孫への贈与で税金はいくら課せられる?非課税特例や贈与の注意点を解説

原則として、贈与により得た財産には贈与税が課せられます。では、孫に贈与した場合、どのくらいの税金が課せられるのかご存じでしょうか。本記事では、孫へ贈与をした場合にかかる税金や、節税に繋がる非課税特例について解説しています。
目次
孫への贈与は贈与税の対象になる?
贈与税は、誰に贈与したかに関わらず課せられる税金です。たとえ孫への贈与だとしても、金額が一定額以上になれば課税対象となります。
しかし、贈与税のしくみの1つである生前贈与加算については対象外となっています。
そもそも生前贈与加算とは、贈与による相続税逃れを抑止する目的で作られた制度です。相続発生前にあらかじめ財産を譲っておけば、相続財産を減らすことができます。相続税は相続財産の金額に応じて課せられるため、贈与によって財産を減らしておくことが相続税の節税になると言われているのです。
そこで、亡くなる前一定期間に行われた贈与を相続財産に持ち戻す、生前贈与加算という制度が設けられたのです。具体的な持ち戻し期間は、令和6年以降の贈与から段階的に延長され、最終的に亡くなる前7年が対象になります。この期間に行われた贈与は、基礎控除内であったとしても相続財産に加算しなくてはなりません。
ただし、原則として孫への贈与は生前贈与加算の対象外です。 孫は通常、相続人にはあたらないためです。そのため、基本的には亡くなる直前の贈与であっても相続財産への持ち戻しは行われません。
贈与税の計算方法

財産を無償で譲る行為を「贈与」と呼びます。原則として、贈与で得た財産には贈与税が課され、財産を譲り受けた人が納める仕組みになっています。
贈与税の課税方法には、暦年課税と相続時精算課税という2つの方法があります。それぞれの特徴や税金の計算方法は以下の通りです。
暦年課税 | 相続時精算課税 | |
税額の計算方法 | 1年間に受け取った財産に対して10~55%の税率をかける | 特別控除後の贈与財産に対して20%の税率をかける |
利用できる控除 | 年110万円の基礎控除 | ・年110万円の基礎控除 ・贈与で受け取った総額から基礎控除を差し引き後、2,500万円の特別控除 |
適用条件 | 原則として自動的に暦年課税が適用 | 60歳以上の両親・祖父母から満18歳以上の子・孫に対して行う贈与で選択可 |
上記を見ても分かるように、贈与税には基礎控除や特別控除といった制度が設けられています。そのため、基礎控除内である1年あたり110万円までの贈与は贈与税がかかりません。相続時精算課税では、相続発生時までに贈与で受け取った金額が2,500万円以下であれば非課税となります。
孫への贈与で使える節税方法

