【8選】代襲相続でよくあるトラブルと対処法、事前にできる対策まとめ

【8選】代襲相続でよくあるトラブルと対処法、事前にできる対策まとめ

代襲相続は「本来の相続人が亡くなっている」または「相続権を失っている」場合にその子どもや孫などが代わりに相続する制度です。相続では頻繁に発生する仕組みですが、制度を正しく理解していないと思わぬトラブルにつながるので要注意です。そこで本記事では代襲相続でよくある8つのトラブル、揉めた際の対処法、事前にできる具体的な予防策を分かりやすく解説します。

そもそも代襲相続とは?

甥や姪が代襲相続人になるケースのイメージ

本来相続人になるはずの人がすでに亡くなっている、または相続権を失っている場合に、その子どもや孫などが代わりに相続する制度です。相続の現場でよく起こるケースで、知っておくと遺産分割のトラブル防止にもつながります。

代わりに相続する人を代襲相続人、本来相続するはずだった人を被代襲者と呼びます。代襲相続が発生するのは、次のいずれかの場合です。

  • 本来の相続人が相続開始前に亡くなっていたとき→その人の「子ども」や「孫」が代わりに相続
  • 兄弟姉妹が相続人になる場合、その兄弟姉妹が亡くなっていたとき⇒その「子ども(甥・姪)」が代わりに相続

また本来の相続人が、次の理由で「相続権を失った」ときも、その子どもが代襲相続人になります。

  • 相続欠格(重大な不正行為で相続資格を失うこと)
  • 相続廃除(被相続人の意思で相続権をはく奪されること)

代襲相続は家族構成によって判断が難しいケースも多く、「誰が相続人になるのか分からない」というご相談も非常に増えています。

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よくある代襲相続トラブル8選

代襲相続の家系図

以下では、よくある代襲相続トラブル8選をご紹介します。

代襲相続人を外したまま遺産分割が進められてしまう

代襲相続人を含めずに行われた遺産分割協議は無効です。しかし代襲相続人と疎遠だったり制度を知らない相続人がいたりすると、代襲相続人不在のまま協議が進められるケースが発生します。

代襲相続人は「協議が無効である」と主張し、改めて協議に参加する権利があります。無断で進められた場合は、必ず早いうちに対応しましょう。

代襲相続人が遺産分割協議書への署名を強要される

不利益な内容の協議書に応じる必要は一切ありません。代襲相続人は孫や甥・姪に当たるケースが多く、知識不足につけ込まれ、不公平な協議書への署名を迫られることがあります。

しかし遺産分割は「相続人全員の自由な合意」で決めるものです。強引な署名要求は無視し、内容の精査・専門家への相談を優先しましょう。

代襲相続人に相続財産の情報が開示されない

財産の全体像が分からないまま協議に応じるのは危険です。被相続人との関係が薄い代襲相続人は、預貯金・不動産・有価証券などの遺産状況を知らされないまま話が進むことがあります。

情報が一部しか開示されないと、本来より少ない取り分になる可能性もあるので要注意です。開示を拒否される場合は弁護士を通じて調査することも可能です。

代襲相続人が相続放棄を一方的に求められる

相続放棄は強制されるものではありません。「あなたは疎遠だったから権利はない」と強い口調で迫られるケースもありますが、相続放棄はあくまで本人の自由意思です。脅しのような形で迫られた場合は、一切応じず専門家へ相談しましょう。

遺産の分け方や割合で代襲相続人と意見が対立する

遺産分割は法定相続分だけで判断されるわけではありません。介護・生前贈与・事業手伝いなどの事情によって、寄与分や特別受益が考慮されることがあります。

代襲相続人がその事情を知らず「法定相続分が公平」と主張して対立することもあります。双方が納得できるよう、事情の整理と冷静な話し合いを心がけましょう。

代襲相続人と連絡が取れず協議が進まない

協議が成立せず遺産が動かせなくなるリスクがあります。代襲相続人が遠方在住・疎遠などで連絡がつかないと、預金口座の名義変更、不動産登記などがストップします。もし連絡がつかない場合は、専門家を通じて所在調査を行う方法もあります。

代襲相続人が協議に非協力的で手続きが滞る

全員の合意が必要なため、一人の非協力で全体が止まります。「連絡しても返事がない」「書類を提出してくれない」などのケースは典型的です。こうした場合も放置せず、調停や専門家の介入で前に進めることが可能です。

代襲相続人が借金の存在を知らずに負債を相続してしまう

借金も相続の対象であり、相続放棄をするためには相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所で申述をしなければなりません。代襲相続人は故人との距離があり、借金の存在に気づかないまま3ヵ月の期限が過ぎてしまうことがあります。

その結果、意図せず借金を背負う可能性もあるため、負債があるか不明な場合は早めの財産調査と相続放棄の検討をしましょう。

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代襲相続トラブルになったらやるべき対処法

代襲相続によって孫に相続するケース

代襲相続トラブルになったら「やるべき5つの対処法」をご紹介するので、感情的に進めようとせず以下のポイントを必ず確認しましょう。

遺産分割協議書には絶対に焦ってサインしない

トラブル時は、内容を理解せず協議書にサインしないことが何より重要です。一度サインしてしまうと「合意した」とみなされ、後から覆すことはほぼできません。後で大きな財産が見つかるケースもあるため、納得できない内容には絶対に署名・押印しないよう注意しましょう。

相続財産の全体像を正しく把握する

公平な分割案を考えるには、相続財産の全体を正確に知ることが大切です。財産目録がある場合は開示を求め、無い場合は自分で調査するか、調査が難しければ弁護士に依頼することも可能です。情報が不足した状態で話し合いに入るのはやめておくのが賢明でしょう。

