税理士に贈与を相談するといくら?相談料の相場と費用を抑えるコツ
税理士への相談料は、初回は無料という事務所が多くあります。なお、2回目以降は30分につき5,000〜10,000円というケースが一般的です。一見高く感じますが、このお金を支払わずに自己判断した結果、数百万円の税金を負担するケースもあります。この記事では、贈与に関する税理士への相談料の相場や、相談料を抑えるコツを解説します。
目次
贈与税を税理士に相談・依頼する際の相場

税理士への相談料は、事務所や相談内容によって異なります。ここでは、一般的な費用感について解説します。
贈与に関する税理士への「相談料」の相場
税理士への贈与相談は、初回は無料、2回目以降は有料となるケースが一般的です。
「相談」とは、申告を依頼するかどうかを判断する段階です。書類を作ってもらうわけでも申告代行をお願いするわけでもなく、税理士との会話そのものに対して相談料がかかります。税額の見込みや非課税特例の適用可否などを確認したいときに利用するイメージです。
下記は一般的な税理士事務所における相談料の相場です。
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項目 |
相場 |
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初回の相談料 |
無料(30〜60分) |
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2回目以降の相談料 |
30分につき5,000〜10,000円 |
中には「相談は何回でも無料」と謳う事務所も存在します。しかし無料相談の場合、一般論は聞けても個別の節税アドバイスには踏み込まない可能性があります。利用する際は、無料でできる範囲や有料になる条件を事前に把握しておくのがおすすめです。
また、税務署や税理士会でも無料相談を行っていますが、こちらも相談内容に制限があります。よって、細かな節税アドバイスや評価額の算定には不向きです。
不動産の贈与や特例適用など、正確な税額試算が必要な場合は、税理士に有料で相談する方が確実です。
関連記事:遺産相続の相談先は?専門家ごとの依頼できる内容を詳しく紹介
税理士へ「贈与税申告」を依頼する際の報酬の相場
先ほど紹介した「相談料」は、税理士にアドバイスを聞く段階で発生する費用でした。一方、ここで解説する「申告報酬」は、実際に贈与税の申告書を作成・提出してもらう際にかかる費用です。つまり、税理士に手続きを任せた際の実務費用です。
ただし申告報酬は、贈与の内容や資産の種類によって変わります。シンプルな現金の贈与と、不動産・株式・特例などが絡む贈与では、手続きの難易度が異なるためです。
一般的な申告報酬は「基本報酬+追加報酬」の2段階構成です。すべての贈与税申告に共通する作業をカバーする基本報酬に、必要に応じた追加報酬が上乗せされます。
下記は、贈与税申告を税理士に依頼する際の一般的な相場感です。
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項目 |
相場(税込) |
補足 |
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基本報酬 |
20,000〜10万円 (取得財産の0.2〜0.7%前後) |
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追加報酬 |
20,000〜20万円 |
内容に応じて基本報酬に上乗せ 【主な例】
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なお、都市部は地方に比べて全体的にやや高い傾向があります。
上記の表はあくまで目安で、実際には事務所ごとに業務範囲やサポート内容に差があります。見積もりを取る際は、「基本報酬に含まれている内容」「追加費用が発生する条件」を確認しておきましょう。
「自分のケースではどれくらいかかる?」と不安な方は、贈与内容を伝えていただければ費用のお見積りができます。初回相談もお見積りも無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
追加報酬に含まれる非課税特例などについて詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:夫婦間の贈与に税金はかかる?使える特例「おしどり贈与」を紹介
関連記事:【税理士監修】住宅取得等資金贈与のメリットは?非課税制度の適用条件と注意点
税理士への相談料は高い?相談しないケースとのリスク比較

