死亡後の手続きの順番を時系列でチェック|葬儀から相続まで
大切な方が亡くなった後は、葬儀の準備や役所への届出、保険・年金、相続など、必要な手続きが一度に押し寄せます。何から始めればいいのか分からず、不安を感じる方も多いでしょう。この記事では、死亡後の手続きを順番に整理し、葬儀から相続税申告までの道筋を解説します。期限のある手続きも多いため、いつ・どの順番で何を行うかを知っておきましょう。
目次
- 1 死亡直後〜3日以内に行う手続きの順番
- 2 葬儀が終わったらすぐに行う手続きの順番
- 3 四十九日までに行う主な手続きの順番
- 3.1 生命保険・共済金の請求(期限は3年だが早めの確認がおすすめ)
- 3.2 公共料金・携帯電話・クレジットカードなどの名義変更・解約
- 3.3 銀行や証券会社などへの死亡連絡
- 3.4 遺言書の有無確認と家庭裁判所での検認手続き
- 3.5 故人の戸籍などの取得(相続人調査の準備)
- 3.6 相続財産の把握と財産目録の作成
- 3.7 相続放棄・限定承認の手続き(死亡を知った日から3ヵ月以内)
- 3.8 準確定申告(死亡を知った日の翌日から4ヵ月以内)
- 3.9 遺産分割協議書の作成
- 3.10 不動産の相続登記(相続する人が決まってから3年以内)
- 3.11 預貯金・株式・車などの名義変更手続き
- 3.12 相続税の申告・納付(死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内)
- 4 手続きの期限だけでなく「順番」を押さえるとスムーズ
死亡直後〜3日以内に行う手続きの順番

ここでは、葬儀までに行う主な流れを紹介します。
医師による死亡診断書の受け取り
まず、死亡を確認した医師から「死亡診断書」を受け取ります。死亡診断書は死亡届と一体になっています。
原本は後で役所に提出してしまうため、今後の保険金請求などに備えて複数枚コピーを取っておきましょう。
葬儀社への連絡と火葬場の予約
葬儀社に連絡し、遺体の搬送・安置を依頼しましょう。
このタイミングで、火葬場の空き状況を確認し、希望日を押さえておきます。多くの自治体では、死亡届を出す前に火葬場を決めるよう求めているためです。
死亡届の提出と火葬許可申請(市区町村役場へ)
死亡診断書兼死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内に市区町村役場へ提出します。提出の際に交付される火葬許可証は、葬儀や火葬の際に必要です。
最近では葬儀社がこれらの書類を代行して記入、提出を行うケースも増えてきています。
親族・勤務先などへ葬儀日程や休暇の連絡
近親者へは死亡の報告と併せて葬儀の日程や場所を共有します。
勤務先へは忌引き休暇の連絡をし、必要に応じて子供の学校へ欠席の連絡も入れておきましょう。
葬儀費用の概算を確認
葬儀社から見積もりを取り、費用の目安を確認しましょう。現金払いが必要なケースもあり、手元の資金を把握しておく必要があるためです。
また、葬儀費用などを立て替えた場合は、支払先・支払日・金額などをメモしておくと、相続人間での精算時に役立ちます。領収書も保管しておきましょう。
「やさしい相続相談センター」では、葬儀の前後に必要な手続きの流れをサポートいたします。初回相談は無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
葬儀が終わったらすぐに行う手続きの順番
葬儀が終わった後は、健康保険や年金など、役所や勤務先への届出を行います。期限があるものも多いため、漏れがないよう確認しましょう。
埋葬許可証の保管
火葬後、火葬場から「埋葬許可証」が交付されます。納骨時に必要となるため、紛失に気をつけて保管しましょう。
墓地に提出すると返却されない場合もあるため、念の為コピーを取っておくと安心です。
健康保険証の返却と資格喪失の手続き・世帯主変更(死亡後5〜14日以内)
故人が会社員や公務員だった場合は、速やかに勤務先へ連絡しましょう。勤務先を通じて5日以内に社会保険や厚生年金の資格喪失手続きが行われます。
一方、国民健康保険の場合は、死亡から14日以内に市区町村役場へ資格喪失届を提出します。自治体によっては、死亡届の提出があれば国保の手続きは不要である場合もあります。
このとき、故人に扶養されていた家族は、新しい健康保険への加入手続きも必要です。勤務先で社会保険の加入要件を満たす場合はその職場の保険へ加入します。無職やパートなどで対象外の場合は、市区町村の国民健康保険へ加入します。
なお、健康保険からは葬儀費用の一部が支給されます。一般的な申請期限は2年ですが、制度によって起算日が「死亡日の翌日」「埋葬日の翌日」などと異なるため必ず確認しましょう。
