土地に相続税がかからないケースとは?相続税計算の前提や注意点を詳しく解説

土地に相続税がかからないケースとは?相続税計算の前提や注意点を詳しく解説

相続によって土地を取得したとしても、必ずしも相続税がかかるとは限りません。相続税がかかるのは課税対象が存在する場合です。

相続税の基礎控除や特例による控除により、相続税がゼロになるケースもあります。相続税がかかる・かからないを判断するためには、評価額や税額の計算方法について十分な理解が必要です。

今回は土地を相続した場合に相続税が発生するかを判断するためのポイントを紹介します。

土地の相続税計算における前提知識

はじめに、土地に相続税がかかる・かからないを判断する上で基本となる、土地の相続税計算における前提となる知識を紹介します。

[前提その1]土地単体にかかる相続税の計算はできない

「土地に相続税がかかる・かからない」という表現をしましたが、実際は土地単体にかかる相続税の計算はできません。相続税は相続等によって取得した課税価格の合計から基礎控除額を差し引いた「課税遺産総額」に税率を乗じて計算する仕組みであるためです。

相続税がかかるか否かを判断をするには、相続税の対象となる財産をすべて洗い出し、課税価格の合計額を計算する必要があります。

[前提その2]土地の相続税評価額の計算方法は2種類存在する

土地の評価額には、売買・税金・相続など目的別に様々な種類がありますが、相続税の計算に用いるのは相続税評価額です。

土地の相続税評価額の計算方法は「路線価方式」と「倍率方式」の2種類が存在します。以下よりそれぞれの評価方法や使い分けについて、詳しく解説していきます。

路線価方式|路線価が設定されている土地の評価方法

路線価方式は路線価の定めがある土地(路線価地域)の相続税評価額を計算する方法です。

路線価とは道路に面する土地1㎡あたりの価額のことで、国税庁の運営する「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

路線価方法による土地の評価方法は以下の通りです。

土地の相続税評価額=路線価 × 補正率 × 土地の面積

補正率とは、土地の形状等に基づいて価額を調整するために用いるものです。補正対象となる土地として以下の例が挙げられます。

  • 道路に面している間口の長さに対して奥行距離が長い
  • 間口が狭い
  • 正方形や長方形ではない(不整形地)
  • 地積規模が大きい(三大都市圏の場合は500㎡以上、それ以外の土地の場合は1,000㎡以上)

参考:No.4604 路線価方式による宅地の評価|国税庁No.4609 地積規模の大きな宅地の評価|国税庁

活用しにくい土地の場合、補正によって評価額が下がる可能性があります。相続税を最小限に抑えるためには、補正率の適用漏れを起こさないことが大切です。

ただし、補正の可否および適用する補正率についての判断には専門知識が必要です。

倍率方式|路線価が設定されていない土地の評価方法

倍率方式は路線価の定めがない土地の相続税評価額を計算する方法で、計算式は以下の通りです。

土地の相続税評価額=固定資産税評価額 × 倍率

仮に倍率が1.0の場合、相続税評価額は固定資産税評価額と同額になります。前述した路線価と同様に、倍率も国税庁の「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

倍率方式で用いる倍率や固定資産税評価額は、土地の形状や立地などの個別的事情を加味した上で設定された値です。そのため倍率地域の場合、路線価方式のように補正率の適用は必要ありません。

参考:相続財産評価の税務判断 14/18

ただし、倍率地域でも以下の条件に該当する場合は評価減ができる可能性があります。

  • 地積規模が大きい
  • 都市計画道路予定地
  • 将来の建替時にセットバックが必要となる

倍率地域で評価減ができる条件は、路線価地域よりも厳しく設定されており、評価減の可否の判断は難しいといえます。倍率地域における相続税評価額の計算も専門家に相談するのが安心です。

