貸金庫の相続手続きはどう進める?開け方から注意点・対応方法まで解説
被相続人が貸金庫を契約していた場合、中身はどうなるのか、相続手続きはどう進めればいいのか悩む方も多いでしょう。貸金庫には現金や有価証券、遺言書などの重要な財産が含まれている場合があり、金融機関によって対応も異なります。本記事では、貸金庫の相続手続きの流れや注意点、ケース別の対応方法をわかりやすく解説します。貸金庫の扱いに不安がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
貸金庫の相続手続きでまず押さえておくべきこと

貸金庫を契約していた人が亡くなった場合、その中身や契約はどうなるのでしょうか。相続人が手続きを進めるうえで、まず理解しておくべき基本的な考え方について解説します。
貸金庫の中身は相続財産として扱われる
銀行や信用金庫などの貸金庫には、現金や有価証券、貴金属、通帳などが保管されている場合があるでしょう。契約者が亡くなった場合、貸金庫の中にあるこれらの財産はすべて相続財産とみなされ、相続税の課税対象になります。
金融機関が契約者の死亡を確認すると貸金庫は利用停止(凍結)されるため、相続人が所定の手続きを経て開扉し、中身を確認する必要があります。
貸金庫の契約は相続人に引き継がれることがある
貸金庫は、金融機関との賃貸借契約に基づいて利用されており、契約者が亡くなった場合、その契約上の地位は原則として相続人に承継されます。ただし、金融機関によっては「契約者の死亡時点で契約を終了できる」と定めている場合もあるため、相続人はまず契約内容を確認するのが大切です。
利用料や未払い分も相続の対象となる
貸金庫の利用料や管理費などに未払いがある場合、それらは被相続人の債務として相続人に引き継がれます。貸金庫の中身だけでなく、契約に関わる支払い義務も含めて確認しておきましょう。
解約する場合には精算が発生するため、早めに金融機関へ相談しておくと安心です。
貸金庫の相続手続きの流れ

