相続の相談は誰にする?弁護士・税理士・司法書士・行政書士の違いを解説

相続の相談は誰にする?弁護士・税理士・司法書士・行政書士の違いを解説

相続について相談できる専門家として、主に「弁護士」「税理士」「司法書士」「行政書士」の4つが挙げられます。一口に相続に関する相談といっても内容は多岐にわたります。専門家によって対応できる業務や得意分野が異なるため、相談内容に合わせた相談先選びが必要です。今回は相続関連で弁護士・税理士・司法書士・行政書士が対応できる業務の違いや、各専門家に相談するべきケースについて解説します。

各専門家が対応できる相続関連の業務一覧表

業務内容

弁護士

税理士

司法書士

行政書士

法定相続人の調査

相続財産の調査

遺産分割協議書の作成

(※2)

(※4)

遺言書の作成支援

(※3)

相続税申告

(※1)

×

×

相続税対策

(※1)

×

×

相続登記

(※7)

×

×

銀行口座の解約

有価証券の名義変更

自動車の名義変更

(※8)

×

×

相続人同士の紛争解決

×

(※5)

×

遺留分侵害額請求

×

(※6)

×

※1:税理士登録をしている場合のみ
※2:相続税申告が関係する場合のみ
※3:節税対策が主目的等、相続税が関係している場合のみ
※4:登記申請書に添付して提出する場合のみ
※5:認定司法書士で、かつ、簡易裁判所の場合のみ
※6:認定司法書士で、かつ、請求金額140万円以下の場合のみ
※7:登記業務は司法書士の独占業務であるが、弁護士は法律事務の一環として登記申請の代理を行うことができる
※8:一般的には受け付けていない

上記の表の通り専門家によって対応できる業務に違いがあります。同じ相続でも、例えば相続税について相談したい場合と相続登記について相談したい場合では最適な相談先が異なります。自分の目的に適した相談先を選ぶため、まずは相談したい内容を明確にしましょう

弁護士|相続トラブル全般の解決サポートが可能

裁判・判例

続いて専門家ごとの業務内容について詳しく解説します。まずは弁護士についてです。

弁護士に依頼できる業務

弁護士は法律の専門家で法律手続き全般に対応できます。相続人間の法的紛争の解決サポートや各種代行ができるのは弁護士のみです。

相続トラブル関連以外で弁護士に依頼できる内容を紹介します。

  • 法定相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 遺言書の作成支援
  • 相続税申告(税理士登録をしている場合)
  • 相続税対策(税理士登録をしている場合)
  • 相続登記

相続関連の幅広い手続きやサポートができると考えて良いでしょう。

弁護士は税理士試験に合格しなくても、日本弁護士連合会を通じて税理士登録をすれば、相続税に関する業務全般に対応できる権利をもっています。そのため、税理士登録が済んでいる弁護士であれば相続税に関する業務全般も対応可能です。司法書士の独占業務である登記手続きも行えるため、相続登記の依頼もできます。

ただし、紛争解決を伴う場合は他の士業に比べて報酬が高額になることがあります。そもそも相続税申告や相続登記は取り扱っていない弁護士もいるので、契約前に対応範囲については必ず確認をしましょう。

弁護士に相談するべきケース

基本的に相続トラブルが発生した場合、および発生の懸念がある場合は弁護士に相談するべきでしょう。具体的な相談ケースとしては、以下の例が挙げられます。

  • 遺産分割協議で揉めている
  • 遺産分割協議に非協力的な相続人がいる
  • 遺言書の効力の有無で揉めている
  • 遺留分侵害が起きている

相続トラブルをなるべくスムーズに解決するには、早い段階で適切な対応を行う必要があります。専門知識がない人が法的な対応を行うのは難しいため、なるべく早いうちに弁護士に相談しましょう。

税理士|相続税申告や節税対策など相続税関連を幅広くサポート

相続税申告書

税理士は税金の専門家で、以下の3つは税理士の独占業務として定められています。

  • 税務相談
  • 税務代理
  • 税務書類の作成

相続関連の業務のうち、相続税申告や節税サポートなど相続税に関する業務ができるのは税理士登録をした者のみです。そのため相続税に関する相談は税理士に行うことになります。

税理士に依頼できる業務

相続関連で税理士に依頼できる業務の例は以下の通りです。

  • 相続税申告
  • 相続税対策
  • 法定相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議書の作成(相続税申告書に添付が必要な場合のみ)
  • 遺言書の作成支援(節税対策に関係する場合のみ)
  • その他相続税に関する相談やサポート全般

