相続財産の調べ方|財産の種類別の調査方法やよくある質問を紹介

相続財産の調査は相続手続きで必ず発生する作業の1つです。遺産分割協議や相続税申告を行うためには、まずは相続財産の調査を完了させる必要があります。
相続財産の調べ方は財産の種類によって異なります。やるべきことが多岐にわたるため、なるべく早いうちに相続財産の調べ方について大まかにでも把握しておきましょう。
今回は相続財産の調べ方について詳しく解説します。
目次
前提|相続財産調査の大まかな流れ
相続財産の調査では、被相続人の生前の財産をすべて洗い出す必要があります。しかし最初の段階ではどのような財産が存在するのかすら把握できていない状態であり、やみくもに調査を進めるのは非効率です。
以下では、相続財産調査を効率的に進めるための流れを5つの工程に分けて解説します。
[ステップ1]被相続人の通帳や郵便物を調査する
まずは被相続人の通帳や郵便物を調査し、相続財産の手がかりを集めるのが効率的です。
通帳の取引履歴からは、定期的な支払いの有無や支払先の名称など様々な情報を得られます。どのような取引が発生しているかをある程度把握できるだけでも財産調査を進めやすくなります。
通帳とあわせて郵便物の調査も早めに行うのがおすすめです。郵便物の中にも請求書や支払通知書など、相続財産の手がかりとなる資料がある可能性があります。
[ステップ2]遺産の中から調査する
通帳と郵便物の調査が一通り終わり次第、それ以外の遺産の調査も本格的に進めます。
この段階では財産の詳細を特定するというよりは、どのような財産が存在する可能性があるかの把握が目的です。「固定資産税納税通知書が見つかったから不動産があるはず」「借入金の契約書があるから借金がありそう」のように、手がかりを集める段階といえます。
[ステップ3]相続財産について情報を整理する
ステップ2までの作業で把握した相続財産の種類ごとに、以下の情報を整理しましょう。
- 財産の種類、名称
- その財産があると考えられる根拠資料
- 問い合わせ先
- 問い合わせに必要な書類
- 優先順位
相続財産の調査方法は財産の種類によって違いがあります。財産の種類が多い場合は問い合わせ先も多岐にわたる可能性があるため、一度相続財産について情報を整理するのがおすすめです。
[ステップ4]相続財産の調査に必要な書類を用意する
相続財産の本格的な調査に向けて、必要書類の用意を進めましょう。
すべての相続でほぼ確実に必要となるのは以下の5点です。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書
- 相続人の本人確認書類
その他の必要書類は相続財産の種類によって異なります。必要書類に漏れがあると調査にかかる時間が長くなる恐れがあるためご注意ください。
[ステップ5]問い合わせや資料の請求をする
相続財産について具体的な情報を把握するため、各連絡先に問い合わせや資料の請求を行います。詳しい進め方は次の章で解説します。
【種類別】相続財産の調べ方

