相続手続きを丸投げした際の費用は?依頼先ごとの相場と特徴を解説
相続には、戸籍収集・財産調査・不動産の名義変更・相続税申告など多くの手続きがあり、遺族にとって労力が掛かります。一方、相続手続きを専門家に丸投げした場合の費用相場は、遺産総額の0.5〜1.5%程度です。この記事では、専門家に依頼できる手続きの範囲や費用相場、さらに「どれくらいメリットがあるのか」などを解説します。相続手続きに時間を割けない方や、費用感を把握したい方は、参考にしてください。
目次
まず「相続手続き」って何がある? 自分でできる部分は?

一口に「相続手続き」と言っても、その内容は複数の手続きに分かれています。遺族が簡単にできるものから専門知識がないと難しいものまで様々です。
すべての手続きを専門家に任せたいと考えている場合でも、まずは全体像を知っておく必要があります。中には「死亡届の提出」のように自分で行った方が早いものもあるので、どこまでが自分で、どこからを専門家に任せるか見極めましょう。
以下の表では代表的な手続きをまとめ、自分でできるかどうかを◎○△で示しました。丸投げを検討する前に参考にしてみてください。
【凡例】
◎:自分でも簡単にできる手続き
○:自分でもできるが手間がかかる手続き
△:専門知識や正確性が求められ、ミスのリスクが大きい手続き
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手続き内容 |
手続き期限 |
自分でできるか |
得意とする専門家 |
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死亡届の提出 |
死亡日から7日以内 |
◎ 役所に届ける |
ー |
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クレジットカード・公共料金・携帯の解約 |
速やかに |
◎ 関係各所に連絡 |
ー |
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保険金の請求 |
保険会社ごとに異なる |
◎ 保険会社に連絡 |
行政書士 |
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健康保険証や年金の手続き |
国民健康保険は14日以内 社会保険の資格喪失は5日以内 |
◎ 必要書類を提出 |
社会保険労務士 |
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遺言書の有無確認・家庭裁判所での検認 |
速やかに(検認は遺言書の発見次第すぐ) |
○ 家庭裁判所対応は手間 |
弁護士・司法書士 |
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相続人の確定(戸籍収集) |
相続税申告までに |
○ 戸籍請求が手間 |
司法書士・行政書士 |
|
財産調査 |
相続税申告までに |
○〜△ 件数が多いと手間 |
税理士・司法書士・行政書士 |
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相続方法の決定(単純承認・限定承認・相続放棄) |
死亡日から3ヵ月以内 |
△ 裁判所手続きが複雑 |
弁護士・司法書士 |
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準確定申告(被相続人に所得がある場合) |
死亡日から4ヵ月以内 |
△ |
税理士 |
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遺産分割協議・協議書作成 |
相続税申告までに |
○〜△ 合意は本人同士、書類は専門家が安心 |
司法書士・行政書士 |
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遺産分割調停・裁判 |
遺産分割がまとまらない場合 |
△ 書類作成が複雑 |
弁護士 |
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相続税の申告・納付 |
死亡日から10ヵ月以内 |
△ 財産評価や特例適用判断は難しい |
税理士 |
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不動産の相続登記 |
自分が相続すると確定してから3年以内 |
△ 内容による |
司法書士 |
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銀行・証券口座の名義変更・解約 |
遺産分割でき次第 |
○ 件数が多いと手間 |
司法書士・行政書士 |
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自動車の名義変更 |
遺産分割でき次第 |
○ 運輸支局で可能 |
行政書士 |
それぞれの手続きについて詳しくは下記の記事をご確認ください。
これだけの手続きを期限内にミスなく行うのは大変です。どこまでを自分で対応し、どこからを専門家に任せるか迷う方は、まずは無料相談をご利用ください。御見積りも無料です。
相続手続きの「丸投げ」の定義は?自分でやる部分もある

ホームページなどで「相続手続きを丸投げできます」と謳っていても、完全に何もせず放置できるわけではありません。最低限自分でやらなければならない手続きもあります。
ホームページなどで見かける「丸投げ」とは、戸籍収集・財産調査・登記・相続税申告などを専門家に一括で任せることを指します。依頼を受けた専門家が別の士業に外注する場合もありますが、依頼者にとっては一つの窓口で済む仕組みです。
ただし、委任状や必要書類への署名押印、相続人同士の合意形成や遺産分割協議などは本人が行う必要があります。また、相続人間で争いがあるケースでは、引き受けてもらえなかったり、別途高額な費用がかかったりする場合もあります。
つまり「丸投げ」を謳っていても、「本人がやる部分」は存在します。どこまで任せられるかはケースごとに違うため、初回相談の際には自分がやるべき範囲を必ず確認しましょう。
相続手続き丸投げの費用相場は「誰に頼むか」で異なる