前述のように、相続税関連の業務ができるのは税理士のみです。その他の業務は相続税申告や節税対策のために必要な付随業務として扱われます。

税理士に相談するべきケース

相続について税理士に相談するべき主なケースは、以下の通りです。

  • 遺産総額が多く相続税が発生する可能性が高い、または相続税の発生が確実である
  • 相続財産に土地や非上場株式等の評価額計算が難しい財産が含まれる
  • 生前のうちから相続税対策を行いたい(節税対策として生前贈与をしたい)

相続税はルールが複雑であり、専門知識のない人が正確な対応をするのは難しいのが事実です。そのため相続税が発生する場合や、相続税についての疑問や懸念がある場合は税理士に相談することをおすすめします。

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司法書士|相続登記の代行を依頼できる

登記済権利書

司法書士は登記または供託手続きや、法務局・裁判所・検察庁などに提出する書類の作成などを専門とする法律家です。

法律家という点では前述した弁護士と似ていますが、対応する業務の性質に大きな違いがあります。弁護士は紛争解決のサポートや代理人業務がメインであるのに対し、司法書士は紛争を防ぐための業務が中心といえます。

司法書士に依頼できる業務

相続関連で司法書士に依頼できる業務の例は以下の通りです。

  • 相続登記
  • 法定相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議書の作成(登記申請書に添付する場合のみ)
  • 遺言書の作成支援
  • 預貯金の解約、払い戻し
  • 有価証券の名義変更

司法書士ならではの業務としては相続登記が挙げられます。

相続登記とは、相続や遺贈によって取得した不動産の名義変更の手続きです。2024年4月1日から登記は義務化されました。自分が相続等によって不動産を取得した事実を知った日から3年以内に行わなければなりません。

相続登記のほか、法定相続人や相続財産の調査、遺言書の作成支援なども対応可能です。遺産分割協議書の作成は、登記申請書に添付するために作成が必要な場合のみ依頼できます。

司法書士に相談するべきケース

相続について司法書士に相談するべきであるのは、相続財産に不動産が含まれる場合です。

相続登記は相続人本人が行うことも可能ですが、必要書類が多く手続きの内容も複雑なためミスや漏れのリスクがあります。また、その他の相続関連手続きを優先的に進めるうちに相続登記を忘れてしまい、期限を過ぎてしまう恐れもあります。

期限までに正確な手続きを行うため、相続登記は司法書士に依頼するのが安心です。

行政書士|相続がシンプルな場合の相談先に最適

行政書士とは官公庁へ提出する書類や、権利義務・事実証明に関する書類作成を専門とする法律家です。書類作成および関連手続きの代行、相談対応などを行います。

行政書士に依頼できる業務

相続関連手続きのうち、行政書士に依頼できる業務としては以下の例が挙げられます。

  • 法定相続人の調査
  • 相続財産の調査
  • 遺産分割協議書の作成
  • 遺言書の作成支援
  • 預貯金の解約、払い戻し
  • 有価証券の名義変更
  • 自動車の名義変更

その他の書類作成や各種手続きは行政書士以外にも依頼できる内容となります。

行政書士に相談するべきケース

行政書士への相談をおすすめできるのは、以下の条件をすべて満たす場合です。

  • 相続人間のトラブルが起きていない、トラブルの懸念がない
  • 相続税申告や相続登記など、他の士業の独占業務が含まれない
  • 相続手続きの労力を最小限に抑えたい

相続ではやるべき手続きが多く、当事者にとって重い負担になります。相続税申告や相続登記が不要な場合でも「相続手続きが楽に済む」というわけではありません

相続の内容がシンプルであれば、手続きの負担を抑えるために行政書士に依頼するのもおすすめです。

弁護士・税理士・司法書士・行政書士-依頼内容に合わせて相続の相談先を選ぼう

相続について相談できる専門家として、弁護士・税理士・司法書士・行政書士が挙げられます。専門家によって対応可能な業務が異なるため、依頼したい内容に合わせて相談先を選ぶ必要があります。

相続トラブルについては紛争対応ができる弁護士に相談しましょう。相続税申告や節税対策など、相続税関連の相談先は税理士となります。相続財産に不動産が含まれる場合は司法書士、相続内容がシンプルな場合は行政書士が相談先として最適です。

まずは相続関連手続きのうち、何を依頼したいのかを明確にしましょう。その上で各専門家の違いを押さえることで、自分に合う相談先をスムーズに選べます。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。