続いて相続財産の調べ方について、財産の種類別に詳しく解説します。
預貯金
問い合わせ先 | 契約している金融機関 |
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手がかりとなる |
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問い合わせ時の |
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大まかな流れ |
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預貯金の調査で注意するべきなのがネット銀行やインターネットバンキングです。紙の通帳やキャッシュカードがない可能性もあるため、スマートフォンアプリやWebの履歴等も入念に調査する必要があります。
また、郵送物やノベルティがあるものの、通帳やキャッシュカードが見つからない金融機関が存在する可能性もあります。このような場合も対象の金融機関に問い合わせが必要です。
不動産
問い合わせ先 | 市区町村役場、法務局 |
|---|---|
手がかりとなる |
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問い合わせ時の |
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大まかな流れ |
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不動産の調査に欠かせない書類として名寄帳(なよせちょう)が挙げられます。
名寄帳とは、個人が所有する不動産を一覧にまとめた書類です。非課税の不動産も記載されるため、固定資産税納税通知書だけでは把握できない不動産の存在も確認できます。
ただし、名寄帳に記載されるのは管轄内に所在する不動産のみです。複数の地区に不動産がある場合は地区ごとに名寄帳の申請を行う必要があります。また、自治体によっては名寄帳に非課税の不動産が記載されないケースがあるため、不動産を管轄する自治体に確認しましょう。
有価証券(株式、投資信託、債券など)
問い合わせ先 | 証券会社 |
|---|---|
手がかりとなる |
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問い合わせ時の |
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大まかな流れ |
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有価証券の調査でポイントとなるのが証券保管振替機構への連絡です。
証券保管振替機構(以下「ほふり」)とは上場株式や社債、投資信託などの有価証券の決済インフラ業務全般を担う機関です。ほふりに開示申請を行うことで故人の契約している証券会社を特定できます。
利用している証券会社を特定できたら、対象の証券会社へ残高証明書の発行を依頼しましょう。
生命保険
問い合わせ先 |
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|---|---|
手がかりとなる |
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問い合わせ時の |
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大まかな流れ |
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生命保険の死亡保険金は亡くなった人の所有する財産ではないものの、相続税法上は相続財産としてみなされます。このような財産を「みなし財産」といいます。
生命保険の調査で重要なポイントは「生命保険契約照会制度」です。生命保険契約照会制度では、亡くなった人が契約者または被保険者となっている生命保険契約の有無を確認できます。保険証券や郵送物等の手がかりが見つからない場合は、生命保険契約照会制度を利用するのが確実です。
借金(マイナスの財産)
問い合わせ先 |
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|---|---|
手がかりとなる |
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問い合わせ時の |
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大まかな流れ |
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銀行および消費者金融からの借入やクレジットカードのキャッシングサービス等は、信用情報機関への情報開示によって確認可能できます。
信用情報機関とは加盟する金融会社から登録される信用情報を管理・提供する役割を担う機関です。日本には信用情報機関として3つの機関が存在します(CIC、JICC、KSC)。
それぞれ扱う信用情報の種類が異なるため、相続財産の調査ではすべての機関に情報開示の申請をするのが確実です。
当然ですが、信用情報機関への情報開示によって把握できるのは信用情報機関に登録された情報のみです。個人間での借金や金融業者以外からの借入は把握できないため、遺産の地道な調査が必要となります。
その他の財産
その他の財産は問い合わせ先が多岐にわたる上、財産の種類や状況によって必要な手続きが異なります
財産の種類 | 主な手がかり | 主な問い合わせ先 |
自動車 |
| 信販会社やディーラー(死亡時点でローン残債がある場合) |
貴金属・骨とう品・美術品などの動産 |
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会員権・著作権・知的財産権などの権利 |
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家賃、携帯電話料金、公共料金、クレジットカード利用残高などの未払金 |
| 契約先 |
相続財産の調べ方に関するよくある質問

最後に、相続財産の調べ方に関するよくある質問6つを紹介します。
[質問その1]相続財産は何から調べるのが良い?
相続財産の調査の順番に明確なルールはありませんが、以下の順で進めるのがおすすめです。
- 預貯金
- 借金
- 不動産
- 非上場会社の株式
- その他の財産
最初に預貯金の調査を行う理由は、口座の取引明細が他の相続財産の調査に役立つためです。通帳や取引明細から該当する財産の有無や支払先など様々な情報を把握できます。
預貯金の調査が終わり次第、なるべく早めに借金の調査を行いましょう。相続放棄および限定承認の申述期限は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内です。申述期限に間に合わせるため、借金の有無や金額についても早めに調査を行うべきといえます。
[質問その2]相続財産の調査にかかる期間の目安は?
相続財産の調査にかかる期間の目安は1~2ヵ月程度です。ただし、相続財産の内容や相続人の状況によってはさらに長い期間がかかるケースもあります。
[質問その3]相続財産の調査は自分でできる?
相続財産の調査を自分で行うことも可能です。ただし、財産の種類や時間的な余裕の程度によっては自分で行うのは難しい場合もあります。相続放棄や限定承認の申述期限に間に合わない恐れや、調査に多大な労力を要する恐れがあるため、専門家に相談するのが安心です。
[質問その4]専門家に依頼する場合はどこに相談するべき?
相続財産の調査を依頼できる専門家として複数の選択肢があります。専門家ごとの特徴と依頼をおすすめできるケースを紹介します。
相談先 | 特徴 | 依頼をおすすめできるケース |
税理士 |
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弁護士 |
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司法書士 |
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行政書士 |
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[質問その5]相続財産の調査が不十分だとどうなる?
相続財産の調査が不十分な場合、遺産分割の完了後に新たな遺産が見つかる可能性が高くなります。評価額によっては相続税の修正申告が必要になる可能性もあり、多大な労力を要します。
[質問その6]遺言書があれば相続財産の調査は不要?
遺言書がある場合でも相続調査を行う必要があります。故人が書き忘れた財産が存在する可能性や、状況が変化している可能性があるためです。
相続財産の調べ方は財産によって異なる!少しでも疑問や不安があれば専門家に相談するのが安心
相続財産の調査では最初に財産の種類をある程度特定し、それから各財産について問い合わせを進めるのが一般的です。作業は多岐にわたるため、なるべく早いうちから作業に着手するのが理想です。
相続財産の調査が遅れてしまうと、相続放棄・限定承認の申述期限に間に合わなくなる恐れがあります。時間的に余裕がない場合や少しでも疑問や不安がある場合は、相続財産の調査について専門家に相談することをおすすめします。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。