孫への贈与で課税を避けるには、基礎控除内で毎年贈与をするか、相続時精算課税の特別控除内に納めなければなりません。しかし、贈与税の仕組みをより深く理解すれば控除以外で節税が可能になります。その代表が贈与税の非課税特例です。
贈与税には、特定の目的で行う贈与について一定額が非課税になる特例制度が設けられています。この特例を活用すれば、数百~数千万円の贈与が非課税となるのです。以下では、非課税特例を含む贈与税の節税方法を解説していきます。
教育資金の特例
両親や祖父母が30歳未満の子どもに対して、教育資金を一括で贈与する場合に利用できるのが教育資金の特例です。非課税となる上限額は1,500万円で、入学費や学費、学用品の購入資金といった学校教育に関する費用を対象としています。この他にも、ピアノや水泳といった習い事の費用も500万円を上限に非課税となります。
この制度を利用したい場合は、教育資金口座の開設と金融機関への教育資金非課税申告書の提出が必要です。また、受け取った教育資金を使用する際には、必要分のみを引き出したうえで領収証などを金融機関に提出することになっています。好きな時に好きなだけ使える訳ではなく、必要な時期に必要な分だけしか使えないということを覚えておきましょう。
結婚・子育て資金の特例
結婚や子育てにかかる資金を一括で贈与された場合に、1,000万円を上限として非課税になる特例を結婚・子育て資金の特例と言います。対象となるのは、両親や祖父母から18歳以上50歳未満の子どもに対する贈与です。
この特例は、令和9年(2027年)3月31日まで利用可能となっています。この制度を利用したい場合は、贈与を受ける側が結婚・子育て資金口座を開設したうえで、非課税申告書の提出が必要となります。
住宅取得等資金の特例
両親または祖父母から受贈者が住むための住宅を購入したり、増改築するための資金を一括で譲り受けた場合、最大1,000万円までが非課税となります。控除の上限額は省エネ等住宅が1,000万円、その他の住宅が500万円です。
省エネ等住宅の基準や詳しい要件については、国税庁のHPで確認できます。なお、この制度は令和8年(2026年)12月31日までとなっています。
参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
生活資金は贈与にならない
原則として、日常生活を送るうえで必要な資金を都度渡すことは贈与にはあたりません。そのため、食費や家賃などの生活費を必要なタイミングで適切に渡したとしても贈与税は発生しないのです。
孫に税金がかからないよう金銭を渡したい場合は、生活費を援助するというのも1つの方法でしょう。
孫への贈与で失敗しないための注意点

非課税の範囲内で贈与を行ったとしても、場合によっては贈与税を課されるおそれがあります。以下では、孫への贈与で失敗しないための注意点を3つ紹介していきます。
[注意1]名義預金対策を行う
金銭の本来の持ち主と口座の名義人が異なる預金を名義預金といいます。 基礎控除内で贈与を行っていたとしても、その預金が名義預金だと判断されれば税金が課される可能性があるのです。
このような状況にならないためにも、あらかじめ名義預金対策を行っておくことが大切です。具体的には、口座の名義人がいつでも預金を引き出せる状況にしておく、贈与契約書を作成するなどの方法が挙げられます。通帳やキャッシュカードを贈与する側が管理していると、名義預金だと判断されかねません。
口座を使って贈与する場合は、受け取る側が管理できる状態にしておきましょう。
[注意2]贈与のたびに贈与契約書を作る
税務調査の際などに客観的に贈与の事実を証明できるように、贈与のたびに贈与契約書を作成しておきましょう。一般的には以下の項目を織り交ぜて作成します。
- 贈与者の名前
- 受贈者の名前
- 贈与する財産の内容と方法
- 贈与を行う日付
また、贈与契約書は贈与する側とされる側がそれぞれ保管しなくてはなりません。そのため、必ず2通作成して紛失しないように保管しておきましょう。
[注意3]贈与税の申告には期限がある
贈与税の申告および納税には期限が設けられています。この期限を過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税などのペナルティを受けることになります。具体的な期限は、贈与を受けた年の翌年2月16日から3月15日となっています。
不必要な課税を避けるためにも、必ず上記の期間内に申告および納税を終わらせましょう。
贈与の節税ポイントを理解して孫に財産を譲ろう
原則として、孫への贈与も贈与税という税金が課されます。しかし、贈与税には年110万円の基礎控除が設けられているため、この金額内であれば税金が課されません。また、60歳以上の両親・祖父母から満18歳以上の子・孫に対して行う贈与は、相続時精算課税が選択できます。
相続時精算課税を選択した場合は、基礎控除に加えて2,500万円の特別控除も適用されるため、課税方式についても慎重に検討しましょう。この他にも、教育資金の特例などの非課税特例を利用すれば大幅な節税が可能です。
孫へ贈与を行う際には、上記のような節税ポイントを上手く活用すると良いでしょう。税金に関する不安や疑問がある場合は、専門家である税理士への相談も視野に入れましょう。本記事を参考に、孫への贈与の方法を検討してみて下さい。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
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