法定相続分・寄与分・特別受益を踏まえて主張内容を整理する

代襲相続では通常の相続と同じく法定相続分を基準に考えますが「寄与分」「特別受益」によって主張できる割合は変わります。

  • 介護などで財産の維持に貢献していれば「寄与分」が認められる
  • 生前に多額の贈与を受けている場合は「特別受益」として相続分が調整される

感情ではなく「自分が法律上どの程度主張できるのか」を整理することが、トラブルをこじらせないコツです。

長期的な関係を見据え、伝え方にも配慮する

相続で自分の主張ばかりを押し通すと、家族関係が壊れてしまうことがあります。短期的な得よりも「将来どうしたいか」という視点で主張内容を決めましょう。その上で、他の相続人にも理解されやすい言葉で丁寧に説明することが大切です。

借金がある場合は相続放棄も検討する

被相続人に借金があれば、相続放棄(裁判所に申述して一切の相続を放棄する制度)を必ず検討しましょう。放棄しないと借金返済の義務を引き継いでしまいます。財産より負債が多い場合は、早めに相続放棄の手続きを進めることが安全です。

代襲相続トラブルを防ぐための対策

以下では代襲相続でのトラブルを防ぐための対策をご紹介します。

遺言書を作成しておく

まずすべきトラブル防止策は、被相続人が生前に遺言書を作成することです。遺言があれば、その内容に沿って遺産が承継されるため、遺産分割協議そのものが不要となり、話し合いの対立や誤解を大幅に抑えられます。

特に以下のようなトラブルを回避できます。

  • 代襲相続人と他の相続人の意見がぶつかる
  • 代襲相続人の存在を知らずに遺産分割が進んでしまう

ただし遺言内容が「遺留分」を侵害していると新たなトラブルの原因になります。作成段階または作成後に、配偶者や相続予定者へ内容を伝え、遺留分対策もあわせて考えることが大切です。

財産目録を作成・共有し相続手続きをスムーズに進める

財産目録は、被相続人が保有する財産(預貯金・不動産・借金など)を一覧にしたものです。事前に作成しておくと、相続人の調査の負担を減らし、遺産分割をスムーズに進める効果があります。

特に代襲相続人は、被相続人と距離があることが多く、財産を把握しづらいです。そのため遺産の把握ミスや他の相続人が遺産を隠すトラブルなどのリスクを防ぐ上で財産目録が役立ちます。

ただし、財産目録だけでは「誰にどう分けるか」までは指定できないため、必要に応じて遺言書と併用することが重要です。

相続が始まる前に親族間で話し合いをする

生前のうちに親族同士で相続の意向や考えを共有しておくことも、トラブル防止に非常に効果的です。早い段階で話し合いをしておくと以下のようなメリットがあります。

  • 代襲相続人になる可能性がある人との連絡手段を確保できる
  • 家族間でお互いの考えを理解し、関係性をつくる
  • 被相続人本人が財産を渡す意図を直接説明できる

親族が集まりやすいお盆・年末年始などに少しずつ話し合いを進めることをおすすめします。

生前贈与や死因贈与を検討する

代襲相続人がきちんと財産を受け取れない可能性がある場合は、生前贈与や死因贈与を活用する方法もあります。

  • 生前贈与:存命中に財産を渡すこと
  • 死因贈与:死亡時に財産を渡す契約

これらを活用すれば被相続人の希望どおりに財産を渡しやすくなるほか、家族へ理由を説明しやすくなります。結果的に、相続時の誤解や不満も防ぎやすくなるでしょう。

また、教育資金・住宅取得資金の生前贈与には非課税特例が利用できるケースもあります。ただし生前贈与・死因贈与は遺留分計算に含まれるのと税務上の注意点が多いため、専門家へ相談して進めるのがおすすめです。

生命保険を活用する

生命保険を利用して、代襲相続人を「保険金の受取人」に指定する方法も効果的です。死亡保険金は受取人固有の財産のため、遺産分割協議の対象にならず、確実に財産を渡せます。

また保険金は請求後すぐに支払われるため、葬儀費用や相続税の支払いにも役立ちます。「500万円×法定相続人の数」まで非課税となるため、現金のまま相続するより税負担を抑えられる場合もあります。

参考:No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金|国税庁

家族信託を活用する

家族信託は、財産の管理や運用を信頼できる家族に任せる仕組みで、近年注目されている相続対策のひとつです。遺言にはない以下のようなメリットがあります。

  • 財産の管理・運用・処分を受託者が代わりに実施
  • 委託者(財産の持ち主)が亡くなった後の承継先も指定できる
  • 認知症などで判断能力が低下した後も財産管理がスムーズ

複数世代に渡る財産の承継を設計できるため、代襲相続が発生する可能性が高い家庭にも適した制度です。

まとめ

代襲相続は、相続の基本ルールを理解していないと深刻な問題に発展する可能性があります。トラブルを防ぐには、遺言書・財産目録の作成、生前の話し合い、生前贈与や生命保険の活用など、事前の対策が必要です。すでに揉めている場合は、安易に署名せず、財産状況を正確に把握し、法定相続分や寄与分を踏まえて冷静に判断しましょう。

「自分は代襲相続人に当たるのか?」「家族が揉めそうで不安」など、少しでも不安がある方は、ひとりで抱え込む必要はありません。相続の専門家が中立的にサポートする「やさしい相続相談センター」なら、初回相談から丁寧に状況を整理し、最適な解決策をご提案します。初回相談は無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
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