相続税申告は税理士に頼まないでできる?自分でできるケースや依頼のメリット

相続税申告は税理士に頼まないでできる?自分でできるケースや依頼のメリット

相続税の申告は必ずしも税理士に依頼する必要はなく、財産内容がシンプルであれば自分で対応できるケースもあります。しかし、不動産の評価や特例の適用など複雑な部分が絡むと、専門知識が求められるため税理士に任せた方が安心です。本記事では、自分で申告できるケースの目安や、税理士に依頼するメリット、さらに報酬の目安についても分かりやすく解説します。

相続税申告は税理士に頼まなくてもできる

相続税申告書と贈与税申告書

相続税の申告は、必ずしも税理士に依頼する必要はありません。財産の内容がシンプルであれば、自分で申告することも可能です。

よくある相続財産の例としては、現金・預金、上場株式、死亡保険金、そして自宅の土地や建物などが挙げられます。こうしたケースであれば、比較的スムーズに自分で申告できる場合が多いです。

申告期限に余裕がある場合は、まずは自分で申告にチャレンジしてみるのも1つの方法です。もし途中で手続きが難しいと感じた場合は、そのタイミングで税理士への依頼を検討すると安心でしょう。

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税理士に頼まないで自分で相続税申告できるケース

相続税申告書

結論から言うと、相続税申告は財産内容や状況によっては、税理士に頼まず自分で対応可能です。自分で申告できるかどうかの目安となる具体的なケースは以下の通りです。

財産内容がシンプルで評価しやすい

現金・預金、上場株式、死亡保険金、自宅の土地・建物など、比較的評価が簡単な財産のみであれば、個人でも申告可能です。ただし土地は形状や権利関係によって評価の難易度が高くなることがあるのでご注意ください。

申告期限に余裕がある

相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から10ヵ月以内です。期限まで4~5ヵ月以上ある場合、資料収集や評価方法の確認に十分な時間が取れるため、自分で申告しやすくなります。

特例や控除で税額が0円になる

「小規模宅地等の特例」や「配偶者控除」を利用することで、最終的に相続税額が0円になるケースがあります。なお、こういった特例や控除を利用する場合でも申告は必要です。

土地がない、または簡単に評価できる

土地の評価は相続税で最も難しい作業とされています。しかし土地がない、あるいは整形地で自宅利用のみの場合は、自分で評価できる可能性が高いです。

相続人が少なく、揉めていない場合

相続人が1名または複数でも仲が良好で遺産分割協議がスムーズに行える場合は、個人の申告作業に集中しやすいです。このような状況であれば、専門家への依頼に比べて費用を抑えられる点もメリットといえるでしょう。

相続税申告の流れ

相続税申告は、基礎控除額や故人の財産の状況によって必要となります。初めての手続きでは、何から始めてよいか迷う方も多いですが、以下の順序で進めるとスムーズです。

戸籍謄本を収集して相続人を確定

相続税の計算には、法定相続人の特定をする必要があります。まずは被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、相続人を確認しましょう。相続人が既に判明していても、手続き上、戸籍謄本は必要です。

相続方法の選択(承認)

相続には「単純承認」「限定承認」「相続放棄」の3種類があります。

  • 単純承認:プラス・マイナスすべての財産を無条件で相続
  • 限定承認:プラスの範囲内でマイナスの財産も相続
  • 相続放棄:一切の財産を相続しない

放棄や限定承認を希望する場合は、相続開始を知った日から3ヵ月以内に家庭裁判所へ申し立てが必要です。財産を使うと単純承認とみなされるため、注意してください。

準確定申告の実施

被相続人が自営業などで確定申告が必要な場合、相続人が「準確定申告」を行います。対象期間は死亡年の1月1日から死亡日までで、期限は相続開始を知った日から4ヵ月以内です。通常の確定申告が不要な場合は、準確定申告も不要です。

相続財産の評価と目録作成

続いて遺産の全体像を把握するために、相続財産目録を作成します。書式は自由で、Excelで作成しても構いません。対象財産には、預貯金、株式、不動産、貸付金、借金、贈与財産、死亡保険金などを漏れなく記載します。現金や預貯金以外の財産は「相続税評価額」を算出する必要があり、不動産、特に土地の評価は専門的な知識が必要です。