- 社会保険:埋葬料・埋葬費(申請先:勤務先または協会けんぽなど)
- 国民健康保険:葬祭費(申請先:市区町村)
また、故人が世帯主だった場合は、死亡から14日以内に世帯主変更届を市区町村役場へ提出しましょう。提出しないと、保険料の請求や給付に支障が出る恐れがあります。
参考:健康保険・厚生年金保険の資格喪失の手続き|日本年金機構
年金事務所への死亡報告(死亡後10〜14日以内)
故人が年金を受給していた場合、年金事務所または市区町村へ「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出します。提出期限は10日以内(国民年金は14日以内)です。ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている人や、年金受給者でない場合は手続き不要です。
一方、年金の未支給分がある場合は、マイナンバーの有無に関わらず「未支給年金請求書」を提出しましょう。請求期限は、受給権者の年金支払日の翌月初日から5年以内で、故人と生計を同じくしていた遺族が請求できます。
参考:年金受給者が亡くなりました。何か手続きは必要ですか。|日本年金機構
参考:未支給年金・未支払給付金請求書および受給権者死亡届(報告書)について|日本年金機構
参考:年金の時効|日本年金機構
「やさしい相続相談センター」では、死亡後の手続きの順番や必要書類を専門家が整理して案内いたします。行政・保険・年金の複雑な手続きをまとめて確認したい方は、お気軽にご相談ください。
四十九日までに行う主な手続きの順番

葬儀が終わって少し落ち着いたら、生活の整理や相続に関する手続きを始めましょう。
生命保険・共済金の請求(期限は3年だが早めの確認がおすすめ)
生命保険や共済金の一般的な請求期限は3年ですが、早めの確認と手続きをおすすめします。
なぜなら、保険金の受取人が故人本人の場合、そのお金は「相続財産」として扱われ相続税の対象になるからです。
相続税の申告は、死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内に行う必要があります。どの保険にどれくらいの金額があるかを早めに把握しておくと、今後の相続税の手続きがスムーズに進みます。
関連記事:死亡保険金に相続税はかかる?非課税枠・計算方法・注意点を徹底解説
公共料金・携帯電話・クレジットカードなどの名義変更・解約
電気・ガス・水道などの公共料金、携帯電話、クレジットカード、サブスクなどは放置すると自動引き落としが続く恐れがあります。
使用を継続する場合は名義変更や引き落とし口座の変更を、不要なものは解約を行いましょう。
銀行や証券会社などへの死亡連絡
公共料金などの整理が終わったら、故人名義の銀行や証券会社に死亡の連絡を入れましょう。
死亡の連絡を受けた金融機関は、故人の口座を一時的に凍結します。相続人以外の人が資金を引き出すのを防ぐためです。凍結後の正式な払い戻しは、遺産分割協議の成立後に行います。
ただし、故人が口座開設していたすべての金融機関にそれぞれ連絡する必要があります。まずはどの銀行や証券会社に口座があるかを整理し、通帳やカードを確認しましょう。このとき支店名や残高を一覧にまとめておくと、後で相続財産を調べる際にスムーズです。
なお、凍結中でも一部の預金を仮払いできる制度も設けられています。相続人は、預金残高の3分の1に自身の法定相続分を掛けた額(上限150万円/金融機関ごと)まで請求できます。葬儀費用や当面の生活費など、急ぎの支出が必要な場合は利用を検討しましょう。
口座凍結の流れや仮払いの仕組みは金融機関によって対応が異なるため、各社の手続き方法をご確認ください。
遺言書の有無確認と家庭裁判所での検認手続き
ここからはいよいよ相続に向けた準備に入ります。まずは遺言書の有無を確認しましょう。
遺言書は自宅に保管されている場合もあれば、公証役場や法務局など、自宅外で保管されている場合もあります。まずは公正役場や法務局で保管を確認し、なければ自宅の金庫や重要書類入れなどを探しましょう。
封がされた自筆証書遺言を自宅などで見つけた場合は、勝手に開封せず、家庭裁判所で「検認」の手続きをします。この手続きを経ないと、遺言書をもとにした相続ができません。ただし、公正証書や法務局で保管されていた場合は検認不要です。
参考:遺言書の検認 | 裁判所
故人の戸籍などの取得(相続人調査の準備)
相続を進めるため、故人の戸籍を集めて法定相続人を確認しましょう。戸籍は、遺産分割協議書の作成や相続登記などで必要です。例え遺言書がある場合でも、金融機関や登記などの手続きで戸籍の提出を求められるのが一般的です。
