相続税がかからない場合の手続きを徹底解説!相続税0円でも申告が必要なケース

相続税がかからない場合の手続きを徹底解説!相続税0円でも申告が必要なケース

「相続税がかからない」と聞くと、手続きが不要と思われがちですが、実は相続税が0円でも申告が必要なケースがあります。特例や控除を受けるには申告が前提となるため、手続きを怠るとせっかくの優遇を受けられない可能性もあるので要注意です。本記事では、相続税がかからないケースの条件や、0円でも申告が必要な理由、そして相続登記などの必要な手続きを解説します。初めての相続で不安な方は、ぜひ参考にしてください。

相続税がかからないケースをおさらい

相続税の配偶者控除

相続税がかからないケースは以下の2通りです。

ケース

解説

ポイント

課税価格が基礎控除額以下の場合

正味の遺産総額(預貯金・不動産・有価証券など合計)から債務や葬式費用を差し引いた金額が基礎控除額以下の場合は相続税がかからない

  • 基礎控除額の計算式:3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

配偶者の税額軽減が適用される場合

被相続人の配偶者が取得した遺産額が「1億6,000万円」または「配偶者の法定相続分」のどちらか多い金額までなら、配偶者には相続税がかからない

  • 配偶者の法定相続分は他の相続人の数によって「1/2」「2/3」「3/4」となる場合がある
  • いずれの場合でも配偶者の相続額が最低1億6,000万円までなら相続税はかからない

少しでも不安や疑問がある場合は、やさしい相続相談センターの税理士に早めに相談することで、適切な手続きや節税対策のアドバイスを受けられます。

「やさしい相続相談センター」では、相続税がかからないケースの確認から、控除や特例の適用可否の判断まで丁寧にサポートしています。初回相談は無料のため「自分のケースは申告が必要なのか」「どんな手続きをすればいいのか」と迷われている方も、ぜひお気軽にご相談ください。

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相続税がかからない場合の手続き

相続税の支払いに悩む夫婦

相続税の申告が不要な場合でも、遺産分割や不動産の名義変更などの手続きは必須です。これらを適切に行うことで、相続人間のトラブルを防ぎ、今後の手続きをスムーズに進められるでしょう。

遺産分割協議を行い遺産分割協議書を作成する

遺言書がない場合は相続人となる人物が全員揃って遺産分割協議を行い、遺産の分け方を決めます。協議の結果は遺産分割協議書として文書化する必要があります。

協議には相続人全員が参加することが原則で、未成年者がいる場合は代理人の参加が必要です。また、相続人や財産の確認を事前に行うことも重要です。相続財産より債務が多い場合は相続放棄を検討できますが、手続きは相続開始から3ヵ月以内に行う必要があります。

不動産を相続した場合は相続登記(名義変更)を行う

土地や建物など不動産を相続した場合は、所有権を移転するための相続登記が必要です。相続登記を行うことで、売却や担保設定が可能になり、所有権の不明確さによる相続トラブルも防げます。

令和6年(2024年)4月1日からは相続登記が義務化され、不動産取得から3年以内に登記申請しなければなりません。相続した不動産は、速やかに登記手続きを行いましょう。

参考:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)

参考:~なくそう 所有者不明土地 !~|東京法務局

相続税がかからないのに相続税申告が必要なケース

以下では相続税がかからないのに相続税申告が必要なケースについてまとめました。

配偶者控除(配偶者の税額軽減)を適用する場合

配偶者控除とは、配偶者が取得した遺産のうち、1億6,000万円までまたは法定相続分までの財産が非課税となる特例です。配偶者控除により配偶者の相続税が0円になるケースは多いです。しかし配偶者控除を適用して全体の相続税が0円になった場合でも、申告は必ず必要です。

小規模宅地等の特例を適用する場合

小規模宅地等の特例とは、被相続人や同一生計の親族が居住・事業用として使用する宅地等について、要件を満たすと評価額を50~80%減額できる制度です。結果として相続税が0円になることもありますが、この特例は申告を行わないと適用されません。

農地の納税猶予の特例を適用する場合

こちらは相続や贈与によって取得した農地について一定の要件を満たすと納税が猶予され、最終的に免除される可能性がある制度です。ただし申告を行わないと特例が適用されず、猶予や免除が受けられないため、必ず期限内に手続きを行う必要があります。

寄付した財産の非課税の特例(寄付金控除)を適用する場合

相続税の申告期限までに、相続した財産を国・地方公共団体・特定公益法人に寄付すると、その財産は課税対象外となります。寄付金控除を受けるためには相続税の申告が必須であり、申告書に財産の明細と寄付先の受領書などを添付する必要があります。