「相談料10,000円」「申告費用10万円」などと聞くと、高く感じるかもしれません。しかし相談しなかった場合に生じる損失は、税理士報酬の数倍に及ぶケースもあります。なぜなら、贈与税は「知らなかった」というだけで課税されるリスクがある税目だからです。
ここでは、税理士に相談した場合としなかった場合の費用負担をシミュレーションします。
住宅購入のために親から2,000万円貰った
Aさんは、住宅購入資金として親から2,000万円を贈与されました。この際、「基礎控除110万円を差し引いた残りを申告すればいい」と考え、自分で贈与税申告をしました。
しかし、実はこの贈与には「住宅取得資金の特例(最大1,000万円まで非課税)」が適用できたのです。Aさんは特例の存在を知らずに通常の課税計算で申告してしまったため、約409万円多く贈与税を納めてしまいました。
【特例を使わない場合の贈与税額】
(2,000万円 − 110万円)×45% − 控除265万円 = 585.5万円
【特例を使った場合の贈与税額】
(2,000万円 − 110万円 − 1,000万円)×30% − 控除90万円 = 177万円
もしAさんが申告前に税理士に相談していれば、特例についてアドバイスを受けられ、税額を7割程度抑えられたはずです。仮に相談料10,000円+申告報酬10万円を支払っていたとしても、実質400万円程度の得になっていた計算です。
このように、贈与税は「自分でできそう」と思っても、特例や控除を知らないだけで損失が大きくなる税目です。金額が大きい贈与やマイホーム資金などに関しては、一度税理士に相談して確認するだけでも十分価値があるでしょう。
参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁
参考:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁
子名義の口座に親が貯金し、子の独立時に渡した
Bさんは子供の将来のために、自分の稼ぎから毎月50,000円ずつ、子名義の口座に積み立てていました。20年後、子の独立時に「今まで貯めておいた分だよ」と1,200万円が入った口座の通帳を渡しました。
Bさんは「子名義の口座だから贈与税はかからない」と思っていました。なお、通帳や印鑑を管理していたのはBさんで、子は口座の存在すら知りませんでした。
しかし3年後、税務調査が入り追徴課税を科せられました。形式上は子名義でも実質は親の財産である「名義預金」と判断され、1,200万円を一括で贈与したとみなされたからです。
この場合、最終的に約381万円を納める結果となりました。
【贈与税額】
(1,200万円 − 110万円)×40% − 控除190万円 = 246万円
【3年後に税務署に指摘されて発生したペナルティ】
無申告加算税(30%・約74万円)+延滞税(3年間で約61万円)= 約135万円
合計:贈与税額246万円+ペナルティ約135万円 = 約381万円
もしBさんが積み立てる前や通帳を渡す前に税理士へ相談していれば、贈与税を避ける具体策を教えてもらえたはずです。例えば「子が通帳や印鑑を管理する口座を使う」「毎年贈与契約書を交わして贈与の証拠を残す」などです。
仮に相談料として50,000円を支払っていたとしても、結果的に375万円近い負担を防げたでしょう。
このように「子名義の口座でも親が管理していたら名義預金」ということを知らないだけで、課税される場合があります。思わぬ負担を防ぐためにも、大きな金額が動く場合は税理士に相談しておきましょう。
なお、口座ではなく現金で渡しても課税対象となります。詳細は下記の記事をご確認ください。
その他の贈与の想定ケース
上記で紹介した想定ケース以外にも、注意が必要な贈与があります。次の表では、代表的なケースごとに「自分で申告した場合」と「税理士に相談した場合」を比較しました。
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ケース |
自力で申告した場合 (相談料:0円) |
税理士に相談した場合 (相談料:10,000円) |
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現金だけの単発贈与の申告 |
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年間110万円ずつ贈与 (申告なし) |
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正しい贈与契約書の作り方や、贈与時期の管理方法を教えてもらえる |
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教育・結婚資金の贈与で非課税特例を利用 |
書類不備などで数百万円の贈与税が課税されるリスク |
必要書類・銀行提出書類など、特例を確実に使う方法を確認できる |