故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、配偶者や子などの法定相続人を確定させます。 戸籍の集め方について詳しくは下記の記事をご確認ください。
3ヵ月以内に行う手続きの順番

ここでは、財産の内容を把握し、相続するか放棄するかを判断します。
相続財産の把握と財産目録の作成
故人が残した預貯金・不動産・株式・負債などを一覧にまとめ、財産目録を作成しましょう。相続税申告の必要性や相続放棄などを判断するための重要な作業です。
財産調査に漏れがあると、思わぬ借金を引き継いでしまったり、相続税申告をやり直したりするリスクがあります。ただし不動産や株式などは評価が難しく、専門的な知識や調査力が求められます。
「やさしい相続相談センター」では、専門家が財産調査や目録作成をサポートします。「抜けがないか不安」「借金があるかも…」という方は、早めに相談してリスクを回避しましょう。初回相談は無料です。
相続放棄・限定承認の手続き(死亡を知った日から3ヵ月以内)
法定相続人は、故人の財産を引き継ぐかどうかを3ヵ月以内に決めます。相続放棄や限定承認の手続きをしないまま期限を過ぎると、自動的に単純承認(すべて相続)とみなされます。
相続放棄や限定承認を行う場合は、家庭裁判所で手続きを行いましょう。
10ヵ月以内に行う手続きの順番
ここでは、相続税の申告や不動産の名義変更など、相続の最終段階に進みます。
準確定申告(死亡を知った日の翌日から4ヵ月以内)
故人が自営業・年金受給者・不動産収入などを得ていた場合、相続人が代わりに所得税の申告を行います。これが準確定申告です。
給与所得者でも、医療費控除や年金の還付が発生するケースがあるため、還付金を受け取れる可能性がないか確認しましょう。
参考:No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)|国税庁
遺産分割協議書の作成
相続放棄の有無が確定し、最終的な法定相続人が決まったら、遺産分割協議を開始します。協議がまとまったら「遺産分割協議書」を作成し、署名・押印をして保管します。不動産登記や相続税の申告など今後の手続きで必要になるため、紛失に気をつけましょう。
不動産の相続登記(相続する人が決まってから3年以内)
故人名義の不動産がある場合は、相続人への名義変更を行います。これを相続登記と呼びます。不動産を持っていなければ手続きは不要です。
10ヵ月が期限である相続税申告に比べ、相続登記の期限は「相続する人が決まってから3年」と長く設定されています。しかし、相続登記→相続税申告の順番で行うのをおすすめします。
なぜなら、相続登記に必要な戸籍・固定資産評価証明書などの資料は、相続税の申告にも使えるためです。また、不動産を誰が相続するかによって相続税の税額や特例の適用が変わるため、相続登記を先に行うとスムーズです。
ただし故人の死亡から10ヵ月経ちそうな場合は、先に相続税申告をしても構いません。
参考:【相続登記の義務化】不動産を相続したらかならず相続登記!法務省
預貯金・株式・車などの名義変更手続き
故人名義の預貯金・株式・自動車などの資産は、相続人名義への変更が必要です。名義変更には、一般的に遺産分割協議書や戸籍などが求められます。
相続税の申告・納付(死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内)
相続税の申告は、遺産分割協議や財産評価の結果をもとに行います。ただし遺産総額が基礎控除額以下の場合、申告が不要な場合もあります。
期限を過ぎると延滞税や加算税が発生する恐れがあります。税額計算や減税特例の適用は専門知識が必要であるため、不安な場合は早めに税理士に相談しましょう。
手続きの期限だけでなく「順番」を押さえるとスムーズ
この記事では、死亡後の手続きの順番について解説しました。
家族が亡くなった後は手続きがたくさんあり、期限ばかりに意識が向きがちです。しかし「順番」を押さえておくと、必要な書類の準備や役所などの対応がスムーズになり、全体の負担を減らせるでしょう。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。
また、金融機関や不動産関係者、葬儀関連企業、税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。
監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。