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土地を相続しても相続税がかからないケースは2通り

相続税・贈与税が0円になる方法

土地を相続しても相続税がかからないケースは2通り存在します。それぞれ詳しく解説します。

[ケースその1]課税価格の合計額が基礎控除額以下である

土地を含む課税価格の合計額が相続税の基礎控除額以下の場合、相続税は発生しません

相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円 × 法定相続人の数」で計算します。法定相続人が1人の場合、基礎控除額は3,000万円+600万円 × 1人=3,600万円です。

課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば、基礎控除額を差し引くことで課税遺産総額がゼロになります。課税対象が存在しないため、必然的に相続税が無税になり相続税申告も不要となります。

[ケースその2]税額控除の適用により税額がゼロになる

相続税の課税対象が存在する場合でも、税額控除の適用によって最終的な納付税額がゼロになるケースもあります。

相続税の税額控除制度として以下の6つが挙げられます。

  1. 配偶者の税額軽減
  2. 暦年課税分の贈与税額控除
  3. 未成年者控除
  4. 障害者控除
  5. 相次相続控除
  6. 外国税額控除

参考:No.4152 相続税の計算|国税庁

なお上記のうち、1の「配偶者の税額軽減」には申告要件の定めがあります。控除の適用によって税額がゼロになる場合でも相続税申告が必要です。相続税申告をしなければ配偶者の税額軽減を適用しないものとみなされてしまい、控除適用前の税額を納付しなければならなくなります

土地を相続した場合の注意点

注意

最後に、土地を相続した場合の注意点を3つ紹介します。

[注意点その1]一部の特例には申告要件の定めがある

前章の「ケースその2」で少し触れましたが、特例の一部には申告要件の定めがあります。申告要件の定めがある特例を適用する場合、納付税額がゼロであっても相続税申告が必要です。

申告要件の定めがある特例として以下の5つが挙げられます。

  1. 配偶者の税額軽減
  2. 小規模宅地等の特例
  3. 農地の納税猶予の特例
  4. 特定計画山林の特例
  5. 公益法人などに相続財産を寄付した場合の特例

特に注意するべきなのが2の「小規模宅地等の特例」です。小規模宅地等の特例は一定の要件を満たす宅地等を相続した場合に、評価額を最大80%減額できる制度です。

小規模宅地等の特例の有無によって、土地の相続税評価額は大きく変わります。申告漏れにより評価減が認められないという事態を避けるため、相続税申告が必要な旨をしっかり認識しましょう。

[注意点その2]土地を含む不動産相続は相続登記が必要

土地や建物などの不動産を相続した場合は相続登記を行う必要があります

相続登記とは相続によって取得した不動産の名義変更手続きです。以前は任意とされていましたが、2024年4月1日から相続登記が義務化されました。

相続登記の期限は自分が不動産を相続することを知った日から3年以内です。相続登記の義務を怠ると10万円以下の過料が科される恐れがあります。

[注意点その3]土地の相続税評価額の計算には専門知識が必要

前述のように、土地の評価額計算では土地の形状等による補正の可否や利用する補正率などを判断する必要があります。土地評価に関するルールは国税庁の公式サイトで確認できるものの、考慮するべき点が多く複雑なため、専門知識がないと難しいのが実情です。

計算方法を少しでも誤ってしまうと評価額が変わってしまい、後の税額計算にもズレが生じてしまいます。結果として、過少申告もしくは過大納付になる恐れがあります。

土地の相続税評価額の計算には専門知識が必要なため、相続税を専門とする税理士に相談するのが安心です。

参考:財産評価基準書|国税庁

土地の相続で相続税がかからないケースはあるが、評価は専門家に相談を

土地を相続したものの相続税がかからないパターンは2通り存在します。1つは土地を含む課税価格の合計額が基礎控除額以下の場合、もう1つは税額控除によって納付税額がゼロになる場合です。

相続税がかかる・かからないを正しく判断するには、評価額の計算方法や特例の適用要件など様々なルールについて深い理解が必要です。特に土地の相続税評価額の計算方法は複雑で、専門知識のない人ではミスや漏れのリスクが高くなります。

土地が含まれる相続税の計算で不安がある場合は、相続税に強い税理士に相談するのが安心です。

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