士など

財産管理などを明確にしたうえで契約できるため、自分の意志に沿う相続・資産運用を実現しやすいのがメリットです。

よくある質問

相続人がいない相続において、よくある質問をまとめました。以下で詳しく見ていきましょう。

相続人がいない場合の財産はどうなりますか?

国のものになります。

家庭裁判所による相続財産清算人の選任後、相続財産清算人による財産の清算を経て、国に帰属する流れです。周囲の方が勝手に財産を処分するのは認められていないため、注意が必要です。

いとこに法定相続人がいないときの財産はどうなりますか?

国のものになりますが、以下のいずれかに該当する方は財産を取得できる可能性があります。

  • 家庭裁判所で特別縁故者として認められた方:生前に関わりの深かった親族や内縁関係者など
  • 遺言書で指定された方

特別縁故者として認められるには、日常生活のお世話や療養看護に努めるていたなど、特別な関係があったことが前提となります。

相続人がいないときに財産を取得できる特別縁故者とは?

相続人がいないとき、被相続人と一定の関係性があったことを理由として、特別に財産取得できる方を示します。相続人がいない方の財産については、特別な関係性のあった方が取得するのが相応しいと考えられてきた背景があります。

相続人がいない空き家はどうなりますか?

最終的には国のものになります。なるべく早く手続きを進める方がメリットを得やすいため、以下の通り相続発生前に対処するのがポイントです。

  • 遺言書を作成し承継する
  • 内縁の方に贈与する
  • 売却し現金化する

相続人がいない場合の相続税はいくらですか?

財産額によって異なります。相続税には基礎控除があり、(3,000万円+600万円✕法定相続人の数)で算出できます。3,000万円以下の場合には相続税がかかりません。

原則として、法定相続人以外の方が財産を取得するとき、2割加算される点に注意が必要です。

相続の相談は実績ある税理士へ

相続人がいない相続における財産の行方や4つのケース、手続きの流れなどを解説しました。相続人がいない場合、財産は国に帰属します。

財産の使い方を自分で決めたい場合には、遺言書の作成や生前贈与などの対策をするのが重要です。

相続では高度な法律知識や専門的なノウハウなどが求められるため、税理士などの専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

やさしい相続センターは25年以上に渡り、望み通りの相続を実現させるためのサポートをしてきた実績があります。まずはお気軽に無料相談・見積りをご利用ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。