土地の贈与税はいくらかかる?計算方法と節税対策を徹底解説

土地の贈与を受けるにあたり、気になるのが贈与税の額です。たとえば親から土地を譲り受ける際、多くの方は「贈与税の負担額がいくらになるのか」と気になるでしょう。
土地の贈与税は評価額によって異なり、数十万円から数百万円、場合によっては1,000万円を超えることもあります。
しかし適切な制度を活用すれば、土地の贈与税負担を大幅に軽減できる可能性があるのです。この記事では、土地の贈与税がどのように計算されるのか、具体的な税額はいくらになるのか、そして活用できる節税対策にはどのようなものがあるのかを詳しく解説します。
目次
土地の贈与税とは?基礎知識と課税の仕組み
一般的に、土地を贈与された人には贈与税が課されます。その際、贈与税の金額を決める土地の評価は相続税評価額が用いられ、路線価方式または倍率方式で算定します。
これらの仕組みを理解することで、課税額の見通しと手続きの段取りが明確になるでしょう。ここではさらに贈与税が課される可能性がある土地取引について、以下3つのパターンをみていきます。
- 親から子への土地贈与
- 夫婦間での土地贈与
- 第三者への無償譲渡
1.贈与税が課税される土地取引:親から子への土地贈与
親から子へ無償で土地を移した場合、受け取った子に贈与税が課されます。
課税額は「相続税評価額」で計算し、路線価がある地域は路線価を各種補正後に面積を乗じ、路線価がない地域は固定資産税評価額に倍率を掛けて算定します。
年間の贈与額から基礎控除110万円を差し引いた残額が課税対象となり、制度は暦年課税もしくは相続時精算課税を選ぶことが可能です。
相続時精算課税は原則として60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子・孫への贈与で選択でき、累計2,500万円まで特別控除により贈与税は非課税です。2,500万円超過分は一律20%を課して相続時に精算します。
申告は贈与の翌年2/1〜3/15までです。評価方法と制度選択を早期に確定させると、過不足のない申告につながります。
2.贈与税が課税される土地取引:夫婦間での土地贈与
夫婦間でも、無償で土地を移すと受け取った配偶者に贈与税がかかります。
ただし婚姻20年以上で居住用不動産(またはその取得資金)の贈与なら、申告により基礎控除110万円に加えて最高2,000万円まで控除できる特例が使えます。
適用は一生に一度で、居住用要件などの確認書類を添付して申告します。評価は相続税評価額(路線価方式・倍率方式)を用い、贈与の翌年2/1〜3/15に受贈者が申告します。相続時精算課税は直系尊属から子・孫への制度であり、配偶者間には原則適用されません。
参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁
3.贈与税が課税される土地取引:第三者への無償譲渡
親族以外の第三者に土地を無償で渡した場合でも、受け取った相手に贈与税が課されます。
課税対象はその年の贈与額から基礎控除110万円を差し引いた残額で、評価は相続税評価額を用います。
名義だけ変えたり、著しく安い価額で譲ったりすると、時価との差がみなし贈与として課税される点にも注意が必要です。また第三者への贈与では、配偶者控除や相続時精算課税など家族向けの特例は原則適用外のため、税負担の見通しと評価資料の整備を早めに進めると判断がしやすくなります。
参考:No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき|国税庁
土地贈与と相続の違い|税金面でのメリット・デメリット
一般的に生前に土地を贈与すると受け取った人に贈与税がかかり、評価は相続税評価額を用いて、基礎控除110万円超に税率を乗じて計算されます。
一方、相続で取得する場合は相続税の対象となり、基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人です。
このように贈与と相続の場合では、基礎控除が大きく違うのです。また、相続では小規模宅地等の特例により、居住・事業の土地を大幅に減額できる可能性があります。
ただし暦年贈与は相続時に一定期間分が加算される見直しが進んでおり、早めの移転でも相続側で調整が入る点に留意しなくてはいけません。
贈与と相続のどちらにより大きなメリットがあるかは、それぞれのご家族によって異なるうえ、専門的な知識によるアドバイスが不可欠です。不安な点がある方は、早めに税の専門家である税理士に相談することをおすすめします。
土地の贈与税はいくら?具体的な計算方法と税率

