夫婦間で贈与税はかかる?夫婦でできる節税対策3選をご紹介!
 
                          夫婦間でも、原則として贈与税は課税されます。しかし贈与税には年間110万円の基礎控除や、居住用不動産の贈与で最大2,000万円が非課税になる配偶者控除など、夫婦間の節税に活用できる制度もあります。本記事では、夫婦間で贈与税がかかるケースとかからないケース、税務署に把握される可能性などをご紹介します。さらに節税対策の具体例をわかりやすく解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
夫婦間で贈与税はかかる?

結論から言うと、夫婦間であっても原則として贈与税はかかります。以下では贈与税がかかる理由や申告方法などを解説します。
贈与税がかかる理由
夫婦であっても、財産をあげる側ともらう側の意思で贈与契約が成立しているとみなされるためです。「あげるつもりはなかった」「知らなかった」といった言い訳は通用しないので注意しましょう。実際に名義が移動していたり財産を受け取っていたりする場合は贈与税の対象となります。
控除額と申告方法
贈与税には年間110万円の基礎控除があります。1月1日から12月31日までの合計贈与額が110万円を超える場合は、贈与を受けた人が翌年2月1日から3月15日までに申告し、同日までに納税する必要があります。
贈与税の申告書等の作成は国税庁のホームページからe-Tax(電子申告)を利用して提出できます。なお、印刷して郵送で提出も可能です。
参考:No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁
参考:贈与税の申告|国税庁
関連記事:【税理士監修】夫婦間でも贈与税は発生する。贈与税が発生しないパターンや疑問について解説
夫婦間で贈与税がかかるケース・かからないケース

以下では夫婦間で贈与税がかかるケース・かからないケースの具体例について表でまとめました。
| 分類 | 具体例 | 注意点・補足 | 
| 贈与税がかかるケース | 高額なプレゼント(基礎控除110万円超) | 
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| 生活費以外の資金で株や金融資産を購入 | 
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| 夫婦間での高額な口座移動 | 
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| 自分が負担していない保険金の受取り | 
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| 不動産取得費用の持ち分を超えた負担 | 
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| 贈与税がかからないケース | 年間110万円以下の贈与 | 
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| 生活費や教育費として必要な範囲での金銭譲受 | 
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| 配偶者控除の範囲内での居住用不動産や購入資金の贈与 | 
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夫婦間の贈与でも高額なプレゼントや不動産の負担割合の不一致、口座間での多額移動などは贈与税の対象となる場合があります。一方で、基礎控除110万円以下の贈与や生活費・教育費、結婚20年以上の配偶者控除を活用した居住用不動産の贈与などは非課税となります。
正しく区別して想定外の課税を避けるためにも、不安な場合は税理士に相談することをおすすめします。贈与税に関する実績や経験豊富な税理士をお探しの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。
関連記事:【税理士監修】贈与税がかからない方法とは?節税には注意が必要
夫婦間の口座移動による贈与は税務署にバレる?