では、貸金庫を相続する際、どのような手順で手続きを進めればよいのでしょうか。貸金庫の相続手続きの全体の流れについて解説します。
金融機関への連絡と貸金庫の所在確認
まず、被相続人がどの金融機関で貸金庫を契約していたかを確認します。通帳やキャッシュカード、鍵、契約書、郵送物などを手がかりに契約先を特定しましょう。
契約先がわかったら、相続人または代理人が金融機関に契約者の死亡を連絡し、貸金庫の凍結状況や今後の手続きについて確認します。
相続人全員の同意取得と立ち会い手続き
貸金庫を開ける際は、原則として相続人全員の同意、または全員の立ち会いが必要です。貸金庫内の財産の帰属が確定していないため、金融機関はトラブル防止の観点から慎重に対応しています。
代表者1名のみが手続きを行う場合でも、他の相続人から委任状や同意書の提出が求められるのが一般的です。
必要書類をそろえて開扉・内容確認へ
開扉時には、金融機関所定の書類を揃えて提出します。主な必要書類は以下の通りです。
- 被相続人の除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本および印鑑証明書
- 遺産分割協議書または相続関係説明図
- 貸金庫の鍵やカード
- 金融機関所定の申請書
これらを提出後、金融機関担当者の立ち会いのもとで貸金庫を開扉し、中身を確認します。
遺言書がある場合の開扉手続き
貸金庫の中に遺言書が保管されている場合は、その内容や遺言執行者の有無によって手続きが異なります。
遺言執行者が指定されていない場合は、相続人全員の同意または立ち会いが必要ですが、遺言執行者に開扉や中身の管理権限がある場合は、相続人全員の同意を得ずに、執行者が単独で貸金庫を開けられます。
もっとも、遺言書が見つかった場合は慎重な対応が求められるため、勝手に開封せず、家庭裁判所での検認を受けてから内容を確認しましょう。
参考:遺言書の検認 | 裁判所
貸金庫の解約・清算と中身の取り扱い
貸金庫の中身を確認したあとは、遺産分割協議書の内容に沿って財産の分配を行います。貸金庫の利用を継続しない場合は、契約の解約手続きを進め、鍵の返却や未払い利用料の精算を済ませます。
金融機関によっては、貸金庫の手続きが完了しないと預金など他の相続手続きが進められない場合もあるため、早めの対応が望ましいです。
ケース別に見る貸金庫の相続手続きの進め方
貸金庫の相続手続きは、遺言の有無や相続人の状況によって対応が異なります。代表的なケースごとに手続きの進め方を解説します。
遺言がなく相続人全員で分割協議を行う場合
遺言書がない場合は、相続人全員で話し合いを行い、財産の分け方を決める必要があります。協議がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、その内容に基づいて貸金庫を開け、中身の確認と分配を行います。
話し合いが長引くと開扉手続きも遅れてしまうため、できるだけ早めに方針を定めておくのが望ましいでしょう。
遺言があり遺言執行者が指定されている場合
遺言書に「貸金庫の内容を処理する権限」を持つ遺言執行者が指定されている場合、その執行者が単独で貸金庫を開けられるケースがあります。金融機関では、遺言書の内容や遺言執行者の資格を確認したうえで、担当者が立ち会いながら開扉を行います。
遺言に基づく手続きであるため、相続人全員の同意を得ずに進められる場合もありますが、後のトラブルを防ぐためにも、慎重に対応しましょう。
相続人の一部が所在不明または連絡が取れない場合
相続人の中に所在不明や連絡が取れない方がいる場合、全員の立ち会いができず、手続きが進まないケースがあります。
このような場合には、相続人の一部から委任状を取得して代表者が手続きを進める方法や、公証人に依頼して「事実実験公正証書」を作成し、その内容をもとに金融機関の対応を求める方法など、いくつかの選択肢があります。
どの方法が適しているかは状況によって異なるため、税理士などの専門家に相談しながら慎重に検討してみてください。
参考:法務省:公証制度について
鍵やカード・暗証番号を紛失している場合
契約者の死亡後、貸金庫の鍵やカードが見つからないケースも少なくありません。その場合は、金融機関所定の申請書を提出し、再発行や鍵の破壊開扉といった手続きを経て中身を確認します。
対応には時間や費用がかかる場合があるため、事前に手続きの流れや必要費用について金融機関へ確認しておくと安心でしょう。
貸金庫の中に未申告財産や現金が見つかった場合
貸金庫の中から現金や有価証券、貴金属などの資産が見つかった場合、それらはすべて相続税の課税対象となります。相続税の申告期限は被相続人の死亡から10ヵ月以内と定められており、申告漏れがあると延滞税や加算税が課される可能性があります。
見つかった財産の内容や評価が不明な場合には、早めに税理士などの専門家へ相談し、正確に申告手続きを行いましょう。
相続人が複数いたり、遺言の有無で手続きが変わるなど、貸金庫の相続は想定以上に複雑です。
貸金庫の相続手続きに関してよくある質問

貸金庫の相続では、実際の手続きの中で思わぬ疑問やトラブルが生じます。よく寄せられる質問を取り上げるので、手続きを進める際の判断や準備の参考にしてください。
貸金庫の中身を勝手に持ち出すとどうなりますか?
貸金庫の中にある財産を、相続人の一部が同意を得ずに持ち出す行為は「相続財産の処分行為」とみなされる可能性があります。
他の相続人との間でトラブルや法的な問題に発展することもあるため注意しましょう。貸金庫を開ける際は、必ず相続人全員の同意を得たうえで、金融機関の立ち会いのもとに中身を確認するのが原則です。
貸金庫を共同で使っていた場合の扱いはどうなりますか?
夫婦や親子などが共同で貸金庫を利用していたとしても、契約名義が被相続人であれば、その貸金庫内の財産は原則として相続財産に含まれます。ただし、他の利用者が独自に預けた財産がある場合は、所有者を示す資料や証拠をもとに個別に判断される場合もあります。
不明点があるときは、金融機関や専門家へ相談し、適切な対応を確認するのが重要です。
鍵やカードを紛失した場合でも開けられますか?
鍵やカードを紛失しても、金融機関に所定の手続きを行えば開扉は可能ですが、鍵の破壊開扉やカードの再発行には時間と費用がかかるため、早めに手続きを進める必要があります。
また、手続きの詳細や費用は金融機関によって異なるため、事前に問い合わせて確認しておくと安心でしょう。
貸金庫の相続手続きに不安がある方は専門家に相談を
貸金庫には現金や有価証券など、相続税の申告に関わる財産が含まれている場合も多く、開扉手続きや名義変更を誤ると、相続人同士のトラブルや課税漏れのリスクが生じます。
こうした複雑な手続きを正確に進めるには、相続税に精通した専門家のサポートが欠かせません。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。