相続手続きを丸ごと任せる場合の費用は、依頼先によって異なります。専門家によって得意分野が異なり、対応できる業務と外注に回す業務の量に差があるためです。
以下の表は「丸投げサービス」に対応している主な専門家を比較したものです。外注の範囲が広がるほどマージンが上乗せされ、最終的な費用が高額になりやすいので注意しましょう。また、相続財産の規模や相続人の人数、地域によっても相場は変動します。
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依頼先 |
費用相場 |
プラスされる外注費 |
ポイント |
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行政書士 |
遺産総額の0.5〜1.5% |
不動産登記代、相続税申告代 |
財産が少なく、登記や相続税が絡まないシンプル相続向き |
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司法書士 (登記の専門家) |
相続税申告代 |
不動産の名義変更がメインで、相続税がかからないケース向き |
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税理士 (税金の専門家) |
不動産登記代 |
相続税がかかる人・節税したい人向き |
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銀行 |
遺産総額の2〜3%(最低でも100万円) |
すべての手続き費用 |
費用よりも身近さや知名度による安心感を優先したい人向き |
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弁護士 |
着手金30万〜70万円+得られた利益の10〜20% |
不動産登記代、相続税申告代 |
丸投げ先というよりも、相続人同士で争いがある場合の依頼先 |
※実費(戸籍謄本や住民票の取得価格・登録免許税など)は別途
※相続税額も財産状況や特例の適用によって別途発生
例えば遺産総額が1億円(すべて不動産)の相続を、報酬率1%の税理士に頼んだ場合、次のような費用がかかります。
- 税理士報酬(ワンストップ):1億円×1%=100万円
- 司法書士への外注費(不動産登記代):10〜15万円
- 登記の登録免許税(実費):固定資産税評価額1億円×0.4%=40万円
- その他の実費(戸籍取得費や郵送費など)=数万円
- 相続税:特例適用によって異なる(詳しくは税理士へ)
→専門家報酬+実費=約150〜160万円+相続税
ただしすべての司法書士・行政書士・税理士が丸投げサービスに対応しているわけではありません。依頼する際は、「ワンストップ型」と謳っている事務所や、他士業と連携している事務所を選びましょう。
なお、それぞれの専門家の得意分野については下記の記事をご確認ください。
相続手続きを丸投げするとどれくらい楽になる?
丸投げを利用する最大のメリットは、時間の節約・正確性の担保・リスク回避の3点です。以下、主な手続きについて「自分でやる場合」と「専門家に丸投げした場合」でどれくらい違うのかを比較しました。
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手続き |
自分でやる場合 |
専門家に丸投げ |
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戸籍集め |
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財産調査 |
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銀行・証券口座の解約・名義変更 |
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相続登記(不動産の名義変更) |
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相続税申告 |
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このように、相続手続きを自分で行う場合は、労力だけではなくミスのリスクも伴います。一方で、専門家に丸投げすれば労力は書類への押印程度で済み、安心して進められます。
丸投げは単に「お金で時間を買う」だけではなく、トラブル回避のための投資とも言えるでしょう。
結局、相続を丸投げするなら誰に頼む?おすすめは税理士
この記事では、相続手続きの全体像や、手続きを丸投げした場合の費用相場について解説しました。依頼先や相続財産の規模などで費用は異なりますが、相場は遺産総額の0.5〜1.5%程度です。
相続手続きは、戸籍収集・登記・税務など分野ごとに専門家が異なります。中でも相続税は、税金の有無や節税の可否が全体コストに直結します。したがって、最初の窓口は税理士がおすすめです。
税理士なら財産調査から相続税申告までトータルで対応でき、司法書士や弁護士などとも連携しながら進められます。さらに、相続税を減額する特例を正しく適用できるため、結果的に費用を抑えられる可能性もあります。
相続手続きを丸ごと任せたい方や、費用の目安を知りたい方は、ぜひ 「やさしい相続相談センター」 までお気軽にご相談ください。初回相談や御見積りは無料です。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。