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相続時精算課税の利用 |
制度を誤用すると、将来の相続で二重課税のリスク |
税負担のシミュレーションを行い、最も有利な制度選択を提案 |
このように比較すると、相談料10,000円前後で、数十万〜数百万円の損失を防げる可能性があります。贈与の際は、相談料10,000円や申告報酬を支払う価値があるか検討してみましょう。
中でも特例の有無や名義預金の扱いなど、判断が難しい部分は税理士への相談をおすすめします。
「この贈与って申告が必要?」「非課税にできる?」など、ちょっとした疑問でもお気軽に「やさしい相続相談センター」にご相談ください。初回相談は無料です。
なお、毎年110万円ずつの贈与や、贈与契約書について詳しくは下記の記事をご確認ください。
関連記事:110万円以下なら贈与税は申告不要?複数人・夫婦間の贈与に注意
税理士への贈与の相談時間と相談料を抑えるコツ3つ

同じ面談時間でも、事前に相談内容を整理しておくだけで、得られる情報量が変わります。ここでは、最小の費用で最大の答えを得る3つのコツを紹介します。
まずは自治体の無料相談などを使い情報収集する
税理士に相談する前に、まずは自治体や税理士会などの無料相談を活用して基礎知識を身につけましょう。基本を知らないまま税理士の相談に進むと、30分〜1時間の相談時間が制度の説明だけで終わってしまう恐れがあるからです。
あらかじめ制度の概要を理解しておけば、税理士への相談の際は核心部分の質問だけに集中できます。その結果、短時間で必要な答えが得られ、相談料も抑えられるのです。
例えば、自治体や税理士会などの無料相談では、制度の全体像や一般的な考え方までは教えてもらえます。ただし、「自分のケースは適用条件の範囲内か」「申告が必要か」といった個別判断までは行えません。
詳細な判断や計算が必要な場合のみ、税理士への有料相談を利用しましょう。
税理士へ相談する前に相談目的を明確にし自分の現状を整理しておく
相談料を抑えるため、事前に「何を聞きたいのか」を明確にし、現状の整理をしておきましょう。
一口に「贈与の相談」と言っても、金額や相手によって答えが変わります。事前に状況を整理せずに相談すると、税理士が現状を確認するだけで時間と相談料がかかってしまいます。
まず、「何を知りたいか」を決めましょう。例えば「住宅取得資金の特例が使えるか」「申告が必要か」などです。
その上で、相談時間を最短にするため、事前に下記の項目などを紙にまとめておくとスムーズです。
- 贈与の金額
- 贈与の時期や回数(例:毎年or一度きり)
- 贈与の相手(親・子・孫など)
- 贈与の目的(住宅資金・教育資金・生活費など)
目的と状況の準備をしておけば、税理士は最短で「あなたのケースではこうすればいい」という答えを出せるでしょう。
有料の相談時間は「答え合わせの時間」にする
税理士相談を最大限活かすために、自分なりの答えを持った状態で臨みましょう。有料の相談時間は、自分の考えを専門家に確認してもらう「答え合わせの時間」として活用します。
なお、税理士に答えを判断してもらうために、必要に応じて下記の資料を持参するとスムーズです。
- 贈与の金額や時期・相手・目的などをまとめたメモ(上記参照)
- 通帳や振込明細・贈与契約書など、お金の動きが分かる書類
- 特例を使うために必要な資料
知識に基づいた仮説や資料をもとに税理士が確認すれば、うまくいけば30分で正確な答えが得られるでしょう。
贈与税について正確に知りたい方は税理士にご相談ください
この記事は、税理士に贈与税の相談をした場合の費用相場や、相談料を抑えるコツなどを解説しました。
なお、実際に贈与税の相談をする税理士の探し方については下記の記事をご確認ください。
税理士への相談料は、初回は無料、2回目以降は30分につき5,000円〜というケースが大半です。ただし、事前に知識を学び仮説を立ててから税理士相談に臨めば、相談時間を短くできます。
相続税申告は『やさしい相続相談センター』にご相談ください。
相続税の申告手続きは初めての経験で不慣れなことも多くあると思います。
しかし適正な申告ができなければ、後日税務署の税務調査を受け、思いがけず資産を失うこともある大切な手続きです。
やさしい相続相談センターでは、お客様の資産をお守りする適切な申告をサポートさせていただきます。
初回相談は無料です。ぜひご相談ください。
また、金融機関や不動産関係者、葬儀関連企業、税理士・会計士の方からのご相談やサポートも行っております。
小谷野税理士法人の相続専門スタッフがお客様へのサービス向上のお手伝いをさせていただきます。
監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。