遺産分割協議書の作成

相続財産の分配方法を決める「遺産分割協議」を行い、その結果を「遺産分割協議書」にまとめます。協議書には主に以下のような内容を記載します。

  • 相続人全員の署名・実印・印鑑証明を添付
  • 書式は自由だが、財産の内訳を具体的に明記
  • 遺言書があれば、協議書は不要

遺産分割協議書は、相続税申告だけでなく、不動産名義変更や銀行手続きにも必要です。

相続税申告書の提出と納付

遺産分割協議が完了したら相続税申告書を作成します。そして被相続人が亡くなった日(相続開始を知った日)の翌日から10ヵ月以内に税務署へ提出しましょう。

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相続税申告を税理士に依頼するメリット

メリット

以下では、相続税申告を税理士に依頼するメリットをご紹介します。

申告がスムーズに進む

相続税の申告・納税は、相続発生から10ヵ月以内に行う必要があります。とはいえ介護や葬儀の後、短期間で申告書類を作成するのは大変です。

税理士に依頼すれば、複雑な計算や書類作成を任せられ、申告後に新たな財産が見つかっても安心です。もし税務調査が入った場合も、税理士がスムーズに対応してくれます(追加料金が必要な場合あり)。

特例を活用して節税できる

税理士は「小規模宅地等の特例」や「配偶者の税額軽減」など、法律で定められた特例を正しく適用してくれます。これらの特例で財産評価額を下げることで、節税をサポートしてくれるでしょう。

また条件の確認から申告までを専門知識に基づいて確実に進めてくれるため、安心して任せられるのも大きなメリットです。自分では見落としがちな特例も活用できる可能性が高まり、結果的に大きな節税につながることもあります。

二次相続対策ができる

一次相続での節税だけでは、二次相続で思わぬ税金が発生する場合があります。税理士に依頼すれば、二次相続を見据えた資産分配の提案が受けられ、二重課税や相続トラブルを避けることが可能です。

専門家と連携してスムーズに手続きが進む

相続には税理士の範囲を超える手続きもあります。自宅の名義変更には司法書士、遺産分割トラブルには弁護士、土地評価には土地家屋調査士が必要です。

税理士に依頼すると各分野に特化した専門家を紹介してもらえて資料のやり取りなども代行してもらえるため手間を大幅に省けます。

相続税申告を依頼する税理士の選び方

相続税申告を税理士に依頼する際は「選び方の基準」を押さえて探すことが大切です。ここでは、特に確認すべき5つのポイントを紹介します。

相続専門の税理士であるか

相続税は専門性が高いため、相続専門の税理士に依頼するのが安心です。ただし「相続専門」を謳う税理士は多くても、実際に専門業務に注力しているのは少数です。

確認方法として、面談や電話で「売上のうち相続業務の割合はどのくらいか」を聞くとよいでしょう。もし8割以上であれば、専門法人と言えます。

さらに税理士向けの専門書籍を発行しているかもチェックポイントです。一般向け書籍は広告目的でも出版可能ですが、専門家向け書籍の執筆経験がある税理士は、知識・経験が裏付けられています。

実績・経験豊富であるか

相続税申告を依頼する際、最も重要なのは担当者の実績です。目安としては、実務経験5年以上かつ年間50件以上の申告実績がある税理士が望ましいです。

大手法人では、法人全体の実績が多くても担当者個人の実績は少ない場合があります。初回面談では、実際に自分の申告を担当する税理士が誰か、そしてその担当者の経験・実績を必ず確認してください。

二次相続の提案があるか

一次相続(配偶者や親の相続)だけでなく、二次相続(残された相続人が亡くなったときの相続)まで踏まえた提案ができる税理士かどうかを確認しましょう。一次相続での節税が、二次相続では逆に税負担を増やす場合もあります。そこで、二次相続を考慮した遺産分割や相続対策の提案をしてくれるかどうかがポイントです。

税務調査率が低いか

税理士に依頼するからには、税務調査のリスクも抑えたいものです。税務調査率を確認し、書面添付制度を活用している税理士は調査率が低く抑えられる傾向にあります。

実務に自信のある税理士は積極的に書面添付を行うため、相続税に強い税理士を見極める方法の1つとなるでしょう。

アフターサービスが充実しているか

申告後も、相続不動産の売却・金融資産運用・二次相続対策・確定申告・税務調査対応など、多くの手続きや相談が発生します。申告のみで終わらず、申告後も長く付き合える税理士かどうかを確認しましょう。特に、将来的な相続や資産運用まで見据えて継続的にサポートしてくれるかどうかが大きな安心につながります。

まとめ

相続税の申告は、相続人同士の調整や財産評価の難しさもあり、専門家の関与が欠かせません。特に土地や非上場株式の評価、期限直前の依頼などは申告が複雑化し、税理士報酬が高額になるケースもあります。

その一方で、報酬相場の目安を把握しておけば、費用感を持って事前に相談でき、納得したうえで依頼できるでしょう。また、税理士の経験や実績、料金体系の透明性は、安心して任せられるかを判断する重要な基準です。

相続税申告は「誰に依頼するか」で結果が大きく変わる可能性があります。不安を残さないためにも、実績豊富で信頼できる税理士に早めに相談することをおすすめします。相続税の申告についてお悩みの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」へご相談ください。

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相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。

相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

また、金融機関不動産関係者葬儀関連企業税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。

監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。