結論から言うと、夫婦間であっても多額の口座移動は贈与税の課税対象となる場合があり、税務署に把握される可能性があります。少額の生活費程度であれば問題になりませんが、数百万円・数千万円単位の移動は注意が必要です。
夫婦間の口座移動が税務署に把握される理由は、主に以下の3つです。
税務調査による情報開示
税務署は資産の変動や不動産購入など、大きな取引があった場合に調査を行います。その一環として「お尋ね」というアンケートが送付され、資金の調達方法などを確認されることがあります。無回答でも罰則はありませんが、疑念を持たれる可能性があるため、正直に回答するのが無難です。
銀行への調査
税務署は銀行に対しても情報開示を求める権限を持っています。正当な理由があれば、銀行は開示を拒否できません。そのため、口座間での多額の資金移動は、申告漏れの証拠として把握される可能性があります。
相続時の申告
生前の高額な口座移動は、相続時の申告で明らかになることがあります。相続税を正しく計算するために遺産の詳細な申告が求められ、その過程で過去の贈与が確認されることがあるのです。
贈与税の未申告がバレた場合のペナルティ
贈与税を申告せずに放置すると無申告加算税や延滞税などの重いペナルティが課される可能性が高く、故意の場合は時効も延長されます。以下では、贈与税の未申告がバレた場合のペナルティについて詳しく解説します。
加算税と延滞税が上乗せされる
未申告の場合、無申告加算税が課されます。税率は申告のタイミングによって異なります。
| 申告タイミング | 50万円以下の部分 | 50万円超の部分 | 
| 税務調査通知前に自主的に申告 | 5% | 5% | 
| 税務調査通知後・調査前に申告 | 10% | 15% | 
| 税務調査後に申告 | 15% | 20% | 
300万円超になると、25%または30%になります。
さらに、納付が遅れると延滞税は納付期限の翌日~2ヵ月で年7.3%または延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方、2ヵ月以降で年14.6%または延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方で上乗せされるので要注意です。
時効が延長される
通常は贈与税の申告漏れには6年の時効があります。しかし、脱税目的や故意による申告漏れの場合は、時効が7年に延長されます。
思わぬペナルティを避けるためにも早めに税理士へ相談し、適切な申告・対策を行いましょう。「やさしい相続センター」では贈与税の申告に特化した税理士が多数在籍しております。正しく申告できるか不安を抱えている方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。
夫婦間でできる節税対策3選
夫婦間で財産を移動させると原則として贈与税がかかります。しかし、夫婦間の資産移転については、贈与税や相続税の面で特例が設けられており、控除を活用することで大きな節税が可能です。
以下では夫婦間でできる節税対策を3つご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
贈与税の配偶者控除(おしどり贈与)
婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、最大2,000万円まで贈与税が非課税となります。この制度は「おしどり贈与」と呼ばれ、居住用不動産の取得資金に充てる場合も対象です。さらに基礎控除の110万円と併用することで、合計で最大2,110万円まで贈与税がかかりません。
この特例を利用する際は、贈与された不動産に引き続き居住することが原則条件です。また、控除を利用して贈与税がかからない場合でも、贈与税の申告手続きは必要になります。
相続税の配偶者控除
相続税にも配偶者が利用できる控除があります。夫婦のどちらかが亡くなった場合、1億6,000万円または配偶者の法定相続分のうち多い方までの相続税が控除されます。
居住用不動産を生前に贈与した場合は2,000万円までの控除ですが、相続税の配偶者控除では1億6,000万円まで非課税となります。そのため場合によっては生前贈与よりも、名義人の死後に相続させるほうが節税効果が高いケースもあるのです。
贈与契約書の作成
夫婦間で贈与を行う際は、贈与契約書を作成しておきましょう。財産を譲渡した事実や贈与の目的を証明するための書面で、不動産の名義変更や相続手続きをスムーズに進めるために役立ちます。
贈与契約書には生活費の補助や住宅購入資金など、贈与の目的を明確に記載しておくことが大切です。さらに、公正証書として作成すれば、証明力が高まり、特に高額な贈与の場合には、将来のトラブル防止にもつながります。
関連記事:夫婦間の贈与に税金はかかる?使える特例「おしどり贈与」を紹介
まとめ
夫婦間の贈与は高額な資産移転や口座間での大きな資金移動は贈与税の対象となり、税務署に把握される可能性があります。未申告の場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課され、故意の場合は時効も延長されます。
節税対策としては「おしどり贈与」や相続時に1億6,000万円まで非課税となる相続税の配偶者控除があります。また、贈与契約書を作成して贈与の目的や事実を明確にしておくことで、手続きや将来のトラブル防止にも役立つでしょう。
夫婦間の贈与は状況や金額によって最適な方法が異なるため、正確な判断と安心の手続きを進めるには、専門家である税理士への相談がおすすめです。贈与税申告に関する実績や経験豊富な税理士をお探しの方は、ぜひ一度「やさしい相続相談センター」の無料相談をご利用ください。
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監修者

山口 美幸 小谷野税理士法人 パートナー税理士・センター長
96年大手監査法人入社、98年小谷野公認会計士事務所(小谷野税理士法人)入所。
【執筆実績】
「いまさら人に聞けない『事業承継対策』の実務」(共著、セルバ出版)他
【メッセージ】
亡くなった方の思い、ご家族の思いに寄り添って相続の手続きを進めていきます。税務申告以外の各種相続手続きも、ワンストップで終了するように優しく対応します。