ここからは土地の贈与税がいくらになるのか、その具体的な計算方法と税率を詳しく解説します。
土地の評価額の調べ方|路線価と固定資産税評価額
土地の評価額は、贈与税計算の出発点です。
路線価が公表される地域では、国税庁「路線価図」で当該地が接する道路の数値(1㎡当たり、千円単位)を確認し、補正率等を加味して評価額を見積もります。
一方で路線価のない地域では、自治体が毎年送付する固定資産税の課税明細書記載の固定資産税評価額や、窓口・郵送で取得する固定資産評価証明書で把握できます。
これらを突き合わせると、贈与時点の評価の方向性を早期に掴め、銀行・不動産の窓口でも初期相談が進めやすくなるでしょう。
参考:申請できる方・必要書類・申請方法|固定資産に関する証明等(23区内)|東京都主税局
贈与税の基礎控除110万円の活用方法
贈与税の基礎控除110万円は毎年の贈与合計から差し引ける非課税枠で、暦年課税の試算を左右するものです。土地の生前贈与を年単位で分割すれば、各年の課税価格を抑えられます。
ただし、相続開始前7年以内の贈与は相続税に加算されるため、単に税負担が消えるわけではありません。
相続時精算課税を選ぶ場合も、令和6年分以後は特定贈与者ごとに年間110万円相当の基礎控除が導入されています。しかし、相続時精算課税の場合、基礎控除以内の贈与は相続税に加算されません。
贈与税の基礎控除110万円を有効活用するには、土地評価を踏まえた贈与年次の設計と、申告期限内の手続きまで一体で管理することが重要です。
暦年贈与の税率表と速算表の見方
暦年贈与の税率は、特例贈与財産と一般贈与財産で異なります。特例贈与財産は、直系尊属(父母・祖父母など)から18歳以上(贈与の年の1月1日時点)の直系卑属(子・孫など)への贈与に適用され、特例税率が適用されます。
それに対し、一般贈与財産は特例贈与財産に該当しない贈与で一般税率で計算されます。一般税率は特例税率より高い税率が適用されます。
暦年贈与の税額は「税率表(速算表)」を正しく選び、式に当てはめれば短時間で算出できます。それぞれの税率は、以下の速算表が参考になります。
【特例贈与財産用】
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | − |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
【一般贈与財産用】
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | − |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円超 | 55% | 400万円 |
出典:暦年課税|国税庁
実際の計算方法は、まず年間にもらった額から基礎控除110万円を差し引き、課税価格を確定します。
次に贈与者と受贈者の関係性に応じた、特例贈与財産または一般贈与財産いずれかの課税価格の速算表で税率と控除額を確定します。
国税庁の様式でも同じ手順で、特例・一般それぞれの速算表を用いて計算しています。計算後は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に申告・納付が必要です。
【計算例】1,000万円・3,000万円・5,000万円の土地贈与税額シミュレーション
では以下のケースにおける、土地の贈与税額をシミュレーションしてみましょう。
<ケース>
- 直系尊属から18歳以上の子への暦年贈与(特例税率)
- 基礎控除110万円のみ適用する
- 路線価等で評価した土地の評価額をそのまま贈与価額とする
| 評価額(路線価等) | 1,000万円の場合 | 3,000万円の場合 | 5,000万円の場合 |
| 基礎控除 | 110万円 | 110万円 | 110万円 |
| 課税価格 (評価額-110万円) | 890万円 | 2,890万円 | 4,890万円 |
| 税率区分 (特例贈与用) | 30% (~1,000万円) | 45% (~3,000万円) | 55% (4,500万円超) |
| 速算控除額 | 90万円 | 265万円 | 640万円 |
| 贈与税額 | 177万円 | 1,035万5,000円 | 2,049万5,000円 |
一般贈与と特例贈与では差が出るため、実際の計算をする場合は評価方法と続柄区分を先に確定しましょう。
相続時精算課税制度を使った土地贈与の節税対策

ここからは相続時精算課税制度を使った土地贈与の節税対策について詳しく解説します。
相続時精算課税制度の概要と2,500万円特別控除
相続時精算課税は、60歳以上の父母・祖父母から18歳以上の子や孫への贈与について活用できる制度です。相続時精算課税では、その贈与者ごとに累計2,500万円まで「特別控除」が適用でき、超過分に一律20%の税率が課されますが、この20%の贈与税は相続開始後、受贈者が負担すべき相続税額から控除されます。もし、既に納付した贈与税の総額が相続税額を上回った場合は、その超過分は受贈者に還付される仕組みです。
加えて、令和6年分以後は相続時精算課税でも年110万円までの申告不要枠が導入され、贈与時の手続きが簡素化されました。
適用開始年の翌年2月1日から3月15日までに「相続時精算課税選択届出書」等の提出が必要です。制度の使い分けや登記・評価の段取りは早めに確認しましょう。
暦年贈与と相続時精算課税制度との比較|どちらを選ぶべきか
制度を選ぶ軸となるのは「今払う贈与税」と「将来の相続で精算する税」のどちらを重視するかです。
暦年贈与は年間110万円の基礎控除内であれば申告不要になりやすく、贈与額が小刻みなケースで実効負担を抑えやすいのが特徴です。
一方の相続時精算課税は、累計2,500万円までの特別控除と一律20%の贈与税で資産を早期にまとめて移せますが、将来の相続において取得財産が相続税に合算して精算されます。令和6年分以後は精算課税でも特定贈与者ごとに年110万円の基礎控除が使え、110万円以下なら届出のみで申告不要となる場面が生じます。
ただし相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者については暦年課税へ戻せません。そのため、どちらを選択するかは慎重に判断をしなければなりません。
判断材料としては、評価額が大きく早期承継を進めたい不動産は精算課税、時間をかけて計画的に移す現金等は暦年、といった住み分けて検討すると整理しやすいでしょう。
まとめ
土地の贈与は、評価方法と課税方式の選択で負担が大きく変わります。路線価等で時価相当額を把握し、暦年課税か相続時精算課税かを事前に比較するのが出発点です。
相続時精算課税は累計2,500万円までの特別控除により贈与時の税額を抑えられ、令和6年以降は年110万円の基礎控除も併用できますが、相続時に合算されて精算されます。
したがって生前に承継したい土地の将来価値、相続人間の配分、他の資産とのバランスを踏まえて、最終的な相続税まで見通した設計が重要です。
贈与対象の土地の規模や家族構成によって最適解は異なりますので、個別の事情を整理し、早めに税の専門家である税理士に相談することが大切です。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。