相続税の申告が必要か不要かを確認するための4ステップ

相続税-税務調査-時期

以下では相続税の申告が必要か不要かを確認するための4ステップを解説します。

法定相続人の数を確認する

基礎控除額の計算には法定相続人の数が必要です。法定相続人とは、民法で定められた死亡した人の財産を受け取る権利のある人です。

相続人の順位

誰が該当するか

常に相続人

配偶者

第1順位

子ども(養子含む)

第2順位

父母(祖父母も含む)

第3順位

兄弟姉妹

配偶者は常に相続人となり、配偶者以外は順位が高い人のみが相続人になります。

基礎控除額を計算する

法定相続人の数が把握できたら、次に基礎控除額を計算します。基礎控除額の計算式は 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数で求めましょう。

相続財産を一覧にする

基礎控除額を計算したら、次に相続財産をすべて洗い出します。相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。プラスの財産は現金や預貯金、土地、マイナスの財産は葬式費用、借金、未払金などが挙げられます。遺産総額はプラスの財産合計 − マイナスの財産合計で求められます。

基礎控除額と遺産総額を比較する

最後に、基礎控除額と遺産総額を比較して申告の必要性を判断します。遺産総額が基礎控除額を上回る場合は、相続税の申告が必要です。一方で、遺産総額が基礎控除額以下であれば、相続税の申告は不要となります。

ただし、控除や特例の適用によって相続税が0円になる場合でも、申告を行わなければ特例が受けられないことがあります。少しでも不安や疑問がある場合は「やさしい相続相談センター」にご相談ください。経験豊富な税理士が正確な判断や適切な手続きを進めるサポートをいたします。

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相続税の申告が必要か判断する際に確認すべき財産

以下では相続税の申告が必要か判断する際に確認すべき財産についてまとめました。

現金・預貯金

死亡した人が所有していた現金や預貯金は、すべて相続財産に含まれます。金庫や財布の中の現金、相続直前に引き出した現金、タンス預金、名義預金も同様です。

タンス預金のように記録がなくても、税務署は納税者や相続人の預貯金の入出金を把握できるため、隠しても発覚する可能性があります。また、名義預金は口座名義と実際の所有者が異なる場合でも、死亡した人の相続財産として申告する必要があります。

生命保険金・死亡退職金

生命保険金や死亡退職金は「みなし財産」として相続財産に含まれます。死亡を契機に支払われる性質が相続財産と同等とみなされるためです。ただし、非課税枠を超えた金額のみが相続財産に加算されます。

非課税枠は「生命保険金・死亡退職金の非課税枠=500万円 × 法定相続人の数」で計算できます。非課税枠以内であれば申告の必要はありません。

生前に贈与を受けた財産

死亡した人から生前に贈与を受けた財産でも、以下の場合は相続財産として含まれます。

  • 相続時精算課税制度を利用して贈与された財産
  • 被相続人の死亡前3~7年以内に受けた贈与

贈与財産を含めると遺産総額が基礎控除を超える可能性があるため、見落とさず申告しましょう。なお相続時精算課税制度により既に贈与税を納めている場合は、申告することで贈与税の還付を受けられる場合があります。

相続税申告を避けるための生前対策

生前に贈与税がかからない方法で財産を贈与することで、遺産総額を減らし、相続税の申告が不要になるケースがあります。

相続対策としてよく利用される贈与税の特例制度には、次のものがあります。

特例名

内容

非課税額の上限

適用対象

贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産やその取得資金を贈与した場合

2,000万円

夫婦

住宅取得等資金の非課税の特例

親や祖父母などから住宅取得資金の贈与を受けた場合

1,000万円

子・孫

教育資金の一括贈与

30歳未満の子や孫が直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合

1,500万円

子・孫

結婚・子育て資金の一括贈与

直系尊属から結婚や子育て資金の贈与を受けた場合

1,000万円

子・孫

これらの特例にはそれぞれ細かい適用要件があります。適用を検討する際は、相続税に詳しい税理士に相談し、正しく手続きを進めましょう。

参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

参考:祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし

参考:No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税|国税庁

まとめ

相続税がかからない場合でも、遺産分割協議や相続登記などの手続きは必須です。また、配偶者控除や小規模宅地等の特例など、相続税を0円にするための控除を適用するには、相続税の申告が必要となります。

手続きを怠ると特例が無効になり、後から税負担が生じるおそれもあります。さらに、相続財産の評価や特例の適用条件は複雑で、専門知識が求められる場面も多いものです。

少しでも不安がある場合は、早い段階で税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。

相続税に関するお悩みがある方はぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。初回相談から丁寧にサポートし、最適な方法で相続手続きをサポートいたします。

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相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。

やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。

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監修者

山口 美幸

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長

96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。

【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他

【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。